日本人にとって、最も身近なフルーツと言えば、ほとんどの方が『バナナ』をあげるのではないでしょうか?バナナは、スーパーやコンビニなど、身近な店舗で販売されていますし、フルーツの中ではトップクラスに手ごろな価格であることから、朝食の代わりに毎日食べているという方も多いかもしれませんね。

それでは、身近なフルーツであるバナナについて、皆さんは皮や果肉が黒く変色したのを見て「バナナの黒い部分は食べられるのかな?」と疑問に思った経験はありませんか?この質問については、ほとんどすべての方が経験したことがあると答えると思うのですが、それではバナナはなぜこれほどまでに黒く変色してしまうのでしょうか?

この記事では、バナナが黒く変色してしまう原因や、黒くなったバナナが食べられるのかについて解説します。

バナナが黒くなったら食べられない?

バナナは多くのご家庭が常備しているような大衆果物の代表です。多くの方が毎日のように目にする果物であることから、「バナナが黒くなっているけど、もう食べられないのかな?」と言った状況に陥る機会も非常に多いです。実際に、今まで一度も黒くなったバナナを見たことが無い…なんて人はいないのではないかと考えられます。

それでは、通常は鮮やかな黄色の果皮が特徴のバナナについて、黒くなってしまうと食べられないサインなのでしょうか?実は、どの部分が黒くなったのかによって、その扱いが変わります。

『皮』が黒くなっただけなら食べられる可能性が高い!

バナナが黒くなった時、食べられるかどうかは、どの部位が黒ずんでいるのかで判断が分かれます。

例えば、果皮の表面に黒い(茶色い)斑点がポツポツと出てきた…なんて場合、バナナが傷んだ…、バナナの病気かな…など、食べられなくなったのではないかと考えてしまう方がいます。しかし、こういった果皮の斑点は、「シュガースポット」と呼ばれるもので、バナナの熟成が進んだ時に現れるものなのです。つまり、バナナの果皮に黒い斑点が出ているだけであれば、バナナが熟しただけで、腐ったわけでありません。

また、バナナの保存状況によっては低温障害により果皮が全体的に黒くなってしまう…なんて場合もあります。バナナの低温障害については後述しますが、低温障害を起こしたバナナについては、熟成が止まるだけで果肉には影響が出ない場合がほとんどです。

「バナナが黒い…」なんて場合でも、皮を剥いてみて果肉が綺麗なのであれば、何の問題もなく食べることができます。

『果肉』が黒くなっていたら注意が必要

バナナの果皮が黒くなっていて、果肉をチェックしてみると変色していた…という場合は注意が必要です。なお、果皮に変色が無い場合でも、果肉が黒くなっている時は、要注意です。

例えば、バナナの果肉が黒くなるという症状では、「モキリオ病」という病気が原因となっているケースが考えられます。なお、モキリオ病で黒くなっている時は、バナナの風味は落ちるものの、食べても人体に悪影響が出ない場合がほとんどなので、基本的には食べられます。

ただし、果肉が黒くなるという変色が、一部分だけでなくて広範囲に広がっているという場合、バナナが腐っている可能性が高いです。腐ったバナナを食べてしまうと、食中毒などの健康被害に繋がる恐れがありますので、食べない方が良いです。バナナの果肉が黒く変色している場合、食べられるかどうかの判断に迷う場合は、安全のために廃棄する方が良いかもしれませんね。

バナナが黒くなる原因とは?

それでは、多くの方が経験したことがある「バナナが黒くなった」について、なぜこの現象が起きてしまうのかを解説します。バナナが黒くなる理由は、いくつかの原因が考えられます。

バナナの熟成が進んだ

バナナの皮に黒やこげ茶の斑点(シュガースポット)が出るのは、バナナが傷んでいるのではなく、熟成が進んだ証拠です。

多くの果物は、収穫後も成長を続けていて、適切な条件で保管していれば、時間の経過とともに柔らかさと甘みが強くなっていきます。バナナもこの性質を持っていて、収穫後に追熟が進みます。そして、その過程でバナナの表面に現れるのがシュガースポットと呼ばれる、黒色の斑点です。この黒色の斑点は、傷んだように見えますが、果肉が腐っていない限り、バナナそのものに影響を与えることはなく、白い状態を保ちます。

バナナに多くのシュガースポットが現れたとしても、果肉が黒くなっていないのであれば、食べるのを避ける必要はありません。むしろ、甘くてねっとりとしたバナナが好みという方が、表面にシュガースポットが出るまで待ってから食べるのがおすすめです。

「低温障害」を受けた

バナナの皮が全体的に黒く変色している…という場合は、低温障害が疑われます。

バナナは、スーパーやコンビニなど、頻繁に見かける果物であることから「どこでも育てられる」と考えている人が居ます。しかしそうではなく、バナナは気候が温暖な地域で育つ果物なので、寒さに弱いという特徴があるのです。一般的には、15℃~20℃程度が保存に適した温度と言われています。
さまざまな家電製品が登場した現在では、こういった温暖な地域で育つ食べ物でも、何も考えずに冷蔵庫で保管する人が居ます。しかし、温暖な地域で育つ食べ物の多くは、冷蔵庫などの寒い場所で保管すると、低温障害を起こしてしまう訳です。バナナの場合は、果皮が真っ黒に変色するという症状が出る場合が多いです。

ただしバナナは、低温障害を受けたとしても、見た目が悪くなるだけで、皮を剥けば果肉は普通に白い状態のままであることがほとんどです。間違って冷蔵庫で保存し、低温障害を受けた場合でも、果肉自体が黒く変色していないのであれば、基本的に食べても問題ありません。

バナナに衝撃を与えた

バナナを机にぶつけてしまった、皮を引っ掻いた、机に直置きして保存していたなんて場合、接触した部分の果皮や果肉が黒くなってしまうことがあります。

これは、バナナに衝撃が加わったことで、皮の細胞が傷ついてしまうために起こると考えられます。バナナの果皮の細胞に傷がつくと、バナナのポリフェノール類と酵素が空気と反応して褐変反応が起こります。そのため、果皮が黒ずんでしまうというメカニズムですね。

このような場合、皮を剥いてみて、果肉に変色が無く白いままなのであれば、そのまま食べることは可能です。しかし、バナナの皮に傷がついてしまうと、その部分の果肉が傷みやすくなるため、果肉まで黒くなってしまうケースが多いです。直置きしたバナナについて、長期間同じ姿勢で保存していた場合、机に接していた部分の果肉が黒くなるケースが多いです。
このような変色を防ぐには、「バナナは衝撃に弱い」という認識をきちんと持ち、優しく取り扱うと良いでしょう。

バナナの病気や傷むと果肉が黒くなる

バナナの果肉そのものが黒く変色する理由は、「モキリオ病」にかかるなど病気が原因の場合と、バナナが傷んで腐敗してしまったなどという原因が考えられます。

「モキリオ病」は、あまり聞き馴染みが無いと思いますが、これは、バナナの栽培過程で果肉に雑菌が入り込んでしまうのが主な要因です。モキリオ病は、果肉の中心に黒色の硬い筋が現れたり、空洞が生まれたりする症状が出ます。モキリオ病の病変で、黒くなった果肉部分は、いわゆる樹脂の塊で風味も悪く硬くなってしまいます。モキリオ病のバナナは、それ自体を食べることは可能ですが、部分的に味が落ちてしまっていますので、黒くなった部分を取り除いて食べるのがおすすめです。

なお、果肉の中心部だけでなく、広範囲が黒ずんでいる…、茶色に変色している…と言った症状がみられる場合、バナナが傷んで腐敗が進んでいると考えられます。保存状態が悪かったり、購入後、食べずに長期間経過してしまったなんて場合、当然バナナは腐ってしまいます。腐敗したバナナは食べずに破棄するしかないでしょう。

ちなみに、バナナが腐敗した時には、以下のような症状が出ますので、複数の症状が同時に当てはまるようなバナナは食べるのを避けた方が良いでしょう。

  • ・果肉が茶色~黒く変色している
  • ・変なにおいがする
  • ・果肉がベチャッとしている
  • ・カビが生えている

まとめ

今回は、いつものぶどうとは異なり、日本人に最も身近な果物なのではないかと考えられる『バナナ』について解説しました。バナナは、朝食の代わりに食べる方も多いですし、家には常にバナナを数本常備しているなんて方が多いかもしれませんね。

ただ、このバナナという果物は、ちょっとした衝撃や保存方法の間違いにより、果皮が黒や焦げ茶色に変色してしまい「食べられるのかな?」と不安になってしまう食べ物でもあるのです。バナナ好きの方であれば、黒く変色したバナナの皮や果肉を見て、「腐っているのでは?」と不安になった経験があるのではないでしょうか?

この記事では、バナナが黒くなる理由や食べても良いのかについて解説していますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

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