今回は、さまざまな果物の加工品『ドライフルーツ』の賞味期限や正しい保存方法について解説します。ドライフルーツは、果物の美味しさと栄養素が凝縮された食べ物で、最近はダイエットなどにも効果的と考えられていて、朝食やおやつにドライフルーツを取り入れる方が増えていると言われています。

田中ぶどう園を始めとした、果物の栽培を行っている農園では、栽培した果物をドライフルーツに加工して販売したりしています。また、食品メーカーなどが自社ブランドのドライフルーツを作り、全国的に販売しているケースも増えています。ちなみに、ドライフルーツは、果物を乾燥させるという加工がなされており、そのままの果物よりは長持ちするようになります。しかし、ドライフルーツにも賞味期限というものはあり、乾燥させたからと言って、食べられる状態が永遠に続くわけではないのです。

そこで当コラムでは、最近人気のドライフルーツについて、一般的にどれぐらいの賞味期限が設定されるのか、また美味しい状態を長持ちさせるためにはどのような保存方法をすれば良いのかについて解説します。

ドライフルーツの賞味期限ってどれぐらい?

最近は、ドライフルーツの人気が高くなっていることもあり、大袋入りのドライフルーツをスーパーなどで見かける機会も増えています。しかし、一度に大量のドライフルーツを購入した場合、食べきる前に賞味期限が切れてしまっていた…なんてことになる場合も珍しくないようです。

そもそも、ドライフルーツが作られるようになった起源は、足が速いフルーツを長持ちさせるためです。フルーツは、水分を多く含んでいるものが多いため、傷みやすく腐りやすいという特徴を持っています。そこで、フルーツを長持ちさせるための対策として考案されたのが「乾燥させて水分量を減らす」という方法で、これがドライフルーツの起源だと言われています。

ただ、果物として置いておくよりも長持ちするようになるドライフルーツですが、腐らなくなるというわけではなく、きちんと賞味期限というものが設定されます。それでは、ドライフルーツの賞味期限は、どの程度なのでしょうか?

そもそも賞味期限とは?

賞味期限という言葉は皆さんも耳にしたことがあると思うのですが、その意味を勘違いしている方は意外に多いです。賞味期限は、各食品に設定するように国が義務付けている期限なのですが、これが過ぎたからと即座に食べられなくなるというものではありません。賞味期限は、ある程度傷みにくい食品に設定されるもので、その意味は「その期限までは品質が変わらずおいしく食べられる」となっています。つまり、賞味期限は多少過ぎたとしても、味が落ちる可能性はあるものの、食べられなくなるわけではありません。

ちなみに、賞味期限に似たもので『消費期限』というものもあります。これについては、生鮮食品等、傷みやすい食品に設定されるもので「その期限までは安全を保障されている」という意味です。つまり、消費期限は、過ぎたら健康被害の可能性があるため食べない方が良い限界を表しています。「賞味期限が切れたら食べられない」と考えている方は、消費期限と混同して考えているのだと思います。

なお、注意してほしいのは、賞味期限として設定されている期日は「指定された保存方法で未開封のまま保管した場合」を指しています。つまり、一度開封すれば、賞味期限に関係なく早めに食べるのがおすすめです。

参照:農林水産省「賞味期限と消費期限」

ドライフルーツごとの賞味期限

それでは、ドライフルーツの賞味期限について、いくつかのドライフルーツを参考に一般的に設定される賞味期限をご紹介します。なお、ドライフルーツは、全般的に製造から3カ月程度の賞味期限が設定される場合が多いです。

  • ・レーズン(砂糖不使用):賞味期限160日程度
  • ・アプリコット(砂糖不使用):賞味期限120日程度
  • ・ドライマンゴー(砂糖不使用):賞味期限140日程度
  • ・ドライいちじく(砂糖不使用):賞味期限160日程度
  • ・プルーン(砂糖不使用):賞味期限90日程度
  • ・ドライクランベリー(砂糖使用):賞味期限180日程度
  • ・ドライいちご(砂糖使用):賞味期限100日程度
  • ・ドライパイン(砂糖使用):賞味期限220日程度

※ドライフルーツの賞味期限は、製造元によって変わりますので、購入時に必ず確認しましょう。

ドライフルーツの賞味期限は、水分量をどのぐらい含んだフルーツなのかによって変わります。例えば、プルーンは水分量が多いため、その他のドライ製品よりも賞味期限が短くなる場合が多いです。また、砂糖を使用したドライフルーツは、砂糖不使用の物と比較すると賞味期限がやや長くなります。
ドライフルーツは、フルーツが持つ甘さが凝縮されるため、わざわざ砂糖を使用する必要などないのではないかと考える方が多いです。ただ、ドライフルーツの砂糖は、甘さを加えるのではなく、傷みにくくするのが目的です。砂糖や塩は、菌の繁殖を抑える効果があるとされています。肉や野菜を塩漬けして長持ちさせるのも、塩が菌を繁殖させない効果を持っているからです。こういったことから、砂糖を使用したドライフルーツは、賞味期限が少し長くなるのです。

ドライフルーツの賞味期限が切れた時の対応について

それでは次に、家にあったドライフルーツの賞味期限が切れていた…なんて場合、どうすれば良いのかについて解説します。上で紹介したように、そもそも賞味期限というのは、食べられなくなるまでの期限を示しているのではなく、あくまでも「製造者側が美味しく食べられる」と判断する期日を示しています。つまり、多少賞味期限が切れたとしても、気にせずに食べても構わないものではあるのです。ただ、賞味期限が何年も切れているという場合は注意が必要です。

まず、賞味期限を設定する場合、一般的に食べられる限界の期間に1未満の「安全係数」というものを掛けて算出します。したがって、包装袋に記載されている賞味期限が多少過ぎていたとしても、美味しさが損なわれている可能性はあるものの、食べて健康被害が起きる可能性は少ないわけです。
基本的には、記載されている賞味期限について、その1.2~1.5倍程度の期間までは食べることが可能だと言われています。もちろん、これは「未開封の食品」に限ります。

賞味期限切れ1ヶ月のドライフルーツ

賞味期限が180日のドライフルーツの場合、180日を1.2倍すると、216日までは安全と判断できます。つまり、賞味期限が1カ月過ぎていたとしても、食べることはできるでしょう。

賞味期限切れ半年のドライフルーツ

賞味期限が半年程度切れている場合はどうでしょうか?未開封のドライフルーツの場合、見た目上の問題は出ていないと思いますので、「まだ食べられるかな?」と考える方がいます。

しかし、賞味期限が半年過ぎたドライフルーツを食べるのはおすすめできません。見た目や臭いに変化が出ていない場合でも、目に見えない菌が繁殖して傷んでいる可能性が考えられます。

賞味期限切れ1年以上のドライフルーツ

賞味期限が1年以上経過しているドライフルーツは、未開封の場合でも口にしないでください。ドライフルーツは、長持ちさせるための加工が施されていますが、いつまでも食べられるというものではありません。

賞味期限が1年以上も経過した食品は、それを口にすることで、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性があるため、速やかに廃棄しましょう。ちなみに、傷んだドライフルーツは、以下のような特徴がありますので、該当する点があれば食べるのをやめ、廃棄しましょう。

  • ・果実とは異なる独特のすっぱい臭い(いわゆる腐敗臭)がする
  • ・口にすると土っぽい味がする
  • ・表面にカビが生えている
  • ・虫が湧いている

このようなドライフルーツの特徴は食べられなくなったサインなので、速やかに廃棄しましょう。

ドライフルーツの保存について

ドライフルーツは、『保存食』の一種と捉えている方が多いのですが、やはり新鮮なものの方がドライフルーツも美味しいです。なぜなら、ドライフルーツは、加工されて以降もさまざまな影響を受けて品質が変化していくからです。

ここでは、ドライフルーツの品質に悪影響を与える条件や、美味しさをできるだけ長持ちさせるための保存方法について解説します。

ドライフルーツの品質悪化を招く原因

ドライフルーツは、『湿気』と『酸化』により味が落ちるので注意してください。湿気と酸化がドライフルーツの弱点になるのは、以下のような理由からです。

  • ・ドライフルーツは、空気に触れると、空気中の水分を吸収して湿気るので注意しましょう。特に多湿環境下で保存していると、非常に湿気やすく品質の低下を招きやすくなります。多くの食品は、湿気ることで食感が悪くなったり、最悪の場合、水分が増えて雑菌やカビが繁殖しやすくなります。ドライフルーツは、本来果物が持っている水分を乾燥させて作られているので、湿度が高い夏場などは、非常に湿気やすいので注意しましょう。
  • ・酸化もドライフルーツの品質低下を引き起こすので注意が必要です。酸化は、「食品が空気と触れることで食品に含まれる成分と酸素が結びついて、新たな化合物が作り出されること」を指しています。例えば、リンゴを半分に切って、ラップもかけずに放置していると、表面が変色していき最後はボロボロになります。実は、これも食品の酸化の一種で、酸化は、味の変化や本来含まれている栄養の働きが失われるなどの悪影響が出ます。最悪の場合、健康被害の危険まであると言われています。なお、酸化は、空気に触れることで起きるのですが、光や熱が加わることでさらに促進されます。

上記のような悪影響を受けないためにも、下で紹介する正しい保管方法を守りましょう。

未開封のドライフルーツの保存方法

未開封のドライフルーツであれば、「どこで保管しても大丈夫!」と考えてしまう方が多いです。しかし、未開封の状態でも、ドライフルーツは酸化してしまうリスクがあるので、酸化の条件を可能な限り排除できる場所で保管するのがおすすめです。具体的には、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • ・直射日光が当たらない冷暗所で保存
  • ・製造メーカーが決めた保存方法を守る

直射日光は、酸化を促進させる原因となるため、直射日光が当たらない場所で保管してください。また、ドライフルーツの包装紙などに、新鮮さや美味しさを保つための保存方法が記載されていると思うので、可能な限りそれを守るようにしましょう。
一般的には、「冷蔵庫」または「冷暗所」で保存するように記載されていると思うので、その通りの場所で保存しましょう。

※冷暗所について、コンロ下の引き出しなどを選ぶ方がいるのですが、これはNGです。日光は当たらないのですが、コンロの熱によって保管場所の気温が上がってしまい、品質を悪化させる可能性があります。

開封後のドライフルーツの保存方法

次は、開封したドライフルーツの保存方法です。上で紹介したように、一度開封した場合、商品に記載されている賞味期限に関わらず、早めに食べるのがおすすめです。包装紙に記載されている賞味期限は、あくまでも未開封の状態について示したものです。

開封後のドライフルーツについては、湿気と酸化の原因となる空気に触れないようにするのがポイントです。開封後のドライフルーツを保管する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • ・開封後は、可能な限り空気を抜いて袋を閉じる
  • ・湿度が高くなく、涼しい冷暗所で保存する

ドライフルーツを保存する時には、タッパーなどに移して保存する方が多いのではないでしょうか?実は、この方法は、空気に触れる面積が大きくなるため、あまりオススメではありません。短期間に食べるのであれば、食べやすい容器に移して保存するのも良いですが、数日かけて食べるつもりなら、ジッパーなどで密閉できる袋で保存するのがおすすめです。このタイプであれば、袋内の空気を抜くことができます。なお、袋の中に乾燥材などを入れておくとさらに良いでしょう。

また、開封後のドライフルーツについては、出来る限り冷蔵庫の中で保存するのがおすすめです。ただし、野菜室は、野菜の鮮度を保つため、通常よりも湿度が高くなっているので、ドライフルーツは野菜室に入れないようにしましょう。また「冷凍すれば長持ちするのでは?」と考える方もいますが、ドライフルーツを冷凍した場合、解凍時にドライフルーツの繊維が壊れて味が落ちてしまいます。したがって、冷凍による保存はオススメできません。
開封後のドライフルーツは、そこまで日持ちする食品ではなく、正しい保存方法を守っていても2週間程度で食べきるのがおすすめです。

まとめ

今回は、スーパーフードとして近年人気になっているドライフルーツについて、その賞味期限や正しい保存方法について解説しました。

そもそもドライフルーツというものは、水分が多く腐りやすいフルーツを、長期間保存できるようにするために作られた加工方法です。実際に、収穫から数日で食べられなくなるような果物でも、ドライフルーツに加工さえすれば、数カ月以上食べられる状態で保存することが可能になるのです。ただ、保存食として有名なドライフルーツについても、永久に食べられる状態を保っているわけではなく、加工を施した製造者によって賞味期限が設定されているのです。

もちろん、賞味期限は、それが切れたからと即座に食べられなくなる期限ではないのですが、製造者が「美味しさを保てる期限」として設定しているものですので、基本的には賞味期限内に食べるようにするのがおすすめです。なお、保存方法を間違ってしまうと、記載されている賞味期限よりも早く劣化する可能性がありますし、開封後は記載の賞味期限は関係なくなると考えておきましょう。どちらにせよ、ドライフルーツの包装材に、正しい保存方法なども記載されていると思うので、その保存の仕方は必ず守るようにしてください。

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