秋の味覚として誰もが楽しみにしている『栗』については、意外に間違った方法で保存している方が少なくないようです。

一般的に、栗の保存方法と聞くと、分厚い皮に覆われているのだし「特別なことをせずに常温で保存しておけば良い!」と考えている方が多いように思えます。実際に、頂き物として大量の栗を入手した時には、調理するまで長期間常温で保存しているという方がほとんどなのではないでしょうか?しかし実は、常温保存は栗の保存方法として適しているとは言えず、間違った保存方法で長期間調理せずにいると、栗本来の美味しさが失われてしまう可能性があるのです。

そこでこの記事では、栗の美味しさをできるだけ長持ちさせるための正しい保存方法について解説します。

栗の保存方法に関する間違った認識と正しい保存方法

それではまず、意外に多くの方が持っている栗の保存に関する間違った認識と、正しい保存方法について解説します。冒頭でご紹介したように、栗はその他の果物とは異なり、非常に硬い『鬼皮』に覆われているため、常温での保存が可能と考えている方が多いです。栗の表面は、かなり固い皮に覆われているので、ある程度高い位置から落下させたとしても、中の実が傷むようなことはありません。そのため、冷蔵庫や冷凍庫などに入れなくても、常温で長期間保存することができると考えてしまうのでしょう。

しかし、この認識が間違っていて、栗は鬼皮で覆われているものの、乾燥しやすいという特徴を持っているため、そのままの状態で常温保存すると、急速に風味が抜けてしまい、中身が痩せていってしまうのです。また、非常に硬い皮ですが、昆虫はこれを突き破ることができるため、虫がつくような環境下で保存していると、虫食い被害の恐れもあります。

したがって、長く良い状態で栗を保存したいと考えている方の場合は、乾燥対策を施したうえで、虫食いの心配がない低温環境で保存するようにしましょう。簡単に言うと、冷蔵庫や冷凍庫の中で保存するのが望ましいということです。
ちなみに、栗は0℃近い低温環境で寝かせると、デンプンが糖化して甘みが増すという特徴を持っています。そのため、よりおいしく栗を食べようと考えた時には、一度冷蔵庫で4~5日ほど寝かせてから調理するのが良いとされているのです。すぐに調理せず、冷蔵庫に寝かせるという段階を踏めば、栗の甘みをより強く感じることができるようになります。

栗の保存手順について

上で解説したように、栗は0℃近い低温環境で保存したほうが良い状態を長持ちさせることが可能です。さらに、低温環境で寝かせておくことで、デンプンが糖化するため、栗本来の甘みを引き出すことができるようになるのです。

ここでは、冷蔵庫や冷凍庫で栗を保存する時の手順についてもご紹介します。

冷蔵庫で栗を保存する時の手順

まずは冷蔵庫で栗を保存する時の手順についてです。先ほどご紹介したように、栗は0℃近い低温環境での保存が望ましい食品で、常温ではなく冷蔵庫での保存が適しています。ちなみに、果物を冷蔵庫で保存する際には「野菜室に入れましょう」と指摘される場合が多いです。しかし、栗の場合は、野菜室ではなく、より温度が低いチルド室での保存が望ましいです。

冷蔵庫で栗を保存する際は、以下の手順を参考にしてください。

  • STEP1 傷んだ栗を取り除く
    表面が黒ずんでいたり、小さな穴が開いている栗は、傷んでいるもしくは虫食いの被害が生じている可能性があります。したがって、こういった栗は取り除きましょう。
  • STEP2 表面の汚れを拭き取る
    キッチンペーパーを軽く湿らせ、栗を一つ一つ拭きましょう。栗は、表面に汚れが付着している場合があるので、冷蔵庫に入れる前に綺麗にします。
  • STEP3 新聞紙で包み、ポリ袋に入れる
    これは栗の乾燥対策です。綺麗にした栗は新聞紙などでまとめて包んでください。そして、包んだ栗をポリ袋に入れ、口をしっかりと閉じてください。
  • STEP4 冷蔵庫に入れる
    ポリ袋に入れた栗を冷蔵庫に入れます。なお、野菜室ではなくチルド室で保存しましょう。

上記の方法で、栗の乾燥を防ぐことができるため、常温よりも長持ちさせることが可能です。また、低温環境に置くことで、デンプンの糖化を進め、栗本来の甘さをより引き出すことが可能です。

なお、栗を包んでいる新聞紙については、3日に1度程度は取り換えてあげてください。また、栗は冷蔵庫で保存する場合でも、3~4日寝かせたら、出来るだけ早く食べるのがおすすめです。

栗は冷凍保存も可能

栗は、冷凍庫で保存したとしても、風味や食感が損なわれにくいです。そのため、一度に食べきることが難しい量の栗を頂いたときには、冷凍庫で長期保存するのがおすすめです。ちなみに、栗の冷凍保存は、皮のまま冷凍庫に入れる、皮を剥いてから冷凍庫に入れるという2つの方法があります。

まず、皮は剥かずに冷凍する手順についてご紹介します。

  • STEP1 傷んだ栗を取り除く
    表面が黒ずんでいたり、小さな穴が開いている栗は、傷んでいるもしくは虫食いの被害が生じている可能性があります。したがって、こういった栗は取り除きましょう。
  • STEP2 表面の汚れを取る
    流水で栗を洗います。その後、水気をよく切り、キッチンペーパーなどで水分を拭き取りましょう。
  • STEP3 フリーザーバッグに入れる
    100円均一などで販売されているフリーザーバッグに栗を入れます。そして、中の空気をしっかりと抜いて密閉します。
  • STEP4 冷凍庫に入れる
    フリーザーバッグに入れた栗を冷凍庫に入れます。

栗は、一度冷凍することで、鬼皮が柔らかくなるので、皮を剥きやすくなります。冷凍庫から出した栗は、半解凍状態で鬼皮を剥き、実は凍ったままでも調理に使うことが可能です。

皮を剥いた栗を冷凍保存する手順

栗は、あらかじめ鬼皮を剥いた状態で冷凍保存することも可能です。冷凍前に鬼皮を剥いておけば、冷凍庫から出せばすぐに調理に使えるという手軽さがあるため、可能であれば先に皮を剥いておくのがおすすめです。

皮を剥いた栗を冷凍保存する場合、以下の手順で保存しましょう。

  • STEP1 傷んだ栗を取り除く
    表面が黒ずんでいたり、小さな穴が開いている栗は、傷んでいるもしくは虫食いの被害が生じている可能性があります。したがって、こういった栗は取り除きましょう。
  • STEP2 水に浸ける
    ボールに水を張り、その中に栗を入れて、冷蔵庫で一晩おきましょう。
  • STEP3 栗の皮を剥く
    栗は、鬼皮が硬いため、皮むきが大変です。包丁で剥く場合は、底の部分に切り込みを入れ、そこから先端に向かって皮を剝ぐように鬼皮を剥けばよいです。なお、栗の皮むきについては、専用の便利グッズが販売されているので、栗好きの方は用意しておくのがおすすめです。
  • STEP4 渋皮を剥く
    鬼皮の下に、渋皮がついているので、包丁で削るように渋皮も剥きましょう。
  • STEP5 アク抜き
    皮を剥いた栗は、アク抜きをします。ボールにたっぷりと水を張り、その中に皮を剥いた栗を入れてください。そして10分程度置けばOKです。
  • STEP6 水分を拭き取る
    アク抜きがすんだら、水気をしっかりときり、キッチンペーパーなどで表面の水分を拭き取ってください。
  • STEP7 フリーザーバッグに入れる
    100円均一などで販売されているフリーザーバッグに栗を入れます。そして、中の空気をしっかりと抜いて密閉します。
  • STEP8 冷凍庫に入れる
    フリーザーバッグに入れた栗を冷凍庫に入れます。

栗は、鬼皮が非常に硬いため、皮を剥くのが大変…という声を聞く機会が多いです。ただ、鬼皮のまま水に浸けておけば、皮が柔らかくなるので鬼皮も剥きやすくなります。なお、栗の皮むき器を持っている方の場合、水に浸けなくても簡単に鬼皮を取り除くことが可能です。

まとめ

今回は、栗の正しい保存方法と長持ちさせるコツをご紹介しました。栗は、非常に硬い皮で覆われていることから、常温で保存しても問題ないと考えている方が多いです。しかし、栗は、乾燥に弱いという特徴があるため、常温保存だと意外に早く風味などが失われてしまうのです。

記事内では、冷蔵庫で保存する方法と冷凍庫で保存する方法をご紹介しているので、この秋に栗が手に入った時は、ぜひ参考にしてみてください。