日本の冬の定番フルーツと言えば誰もが『みかん』を思い浮かべるのではないでしょうか?日本人にとっては、コタツとみかんは年末の風物詩のようなイメージがあり、中には「手が黄色くなるまでみかんを食べる!」という方も珍しくないでしょう。

ただ、みかんは比較的リーズナブルなフルーツであることから、一度に大量に購入する方が多く、つい食べきる前に傷んでしまう…と言った失敗をするケースも多いようです。みかんは、リンゴやブドウなど、他のフルーツと比較すると厚い果皮で守られていることから、多少の傷や汚れがついても問題なく食べることができます。そのため、みかんには明確な賞味期限はないのですが、もちろん時間が経過すれば腐って食べられなくなってしまいます。

それでは、どのような状態になったみかんであれば、「これは食べない方が良いかな?」と判断すべきなのでしょうか?当コラムでは、意外に知らない人が多い、食べられるみかんと食べられないみかんの見分け方や、大量に購入した時に長持ちさせるコツなどを解説します。

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食べられる?食べられない?傷んだみかんの見分け方

それでは、傷んだみかんについてどのような状態であればまだ食べられると判断できるのかについて解説していきます。

食べられるみかんの特徴

それではまず、一見すると傷んでいるように見えるけれど、まだ食べられるみかんの特徴をご紹介します。以下のようなみかんはまだ食べられる場合がほとんどです。

■表面に傷や汚れが付いているみかん

みかんの表面にカサブタ状の傷などがついていた場合、傷んでいると考える人が多いです。

ただ、こういった傷は、みかんの栽培中に枝がぶつかって傷が付いたり、虫が付くことで生じるものです。こうした傷は、生育中に治癒していくのですがカサブタ状の跡が収穫期まで残ってしまい、「傷んで食べられないのかな…」と考える人がいます。しかし、この傷はあくまでも果皮の表面についている傷で、外観が悪くなっているだけで、中の果肉に悪影響を与えるものではありません。つまり、表面の傷や汚れは、気にせずに食べてもOKです。

ちなみに、表面に傷があるみかんは「早く食べないといけないのかな?」と考えるものですが、カサブタ状の跡であれば、これが原因で腐ることはありません。収穫後に傷がつき、中の果肉まで達している場合は注意が必要です。

■購入から時間が経過して萎びている

購入からそれなりの日数が経過し、表面が萎びてシワシワになっている…というみかんも「食べられない」と考える代表的な症状ですね。しかし、この状態も実は食べられます。

みかんというフルーツは、その9割が水分でできています。そのため、時間の経過とともに表面から水分が蒸発してしまい、徐々に萎びてしまい、あばらが浮き出たような見た目になってしまいます。このような状態になると、新鮮なみかんと比べて、あまり美味しそうに見えませんが、果肉が腐っていなければ食べることは可能です。

ただし、みかんの水分が減ってしまうと、味も同じように変化しているのでその点は注意しましょう。場合によっては、甘さが凝縮され美味しく変化するケースもあるようですが、食感はどうしても悪くなっていると思いますので、みかんの果皮が萎びてきている場合は、絞ってジュースにして飲むのがおすすめです。
なお、みかん農園などでは、収穫したみかんの長期貯蔵を行う場合、あえて皮を萎びさせ、中の果肉を守るという保存方法を採用するケースがあります。この場合は、果肉そのものは萎びておらず、ジュースなどにしなくても美味しく食べられます。

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食べられないみかんの特徴

それでは次は、傷んで食べられなくなったと判断すべきみかんの特徴です。上述したように、一見すると「傷んでいる」と見えるものの、品質的には何の問題もなく食べられる状態のみかんは多いです。しかし、次のような状態になっているものは、食べられないと判断すべきです。

■表面にカビが生えている

食べられないみかんの代表的な状態が、表面にカビが生えているというものです。みかんには、主に青カビが発生しますので、この状態のみかんは絶対に食べないでください。

みかんにカビが発生すると、カビの種類や感染状況によって白、緑、灰色のカビが増殖し、最終的にみかんがボロボロに腐ってしまいます。なお、カビが発生したみかんは、果皮が濡れていることが多いので、見た目にも感触にも傷んでいると気付けるはずです。

注意してほしいのは、段ボールなどでまとめてみかんを保存している場合、1個のみかんにカビが発生すると、周りのみかんにカビが移ってしまうことがある点です。カビが生えたみかんを取り除き、その周囲にあったみかんはタオルなどで綺麗に拭き取ってみてください。そして、表面に全くカビが見えないようであれば、まだ食べられると判断できますが、カビが少しでも根付いているようなら健康被害の可能性があるので、処分しましょう。

■持ってみると、みかんがブヨブヨに柔らかくなっている

この症状は、みかんが腐っている、カビの影響を受けていると考えられるので、食べられないと考えてください。

カビに感染したみかんの中には、表面に白や緑のかたまりが生じることもなく、果皮が水浸しになったようにブヨブヨに柔らかくなることがあります。みかんを持った時に、違和感を感じるような柔らかさを感じた時には、傷んでいる可能性が高いので注意してください。

なお、柔らかくなる箇所は大小さまざまで、カビの感染程度や進行度が関係してきます。時には、ごく小さな箇所がブヨブヨになっているだけで、それを見落とすことがあるので注意しましょう。

■匂いに違和感を感じる

腐ったみかんからは、鼻にツンとくる独特の刺激臭がします。多くの食品について、腐っている判断は匂いで出来るのですが、みかんも同様です。

みかんを食べようと思った時に、普段嗅いだことのない匂いがするという場合、みかんが腐敗している可能性が高いです。

■味に違和感を感じる

みかんに限りませんが、人間は、何か食べ物を口にしたとき、見た目が正常のものでも腐ったものであった場合、本能的に「異常な味だ!」と感じる感覚が備わっていると言われています。

したがって、みかんを口にしたとき、普段感じたことのないような違和感のある味と思った時には、みかんが腐っている可能性があるので、すぐに食べるのをやめましょう。

みかんが腐る理由と長持ちさせるコツ

みかんは、その他のフルーツと比較すると、腐りやすいと言えますので、注意が必要です。みかんが腐りやすいのは、次のような特徴があるからです。

  • 水分量が多く、やわらかいから
    上述しているように、みかんは90%が水分と言われるほど水分量が多いフルーツです。さらに、外皮も手で簡単に剥けるほど柔らかいという特徴も持っています。そのため、みかんは輸送や保管の際に外皮に傷がつき、そこから腐敗が進んでしまうことがあります。他にも、段ボールなどに何層にも積み重ねてみかんを保管する場合があると思うのですが、この時に下のみかんが上のみかんの重さで傷つくという理由もあります。重さで外皮に亀裂が入ると、その部分がカビの繁殖などの原因になります。
  • エチレンガスが発生し、カビが広まりやすい
    フルーツの中には、エチレンガスと呼ばれる植物ホルモンの作用によって熟成するものがあります。りんごやバナナが該当します。みかんについては、基本的にはエチレンガスは関係なく熟していくのですが、腐敗が進むときに大量のエチレンガスを発生します。したがって、段ボール箱で多くのみかんをまとめて保管している時には、1個のみかんが腐敗してしまうと、そのみかんから発生したエチレンガスにより、他のみかんも早く腐ってしまう可能性が高くなるのです。
  • アミノ酸がカビ発生を促進する
    みかんには、アミノ酸の一種「プロリン」が含まれています。そして、この成分はアオカビの仲間の発芽を促し、活動を促進する働きも持っています。みかんの状態が良い時には何の問題もないのですが、傷が付いたり亀裂が入ってしまうと、プロリンの働きにより青カビが発生しやすくなります。

みかんは、上記のような特徴があることから、カビや腐敗による被害が他のフルーツより多くなります。

みかんを長持ちさせるコツ

最後は、みかんを長持ちさせるためのコツをご紹介します。みかんは、段ボールで購入し、そのまま保管しているという方も多いようです。しかし、このような保管方法の場合、みかんの重みによってダメにしてしまうことがある、1個のみかんが腐ると、他のみかんの腐敗を早めてしまうなどさまざまな問題を引き起こす可能性があるので注意してください。可能であれば、みかんが積み重なるような状態にしないようにするのが長持ちさせるためには大切です。

また、箱の中で傷んでしまったみかんを見つけた時には、すぐに箱から出すのが大切です。そのまま放置すると、みかんにカビが生えてしまい、健康なみかんにまでカビが移ってしまう可能性があります。また、みかんが腐った時には大量のエチレンガスを放出するのですが、これも健康なみかんの腐敗を加速させる原因となります。したがって、傷んだみかんを見つけた時にはできるだけ早く箱から出し、処分するようにしましょう。

なお、みかんを処分する時には、そのままゴミ箱に捨てる…というのではダメです。カビが生えたみかんの場合は、カビの胞子が空気中を舞って他のみかんが感染してしまう恐れがありますし、腐敗によりエチレンガスを放出していた場合、他のみかんの腐敗を加速させてしまいます。
したがって、傷んだみかんを捨てる時には、ビニール袋などに入れ、しっかりと口を閉じて捨てるようにしましょう。

まとめ

今回は、普段のぶどうの豆知識ではなく、みかんに関する豆知識をご紹介しました。みかんは、日本の冬の風物詩でもありますし、好んで口にするという方が多いのではないでしょうか?

一般的には、腐ることは少ないフルーツと考えられているのですが、大きな間違いで、水分が非常に多く外皮が柔らかいという特徴があるので、取り扱い方を間違ってしまうと、すぐに腐ってしまいます。また、1個のみかんが傷んでしまうと、他のみかんにまで悪影響を与える可能性があるため、保管や処分の方法には注意しましょう。

田中ぶどう園では、冬場にみかんの栽培もおこなっていますので、良質なみかんをお探しであればお気軽にお問い合わせください。