果物は、さまざまな栄養素が含まれていますので、小さなお子様におやつを与えるのなら、お菓子ではなく果物が良いと考えているお母さまが多いと思います。

それでは、昔から「果物は身体に良い!」とよく言われていますが、この情報は本当のことなのでしょうか?また、一口に果物と言っても、さまざまな種類がありますし、気軽に手に取れる果物にどのような栄養素が含まれているのか知っておきたいと考える方が多いかもしれませんね。

そこでこの記事では、果物に含まれている代表的な栄養素と、日本人にとって身近な果物について、どのような栄養素が含まれているのかについて解説します。

果物に含まれている主な栄養素

ここではまず、多くの果物に含まれている代表的な栄養素をご紹介します。果物が身体に良いと言われるのは、次のような栄養素が豊富に含まれているからなのです。

ビタミンC

果物に含まれている栄養素として有名なのがビタミンCです。ビタミンCは、抗酸化作用があり風邪などの病気に対する抵抗力を強める働きがあるとされています。また、ビタミンCの抗酸化作用は、シミやシワを防ぐはたらきがあるとされていて、美肌にも効果が期待できるとされています。

ビタミンCが多く含まれる果物は、いちごやレモンです。

β-カロテン

夏に口にする機会が多いメロンやスイカなどには、「β-カロテン」という栄養素が含まれています。

β-カロテンは、身体の中でビタミンAに変換される栄養素と言われています。そのため、ビタミンAと同様に、β-カロテンにも暗いところで視力を保つ効果が期待できるとされています。さらにβ-カロテンは、ビタミンAとしての機能以外にも、抗酸化作用があるため、身体の酸化を防ぐ働きがあるとされています。

肌荒れや動脈硬化は、身体の酸化が大きな原因となるとされていますので、β-カロテンの接種は、これらの予防として役立ちます。

クエン酸

ミカン・オレンジ・レモンなどの柑橘系の果物には『クエン酸』が多く含まれています。 レモンを口にしたとき、「酸っぱい」と感じるのは、このクエン酸が原因です。

クエン酸には、体内でエネルギーを創り出す働きがあると言われています。人が活動するために必要になるエネルギーは、ミトコンドリアという細胞内の構造の一つで作られているとされており、このミトコンドリアでエネルギーを作る時に、クエン酸が必要なのだそうです。

クエン酸は、疲労回復に役立ち、夏バテの予防や回復につながるとも言われています。

アントシアニン

ブルーベリー、ぶどう、プルーン、ザクロなどは、アントシアニンが豊富に含まれていると言われます。

アントシアニンは、眼精疲労の軽減や、白内障、緑内障と言った目の病気の予防に効果的な栄養素と言われています。ブルーベリーなどは、視力回復サプリメントの原料としても有名ですよね。

葉酸

葉酸は、キウイやいちご、マンゴーなどに含まれている栄養素です。

葉酸は、ビタミンB12と共に赤血球の生産を助ける働きがあるとされていて、貧血予防に効果的と言われています。日常生活の中で、めまいや立ちくらみに悩んでいる…と言う方がいれば、朝食に葉酸が含まれる果物を摂取することで症状が軽減されるかもしれません。葉酸は、熱に弱い栄養素なので、加熱せずにそのまま食べられる果物から摂取するの好ましいです。

日本人になじみ深い果物に含まれる栄養素とは

それではここから、日本人が日常生活の中で口にする機会が多い果物について、どのような栄養素が含まれているのかをご紹介していきましょう。ここで紹介する、各果物に含まれている栄養素の含有量については、文科省が運営している「食品成分データベース」に掲載されているものを引用させていただきます。

りんご

まずは「りんご」です。りんごはスーパーの店頭などで購入できますし、日本人にとっては非常になじみ深い果物と言えるでしょう。そんなりんごに含まれる栄養素は、次のようになっています。

栄養成分 含有量(100gあたりの値)
たんぱく質 0.1g
炭水化物 15.5g
脂質 0.2g
食物繊維 1.4g
ビタミンA 1μg
ビタミンC 4mg
ビタミンD 0μg
ビタミンE 0.1mg
カリウム 120mg
マグネシウム 3mg

りんごは、三大栄養素こそあまり含まれていませんが、ペクチンやリンゴ酸などの栄養素が豊富です。ペクチンは、食物繊維の一種ですので、リンゴを食べることで腸内環境を整える効果が期待できます。また、リンゴ酸は、疲労の原因となる乳酸の分解を促してくれるため、疲労軽減の効果が期待できるとされています。

日本の秋を彩る果物として有名なのが『柿』です。下記に含まれている栄養素は以下のような感じです。

栄養成分 含有量(100gあたりの値)
たんぱく質 0.4g
炭水化物 15.9g
脂質 0.2g
食物繊維 1.6g
ビタミンA 35μg
ビタミンC 70mg
ビタミンD 0μg
ビタミンE 0.1mg
カリウム 170mg
マグネシウム 6mg

柿は、リンゴと同様に、三大栄養素に関してはあまり含まれていません。しかし、タンニンやビタミンCなどの栄養素は豊富に含まれています。

タンニンは、抗酸化作用を持っていますので、身体の酸化を防ぐ働きがあり、動脈硬化などの予防が期待できます。ビタミンCは、上述したように、美肌効果などが期待できます。

みかん

日本の冬の風物詩にもなっている果物が『みかん』です。日本人のほとんどは、「こたつとみかん」と聞くと真っ先に冬を思い浮かべるのではないでしょうか?そんなみかんに含まれる栄養素は以下のような感じです。

栄養成分 含有量(100gあたりの値)
たんぱく質 0.7g
炭水化物 11.5g
脂質 0.1g
食物繊維 0.4g
ビタミンA 92μg
ビタミンC 33mg
ビタミンD 0μg
ビタミンE 0.4mg
カリウム 150mg
マグネシウム 10mg

上表の通り、みかんはビタミンCが多く含まれています。ビタミンCは白血球のはたらきを助ける効果が期待できるとされています。昔から、みかんを食べていると、風邪になりにくいという話を聞く機会が多いと思いますが、これは、みかんを食べることで白血球の働きが活発になり、体内に侵入したウイルスから身体を守ってくれるからなのだそうです。みかんは、ただの風邪だけでなく、インフルエンザなどのウイルス性の感染症予防にもオススメかもしれませんね。

いちご

ハウス栽培が盛んになっている現在では、一年を通していちごを食べることができるようになっています。最近では、高級品種が沢山出て来ていますが、スーパーなどでもお手頃価格で購入できる品種も多いので、大衆果物の一つとして現在でも高い人気を誇ります。そんないちごには、以下の栄養素が含まれています。

栄養成分 含有量(100gあたりの値)
たんぱく質 0.9g
炭水化物 8.5g
脂質 0.1g
食物繊維 1.4g
ビタミンA 1μg
ビタミンC 62mg
ビタミンD 0μg
ビタミンE 0.4mg
カリウム 170mg
マグネシウム 13mg

いちごは、タミンCや葉酸が豊富に含まれています。実は、100g当たりでみると、みかんよりもいちごの方がビタミンCが多く含まれているのです。

いちごに含まれる葉酸は、赤血球の生産を助ける働きがあるので、貧血予防に効果的と言われています。また、ビタミンCも、鉄分の吸収を助ける働きが期待できるので、いちごと一緒に鉄分を摂取すると、鉄分不足による貧血も予防できます。

ぶどう

最後はぶどうに含まれる栄養素です。夏の終わりから秋にかけてが旬の果物ですが、ハウス栽培が盛んになった現在では、初夏から初冬までと、かなり長い期間楽しめるようになっています。

栄養成分 含有量(100gあたりの値)
たんぱく質 0.4g
炭水化物 15.5g
脂質 0.1g
食物繊維 0.5g
ビタミンA 1μg
ビタミンC 2mg
ビタミンD 0μg
ビタミンE 0.1mg
カリウム 130mg
マグネシウム 6mg

ぶどうには、脳の働きを活発にして集中力を高めてくれるブドウ糖が含まれています。他にも、ミネラルの一種であるカリウムやポリフェノール、有機酸などが含まれています。

関連:ぶどうに含まれる栄養と期待できる健康効果とは?疲労回復や眼精疲労におすすめ?

一日に摂取する果物の目安

果物が好きな方の中には、「果物は身体に良いし、いくら食べても構わない!」と考えている方が多いです。しかし、どのような食べ物でも同じですが、やはり食べ過ぎはあまり良くありません。

果物を食べる量の目安については、厚生労働省と農林水産省が共同で制作した食事バランスガイド内の数値をご紹介しておきましょう。

食事バランスガイドによると、果物は1日におよそ200g食べると良いとされています。例えば、みかんを食べる場合は2個、リンゴであれば1個でおよそ200gになるので、これを参考にすると良いでしょう。

注意しておきたいのは、一口に果物と言っても、種類によって含まれている糖質の量が異なります。糖質の多い果物については、食べ過ぎると糖質オーバーになってしまい、逆に健康を損なう恐れがあります。体内で消費しきれなかった糖質は、脂肪として蓄えられるため、健康に良いとされる果物でも、食べ過ぎると肥満の原因になる可能性があります。

まとめ

今回は、さまざまな果物に含まれている栄養素をご紹介しました。果物は、いろいろな食べ物の中でも身体に良いというイメージが非常に強いです。実際に、食べることで摂取できる栄養素を見てみると、人間の健康に寄与するものがたくさん含まれています。

ただ、注意しておきたいのは、近年のフルーツは「糖度を高くする」方向の品種改良がおこなわれていることから、中には驚くような量の糖質が含有されているものもあるのです。果物が身体に良いのは、あくまでも適切な量を摂取している場合に限りますので、食べ過ぎには注意しましょう。