パイナップルは、南国のフルーツというイメージが強いですが、物流システムが確立されている昨今では、日本国内各地でスーパーなどの身近な店舗でも手に入れることが可能です。パイナップルは、カットしてそのまま食べるのも良し、ケーキなどのお菓子に加工できるだけでなく、酢豚やハンバーグなどの調理に使われることもあるなど、非常に幅広い場面で大活躍するフルーツです。

ただ、このパイナップルについては、非常に硬い外皮でおおわれていることから、手に入れたのは良いものの「食べごろを迎えているのかが分からない…」ということに悩む人が少なくないと言われています。フルーツの中には、収穫後、常温状態でしばらく置いておくことで味が良くなる物もありますし、パイナップルもこれらと同じく追熟を待てばよいのか、はたまたすぐに食べた方が良いのか、いまいち分からない…という方も少なくないのではないでしょうか?コンビニで販売されているような、カットフルーツであれば、すぐに食べるべきと思えますが、丸ごとのパイナップルとなると、食べごろに迷ってしまうケースは多いと思います。

そもそも、パイナップルというフルーツは、スーパーなどで一年中見かけることができるため「旬の時期がない果物なのかな?」という点に疑問を感じる方もいるようです。そこでこの記事では、日本人にも人気が高いパイナップルについて、何をもって食べごろと判断すれば良いのかについて解説します。

パイナップルの基礎知識

それではまず、パイナップルの基礎知識として、そもそもパイナップルというフルーツは追熟するのかなどについて解説します。

日本国内では、スーパーなどで一年中パイナップルを見かけることがあるため、栽培が盛んに行われているのかな…と考える方も多いと思います。ただ、日本国内で見かけるパイナップルについて、そのほとんどは輸入品です。パイナップルは、ブラジルが原産の南国フルーツで、日本に伝わったのは1800年代の後半、沖縄石垣島にオランダの船が漂着した時が初めてだと言われています。そのおかげか、日本国内でパイナップルの栽培がおこなわれているのは、沖縄本島や石垣島などのごく一部で、国産パイナップルの旬は4~7月頃とされています。

実は、国内で販売されているほとんどのパイナップルは、国産のものではなくフィリピンや台湾などから輸入された外国産のものとなります。一年中、パイナップルが手に入るのは、南半球で栽培されている物も輸入しているからで、さまざまな国から輸入が行われています。

ちなみに、パイナップルは「パインアップル」という表記をされるケースもあるのですが、これはパイナップルの名称の由来が、松の木を意味する「パイン」と、りんごを意味する「アップル」を組み合せたものだからです。パイナップルの実は、大きな松ぼっくりのように見えますし、味はリンゴのように甘酸っぱさがあるため、パインアップルと名付けられ、それが徐々に「パイナップル」にかわっていたのだと思います。

パイナップルは追熟するのか?

果物の中には、収穫後、食べごろを迎えるまで一定期間置いて追熟させなければならないものもあります。有名なもので言えば、メロンやマンゴー、桃、リンゴなどです。こういった果物は、収穫後に一定期間置いておくことで、より柔らかい食感になったり甘みが増したりするのですが、その現象が「追熟」と呼ばれます。ただ、全ての果物が追熟するわけではなく、中には、樹上で完熟を迎え、収穫後は時間を置かずにそのまま食べることができる果物もあるのです。

それでは、日本人からも人気の高いフルーツであるパイナップルは、追熟する果物なのでしょうか?これについては、「パイナップルは追熟しない」が正解です。パイナップルは、外皮が非常に硬い果物なので、しばらく置いておけば軟らかく、美味しくなると考えてしまう方がいます。しかし、パイナップルは、収穫後にいくら放置していたとしても、果肉が柔らかくなったり、甘みが増していく追熟現象は現れません。したがって、パイナップルを入手した時には、腐らせることを防ぐためにも、なるべく早く食べるのがおすすめです。

パイナップルの食べごろの時期について

それでは、パイナップルの食べごろの時期について解説していきましょう。ただ、「追熟しない」ということがわかれば、食べごろに悩む必要がないという意味でもあるため、基本的にはパイナップルはすぐに食べれば良いと覚えておいて間違いはありませんよ。

ここでは、念のため、いくつか異なるパターンのパイナップルについて、食べごろの考え方をご紹介します。

丸ごとのパイナップル

スーパーなどで、皮や葉が付いたままで、丸ごとパイナップルが販売されているのを見かけるケースも少なくありません。日本国内のスーパーであれば、フィリピン産の「ゴールデンパイン」や台湾産の「台湾パイン」が店頭に並んでいる可能性が高いです。

それでは、皮のまま丸ごとのパイナップルを購入した際、食べごろはどのようにして見分ければ良いのでしょうか?これについては、「パイナップルは追熟しない」と説明したように、置いていたとしても意味がないので、購入した時が食べごろと判断しても良いです。
パイナップルは、購入後に家で寝かせていると、腐る可能性はあるものの味や食感が良くなることはありません。つまり、追熟を待つ意味がないので、購入後はできるだけ早く食べるべきです。

カットパイン

パイナップルは、コンビニやスーパーなどで、カットした状態のものが専用の容器に入れられて販売されているのを見かける機会も多いです。カットパインは、自分でカットする手間を省くことができる、生ごみが出ない、適量のパイナップルが手に入るなど、さまざまなメリットが認められて近年人気になっています。パイナップルは、フルーツの中でもボリュームがあるため、4人家族ぐらいでもまるまる一個は食べきれない…なんて場合も珍しくありません。一人暮らしの方になると、パイナップルが好きな方でも、なかなか手を出しにくい果物ですよね。それが、少量のパイナップルがすでにカットされた状態で、お手頃価格で販売されているわけですので、人気になる理由も良く分かります。

このカットパインの食べごろについても、基本的に丸ごとパイナップルを購入する時と同じ考え方で構いません。要は、購入して家に持ち帰った段階が食べごろで、傷む前に食べきるのがおすすめです。そもそも、カットパインは、外皮が除去されていることから、果肉が空気に触れてしまっています。そのため、パイナップルを丸ごと購入するよりも日持ちが悪くなります。スーパーやコンビニなどで販売されているカットパインは、容器に消費期限が記載されていると思いますので、必ずその期限までに食べきりましょう。

最近人気のスナックパイン

スナックパインは、皮ごとちぎって食べることができる軟らかいパインで、まさにスナック感覚で食べることができるフルーツとして近年人気になっています。通常のパイナップルと比較すると、酸味が少なく甘みが強いため、パイナップルが苦手…という方でも食べやすいはずです。別名で「ボゴールパイン」とも呼ばれており、沖縄県の特産フルーツとして人気になっています。

それでは、スナックパインの食べごろはどのようにして見分ければ良いのでしょうか?これについては、スナックパインもパイナップルの一種であることは間違いないので、通常のパイナップル同様、追熟することがありません。したがって、収穫した時、もしくは購入した時が一番の食べごろと言えます。お土産などでスナックパインを頂いたときには、少し冷やして、出来るだけ早く食べきるようにしましょう。

美味しいパイナップルの選び方

それでは次に、スーパーや八百屋さんでパイナップルを購入する場合に、食べごろで美味しいパイナップルを選ぶためのポイントをいくつかご紹介します。なお、スーパーなどの店頭に並んでいるパイナップルに関しては、食べごろを迎えたものですので、どれを購入したとしても美味しく食べられるとは思います。ここでは、さまざまあるパイナップルの中でも、状態の良いものを選ぶときに確認ポイントをご紹介します。

①葉の部分にツヤがある物がおすすめ

スーパーなどの店頭に並んでいるパイナップルは、頭の部分に葉が付いていると思います。そして、この葉の状態を確認することで、良い状態の物を見分けることができます。

パイナップルを選ぶときには、葉が濃い緑色をしており、表面にツヤがあるものほど新鮮と判断できます。また、葉が力強くピンと張っている物がおすすめです。

②下膨れした形状がおすすめ

パイナップルを選ぶときには、頭(葉が付いている方向)からお尻にかけて太くなっていく、いわゆる下膨れした形状のものがおすすめです。なぜなら、パイナップルは、頭側よりもお尻側の果肉の方が糖度が高く、甘くなるという特徴があるからです。下膨れの形状のほうが、美味しい果肉の量が多くなると言えるでしょう。

さらに、パイナップルの形状について、糖度の高い物ほどお尻の部分が膨らみやすいとされているため、頭からお尻に向かって膨らんでいるパイナップルの方が、甘くて美味しいと考えられるのです。パイナップルを選ぶときには、いくつかのパイナップルを比較して、お尻の部分がぼってりと丸みを持っている物を選ぶと良いでしょう。

③表面の網目が立体的なものがおすすめ

パイナップルは、外皮の表面に網目があるのが特徴です。そして、この網目は甘くて美味しいパイナップルを見分けるためのポイントとなります。

パイナップルを確認する際には、表面に見える網目が、ふっくらと立体的に見える物が、新鮮で甘みもしっかりしているパイナップルとされています。したがって、他のものと比較しながら、外皮の網目が立体的に出ている物を選ぶと良いでしょう。

④しっかりとした重みを感じる物がおすすめ

これは、スイカやメロンなど、他のフルーツでも美味しいものを選ぶ際の重要ポイントとされています。手に取った時、同じような大きさの物であれば、ずっしりと重みを感じる物の方が、果肉がしっかりと詰まっていて、ジューシーなパイナップルと判断できるでしょう。その反対に、軽いと感じるものは、果肉がスカスカ、もしく水分が抜けているなどと言った問題があり、風味が落ちている可能性が高いです。

なお、パイナップルを持った時に、表面に果汁のような物が出てきている物は、熟れすぎている可能性があるので避けましょう。

⑤黄色味がかっている物がおすすめ

最後は、外皮の色です。店頭に並んでいるパイナップルは、基本的に食べられる状態になったものを収穫しています。しかし、全てが同じ状態まで熟しているわけではなく、少し収穫が早かったものなども混ざっていると思います。まだ熟しきっていないパイナップルは、甘みが弱く酸味が強い可能性がありますので、好みがわかれる味になってしまいます。

どの程度熟しているのかを判断するのに良いポイントが外皮の色で、全体的に黄色味がかった色をしているパイナップルが、しっかりと完熟していると判断できます。もちろん。あまりに黄色が強すぎるものは、熟しすぎていて風味が落ちている可能性がありますので、「黄色味がかっている」程度のものを選びましょう。表面がまだ緑が強いものは、熟しきっていません。

ちなみに、完熟状態のパイナップルは、カットしていなくても甘い香りを感じることができますので、色味と香りを確認しながら選ぶと良いでしょう。

パイナップルの保存方法について

それでは最後に、パイナップルの保存方法についてもご紹介しておきます。

パイナップルを丸ごと保存する方法

スーパーなどで丸ごと購入した、知り合いからパイナップルを頂いたなんて場合、正しい保存方法はあるのだろうか…と疑問に感じることもあると思います。パイナップルを丸ごと保存する際は、食べるタイミングによって微妙に変わります。

例えば、購入したその日に食べる予定という場合、そのままの状態で置いておき、食べる2~3時間前に冷蔵庫に入れると良いでしょう。冷蔵庫に入れる際は、新聞紙などにくるんでから冷やすと良いです。購入したパイナップルは、1~2日後に食べる予定という場合は、新聞紙にくるんで冷暗所で保存すればOKです。そして、食べる2~3時間前に冷蔵庫に移して冷やしてください。

食べるのが2~3日後という場合は、新聞紙に包んでから、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。新聞紙に包むのは、パイナップルが乾燥するのを防ぐのが目的です。ちなみに、パイナップルの頭の部分にしっかりと葉が付いている場合、冷蔵庫に入らなくなる可能性があります。したがって、葉の部分が邪魔になる場合は、葉の根元ギリギリを包丁で切り落としてから新聞に包めばOKです。

カットしてから保存する場合

コンビニやスーパーなどでカットパインを購入した時には、容器のまま冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

自分でカットしてから保存したいという場合は、食べやすい大きさにカットしたパイナップルは乾燥しやすいので、一切れずつラップに包みましょう。その後、しっかりと密閉できる保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

冷凍したい場合

最後は、冷凍庫で長期保存したいと考えた時の保存方法です。パイナップルは、追熟しない果物なので、基本的に購入したものはすぐに食べることができる状態です。逆に言うと、収穫後のパイナップルは冷蔵庫などに入れていたとしても、そこまで長い期間保存することはできません。ただ、冷凍保存の場合は、およそ1カ月程度は保存可能とされています。

パイナップルを冷凍庫で保存したい場合、まずは食べやすい大きさにカットしましょう。その後、金属製のバットを用意して、パイナップルが重ならないように並べ、バットごと冷凍庫に入れます。金属製のバットに並べるのは、急速に冷凍が進むからです。

金属製のバットに並べて冷凍庫に入れた後は、1~2時間ほど冷凍できると思います。パイナップルが冷凍できたら一度取り出し、保存袋や保存容器に移し替えて冷凍保存しましょう。

まとめ

今回は、日本人からの人気が高いパイナップルについて、一年中スーパーなどで購入することが可能なパイナップルは、旬の時期がないのか、また食べごろを見分けるための方法などについて解説しました。

記事内でご紹介しているように、パイナップルは、一年中見かけることができますが、旬がないというわけではなく、世界各国から輸入しているパイナップルが販売されているだけです。実際に、沖縄県で栽培されている国産のパイナップルについては、4~7月ぐらいに出回るなど、きちんと旬の時期はあるのです。
また、パイナップルの食べごろについては、追熟する果物ではないため、スーパーなどで購入できるものは、購入した時点で食べごろを迎えていると考えて良いです。追熟させようと置いていても、柔らかくなったり甘みが増すなんてことはありません。その逆に、パイナップルが傷んで腐ってしまう可能性があるので、購入後はなるべく早く食べるようにしましょう。

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