果物や野菜など、足の速い食べ物をできるだけ長く保存しておくための方法として「干す」という工夫があります。例えば、果物を長期間保存するための方法として、干し柿や干しぶどうなど、ドライフルーツにするという工夫は、日本だけでなく世界各国で当たり前のように行われています。現在では、生のフルーツよりも効率的に栄養を摂取できると、ドライフルーツを中心に食べているという方も多いのではないでしょうか?

そして実は、干すことで保存性を高めた食品には「干し芋」と呼ばれる物もあり、昨今ではこの干し芋の人気が急激に高くなっているのです。干し芋に関しては、お菓子メーカー各社が大人のおやつとして干し芋製品を多数開発するようになっているなど、スイーツ感覚で干し芋を食べる人も増えているようです。

そこでこの記事では、年々その人気が高くなっている干し芋について解説したいと思います。

干し芋とは?

それではまず、コンビニなどでも普通に見かけるようになった「干し芋」について、これがどのような食品なのか、またどの程度日持ちさせることができるのかについて解説します。

干し芋は、その名称から分かるように、芋を干した加工食品です。作り方は非常に簡単で、さつまいもを蒸した後、天日干しで乾燥させれば干し芋の出来上がりです。日本では、第二次世界大戦以前から普通に作られていたのですが、その時代は「保存性」が第一に考えられていたため、カラカラになるまで天日で乾燥させていたとされています。

しかし、昨今の干し芋は、食感が重視されるようになっていて、カラカラになるまで乾燥させることはなく、半生状態で乾燥を終えるのが一般的です。そして、半生状態の独特の食感が多くの人に好まれ、干し芋の人気が急激に高くなったとされています。ただ、一昔前までのカラカラの干し芋と比較すると、現在の水分が残った干し芋は保存性は悪くなっています。

干し芋の賞味期限

それでは、干し芋の賞味期限についてご紹介していきましょう。干し芋は、先ほどご紹介したように、一度蒸したさつまいもを乾燥させることで保存性を高めた加工食品です。ドライフルーツなどと同じく、食品中の水分を少なくすることで、傷みにくくなるという工夫です。ただ、食品を天日干ししたからと言って、一生食べられるようになるわけではありません。

ここでは、干し芋の賞味期限について、コンビニなどで販売されている市販品の干し芋と自作した干し芋に分けてご紹介します。

  • 市販の干し芋の賞味期限
    市販の干し芋については、どこまで乾燥しているのか、包装の形態はなど、条件によって微妙に異なります。ただ、一般的には、未開封の状態であれば、約2カ月程度が賞味期限に設定されているものが多いです。商品によって賞味期限は微妙に異なるので、パッケージに記載されている期限を参考にしてください。なお、2カ月というのは、あくまでも未開封状態であればの話で、開封してしまったものは3日以内に食べきるようにしましょう。また昨今の市販されている干し芋は、水分がある程度残っていて、柔らかさのある半生タイプのものがほとんどです。このタイプの干し芋は、開封後、常温保存することができないので、食べきれない分は冷蔵庫もしくは冷凍庫で保存しましょう。
  • 自作の干し芋の賞味期限
    干し芋は、一度蒸したものを天日干しするだけなので、自作することも可能です。ただ、手作りの干し芋は、干し柿のように長期的な保存は難しいです。手作り干し芋の賞味期限は、形状や乾燥具合などによって変わりますが、3~7日程度で食べきるようにするのが良いとされます。特に、柔らかく滑らかな食感にするため、水分を多めに残した状態のものは、早めに食べきるのが良いでしょう。薄目にカットして、しっかりと水分を抜いた干し芋に関しては、もう少し日持ちしますが、それでも1週間程度で食べきるのが良いです。なお、保存に関しては、常温ではなく冷蔵庫もしくは冷凍庫で保存するようにしましょう。

干し芋を冷蔵庫で保存する場合、1枚ずつラップで包み密閉できる保存袋に入れ、しっかりと空気を抜くことで保存可能期間を延ばすことが可能です。また、冷凍保存の場合であれば、3~6ヶ月程度は保存可能です。それ以上になると、霜の発生などにより風味が落ちてしまいます。干し芋を冷凍保存する場合は、アルミホイルなどで巻いて保存すると、そのままトースターなどで加熱できるので便利です。

干し芋の白い粉はカビ?

それでは次に、干し芋に関するなぞについて解説していきます。最近では、コンビニなどでも干し芋が販売されるようになっているなど、一昔前よりも身近な食品という扱いをされるようになっています。ただ、その他の食品と比較すると、馴染みがまだない…という方も多く、干し芋の見た目に関して不安を感じるケースも少なくないとされるのです。特に、干し芋は、表面に白い粉のような物が付着しているケースも多く、この白い粉を「カビが生えているのか?」と不安に感じる方が多いとされるのです。

そこでここでは、干し芋特有の見た目のなぞについて解説します。

干し芋の白い粉の正体

干し芋は、表面に白い粉のような物がついている物も多く、これをみて「カビが生えている…」と勘違いする方が多いです。実は、干し芋表面の白い粉は、カビではない可能性が高いのです。

干し芋表面の白い粉は、「白粉(しろこ)」という糖分が固まったものです。干し芋には、麦芽糖と呼ばれる糖分が含まれているのですが、この糖分が結晶化することで、表面に白い粉として現れるのです。ちなみに、干し芋の白い粉は、乾燥が進むほど量が多くなります。

干し芋表面の白い粉は、糖分が固まったものなので、たくさん白い粉が出ている物ほど甘味が強い証拠と言えます。ちなみに、半生タイプの干し芋については、乾燥時間が短くなるため、白い粉はあまり生じません。

白い粉とカビの見分け方

干し芋表面の白い粉は、カビではなく「白粉」と呼ばれる糖が結晶化したものです。ただ、干し芋が傷んでしまうと、表面にカビが繁殖してしまう可能性があるため、白粉とカビの見分け方はおさえておいた方が良いでしょう。基本的には、賞味期限を過ぎた干し芋の場合、カビの可能性が高いと考えましょう。

干し芋表面に生じた異物に関して、白粉かカビで迷った時には、目を凝らしてみてみましょう。白粉ではなく、カビだった場合には、毛状のふわっとした円形のものが表面にあり、それで白粉ではないと気付けるはずです。

また、干し芋の表面にカビが生えているのは、食品が傷んでいる(腐っている)証拠です。つまり、見た目だけでなく臭いなどを確認することで、白粉かどうかを判断することも可能です。臭ってみた時、独特の腐敗臭やカビ臭を感じた時には、食べるのを控えた方が良いでしょう。

※干し芋にカビが生えていた場合、カビの部分だけ除去してその他の部分を食べる方がいますがやめた方が良いです。部分的にカビが生えている場合でも、干し芋全体が菌で汚染されている可能性があります。

干し芋の黒く変色した部分は食べられる?

干し芋の気になる点では、表面の白い粉だけでなく、部分的に黒く変色して見えることがある点です。正常な干し芋は、黄金色と呼ばれるように、黄色味のある綺麗な色をしています。基本的には、焼き芋の色をイメージしていただければ良いかと思います。

しかし、干し芋の中には、白い粉が出た後に黒い部分ができる物があり「食べられるのかな?」と不安を感じてしまう方もいるようです。干し芋の黒い部分に関しては、さつまいもに含まれているクロロゲン酸が酸化することで変色しただけなので、基本的には食べても問題ありません。

しかし、黒い部分がポツポツと斑点状に出ている場合、カビの可能性が高いので食べるのは控えた方が良いでしょう。広範囲にうっすらと黒く変色しているという状態なら、さつまいも特有の変色なので問題ありませんが、斑点状の変色はカビの可能性が高いです。

まとめ

今回は、年々その人気が高くなっている干し芋について、「食べられるのか、傷んでいるのか分からない…」という声が多い、干し芋の見た目のなぞについて解説しました。

干し芋は、さつまいもを長期保存するための加工方法というイメージが強いですが、さつまいもの品種改良が進み、芋の味が良くなった昨今では、健康的に食べられるお菓子として高い人気を誇るようになっています。実際に、コンビニなどでも干し芋が買えるようになっていて、大手菓子メーカーが製造している製品も増えているのです。

記事内では、干し芋の見た目に関するなぞや賞味期限について解説していますので、是非参考にしてください。