今回は、日本人にも非常に人気の高い果物である『桃』について解説します。桃は、スイカなどと並んで、夏が旬の代表的な果物の一つです。桃にもいくつかの種類があるのですが、代表的な桃と言えば白桃と黄桃です。白桃は、ジューシーでなめらかな食感と甘さを兼ね備えた種類で、黄桃は、白桃に比べると果肉がしっかりしていて固めの食感と、濃厚な味わいが特徴です。

非常に味の良い果物として有名なものですが、一つ大きな欠点と言われているのが、ちょっとした衝撃ですぐに茶色く変色してしまうという点です。桃は、夏場になるとスーパーなどでも気軽に購入できますし、頂き物として大量に手に入る機会も多いです。しかし、買い物時にちょっとぶつけた…、テーブルの上に置いていた…なんてだけで、桃の実が茶色く変色してしまっている…なんて経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

桃は、触るのすら気を使う…なんてことがささやかれるほど繊細な果物ですが、それでは茶色く変色してしまった桃は、食べることができるものなのでしょうか?桃が茶色く変色すると、その部分から非常に早く腐ってしまうこともありますので、「茶色い部分を食べるお腹が痛くなるのでは?」と不安に感じてしまう場合もあると思います。また、そもそもなぜ桃が茶色く変色してしまうのか…という点も気になりますよね。そこでこの記事では、これから夏に向けて、口にする機会が増えると思われる桃について解説します。

桃が茶色く変色する理由は?茶色に変色した桃は食べられる?

冒頭でご紹介したように、桃は味が非常に良いと人気であるものの、「ちょっとしたことですぐに茶色くなる…」ということに悩む方が多いです。実際に、冷蔵庫に入れる目的で指で触れただけなのに指の部分が茶色くなった…、テーブルに置いていたら自重で茶色くなった…なんて経験がある人は多いと思います。

それでは、なぜ桃はちょっとしたことで茶色く変色してしまうのでしょうか?ここでは、桃が変色する理由や茶色くなった桃は食べられるのか?について解説します。

桃が茶色く変色する理由

桃は、ポリフェノールが豊富に含まれている果物として有名ですが、実は桃が茶色く変色するのは、このポリフェノールが酸化しているのが原因です。ポリフェノールは、桃の色素や渋味を作っている成分で、桃にはカテキンなどが含まれているのが特徴です。

そして、桃は、繊維が大きい果物であることから、ちょっとしたダメージを受けると空気の影響を受けやすくなり、すぐに酸化して変色してしまうという特徴があるのです。なお、桃が茶色く変色する場合、皮の部分が茶色になっていれば、中身の果肉も茶色に変色していると考えましょう。

桃は、上述しているように、非常にダメージを受けやすい果物で、ダメージを受けた部分が茶色く変色しやすいです。そして、茶色く変色した部分は、そうでない部分と比較すると、腐りやすくなるという問題があるため、茶色に変色した桃は早めに食べなければならないと考えてください。

ちなみに、桃の表面は茶色に変色している部分はないのに、切ってみると中心が茶色く変色しているケースもあります。このような場合、「中心が茶色いということは果肉全体が傷んでしまっている…」と考えてしまいますよね。しかし、桃の中心部分だけが茶色く変色しているという場合、成熟が進んだ桃である可能性が高いです。
桃を切った時、種や種の周りが茶色くなっている物は、その部分は柔らかく強い甘みを感じられると思います。つまり、完熟した桃だということで食べられないわけではないのです。臭いをかいでみて、強い腐敗臭はない、口に入れても酸味など感じることなく、桃特有の甘みを感じるという場合、問題なく食べられるはずです。

桃は切って置いておくだけで変色する

桃は、空気に触れると酸化して変色してしまいます。したがって、新鮮な桃でも、切ると切り口の部分から茶色く変色していき、最終的に黒色にまでなるのです。この変色については、ラップをかけて冷蔵庫などに入れていたとしても、容赦なく変色していきますので、「変色していない桃が食べたい」と考えるなら、切った桃は時間を置かずに食べきるという対策が最も有効です。

ただ、切った桃を数時間程度なら変色させずに保存できる方法がありますので、以下の方法を覚えておくと良いでしょう。

  • 塩水にくぐらせる
    ボールに水を入れ、そこに小さじ1~2程度の塩を入れ、塩水を作りましょう。そこに切った桃をくぐらせて冷蔵庫で保存すれば、変色を遅らせることができます。
  • レモン汁をふりかける
    少しで良いので、表面にレモン汁を振りかけましょう。なお、レモンを絞った汁でなくても、市販のレモン汁でOKです。
  • 砂糖水にくぐらせる
    ガムシロップがあれは、水と1:1の割合で液を作りましょう。ない場合は、砂糖で良いので1:1の割合で液を作り、そこに桃をくぐらせておきましょう。

上記の方法を利用すれば、2~3時間程度は桃の変色を抑えることができます。ただ、どの方法を採用するにしても、桃本来の味が変わってしまう点は注意してください。

ちなみに、変色してしまった桃は、コンポートにすることで色合いが戻り、長く保存できるようになるので、「生のままでなくても良い」という方はコンポートにしてみてはいかがでしょう。

茶色に変色した桃は食べられるの?

桃の変色について、皆さんが気になるのは「変色した桃は食べられるのか?」という点だと思います。これについては、そこまで複雑な話ではなく、単に変色しているだけで、腐っていないものは食べても問題ないが答えとなります。

それでは、どのような状態になった桃が腐った…と判断できるのでしょうか?以下のような桃は、変色している…という問題ではなく、腐っていると判断できるため、食べるのは控えた方が良いでしょう。

  • 見た目について
    カビが生えている、桃の表面から汁が染み出ている、部分的ではなく桃全体が茶色く変色している、水分が抜けてシワシワになっているといった見た目の桃は、既に傷んで腐っていると判断できるため、食べるのは控えましょう。
  • 臭いについて
    桃は、皮の上から臭いをかいでも、ほのかに甘い臭いを感じることができます。これが、生ゴミのような刺激臭を感じるようなら、腐っていると判断できますので、食べずに廃棄しましょう。
  • 味について
    口に含んだ時、明らかに桃ではないと違和感を感じるような味、酸味を感じるといった桃は腐っている可能性が高いので、すぐに吐き出し、廃棄しましょう。

上記のような特徴を持つ桃は、腐っているため食べずに廃棄しましょう。なお、桃の香りについて、長時間冷蔵庫の中に入れていた場合、他の食品の臭いが移ってしまい、美味しく感じられなくなることがあります。桃は、食べる直前に冷蔵庫に入れ、少し冷やす程度で食べるのがおすすめです。

桃の保存方法と日持ちについて

それでは次に、桃の保存方法と日持ちについて解説します。また、桃は、保存方法を少し工夫するだけで、日持ちが良くなる果物なので、日持ちさせるための工夫もご紹介します。

一般的な桃の保存方法と日持ち

スーパーなどで販売されている桃を購入した場合、どのような保存方法があるのでしょうか?一般的には、常温保存と冷蔵庫での保存が考えられますが、保存方法が変われば日持ちする日数が変わります。一般的には、保存方法別に以下のような日持ちとなります。

  • 常温保存する場合
    常温保存する場合は、2~3日程度で食べきりましょう。
  • 冷蔵庫で保存する場合
    冷蔵庫で保存する場合、通常で1週間程度、下で紹介する工夫を行えば一カ月程度保存可能です。

なお、上記の日数は、完熟状態の桃についてです。桃は、収穫後に追熟する果物なので、スーパーなどで販売されている桃の中には、まだ熟していない状態のものもあります。このような桃は、購入後すぐに冷蔵庫に入れてしまうと追熟が止まってしまうので常温で保存するようにしてください。桃が食べごろを迎えているかどうかは、手で優しく触ってみた時の感触で分かります。触った時、まだ固いと感じるレベルの桃は、熟していない状態なので、そのまま食べると、酸味や渋味が残っていて、桃特有の瑞々しさや甘さを感じられません。したがって、食べごろになるまで常温で保存し、熟した段階で冷蔵庫に入れると良いでしょう。

ちなみに、『常温保存』については、冷暗所など直射日光が当たらず涼しくて風通しの良い場所での保存を意味します。桃は、夏場の果物なので、常温と聞くとエアコンなどもつけていない真夏の部屋をイメージする方もいます。しかし、このような部屋の場合、室温が30℃を超えてしまいますし、桃が傷むのが早くなります。冷暗所は、直射日光が当たらず、1~15℃程度の室温が保たれる場所のことを指しています。

桃を日持ちさせる方法

食べごろを迎えた桃は、常温の場合、2~3日程度しか持ちません。意外に足が早い果物なので、頂き物で桃が手に入った時には、食べきる前に傷んでしまった…なんてことになる場合も珍しくありません。実は、桃はちょっとした工夫で長く保存することができるようになるため、早めに食べきることができない量の桃が手に入った時には、参考にしてみてください。

  • アルミホイルに包んで冷蔵庫に入れる
    桃は、冷蔵庫で保存すれば、常温保存よりも日持ちが良くなります。一般的には、サランラップで包んで冷蔵庫に入れておけば、一週間ほど保存が可能とされています。ただ、包むものをアルミホイルに変えることで、1カ月近く保存する事が可能になるのです。長く保存したい場合、桃を1個ずつアルミホイルで包み、野菜室で保存しましょう。なお、アルミの中に空気が入らないようにして、しっかりと密閉する必要があります。
  • 冷凍庫で保存する
    他の果物と同じように、冷凍保存することで長持ちさせることも可能です。丸ごと冷凍する場合、ラップで包んで保存袋に入れてください。そして保存袋の中の空気をしっかりと抜き、口を閉じてから冷凍庫に入れましょう。冷凍保存であれば、2週間から1カ月程度は保存可能です。ただ、冷凍保存した桃は、食感が悪くなるので、スムージーやシャーベットとして食べることになります。

まとめ

今回は、夏が旬の果物の中でも、特に人気が高い桃について解説しました。桃は、非常に味の良い果物として有名ですが、ちょっとした衝撃ですぐに茶色く変色してしまう…という欠点を持っています。しかもその衝撃は、「手に持つ時、ちょっと力が入った…」程度で、指の部分が茶色く変色してしまうことがあるほどなのです。

もちろん。桃は茶色く変色しただけであれば、問題なくその部分も食べることは可能です。しかし、茶色く変色した部分は、その他よりも傷むのが早くなってしまうため、その点は注意しましょう。
記事内では、桃の保存方法や、各保存方法ごとの日持ちについても解説していますので、この夏、桃が手に入った時にはぜひ参考にしてみてください。

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