みかんは、日本の冬を象徴する果物と言っても良いほど、日本の冬には欠かせない食品になっていますよね。「冬が旬の果物とは?」と聞かれると、こたつに入ってみかんを食べる姿をイメージする方が非常に多いのではないでしょうか?

みかんは、程よい酸味と甘さを楽しめる果物で、ビタミンCが豊富に含まれていることから、気温が低い冬場は、風邪やインフルエンザ予防にも最適と考えられ、多くの日本人が食べています。また、みかんは、その他の果物と比較すると、価格が安いという特徴がありますし、大衆フルーツとしては非常になじみ深い果物のはずです。秋ごろになると、スーパーの果物コーナーには、たくさんのみかんが並ぶようになりますし、毎年この時期から定期的にみかんを購入しているという方が多いと思います。そして、みかんはその他の果物とは異なり、大量のみかんを箱買いしているというケースも多く見受けられます。

これは、みかんはそれほどボリュームのある食べ物ではないため、1日に複数個を平気で食べることができる点も大きいのですが、冬場が旬の果物なので「寒いから傷むのも遅いだろう」と考えている方が多いためです。ただ、みかんも長く置いておけば当然傷んでしまいますし、油断して適当な保存方法で放置していると、みかんにカビが生えたり、箱の底の方にあったものが腐ってしまう…と言った事態になりかねません。
そこでこの記事では、これから本格的な旬を迎えるみかんについて、正しい保存方法や保存期間などについて解説していきたいと思います。

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みかんの保存期間について

みかんは、寒い冬場が旬の果物ですので、「家の中でも寒い場所においておけば、腐らない」と考えている方が非常に多いように思えます。しかし、みかんも収穫された時点から徐々に劣化が進んで行ってしまいますので、いくら寒い環境に置いていたとしても、いずれ腐って食べられなくなるのです。

それでは、みかんの保存期間については、どれぐらい持つと考えれば良いのでしょうか?以下に、保存環境別にみかんの保存期間の目安をご紹介します。

  • ・常温保存:約3週間(暖房が効いた部屋はNG)
  • ・冷蔵保存:約2週間
  • ・冷凍保存:約1か月

みかんの保存期間については、保存する場所の気温によって変わると考えてください。注意が必要なのは、多くの方が「みかんが長持ちする」と考えているものの、冷凍保存の場合でも、1カ月程度しかもたない果物なのです。他の果物と比較すれば、十分長く保存できていますが、それでも皆さんの考えよりは早く傷むといったイメージになるのではないでしょうか?

みかんの保存方法について

それではここから、みかんをできるだけ長持ちさせるため、おさえておきたいみかんの保存方法についていくつかのポイントを解説します。

みかんを選別する(傷んだものは早く食べる)

みかんは、比較的安価で販売されていることから、単品で購入するのではなく、ある程度の量をまとめて購入するケースがほとんどだと思います。例えば、スーパーなどでは10個前後のみかんが袋に詰められて販売されていますし、箱買いできるようになっている店も少なくありません。

そしてみかんを長持ちさせたい時には、大量買いしたみかんを最初に選別することが大切です。

スーパーなどで購入した物でも、通販で箱買いした物でも同じで、まず最初に箱からみかんを出して「傷んだものはないか?」チェックしてください。みかんは、皆さんが考えている以上にデリケートな果物で、運搬中の衝撃などで傷んでしまっている場合があります。そして、箱の中に傷んだみかんと状態の良いみかんが混在していると、状態の良いみかんに傷みが移ってしまうという問題が生じるのです。

したがって、箱や袋に詰められたみかんについては、一度取り出して状態を確認し、傷んだものがあれば取り除いてください。そして、他よりも状態が悪く見えるみかんから食べていけば良いです。なお、収穫後のみかんも、箱の中で呼吸しているため、箱買いした時には、みかんの箱の中に湿気が溜まっている可能性があります。この湿気は、みかんのカビの原因になりますので、一度みかんを取り出し、箱の中を乾燥させることも、みかんを長持ちさせるために、重要な行程になるのです。

そして、ダンボール箱でみかんを保存する時には、取り出したみかんを箱にしまう時にコツがあります。箱にみかんを戻す時「新聞紙→みかん→新聞紙・・・」と言った感じに、みかんと新聞紙でミルフィーユ状にしていくことで、新聞紙が湿気を吸収して、カビの繁殖などを抑えてくれるようになります。なお、全てのみかんを箱の中に入れた後でも、箱の蓋は開けておくのがおすすめです。
そして、みかんを詰めた箱は、ベランダなど、風通しの良い場所に置いておくのが最もオススメです。暖房が良くきいた部屋、ベランダでも直射日光が当たる場所、エアコンの室外機の風が直接あたる場所などは、みかんの保管場所に適さないので避けてください。ベランダなど、風通しの良い場所がない場合、玄関の隅など、暖房の影響を受けにくい場所を探すと良いでしょう。

※みかんを箱に入れる際、一緒に入れる新聞紙については、少し手間がかかるものの、くしゃくしゃに丸めて入れるとさらに良いです。

みかんの向きについて

みかんを置くときには、ほとんどの方がヘタの部分が上に来るように置いていると思います。これは、みかんのヘタの部分は、やや尖っていることから、この部分を上に向けた方が安定するからです。

ただ、みかんは、ヘタの部分が最も固く丈夫なので、実はこの部分を下に向けておくようにすることで、圧力によるダメージを軽減することができるのです。みかんは、圧力などで傷が入ると、そこからカビが生えて腐ってしまいまいますが、ヘタを下にして置いておくことで、常温保存下でみかんが傷んでカビが生えるのを抑える効果が期待できるとされています。

ヘタの部分を下にすると、安定感がないため、何か入れ物を用意する必要があるかもしれませんが、みかんをできるだけ長持ちさせたい場合には、おすすめの方法です。

みかんの保存に適した温度とは?

みかんは、冬が旬の果物なので高温多湿に弱いです。一般的に、みかんの保管に適した場所は、5~8℃の涼しいところとされています。なお、みかんは常温で育つ柑橘なので、「冷やし過ぎない」ことも重要なポイントになります。

例えば、みかんもリンゴと同じように冷蔵庫で保管しているという方は多いかもしれませんね。どちらも冬を代表する果物で、「涼しい場所=冷蔵庫」というイメージがある事から、みかんも冷蔵庫での保管が適していると考えてしまう訳です。また、りんごは、寒いところ(冷蔵庫)で保存しておけば、甘みが増すという特徴があることから、みかんも同様の効果を期待して冷蔵庫に入れるのだと思います。

しかし、りんごなどは果糖を多く含むことから、冷やすことで甘みが増すのですが、みかんは果糖をそれほど含む果物ではないので、りんごと同じような効果を得ることはできません。それどころか、みかんを冷蔵庫で保存すると、酸味が増して甘みが減少するという真逆の結果になる可能性があります。上述したように、みかんは収穫後も呼吸しているのですが、冷蔵庫で保存した場合、この呼吸が弱まってしまいます。したがって、冷蔵庫で長期間保存しておくと、呼吸が弱くなることで、酸味が増す、甘みが減少するという結果になるのだそうです。

みかんは、呼吸をする際にクエン酸を消費するのですが、呼吸が弱まるとクエン酸の消費が減るので、酸っぱさが増してしまう訳です。ある程度の気温の場所においておけば、活発に呼吸することから、クエン酸が減少し、甘みが増します。なお、短期間だけ冷蔵庫に入れるという方法であれば、実が引き締まり、甘くなるという効果が期待できるとは言われています。

参照:クエン酸とは

みかんを冷蔵庫で保存する時のポイント

みかんの保存に最も適した場所は、風通しが良く5~8℃の涼しいところなので、本来はベランダなどが望ましいです。ただ、知り合いから大量のみかんをいただいた…なんて場合、少しでも日持ちさせるために、冷蔵庫での保存を考えるケースもある事でしょう。

みかんを冷蔵庫で保存する場合、酸味が増す以外にも注意点があります。というのも、冷蔵庫の中は乾燥しやすいので、みかんが持つ水分が飛んでしまう恐れがあるのです。したがって、みかんを冷蔵庫で保存する時には、少し面倒に感じますが、新聞紙やキッチンペーパーなどで包んでから入れるようにしましょう。新聞紙やキッチンペーパーに包んでおけば、水分が抜けにくく、冷蔵保存でも適度な水分を保つことができるようになります。

なお、カビの中には低温を好むものもいますので、冷蔵保存する場合でも、その保存期間については過度の期待はせずに、可能な限り早めに食べるのがおすすめです。なお、11月の後半や12月頃になると、外気温が15℃以下になりますので、このような環境になれば、冷蔵庫ではなく、風通しの良い冷暗所に置いておくのがおすすめです。どのような果物でも、その果物が育つ環境に近い状況で保存してあげることで、美味しさがアップすると言われています。

※みかんは、食べる前に手で揉むと柔らかくなり甘さが増すという話を耳にしたことはありませんか?実は、みかんを手で揉むと、実に軽い衝撃が加わるのですが、みかんがそのダメージを修復するためにクエン酸を消費し、甘みが増したように感じるのが原因だとされています。したがって、冷蔵庫でみかんを保存した時には、食べる2時間ほど前に外に出し、手で揉んでしばらく置いておくと良いです。これにより、冷蔵保存で消費できなかったクエン酸が上手く消費され、美味しくいただけるようになります。

みかんの冷凍保存について

みかんを長期的に保存するための最終手段は「冷凍保存」です。みかんの冷凍保存については、小学校の給食にも冷凍みかんが提供されることがありますので、「みかんは冷凍しても構わない」という認識を誰もが持っていると思います。ちなみに、みかんは冷凍庫で保存することで、1カ月程度は美味しさを保つことができるようになります。

みかんの冷凍保存については、「皮ごと冷凍して保存する」というパターンと「皮を剥いてから冷凍する」の2種類があります。冷凍したみかんを、朝食時にスムージーなどとして食べるという場合であれば、皮を剥いて一房ずつ保存すると良いでしょう。これであれば、冷凍庫から出せばそのままミキサーにかけることができます。

まとめ

今回は、日本人の冬に欠かせない果物であるみかんの保存方法や、保存方法ごとに変わってくる賞味期限について解説しました。寒い冬場が旬のみかんは、多くの方が適当に保存していても長持ちすると考えています。実際に、その他の果物と比較すると、常温保存でも比較的な美味しさが長持ちする果物と考えても良いでしょう。

ただ、みかんは箱買いなど、一度に大量に購入するケースが多く、箱の底の方のみかんが傷んで、気付かないうちに状態の良いみかんの劣化を促進させてしまう…なんてことになるケースが多いです。みかんは、比較的分厚い果皮でおおわれていることから、ちょっとした衝撃なら実は守られると考えますが、実は衝撃にはあまり強くないということを覚えておきましょう。

記事内では、みかんを長持ちさせるための保存方法などを解説していますので、この冬は是非試してみてください。