近年では、イチゴやぶどうと並び、果物狩りを楽しむためのフルーツとしても人気の「さくらんぼ」。さくらんぼは、皮ごとそのまま食べることができ、甘みと酸味のバランスが非常に良い美味しいフルーツとしてお子様から大人まで、幅広い世代から人気です。

日本国内では、日常的に食べられる大衆フルーツというよりは、たまに食べることができる高級なフルーツというイメージが強かったのですが、果物狩りがレジャーとして人気になっている昨今では、さくらんぼにことを身近に感じる方が増えているように思えます。ただ、そこまで頻繁に食べられる果物ではないことから、旬の時期や美味しいさくらんぼの選び方、正しい保存方法などの知識を持たない方が意外に多いように思えます。

そこでこの記事では、日本人にも人気の高いさくらんぼについて、その基礎知識を解説してみたいと思います。

さくらんぼの基本情報

それではまず、さくらんぼの基本情報として、「なぜこの名前がついたのか?」また一般的に美味しいとされる旬の時期はいつかなどについて解説します。

「さくらんぼ」の名前の由来

まずは「さくらんぼ」という名前が付けられた理由からご紹介しましょう。その名称から予想できると思いますが、さくらんぼは桜の木に成る果実です。学術的に言うと、バラ科・サクラ属ですね。こう聞くと、日本人の多くが毎年の楽しみにしている「お花見」の桜の木を連想する方が多いのですが、ソメイヨシノや彼岸桜などの観賞用の桜の木に成るわけではなく、セイヨウミザクラ(西洋実桜)やスミミザクラと言った種類の木の実が「さくらんぼ」です。日本にとってさくらんぼはまだ新しい果物と言え、実はセイヨウミザクラが明治時代に日本に入ってきて、北海道に移植されたものから徐々に広まったとされます。ぶどうなどは、自生していた品種もありますが、さくらんぼは明治になってやってきた果物なので、まだ100年ちょっとの歴史しかありません。

ちなみに、さくらんぼという名前は「桜の子(坊)」から来ているとされます。もともと「さくらのぼう」と呼ばれていたものが徐々に訛って現在の「さくらんぼう」になったとされています。

参照:さくらんぼの歴史

「さくらんぼ」の旬

その他の果物と同じく、さくらんぼの旬も品種によって微妙に異なります。ただ、一般的なさくらんぼの旬は、6~7月頃と初夏の時期とされています。ちなみに、現在ではハウス栽培が盛んに行われるようになっているため、5月頃から店頭で見かけることができるようになっています。そのため、さくらんぼの旬は「5~7月頃」と紹介されることも増えています。

果物の中には、収穫後、一定期間置くことで甘みが増す「追熟」をするものも多いです。例えば、キウイやバナナ、メロンなどが追熟する果物として有名で、購入後、常温で一定期間保存したうえで食べるのが推奨されます。その一方、さくらんぼは「追熟しない」果物で、最も美味しい状態で収穫されるのが一般的です。追熟しない果物は、収穫したての新鮮な物ほど美味しいとされますので、イチゴやさくらんぼの果物狩りが人気なのは、最も美味しい状態で食べられるからというのも大きいのだと思います。

さくらんぼ好きの方は、6~7月頃にさくらんぼ狩りに足を運んでみてはいかがでしょう?

関連:キウイなど、果物の追熟とは何?果物をよりおいしく食べるために知っておきたい追熟の基礎知識

さくらんぼの代表的な品種とそれぞれの旬について

上述しているように、一般的には「6~7月」がさくらんぼの旬と言われているのですが、品種によって旬の時期は微妙に変わります。ここでは、さくらんぼの代表的な品種について、それぞれの旬の時期をご紹介します。

佐藤錦(さとうにしき)

さくらんぼの品種と聞いて、多くの日本人がイメージするのが「佐藤錦(さとうにしき)」だと思います。赤いルビーなどとも形容されるさくらんぼの品種ですが、佐藤錦は国内生産量の7割近くを占めていると言われるなど、まさに日本を代表するさくらんぼの品種でもあります。

甘みと酸味のバランスが非常によく、肉質もジューシーで良好です。佐藤錦の旬は、6月中旬~7月初旬と言われています。なお、ハウス栽培がおこなわれている場所であれば、5月中旬から出回り始めます。

紅さやか(べにさやか)

紅さやかは、早生種と呼ばれる品種で、旬の時期は佐藤錦よりも早く6月上旬頃となります。スーパーなどの店頭にさくらんぼが並び始める時期によく見かける品種です。

紅さやかは、その名称通り、濃い紅色をしているのが特徴で、果肉も赤くなっています。甘みもしっかりあるのですが、やや酸味を感じる味わいが特徴のさくらんぼです。

紅秀峰(べにしゅうほう)

紅秀峰は、さくらんぼの品種の中でも晩成品種と呼ばれており、佐藤錦よりも遅めの6月下旬から7月上旬が旬となります。

他のさくらんぼ品種と比較すると、やや大ぶりの実で、果肉が硬く甘みが非常に強いのが特徴です。ちなみに、紅秀峰は「甘みが強い」「果肉が硬い」という特徴から、その他のさくらんぼよりも日持ちが良いとされています。

アメリカンチェリー

名称から分かるように、アメリカから輸入されるさくらんぼのことを指しています。日本国内には、「ビング」という品種が主に出回っていて、旬の時期は5月上旬~6月中旬と少しはやめです。

アメリカンチェリーは、強い甘みを持っていて、果肉が硬め、果実の色が非常に濃いのが特徴です。国産のさくらんぼよりも低価格帯で販売されていることが多い為、スーパーなどでも手に取りやすいと近年人気です。

美味しいさくらんぼの選び方について

近年では、さくらんぼはスーパーなどで購入するだけでなく、農園に足を運び新鮮なさくらんぼを楽しむことができるさくらんぼ狩りの人気も高くなっています。ただ、さくらんぼ狩りに行くときには、「甘くて美味しいさくらんぼの選び方が分からない…」ということに悩む方も少なくないようです。

そこでここでは、美味しいさくらんぼを選ぶためのポイントをいくつかご紹介します。

果皮が鮮やかに色づき、ハリとツヤのある物を選ぶ

当たり前の事ですが、さくらんぼは熟したものを選ぶことが大切です。熟したさくらんぼは、果皮が鮮やかな紅色に色づき、ハリとツヤがあるのが特徴です。

上述したように、さくらんぼは収穫後に追熟しない果物なので、樹上で完熟した物を収穫することが大切です。したがって、実に青みが残っているものは、完熟手前なので、本来の甘さまで達していない可能性が高いです。なお、完熟状態で収穫できなかったものは、果皮が黒っぽくなったり斑点が出ますので、そういったものも省きましょう。

実は大きくて硬く締まっており、ハリがあるものを選ぶ

さくらんぼは、粒が大きく、硬く締まり、ハリがあるものほど美味しいさくらんぼと言われています。したがって、さくらんぼ狩りに行ったときには、他の実と比較してみて、出来るだけ粒が大きく育っている物を選びましょう。粒が大きいさくらんぼは、甘みが強くなるとされています。

スーパーなどでさくらんぼを購入する時も同じ基準で選べば良いのですが、実の硬さを確認するためとはいえ、商品にべたべたと触れるのは良くありません。したがって、大きさやハリがあるかなど、見た目で判断して選ぶようにしましょう。

軸が太く緑色のものがおすすめ

さくらんぼの特徴としては、軸に実がついている状態をイメージする方が多いですよね。そして、美味しいさくらんぼを見分けるためには、この軸をよく確認することが大切です。

ぶどうなども同じなのですが、さくらんぼも軸が太くて緑色の状態の物ほど新鮮な証拠です。さくらんぼの鮮度が落ちてくると、軸の部分が茶色に変色していきます。

さくらんぼの保存方法と賞味期限について

それでは最後に、さくらんぼの正しい保存方法や賞味期限などについて解説します。上でもご紹介しましたが、さくらんぼは追熟しない果物なので、完熟した物を収穫後すぐに食べるのが最も美味しく食べる方法と言えるでしょう。

ただ、知人・友人などからさくらんぼを頂いたときには、「できるだけ長持ちさせるには?」ということに迷ってしまう方も多いと思います。また、正しい方法で保存した場合、どれぐらい持つものなのかも知っておきたいと考えることでしょう。ここでは、さくらんぼの保存に適した方法や賞味期限などをご紹介します。

さくらんぼの保存方法について

まず大前提として押さえておきたいのは、さくらんぼは傷みやすい果物なので、「長く保存する」ことを考えるのではなく、出来るだけ早く食べるのがおすすめです。

保存方法に関しては、どのような状態で送られてきたか、販売されていたかによって変わります。というのも、さくらんぼは温度変化に弱い果物なので、それまでの状態を維持しながら保存する方が美味しさを保つことができるのです。
例えば、常温で販売されたものを購入し常温で持って帰ってきた場合は、常温保存するのが望ましいです。しかし、ネット通販などで購入したさくらんぼが、クール便で届いた場合は、冷蔵庫の野菜室などに入れて保存するのが良いでしょう。

なお、冷蔵庫で保存する場合は、キッチンペーパーなどに包んでから保存容器に入れて冷蔵庫に入れましょう。さくらんぼは乾燥にも弱いので、そのまま冷蔵庫に入れると、傷むのが早くなってしまいます。また、保存温度が低すぎると甘みが薄くなると言われていますので、冷蔵庫の中でも野菜室などに保存しましょう。

どうしてもさくらんぼを長く保存したいと考える場合は、冷凍保存も可能です。この場合、軽く水洗いしたのち、ペーパータオルで水分をしっかりと拭き取り、ファスナー付きのフリーザーバッグに入れて保存すると良いです。注意点としては、冷凍したさくらんぼを完全に解凍して食べる場合、食感はどうしても悪くなってしまいます。したがって、冷凍庫から出し、常温で3分程度置いてシャーベット状の物を食べるのが美味しいとされます。

さくらんぼの保存方法は、上記のような感じです。冷蔵庫や冷凍庫でも保存可能ですが、理想は常温で可能な限り早く食べるのが良いでしょう。

さくらんぼの賞味期限

さくらんぼは、見るからに傷んでいる…と言った状態になければ食べることは可能だと思います。したがって、加工食品のように賞味期限などが明確に設定されているわけではありません。

上述したように、さくらんぼは追熟しない果物なので、基本的に樹上で完熟させたものを収穫しています。つまり、「できるだけ早く食べる」のがおすすめの果物です。保存期間的には、冷蔵庫に入れて保存する場合でも、2~3日以内に食べるのがおすすめです。冷凍保存の場合であれば、1カ月程度保存することも可能と言われていますが、解凍して食べると食感が悪くなるので個人的にはあまりおすすめではありません。

さくらんぼは、出来るだけ新鮮なうちに食べる方が絶対に美味しい果物なので、購入後「2日以内に食べるのが良い」程度に思っておきましょう。

まとめ

今回は、日本人にも人気の果物であるさくらんぼの基礎知識をご紹介しました。さくらんぼは、スーパーなどで購入するだけでなく、農園に足を運んで収穫まで楽しむことができるさくらんぼ狩りの人気も年々高くなっています。

お子様にも人気の果物なので、今年は近くのさくらんぼ狩りに足を運んでみてはいかがでしょか?