皆さんは、ぶどうの中でも人気のある品種と聞かれると何を思い浮かべるでしょうか?実は、現在でも新しい品種開発が進められているぶどうですが、さまざまな媒体で行われているぶどうの人気品種ランキングでは、多くの場合「シャインマスカット」が第一位になっています。シャインマスカットは、海外で偽物が栽培されているなど、日本の美味しいぶどう品種として、世界的に有名になっています。

それでは、シャインマスカットがさまざまな品種の中でも最も美味しいと断言できるのかというとそうでもないのです。もちろん、シャインマスカットは、甘さと酸味のバランスが非常に良く、種無しで皮ごと食べられるという手軽さから誰にでもおすすめできる非常に優れたぶどう品種であることは間違いありません。

ただ世の中には、シャインマスカットと同じぐらい美味しいぶどう品種はたくさん存在していて、個人の好みで考えると「シャインマスカットよりも美味しい」と感じるぶどうも沢山あるはずです。そこでこの記事では、大阪府の河内長野市でぶどうを栽培している田中ぶどう園が独断でおすすめする、シャインマスカット好きの方に食べてみてほしいぶどう品種をご紹介します。

シャインマスカットより美味しい?おすすめのぶどう品種

それでは、シャインマスカットよりも美味しいと感じる方がいるのでは…と考えられるおすすめのぶどう品種をご紹介していきます。下で紹介するぶどう品種の中には、非常に希少性が高く高級なものも多いのですが、今まで一度も食べたことがない…という方には、ぜひ一度口にしてみてほしいです。近年では、ネット通販を利用すれば、さまざまな品種のぶどうが簡単に手に入るようになっていますので、ここではシャインマスカット好きの方におすすめできるぶどう品種を独断でピックアップしてみます。

ナガノパープル

一つ目のぶどう品種は、巨峰とリザマート(皮ごと食べられるプラム型をしたぶどうの品種)を交配してつくられた『ナガノパープル』です。その名称から分かるように、長野県のオリジナル品種で、2004年に品種登録されたばかりの比較的新しい品種となります。

黒系ぶどうは、その多くが皮を剥いて食べる品種なのですが、ナガノパープルは、黒系ぶどうでは珍しく、種無しで皮ごと食べられます。非常に薄い皮なので、皮ごと食べても違和感なく、サクサクとした食感を楽しむことができるでしょう。

ナガノパープルの平均糖度は18~20度程度と高く、甘さと程よい酸味を楽しめます。酸味は穏やかな感じなので、甘さとのバランスが非常に良いと好評です。なお、ナガノパープルの大きな特徴は、「毎日グレープ」という名称で、機能性表示食品の届出が全国で初めて、消費者庁に受理されたという点があります。
ナガノパープルは、シャインマスカットと同じく、種無しで皮ごと食べられる品種なので、お子様がいるご家庭への贈答品としても非常におすすめですよ。

参照:「毎日グレープ(ナガノパープル)」機能性表示食品の届出受理について

瀬戸ジャイアンツ(桃太郎ぶどう)

「瀬戸ジャイアンツ」は、岡山県で誕生した品種で、粒の形が桃に似ていることから「桃太郎ぶどう」とも言われています。このぶどう品種は、一部でシャインマスカットより美味しいと噂になっている品種として有名です。

瀬戸ジャイアンツは、酸味が弱く強い甘みを持っている(糖度は18度程度)ことが特徴で、さとうきびの搾り汁よりも糖度が高いといわれているほどです。シャインマスカットと同じく、種無しで皮ごと食べられる品種で、シャキッとした独特な歯ざわり持っていることが人気の理由の一つと言われています。

シャインマスカットよりも、皮が薄くて果肉が柔らかいぶどうで、小さなお子様でも食べやすい品種であることから、今後ますます人気が出るぶどうの一つと言われています。

関連:瀬戸ジャイアンツの特徴!「桃太郎ぶどう」とも呼ばれる岡山県生まれの高級ぶどう

ブラックビート

ブラックビートは、藤稔とピオーネを交配をして生まれた比較的新しいぶどう品種です。ブラックビートは、2001年に登録申請をして、2004年に品種登録されたばかりのぶどう品種なので、名称を聞いたとしてもぶどうの品種だとわかる方の方がまだ少ないと思います。

ただ、このぶどう品種は、近年人気ぶどうのトレンドとなっている「皮ごと食べられる」「種無し」の両方を満たしていることから、年々その人気が上昇していると言われています。ちなみに、ブラックビートの皮は非常に剥きやすいので「皮ごとはちょっと抵抗がある…」という方にもお勧めできます。

ブラックビートの特徴は、なんといってもその実の大きさで、粒の大きさは世界最大級ともいわれています。果実はしっかりとした弾力がある食感で、果汁はジューシーで程よい甘さと濃厚な味わいが口の中に広がります。甘すぎずさっぱりとした味わいを楽しめるぶどう品種なので、大人の方にも人気です。

クイーンニーナ

クイーンニーナは、2011(平成23)年に品種登録されたばかりと、まだ非常に新しい品種の赤系ぶどうです。見た目も、赤ワインのような鮮やかな赤色をしていることから、贈答品としても魅力的な品種です。

クイーンニーナは、山梨県が産地となるぶどう品種なのですが、登場からまだそれほど年数がたっていないことから、生産者が少なく非常に希少性が高いです。シャインマスカットと同じく、薄めの皮、種無しという特徴から、皮ごとそのまま食べることが可能です。果実も比較的大きな品種ですので、食べ応えもあります。渋味や酸味が少なく、糖度が18度程度と、強い甘みを持っていますので、誰でも食べやすいおすすめの品種です。

サニードルチェ

サニードルチェは、果皮の色が美しい赤色で、皮ごと食べられる食感の良いぶどうとして人気です。サニードルチェの特徴としては、ぶどうなのにまるで青リンゴのような香りがするという点で、他のぶどうでは感じることができない不思議な感覚をぜひ味わってみてほしいです。

サニードルチェは、シャインマスカットと比較すると、生産量が少なく、出回る時期も短いので食べてみたいと考えている方は、旬の時期を逃さないようにしましょう。基本的に、9月上旬から下旬にかけて販売されているので、ネット通販などで探してみると良いでしょう。一般のスーパーなどであれば、見かけることはほぼないと思います。

関連:サニードルチェの特徴について。青リンゴのような独特の香りを持つ珍しいぶどう

クイーンセブン

シャインマスカットが好みという方であれば、甘さが強いぶどうが好きなのだと思います。そういった方に特におすすめできるぶどう品種は、世界一甘いぶどうとも称されるクイーンセブンです。クイーンセブンは、ぶどうだけでなく全てのフルーツの中でもトップクラスの甘さを持っており、その糖度はなんと25度を超えるものもあると言われているのです。非常に強い甘みを感じるぶどうなのですが、同時に爽やかな風味も感じますので、一度食べだすとなくなるまで止まらないほどの美味しさとも言われています。

ただ、クイーンセブンの難点をあげるとすれば、その希少性の高さで、一般の市場に出回る事はほとんどありません。したがって、近所のスーパーや八百屋さんなどを覗いたとしても、クイーンセブンを手に入れることはできないでしょう。基本的に、ネット通販などで手に入れるのが一般的ですので、旬の時期にネット検索して、見かけたらすぐに購入するのがおすすめです。クイーンセブンの旬は、8月上旬~中旬と非常に短いので忘れないようにしましょう。

関連:ぶどうの糖度ランキングをご紹介!甘いぶどうが好みの方にお勧めできるぶどう品種

まとめ

今回は、「シャインマスカットより美味しいぶどうってある?」などと、自分の好みのぶどう品種を見つけたいと考えている方に向け、筆者独断でぜひ食べてみてほしいぶどうの品種をいくつかご紹介しました。

日本国内のぶどう市場を考えてみると、近年では「種無し・皮ごと」がキーワードのようになっています。一般的には、皮を剥いて食べる果物というイメージが強いぶどうですが、実は皮周辺に多くの栄養素が含まれていることから、ぶどうの栄養を余さず摂取したいと考えると、皮ごと食べるのが良いのです。実際に、諸外国では昔から「ぶどうは皮ごと食べるもの」というのが一般的だそうです。

このようなぶどう市場の動向から、近年ではもともと種あり品種だったものが、種無し処理をされて栽培されるようになっています。例えば、ピオーネや巨峰などは、種ありぶどうのイメージが強いと思います。ただ、これらの品種も、栽培時に種無し処理がなされるケースが多くなっているようです。ちなみに、ピオーネに関しては、種無し処理をされたものは「ニューピオーネ」という名称で流通するようになっています。
この記事では、基本的に「シャインマスカットが好きだ!」という方におすすめできるという視点でぶどう品種を選んでいますので、ぜひ機会があれば食べてみてください。