『瀬戸ジャイアンツ』は岡山県を中心に栽培されているぶどうの品種で、種なしで皮ごと食べられるうえ、他のぶどうとはかなり異なるサクサクとした独特の食感を持つ高級ぶどうです。ちなみに、ぶどうの果実の形も特徴的で、どこか桃のような形状にも見えることや、岡山県の特産ぶどうであることから、桃太郎伝説にちなんだ『桃太郎ぶどう』という別称もつけられています。

日本国内では、約60種類以上のぶどう品種が栽培されているのですが、瀬戸ジャイアンツは多くのぶどう品種の中でもかなり特徴的なぶどうとして近年人気を博しています。田中ぶどう園でも栽培しており、ぜひ皆様に口にしてみてほしいぶどう品種の一つですので、今回は瀬戸ジャイアンツの特徴を解説します。

岡山県で生まれた高級ぶどう「瀬戸ジャイアンツ」

瀬戸ジャイアンツは、1987年に種苗法に基づく登録出願が行われ、1989年に品種登録された比較的新しいぶどう品種です。

このぶどう品種は、岡山県のぶどう研究所「花澤ぶどう研究所」にて、「グザルカラー」と「ネオ・マスカット」を掛け合わせて得られた実生から選抜育成された黄緑色の大粒ぶどうです。 瀬戸ジャイアンツは、一粒が15~20gほどあり、一房のサイズは500gから大きいもので800gほどになります。瀬戸ジャイアンツの特徴としては、なんといってもその食感で、他のぶどうでは感じられないサクサクとした食感とぶどうならではのジューシーさを堪能することができます。瀬戸ジャイアンツは、皮ごと食べられるぶどう品種で、皮がとても薄いので、口に入れて噛んだ時に、ぶどうとは俄かには信じられないパリッとした食感があります。もちろん、マスカット特有の爽やかな甘酸っぱさも楽しむことができます。

ちなみに、瀬戸ジャイアンツは、桃太郎伝説がある岡山県で生まれたぶどうで、さらにぶどうの果実の形がどことなく桃に似ていることから『桃太郎ぶどう』とも呼ばれています。ただし、桃太郎ぶどうという名称については、岡山県桃太郎ぶどう生産組合の登録商標となりますので、この組合員か組合の承認を得た生産者のみが使える名称になります。

※親のグザルカラーは果皮が黒紫色の欧州ぶどうですが、瀬戸ジャイアンツは綺麗な黄緑色のぶどうです。

> 桃太郎ぶどうの商標について

瀬戸ジャイアンツは果実が特徴的

上述の通り、瀬戸ジャイアンツは、皆さんがイメージするぶどうとは異なる果実の形をしており、不揃いでいびつな形状と表現できるようなぶどうです。このぶどう品種は、育成段階で手入れをしないと、着粒が粗い大きな有岐円錐の房になります。通常は、摘花などの手入れがなされ、ジベレリンやフルメットなどのホルモン剤による種無し処理が行われます。

瀬戸ジャイアンツは、大きな果実とシャボン玉が3つくっついたような特徴的な形状をしていることから、桃太郎ぶどうとも呼ばれるのです。味については、糖度が18度程度あり、ほのかな酸味を感じる甘いぶどうです。

なお、登録品種データベースでは、瀬戸ジャイアンツについて以下のように記載されています。

果粒の形は倒卵、果粒の大きさは非常に大、果皮の色は黄緑又は黄白、果皮の厚さは薄、果皮と果肉の分離は難である。果肉の色は不着色、肉質は崩解性、甘味は高、酸味は少、香気は無、果汁は多である。種子の数は中、種子の大きさは大である。成熟期は育成地において9月末~10月初旬でかなり遅、花振いは多、無核果粒の混入は少、裂果性は中、果梗の強さは強、果梗と果粒の分離は難である。
引用:登録品種データベース

瀬戸ジャイアンツの産地と旬

瀬戸ジャイアンツは、岡山県の特産ぶどうとして栽培されている品種ですので、栽培面積も岡山県が圧倒的な1位で、日本全国の約75%を占めています。また、ぶどうの名称に「瀬戸」とつくことからか、岡山県以外の生産地も瀬戸内海沿いが多いです。例えば、広島県、香川県、愛媛県、兵庫県、大阪府などで栽培されていて、瀬戸内海沿いでない場所でも、愛知県が多いぐらいです。

生産地については、農林水産省がまとめた特産果樹生産動態調査を見ても、令和元年のデータで、全国で57haで作られているうち、岡山県が42.7haを占めています。

> 特産果樹生産動態調査

瀬戸ジャイアンツの旬

瀬戸ジャイアンツの旬は、地域や栽培方法によってかなり違います。加温栽培がおこなわれている場合の出荷時期は、6月~11月と長い期間、瀬戸ジャイアンツの出荷が行われています。ただし、露地(無加温)栽培の場合は、そこまで長い期間作ることはできず、主に9月から11月にかけての出荷となります。

ちなみに、通常のぶどうの旬は8月頃からスタートするのですが、瀬戸ジャイアンツは品種登録データベースにも記載されているように、成熟期はかなり遅めです。

瀬戸ジャイアンツの選び方や保存方法について

瀬戸ジャイアンツは、果実が黄緑色の緑系ぶどう品種です。そして完熟期になるとより黄色みを帯びてきます。なお、瀬戸ジャイアンツは、表面に茶色いシミのようなものが出ることもあるのですが、これを見た時には「ぶどうが傷んでいる…」と考えてしまうことでしょう。しかし、果実表面の茶色いシミは、傷んでいるのではなく、ぶどうが熟している証拠です。美味しく食べられるサインですので、気にせずに食べてください。

新鮮な瀬戸ジャイアンツを選ぶためのポイントは、軸が緑色で枯れておらず、皮に張りが合って粒がふっくらとしたものを選ぶということです。ぶどうの軸が茶色く枯れているものは、鮮度が落ちている証拠ですので、避けるのが無難です。

瀬戸ジャイアンツの保存方法

瀬戸ジャイアンツの保存方法は、他のぶどう品種と同じく、涼しい冷暗所または、冷蔵庫の野菜室で保管するのが良いでしょう。ぶどうは、乾燥に弱い果物ですので、保存する時は新聞紙やラップ、ポリ袋などに入れて、乾燥をしないような工夫をしてください。冷蔵保存する場合でも、3日以内に食べるのがオススメです。

なお、瀬戸ジャイアンツは、種無し処理が行われていますし、皮が薄くて柔らかいため、皮ごと食べるのがオススメです。皮ごと食べることで、「パリッ」という独特な食感を楽しむことができます。もちろん、ぶどうを皮ごと食べるのに抵抗がある…という方は皮を剥いて食べても構いませんよ。美味しく食べるためには、2~3時間ほど冷蔵庫で冷やし、直前に水洗いして食べてください。

※瀬戸ジャイアンツは粒が大きくて、皮ごと食べられます。そのため、ケーキやパフェのトッピングなどにも最適なぶどうです。

まとめ

今回は、岡山県の特産高級ぶどうの瀬戸ジャイアンツの特徴をご紹介しました。瀬戸ジャイアンツは、他のぶどうとは異なり、少しいびつに感じる不揃いな果実をしています。そしてその姿が桃にもみえることから、「桃太郎ぶどう」などと呼ばれているみたいです。

ぶどうとしてみた場合、皮ごと食べられるうえ、口にするとパリッとした独特な食感を楽しむことができます。糖度も18度程度と高いのですが、マスカットの優しい酸味を感じることができ、さわやかな甘みを楽しむことができる非常にオススメのぶどうです。

田中ぶどう園では、非常に珍しい特徴的な果実を持つ瀬戸ジャイアンツの栽培もおこなっています。旬の時期には、全国のお客様に向けて通販サイトでの販売も行っていますので、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。