今回は、さまざまな品種が存在するぶどうの中でも、近年特に高い人気を誇っているシャインマスカットについて、傷んだシャインマスカットの見分け方をご紹介します。

シャインマスカットは、夏場の贈答品市場でも非常に高い人気を誇っており、お盆頃からシャインマスカットを知人から頂くという機会も増えてくるはずです。ただ、大粒ぶどうのシャインマスカットをたくさん頂いたときには、食べごろの状態で全てのぶどうを食べきるのがなかなかしんどい…という声を聞く機会が多いです。ぶどうは、桃やメロンなどと異なり、樹上で完熟させて収穫する果物なので、皆さんが考えている以上に足が早い食べ物なのです。実際に、頂いたシャインマスカットを食べようと、持ち上げた時に枝から実がボロボロと落ちてしまい、「もう傷んでしまったのだろうか…」とびっくりしたことがあるという経験がある人も多いのではないでしょうか?持っただけで、枝から実が落ちるという光景を目の当たりにすると、「腐っているのではないか?」と疑ってしまいますよね。

そこでこの記事では、年々その人気が高くなっているシャインマスカットについて、一般の方が「傷んでいるのでは?」と疑ってしまう状況や、本当に食べられないほど傷んでいるのかについて解説します。

まだ食べられるシャインマスカットの状態について

それではまず、一般の方が「傷んでいるのかな?」と感じてしまいがちなシャインマスカットの状態からご紹介していきたいと思います。ぶどうは、指で触れた時、ブヨブヨになっている、明らかな腐敗臭がするなど、見るからに腐っているという状況以外では、なかなか一般の方が「食べられるかどうか?」が判断しづらい果物と言えます。

特に、以下で紹介するような症状が見える時には、「そのまま食べても良いのか?」と不安に感じてしまう方が多いようです。ただ、以下のような状態のシャインマスカットについては、すぐに「腐っている」と判断するのは早計で、まだまだ食べられる状態の場合も多いです。ここでは、よくあるシャインマスカットの状況について、それがなぜ起こっているのかもあわせてご紹介します。

ぶどうの表面に白い粉が付着している

シャインマスカットに限りませんが、ぶどうを食べようと思った時に、ぶどうの実の表面を見ると、白い粉のような物が浮いていて「食べても良いのかな?」と悩んでしまう方は多いようです。ぶどうの表面に粉のような物が付着していれば、残留農薬を疑う、ぶどうの水分が表面に出て乾燥したのかななど、少し心配に感じてしまうのかもしれません。

しかし、ブドウ全般に言えますが、果実の表面に見える白い粉は、「ブルーム」と呼ばれる天然成分で悪いものではありません。これは、ぶどう自身が出しているもので果実の脂質が表面に出てきているのです。ぶどうは、表面を脂質で覆うことにより、水分の蒸発や病気にならないようになっているのです。つまり、ぶどう表面の白い粉は、ぶどうを守るためのバリアのような働きを持っているのです。

ブルームには有害な物質は含まれていないので、安心して食べてください。なお、ブルームは、時間が経過するとともに落ちていきますので、表面に付着しているということは新鮮なぶどうの証拠です。

参照:農林水産省「ブルームについての記載

果実が房から外れている

ぶどうを持ち上げた際などに、ボロボロと枝から実が落ちていけば、誰でも「傷んでしまっているのではないか?」と感じてしまうと思います。しかし、この状態だけで、シャインマスカットそのものが腐っていると判断するのは少し早いと言わざる位を得ません。

もちろん、新鮮な状態のぶどうであれば、しっかりと実が軸にくっついているので、手で持った程度では落ちません。しかし、房から外れた実について、極度の酸味や苦みを感じる…、嫌な臭いを発している、触れるとブヨブヨしているといった状況でなければ、腐っているわけではなくまだ食べられると判断しても良いです。枝から自然に外れた実については、香りや固さ、表面にカビなどが付着していないかを確認し、問題がなさそうであれば食べても構いません。
なお、実が自然に外れるようであれば、鮮度が落ちていることは間違いないので、多少傷んでいるとは言えるかもしれませんね。

口に入れた時に酸味を感じる

シャインマスカットは、ぶどうの中でも高い糖度を誇る品種として有名です。口に入れた時には、爽やかなマスカットの香りと強い甘みを感じられることから、世界的に高い人気を誇るようになったのです。

このようなシャインマスカットについて、口に入れた時に酸味を感じると「腐っているのではないか?」と考えてしまいますよね。しかし、多少の弱い酸味程度であれば、日数が経過してシャインマスカットの甘みが酸化しているだけで、そのまま食べても問題ないと考えられます。
ただ、非常に強い酸味を感じる、苦みも一緒に感じる、腐った食品特有の嫌な香りが鼻を抜ける…と言った状況なら、腐っている可能性が高いため、食べるのは止めたほうが良いでしょう。

腐ったシャインマスカットの特徴

それでは次に、食べずに廃棄すべき腐ったシャインマスカットの特徴についてご紹介します。ぶどうは、追熟する果物ではなく、樹上で完熟した物を収穫しています。そのため、ぶどうの鮮度は、収穫した時点から落ち始め、適切な状態で保存していたとしても1週間程度が保存期限と考えておいた方が良いです。ぶどうの鮮度が落ち始めると、上で紹介したような症状が出始め、さらに鮮度が落ちた場合には、以下のような状態が見え始めます。

冷蔵庫などで保存していたぶどうについて、以下のような状態になっていれば、傷んでいる可能性が高いため食べずに廃棄しましょう。

  • ・口に入れた時、不味いと感じるほどの酸味や渋味、苦みや刺激がある
  • ・実が水っぽくブヨブヨになって、汁が染み出ている
  • ・表面に白いカビが生えている
  • ・本来のシャインマスカットの色とは明らかに違う色に変色している
  • ・嗅いだ時に腐敗臭がする

腐った食品は、口に入れた時にすぐわかるほど、違和感のある酸味や苦み、渋味などがあります。多少の酸味であればまだ食べられますが、口に入れた瞬間に明らかに不味いと感じるほどの違和感があれば、腐っている可能性が高いので、すぐに吐き出し食べるのをやめましょう。
また、食べごろを過ぎたシャインマスカットは、見た目にも分かりやすい変化が生じます。例えば、果皮が変色する、表面にカビが付着するなど、目視で傷んでいるのを確認することも可能なので、食べる前によく確認しましょう。

まとめ

今回は、夏を彩る高級フルーツとしても人気が高くなっているシャインマスカットについて、シャインマスカットが傷んで食べられなくなったかどうかの見極め方をご紹介しました。

記事内でご紹介したように、ぶどうは樹上で完熟させたものを収穫する果物なので、追熟が必要な果物と比較すると、足が早いと考えておいた方が良いです。もちろん、1日や2日で食べられなくなるほどではありませんが、気温の高い季節の果物であるということもあり、冷蔵保存でも1週間程度が限界と言われています。自宅に、ぶどうの保存に適した冷暗所があれば、そこで保存するのも良いのですが、常温の場合は3日以内に食べるのがおすすめと言われています。

シャインマスカットなど、大粒ぶどうは、意外にボリュームのある食品なので、食べるのに時間がかかる場合も多いです。しかし、ぶどうは新鮮なうちに食べる方が美味しいので、ぜひなるべく早く食べるように心がけましょう。

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