サニードルチェというぶどう品種は、山梨県で交雑・育成され、2008(平成20)年に登録出願、翌年2009(平成21)年に品種登録された比較的新しいぶどうです。ただ、サニードルチェの育成が始まったのは、品種登録される22年も前の話で食味が優れ皮ごと食べられる「バラディ」と、「マスカットオブイタリア」の突然変異で生まれた「ルビーオクヤマ」を交配してできた実生から選抜育成されたとのことです。

なお、山梨県では、「甲斐路」や「赤嶺」と言った赤系ぶどうが栽培されているのですが、これらのぶどうはその年の気候・天候条件などを原因として、色づきが安定しない場合があります。また、どちらも病気に弱いという性質を持っていることから、これらの弱点を解消してより色づきが良い品種を作ることを目指してサニードルチェが開発されたそうです。

サニードルチェは、「太陽の恵みをたくさん受けた甘美なブドウ」というイメージでこの名前が付けられている、甘みと酸味のバランスが非常に良いぶどう品種です。この記事では、田中ぶどう園でも栽培しているサニードルチェの特徴をご紹介します。

サニードルチェの特徴

サニードルチェは、赤系ぶどうに分類される品種で、その色づきは「甲斐路」や「赤嶺」と比較しても、とても鮮やかな赤色を示します。ぶどうの実は、大粒で長楕円形なのが特徴です。なお、一粒の大きさは巨峰などと比較すると小ぶりで、一房の重さは300~500g程度に収まります。

サニードルチェは、親となる「バラディ」の特徴を受け継いでおり、皮が薄く種が無いので皮ごと食べることができます。そして、サニードルチェの皮は渋みなどもあまり感じることが無く、口の中で噛んでみると、まるで青リンゴのような風味を感じる独特なぶどうです。このぶどうは、他のぶどう品種にはあまりない、シャキシャキとした食感の果肉が特徴で、豊かな甘味と柔らかな酸味のバランスが非常に良いです。ちなみに、食べた時に青リンゴの香りを感じるだけでなく、爽やかな酸味も青リンゴを思わせるという感想を持つ方も多いです。

他のぶどうとはかなり異なる楽しみ方ができるぶどうですので、ぜひ一度口にしてみてほしいです。

サニードルチェについて

サニードルチェは、山梨県により品種登録されていますが、山梨県のオリジナル品種という扱いにはなっていません。大阪府に農園のある田中ぶどう園でも栽培されているほか、日本各地でサニードルチェを栽培しているぶどう園があると思います。
なお、農林水産省の品種登録データベースでは、サニードルチェについて以下のような解説がなされています。

果房の形は有岐円錐、果房の大きさは大、果房の長さは中、着粒の粗密は粗、果梗の太さはやや太、果梗の長さは長、果梗の色は黄緑、果粒の形は短楕円、果粒の大きさは大、果皮の色は赤、果粉の多少は中、果皮の厚さは薄、果皮と果肉の分離性は難、果肉の色は不着色、肉質は崩壊性、甘味は高、酸味は少、渋味は無~極少、香気は無、果汁の多少は多、種子の数は少、種子の形は中、種子の大きさは大、発芽期は中、開花期は中、成熟期は中、果実の着色の難易は直光着色、花振いの多少は多、無核果粒の混入は多、裂果の多少は中、果梗の強さは強、果梗と果粒の分離は中である。
引用:品種登録データベース

サニードルチェの食べ方について

サニードルチェは、長楕円形で果皮の色は鮮やかな赤色をしています。ただ、太陽の光が当たらない粒の付け根部分は緑色をしています。上で紹介しているように、サニードルチェは、皮が薄く、渋みもないので、そのまま食べることができます。噛んでみると、シャキシャキとしたぶどうとは少し異なる特徴的な食感を楽しむことができるでしょう。また、サニードルチェはぶどうなのに、どこか青リンゴの香りや風味を感じる珍しいぶどうです。

最近では、サニードルチェと同じように、皮ごと食べられるぶどうが増えています。ただ、日本人の多くは「ぶどうは皮を剥くもの」というイメージが強いことから、皮ごと食べることに違和感を感じる方も少なくありません。もちろん、サニードルチェは、皮を剥いて食べても構わないです。ただ、このぶどうは、皮が剥離しにくいという特徴があるので、皮を剥くのがなかなか難しいです。

サニードルチェの生産地や旬について

サニードルチェの主な生産地や生産量については、農林水産省などの資料を調べても出てきませんが、品種登録が山梨県でされていますので、主な生産地は山梨県と考えられるでしょう。この他にも、茨城県や宮崎県、大阪府の農園などで栽培されるようになっています。ただ、品種登録が2009年と、まだ新しいぶどう品種ですので、その生産量はかなり少なく、非常に希少性の高いぶどうです。

サニードルチェの旬は、その他のぶどう品種と比較するとやや遅く、東京都以西で9月上旬、栃木県以北で9月下旬~10月上旬となっています。生産量がまだ少ないぶどうですので、食べられる期間もかなり限られています。

まとめ

今回は、2009年に品種登録された、まだ新しいぶどう品種のサニードルチェの特徴をご紹介しました。

サニードルチェは、鮮やかな赤に色づいた粒が特徴のぶどうなのですが、口にしてみると、ほのかに青リンゴのような香りと風味を感じるとても珍しいぶどうです。まだまだ生産量が少なく、店頭で見かけることは難しいですが、道の駅などで見かけた時にはぜひ手に取ってみてほしいぶどうの一つです。

なお、田中ぶどう園では、全国でもまだ珍しいサニードルチェの栽培を大阪府内で行っています。旬の時期になれば、田中ぶどう園の通販サイトや農園の直売所にサニードルチェが並びますので、興味がある方は是非購入してみてはいかがでしょうか?