日本は、ぶどうの栽培に適した地域が多いため、さまざまな場所でブドウの栽培がおこなわれています。また現在でも、ぶどうの品種改良が盛んに行われており、シャインマスカットやナガノパープル、クイーンルージュなど、非常に味の良いぶどう品種が続々と登場しています。

ただ、日本国内で栽培されるぶどうに関しては、どちらかというと高級志向のものが多く、日常的に食べるフルーツというよりも、季節の贈り物として扱われている場合が多いです。簡単に言うと、毎日食べるには少しお値段が張るフルーツで、美味しいのは分かるけれど気軽に手を出せるものではない存在となってしまっているのです。ただ、近所のスーパーなどに行くと、お手頃価格のぶどうがたくさん並んでいるのを見かける機会が多いですし、中には本来のぶどうの旬とはかなりズレた時期に販売されている品種もあります。

実は、国内でも栽培量が多いぶどうですが、海外から入ってくる輸入ぶどうも出回っているのです。輸入ぶどうのメリットは、国産のものよりもかなり安価な価格帯であることなのですが、輸入食品に対しては「安全性は大丈夫なの?」と不安に感じる方が多いようです。特に、昨今国内で出回る輸入ぶどうは、皮ごと食べられる品種が多くなっているため、国内で使われていない農薬などが付着しているのでは…と考えてしまう方もいるようです。
そこでこの記事では、身近な店舗で見かける事が増えてきた輸入ぶどうについて、その安全性に関してご紹介します。

輸入ぶどうの安全性について

それでは、輸入ぶどうの安全性について解説していきます。一般的に、食品の安全性については、国内で栽培されるものが安心で、輸入される野菜や果物に関しては、防腐剤や農薬が大量に使われていて、危険なのではないか…というイメージが根強いです。ちなみに、日本国内で流通する輸入ぶどうは、アメリカ、メキシコ、チリなどのアメリカ大陸で栽培されたものと、2014年に解禁されたオーストラリア産のものが大半を占めています。

それでは、スーパーなどでもよく見かけるようになった輸入ぶどうについては、防腐剤や農薬の使用による危険はあるのでしょうか?答えから言ってしまいますが、日本に輸入される果物については、国が定めている基準以上の農薬を使うことができないようになっているため、「輸入品=危険」というイメージが間違いで、確かな安全性が確保されています。
ぶどうなど、皮ごと食べるのが一般的になったフルーツに対して、「輸入ぶどうは防腐剤が心配…」と言った声があるのは、グレープフルーツやオレンジには防腐剤(防ばい剤・防カビ剤)が使用されているからだと思います。この情報だけを見て、「輸入フルーツは防腐剤が使用されているから危険」と考える方がいるのですが、輸入ぶどうに関しては、国が定めた基準以内の農薬は使用されているものの、防腐剤は使用されていません。防腐剤などに関しては、輸入される果物全てに使用されるわけではないので、ぶどうに関しては安心しても良いでしょう。

さらに、チリなどから輸入されているレッドグローブやシードレスに関しては、皮ごと食べることができるブドウであることから、皆さんが考えている以上に安全性が高いです。というのも、輸入ぶどうの産地であるチリなどは、もともと「皮ごとぶどうを食べる文化」を持っている国ですので、ぶどうに対する残留農薬の管理に関しては、日本以上に厳しいとされています。

さらに、輸入ぶどうに関する残留農薬の検査は、

・輸出時に生産国で行われる
・輸入時に消費国(日本)で行われる

と言った感じで、ダブルチェックして、二つの検査にクリアした物だけが流通できるようになっているのです。これからも分かるように、近年一般にも流通し始めた輸入ぶどうに関しては、皆さんが考えている以上に安全性が高いため、過剰な心配をする必要はありません。

食べる前は洗った方が良い

上述したように、日本国内に流通している輸入ぶどうに関しては、防腐剤などは使われておらず農薬も国が定めた基準値以内となっていますので、安全性が高い食品と言えます。ただ、基準値以内とはいえ、農薬が使用されているのは間違いない事実なので、食べる前にきちんと洗ってから食べるようにしましょう。

特に昨今では、「皮ごと」食べられるぶどうが人気になっていますし、きちんと汚れなどを洗い流してから食べた方が良いです。そこでここでは、輸入ぶどうを安全に食べるための洗い方について解説します。

①流水で洗う

ぶどうは、食べる直前に水洗いすると良いです。基本的には、流水で30秒程度洗えば汚れなどが落とせます。

ぶどうの水洗いに関しては、「ボウルなどに水を貯めて、その中で洗うと良い」という情報を見かけますが、これは後述する「重曹」を使った洗い方です。単なる水で洗う場合は、流水で洗い流しましょう。

水だけをためたボウルの中でぶどうを洗うと、汚れや農薬が染み出た水で洗うことになるため、せっかく落とした汚れが再び付着してしまうことになるのです。

②重曹を使って洗う

ボウルに水を貯めて、そこに重曹をいれ、この水でぶどうを洗うと、①で紹介した流水で洗うよりも綺麗になります。重曹を利用してぶどうを洗う場合、以下の手順で綺麗にしましょう。

  • 1.ぶどうが入る程度の大き目のボウルを用意して水を貯める
  • 2.食用可の重曹をボウルの水の中に入れて溶かす(大匙1ぐらい)
  • 3.ぶどうを重曹水の中に浸ける
  • 4.30秒ほど浸けたらぶどうを取り出し流水で洗い流す

重曹を使ってぶどうを洗う場合、上記の流れで行いましょう。なお、重曹水に長くつけておけばよりきれいになるかも…と考える方がいますが、あまり長くぶどうを浸けてしまうと、栄養素なども溶け出てしまうので、最長で30秒までと考えてください。

③50℃ぐらいのお湯で洗う

自宅に食用可の重曹がないという場合は、50℃ぐらいのお湯を用意して浸け洗いするのもおすすめです。

50℃洗いに関しては、葉野菜などを50℃前後のお湯で洗うと、ヒートショックによりシャキッとみずみずしくなるという話が有名です。しかし実は、50℃洗いは、農薬を落とす方法でもあるのです。方法は非常に単純で、50℃程度のお湯を作り、そこにぶどうを浸けて2~3分置いておくだけです。そしてぶどうを取り出して流水で流せばOKです。

まとめ

今回は、近年、国内でも多く出回り始めた輸入ぶどうの安全性について解説しました。果物や野菜に関しては、国産のものは安全性が高く、輸入品は農薬や防腐剤が使われているから危険と考えている方が多いです。

しかし、日本国内で流通する輸入食品に関しては、基本的に国が定めた基準を守って栽培されているため、皆さんが考えているような危険性はないと言えます。特に、ぶどうに関しては、海外では昔から皮ごと食べられていたという歴史があるため、農薬などの基準についても、日本よりも厳しい基準が設けられている地域が多いのです。

国産ぶどうは、高級な贈答品という扱いで、日々の食卓に並べるには少し負担が大きい…と考える方も多いですが、その場合は、輸入ぶどうを食べてみるのも良いのではないでしょうか?なお、チリ産のぶどうなどは、国産ぶどうと比べると、果肉が少し硬いという特徴があるので、その辺りは好き嫌いが出ると思います。