今回は、ぶどうに関する豆知識として、お客様から頂くさまざまな質問の中から、いくつかの疑問をピックアップしお答えしていきます。

ぶどうは、夏の終わりから秋にかけて、スーパーの店頭などでも見かけるようになる果物です。ただ、ハウス栽培が盛んになってきた現在では、春の終わりごろからぶどうが食べられるようになってきていて、「ぶどうの旬っていつなの?」と言った疑問を抱える方が増えているようです。また、ぶどうは現在でも品種改良が続けられている果物なので、一昔前のぶどうと現在人気のぶどう品種では、食べ方が異なるなんて不思議な状況になっています。30代後半や40代以降の方がイメージするぶどうは、「皮を剥いて食べる」果物というイメージがあると思うのですが、若者世代に人気なのは「皮ごと食べられるぶどう」なのです。

このように、時代とともにさまざまな変化がみられるぶどうについては、その食べ方や栄養素、保存方法などについて疑問に感じることが多いと思います。当記事では、さまざまな疑問を解消できるよう、Q&A形式でぶどうの豆知識を解説します。

ぶどうに関する素朴な疑問

それでは、お客様から質問されることが多いぶどうの疑問について解説します。田中ぶどう園は、大阪府の河内長野市にある農園で、ぶどうの旬の時期になると、直売所やぶどう狩りも開催しています。したがって、ぶどう好きのお客様から、直接さまざまな質問を受ける機会があります。

ここで、多くの方が気になるのではないかな…と思えるぶどうに関する疑問にお答えしていきます。

Q.ぶどうはどっちから食べる?

ぶどうの食べ方の質問として、「ぶどうを食べる時は、房の上の方と下の方、どっちから食べたら良いですか?」と言った質問を受ける機会が多いです。正直、食べ方のルールなどは特にありませんし、好きな場所から食べれば良いのですが、「最後まで美味しく食べたい!」と考えるのであれば、ブドウの房の先(下)の方から上に向かって食べるのがおすすめです。

これは、ぶどうが成熟していく際、枝に近い果実から熟していくため、ぶどうは上の方が甘いからです。そのため、下から上に向かって食べていけば、最後の方に最も甘い果実が残っていますので、お腹が膨れてきたとしても、最後までぶどうの甘さを楽しめるわけです。

Q.ぶどうは何に良いの?

ぶどうに含まれる栄養素や健康効果を気にする方は意外に多いです。実は、ぶどうは単なる甘くておいしいフルーツなのではなく、含まれている栄養素から、さまざまな健康効果が期待できるのです。なお、ぶどうに含まれる栄養素については、以前別の記事で詳しく解説しているので、そちらの記事をご確認ください。

ぶどうには、アントシアニンやレスベラトロールなどのポリフェノールやブドウ糖、カリウムなどが含まれています。これらの成分は、疲労回復や眼精疲労、動脈硬化の防止など、さまざまな健康効果を期待できます。また、ぶどうは熱中症予防にも効果的と言われているので、夏場の暑い日は、朝にぶどうを食べるのもおすすめです。

ちなみに、ぶどうの栄養素は皮付近に多く含まれているので、栄養を余さず摂取したいと考えるなら、皮ごと食べられる品種がおすすめです。

関連:ぶどうに含まれる栄養と期待できる健康効果とは?疲労回復や眼精疲労におすすめ?

Q.ぶどうの旬はいつですか?

できるだけ美味しいぶどうを食べるためには、やはり旬の時期が気になると思います。最近では、ハウス栽培が盛んになっているので、本来のぶどうの旬を外れた時期でもスーパーなどで販売されています。

ぶどうの旬については、梨や柿と並んで秋の果物というイメージが強いと思います。ただ、ぶどうは秋だけが旬なのではなく、品種によっては7月から8月にかけての夏が旬となるものもあるのです。ぶどうは、世界中で10000種類以上の品種があるとされていて、品種のよって旬が異なります。一般的には7月~11月頃にかけてが旬の品種が多いです。巨峰やデラウェアなど、日本人に身近な品種について夏場に旬を迎え、その後、夏の終わりごろからシャインマスカットが出盛り期を迎える感じです。

関連:巨峰やシャインマスカット!日本国内で流通している主なぶどう品種をまとめてご紹介します!

Q.ぶどうは置いておくと甘くなりますか?

果物の中には、収穫後、正しい保存方法で一定期間置いておくことで甘さが増して美味しくなるものがあります。この現象は、『追熟』と呼ばれ、メロンやキウイ、バナナなどが追熟する果物として有名です。これらの果物は、購入してから、しばらく置いてから食べるのが良いとされていますよね。

追熟する果物があるという知識を持っている方の中には、「ぶどうも置いておくことでより美味しくなるのかな?」と疑問に思うのだと思います。しかし、ぶどうは追熟がない果物なので、置いておいてもより甘くなることはありません。ぶどうは、よく熟したものを収穫して販売するもので、収穫後に甘くなることはありませんので、新鮮なうちに食べてください。イチゴも、ぶどうと同じく追熟がありません。

Q.ぶどうは一日にどのくらい食べていい?

ぶどうは、その他の果物と比較しても、非常に糖度が高いことで有名です。日本国内で生産されるぶどうについては、平均糖度が「18~20度前後」とされていて、この数値は、いちごが「8~10度」柑橘類が「10~14度」と考えると、その糖度の高さがうかがえると思います。つまり、糖質制限をしなければならない方にとっては、「どれぐらい食べても良いものか?」が気になってしまう訳ですね。

まず、一般論で言うと、ぶどうは小粒で1房、巨峰などの大粒種だと8~10粒程度が一日に食べて良い目安の量と考えてください。ただし、血糖値や体重が気になる方の場合、半量程度にしておくのがおすすめです。ちなみに、ぶどうはすぐにエネルギーに変わる食べ物なので、食べる時間帯については活動量が多い朝や昼間がおすすめです。

Q.ぶどうを多く食べるとお腹を下すのですが?

秋のフルーツでは、梨、柿、ぶどうが有名です。これらの秋が旬のフルーツは、どれも味が良いことから、非常に人気が高いです。「食欲の秋」などと言われますが、実はフルーツの食べ過ぎは要注意です。まず、梨や柿は、身体を冷やす果物と言われていて、食べ過ぎるとお腹を冷やすことになると言われています。

また、渋み成分が多く含まれている柿やぶどうについては、消化しにくい果物とも言われています。そして、水分が多いフルーツの消化が悪いと、腸で吸収しきれないことから、お腹を下しやすくなってしまうのです。もちろん、個人差がありますので、誰でもお腹を下すというわけではありませんが、食べ過ぎには注意しましょう。

Q.ぶどうは洗ってから冷蔵庫に入れるの?

ぶどうの保存について、冷蔵庫などに入れる前に水洗いをした方が良いのか不安に感じる方も多いようです。この点については、水洗いは、保存する前に行うのではなく、食べる直前にしてください。

というのも、ぶどうの果実表面には、ブルームと呼ばれる白い粉のような物が付いています。この粉は、ぶどう自身が分泌している天然成分で、鮮度を保つ役割を果たすため、保存前に洗ったり擦ったりして取らないようにしなくてはいけないのです。ちなみに、ブルームについては、残留農薬を勘違いする方も多いのですが、危険なものではないので安心してください。

関連:ぶどうの賞味期限ってどのぐらい?ぶどうの保存に関する基礎知識

Q.犬にぶどうをあげると危険なのですか?

皆さんも、犬にぶどうを与えてはいけないという情報を耳にしたことがあると思います。この情報は正しくて、犬にぶどうを与えてしまうと、最悪の場合、死に至ります。

犬にとって、ぶどうの何が悪いのか、その原因はまだ特定されていません。一説によると、殺虫剤や農薬、ビタミンD類似物質、カビなどが、犬にとって中毒を引き起こすものと言われていて、実よりも果皮の方が危険度が高いと考えられています。どちらにせよ、過去に犬がぶどうを食べて中毒症状を起こしたケースが多数報告されているので、食べさせるのはやめましょう。

犬がぶどうで中毒を起こした場合、食べて数時間すると、腹痛や下痢、嘔吐をくり返すようになると言われています。そして、その後、腎不全を発症する場合があると言われています。急性腎不全が悪化した場合、尿が体外に排出されなくなって尿毒症を引き起こし、最悪の場合、命を落とすケースもあると言われています。

Q.ぶどうは、冷蔵や冷凍でどれぐらい持つの?

ぶどうの保存期間については、購入したぶどうの状態にもよって変わるので、一概に何とも言えないです。ただ、新鮮な状態のものでも、ぶどう自身がそこまで日持ちする果物ではないため、常温の場合、2~3日中に食べるのが望ましいでしょう。ぶどうの保存環境については、温度が高いほど傷みやすくなるので、新聞紙やポリ袋などで包み、直射日光を避けて冷暗所で保存するようにしましょう。

冷蔵庫に入れて保存する場合、新聞紙などに包んだまま野菜室で保存すれば、常温より3~5日程度まで日持ちするはずです。果実を房から外して保存する場合は、枝を少し残すように、ハサミでカットするのがポイントです。枝を残さないと、ぶどうに穴があいて果汁が漏れて傷むのが早くなります。

なお、ぶどうの品種によっては、冷凍庫に入れて保存することも可能で、冷凍の場合は1カ月近く保存することができます。ただ、家庭用冷蔵庫での冷凍の場合、完全に解凍して食べると、水分が出てべちゃッとした食感になってしまいます。したがって、半解凍状態のシャーベットのような感じで食べるのがおすすめです。冷凍庫に入れる場合も、枝を少し残してカットし、フリーザーバックに入れて保存すると良いでしょう。

※ぶどうの保存期間は、品種によっても異なりますので、気になる場合は、購入する際に質問してみると良いでしょう。

まとめ

今回は、ぶどうに関するさまざまな疑問にお答えしてきました。この記事でご紹介しきれなかった質問などもあるかと思いますが、ぜひ上で紹介した内容は覚えておいてください。