さわやかな香りと酸味が特徴の果物であるレモンですが、その他のフルーツとは異なり、そのまま食べるのではなく調理やお菓子作りの材料として使用される場面が多く、一度にすべてのレモンを使い切ることがなかなか難しいという問題が立ちはだかります。飲食店などであれば、レモンをカットして保存しておいても、一日に大量に消費することから、使いきれずに廃棄しなければならない…なんて場面は少ないと思います。しかし、一般家庭でレモンを使用する場合には、なかなか1個丸ごと使用するレシピが思いつかず、もったいないと思いながらも廃棄せざるを得ない…なんて状況になることも多いです。

レモンは、ビタミンCやクエン酸など、豊富な栄養素が含まれていて、疲労回復や免疫力アップと言った健康効果を期待できます。そのため、スーパーなどでちょくちょくレモンを買うという方も多いと思いますが、使い切ることができずに「冷蔵庫の中で腐らせてしまった!」なんて話を耳にする機会は多いです。レモンは、調理に利用するにしても、主に風味付けに使われることが多いため、一度に消費する量が少なく、正しい保存方法を知っておかないと使い切れないことが非常に多いです。
そこでこの記事では、正しいレモンの保存方法や、長持ちさせるための保存食の作り方をご紹介します。

そもそもレモンはどの程度日持ちする果物なの?

それではまず、一般的なレモンの日持ちについて解説します。ただ、日本国内で流通しているレモンについては、海外で栽培された輸入レモンと、国内で栽培されている国産レモンがあり、産地によって賞味期限が大きく異なる点に注意しなければいけません。というのも、海外産の輸入レモンについては、長距離の輸送のことを考えて、わざと未熟な状態で収穫されています。しかし、国産レモンに関しては、輸送距離が短い、品種によっては産地周辺で消費されるといった理由から、比較的完熟に近い状態で収穫されているのです。

輸入レモンと国産レモンの賞味期限についてですが、保存条件などによって多少の違いはあるものの、基本的に以下のような感じになります。

  • ・輸入レモンの保存期間:収穫後3週間程度
  • ・国産レモンの保存期間:収穫後2週間程度

このように、輸入レモンと国産レモンでは、1週間程度も保存可能期間が変わります。なお、レモンは本来の保存可能期間を過ぎた場合、表面のハリと弾力が失われてしまうので、見た目で判断することが可能です。このような状況になった古いレモンは、果肉の水分が抜けてしまい、味や風味が極端に落ちてしまいます。
さらに劣化が進行すると、果肉が茶色く変色したり、カビが生えてしまうといった状態になります。ここまで劣化が進んだレモンは、食べずに廃棄したほうが良いです。

レモンの保存方法について

それではここから、正しいレモンの保存方法について解説していきます。レモンの保存に適した条件は「10℃以下」という温度ですので、冷蔵庫もしくは冷凍庫での保存が基本と考えてください。

ただ、同じレモンでも、丸ごと保存する場合、カットした状態、果汁にしているなど、いくつかの条件が存在します。そこでここでは、レモンの状態別に正しい保存方法と保存期限をご紹介します。

レモンを丸ごと保存する

まずはレモンを丸ごと保存する場合です。カットなど加工をしていないレモンなら、常温で保存しても構わないと考えている方が多いですが、上述したように、レモンの保存条件として適切なのは、10℃以下の環境なので、冷蔵庫もしくは冷凍庫で保存するようにしましょう。以下に、冷蔵と冷凍に関して、正しい保存方法をご紹介します。

  • 冷蔵庫で保存する場合
    冷蔵庫で保存する場合、乾燥を防ぐためにレモンをラップや新聞紙、キッチンペーパーなどで包みましょう。そして、ポリ袋に入れてから野菜室に入れましょう。冷蔵庫で保存する場合、保存前の状態にもよって変わりますが、新鮮なレモンであれば2週間程度は保存可能です。(常温の場合、1週間未満)
  • 冷凍庫で保存する場合
    レモンは、冷凍庫で保存することも可能です。レモンをラップに包み、フリーザーバックに入れてください。口を閉める際は、バックの中の空気をしっかりと抜き、冷凍庫に入れましょう。なお、冷凍庫で保存する場合、保存期間の目安は1カ月程度と言われています。

冷凍したレモンは、常温で30分ほど置いておけば、通常通りカットできるようになります。

カットレモンなど、使いかけのレモンを保存する

冒頭でご紹介したように、レモンは香り付けなどに少量使用するといった使い方をされるため、1回の調理に丸ごとレモンを使い切ることが難しいです。そのため、どうしても使いかけのレモンが残ってしまい、「どうやって保存すれば良いの?」という悩みを抱える方が多いのです。使いかけのレモンに関しても、冷蔵・冷凍どちらの方法でも保存可能です。

  • 冷蔵庫で保存する場合
    カットレモンなど、使いかけのレモンを冷蔵庫で保存する場合、切り口が空気に触れないよう、ぴったりとラップをかけなければいけません。ラップをかけた後は、密閉容器などに入れ、冷蔵庫で保存しましょう。ただ、この方法でも丸ごと保存する場合と比較すると、保存可能期間はかなり短く、4~5日程度しか持たないです。
  • 冷凍庫で保存する場合
    使いかけのレモンを冷凍庫で保存する場合、串切りや薄切りにしてから冷凍庫に入れるのがおすすめです。金属製のバットがあれば、カットしたレモンを重ならないように並べてください。バットが無ければラップでも構いません。そしてバットごと冷凍庫に入れ、レモンを凍らせましょう。レモンが凍ったら、フリーザーバッグに移して冷凍庫で保存しましょう。この方法であれば、一切れずつレモンを使用できるようになるので、非常に便利です。カットレモンを冷凍庫で保存する場合、3週間から1カ月程度保存可能です。

レモン果汁を保存する

調理に使用するためのレモン果汁が余ってしまう…なんてことも少なくないですよね。この場合も、冷蔵もしくは冷凍で保存可能です。

  • 冷蔵庫で保存する場合
    冷蔵庫でレモン果汁を保存する場合、清潔な密閉容器に入れて冷蔵庫に入れましょう。ただ、密閉容器でも、香りは意外に早く飛んでしまいますので、2~3日程度しか持ちません。
  • 冷凍庫で保存する場合
    レモン果汁は、冷凍保存することで1カ月程度持たせることができます。まとめて凍らせると使いにくいので、製氷皿を使用して少しずつ凍らせておき、凍ったものをフリーザーバックに移して保存しておけば良いでしょう。小分けにしておけば、調理だけでなく、アイスティーや炭酸水に入れて楽しむことも可能です。

レモンの長期保存を可能にする保存食について

レモンは、スーパーなどで購入する場合、5~6個が袋入りになって販売されている場合も多いです。まとめて購入したほうがお得に感じてしまい、このタイプを購入する方も多いのですが、使い切る方法に悩んでしまう…なんてケースもあるようです。

このような場合、レモンの大量消費と長期保存を可能とする保存食の作り方を覚えておくと良いでしょう。ここで、レモンを使った保存食の作り方をいくつかご紹介します。

レモンのはちみつ漬け・砂糖漬け

レモンの保存食の定番と言えば、輪切りにしたレモンをはちみつや砂糖漬けにしたレモンシロップですね。

作り方も非常に簡単です。まず、沸騰したお湯に30秒ほどレモンをくぐらせて殺菌し、レモンを薄くスライスしてください。そして、レモンと同じ重量のはちみつもしくは砂糖を用意して、保存容器に一緒に入れて1~2日ほど置いておけば完成です。

シロップを炭酸水で割るだけでレモンスカッシュになりますし、紅茶に入れればレモンティーの出来上がりです。輪切りにしたレモンも、そのまま美味しく食べることができます。きちんと密閉できる保存容器を用意すれば、半年程度なら保存可能です。

レモンの果実酒

梅酒のような感じに、レモンを果実酒にして保存食とする方法もあります。イタリアのレモンリキュールやリモンチェッロを作る感じです。レモンの果実酒の作り方については、さまざまなレシピが紹介されていたので、以下に紹介するレシピからお好みのものを試してみると良いでしょう。

インターネットで検索すると、他にもさまざまなレモン酒の作り方が出てくると思います。なお、自家製の果実酒はアルコール度数が高い専用の甲類焼酎を使う場合が多いです。そのため、長期にわたって保存することが可能になります。

塩レモン

塩レモンは、モロッコの伝統的な保存食ですが、近年では日本でもおなじみとなっています。作り方も非常に簡単で、以下のものを用意すれば、誰でも簡単に作ることができます。

  • ・レモン
  • ・レモンの重さ10~20%の量の塩
  • ・煮沸殺菌した清潔なガラス瓶

作り方は、適当な大きさに切ったレモンと塩を交互に容器に入れ、1週間程度馴染ませるだけです。完成した塩レモンは、サラダに加えたり、パスタや肉料理に使用するなど、自由に使ってください。なお、塩レモンを作る際には、国産の無農薬レモンを用いるのがおすすめです。

ドライレモン

最後は、果物の長期保存を目的とした方法として最も有名と考えられる「ドライフルーツにする」という方法です。フルーツは、基本的に足が早い食べ物と言われていますが、これは多くの水分を含んでいるからです。逆に考えると、果物に含まれている水分を取り除くことができれば、通常よりも長く保存することが可能な訳です。

ドライレモンも同じような考えが通用し、生のレモンよりも長く保存することができるようになります。ドライレモンは、薄くスライスして、天日干しやオーブンで乾燥させるだけなので、誰でも簡単に作ることができます。最近では、ドライフルーツを作るための専用器具なども販売されるようになっていますので、興味がある方は、そういった器具を用意するのも良いかもしれませんね。

なお、自家製のドライフルーツの賞味期限は、市販のものよりは短く、2~3週間程度と考えておきましょう。

関連:ドライフルーツの賞味期限について!賞味期限が切れたドライフルーツの取り扱いと正しい保存方法について

まとめ

今回は、身近な果物な割に一度に大量に使うことが少ないレモンについて、正しい保存方法をご紹介しました。

レモンは、香りづけのために少量使うといった存在のため、スーパーなどで購入しても使い切る前に傷んで廃棄せざるを得なくなる…なんてケースが多いです。レモンは、酸味が非常に強いため、他のフルーツとは異なりそのままの状態で食べるのはなかなか難しいです。

記事内では、いくつかの形態に分けて正しいレモンの保存方法をご紹介していますので、皆さんもぜひ覚えておきましょう。なお、レモンは、はちみつ漬けなど、長期保存を可能とする調理方法も意外に多いので、「食べきるのが難しいかも…」と悩んだ時にはぜひ試してみてはいかがでしょう。