今回は、ぶどうの保存方法として冷凍で保存する場合のメリットについて解説したいと思います。

ぶどうは、夏から秋にかけてが旬の果物で、日本国内ではトップクラスに人気の高い果物になっています。ぶどうは、世界中で栽培されていて、その品種の多さが特徴の一つですが、その中でも日本で開発、栽培されているぶどうは、非常に味が良いことで有名です。シャインマスカットなどは、あまりの美味しさから種や苗が違法に海外流出することが社会問題にもなっていますよね。

非常に味が良いことで有名なぶどうですが、夏頃からは贈答品としてぶどうを頂く機会が増え、ぶどうの保存方法に頭を悩ませる方が多くなると言われています。ぶどうは、そこまで日持ちする果物ではないため、傷む前に急いで食べなければ…と焦ってしまう方が少なくないとされていますが、無理に食べるとお腹を壊す可能性もありますし、なかなか難しい問題です。
実は、このような場合におすすめできるのがぶどうを冷凍で保存するという方法なのです。この記事では、ぶどうを冷凍保存することで得られるメリットや適切な冷凍保存のポイントをご紹介します。

ぶどうを冷凍保存するメリットとは?

ぶどうは単に美味しいだけの果物ではなく、豊富な栄養素を含んでいて健康や美容に効果的な果物とされています。ぶどうには主に、以下のような栄養素が含まれています。

  • ・ポリフェノール
  • ・ブドウ糖
  • ・カリウム
  • ・ビタミン
  • ・有機酸

ぶどうには、ポリフェノールが豊富に含まれていて、ぶどうのポリフェノールは眼精疲労などに効果的とされていますね。これ以外に、疲労回復、アンチエイジング、肌老化防止、動脈硬化予防、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、活性酸素抑制、抗酸化作用、発ガン抑制、利尿作用、むくみ解消、貧血の予防など、さまざまな健康効果が期待出来る果物として有名です。なお、ぶどうに含まれるカリウムは、夏バテなどの防止にも効果的とされていますので、暑い日が続く夏にはもってこいの果物と言えるでしょう。

それでは、このようなぶどうを冷凍で保存するのはどのようなメリットがあるのでしょうか?一部のぶどう品種は、冷凍保存することで、食感が悪くなってしまうと言われていますが、スムージーなどとして食べればそのような問題も解消できます。

ここではまず、ぶどうを冷凍で保存することで得られるメリットをご紹介します。

関連:ぶどうに含まれる栄養と期待できる健康効果とは?疲労回復や眼精疲労におすすめ?

メリット1 保存期間が伸びる

ぶどうの冷凍保存のメリットとして、最もわかりやすいのが「保存期間が伸びる」という点でしょう。どのような食品でも、常温や冷蔵と比較すると、冷凍の方が長く保存できるようになります。

ぶどうの保存期間に関しては、常温の場合で2~3日程度、冷蔵庫で保存する場合で1週間程度が限界とされています。そもそもぶどうは、追熟しない果物なので、収穫後は時間の経過とともに風味が落ちて行ってしまいます。そのため、基本的には新鮮なうちに食べるのが望ましい果物です。しかし、頂き物でたくさんぶどうが手に入ったなどと言った場合には、通常の保存期間では食べきることができない…なんてことも珍しくありません。

実は、ぶどうを冷凍保存すれば、先ほどご紹介した常温や冷蔵と比較すると、圧倒的に保存期間が伸びて、1カ月ほどは保存が可能とされているのです。したがって、新鮮なうちに食べきれないほどのぶどうが手に入った時には、冷凍保存を検討すると良いでしょう。

メリット2 皮が剥きやすくなる

最近のぶどうは、種なしで皮ごと食べられる品種が増えていますが、巨峰やピオーネなど、人気のぶどう品種の中にも皮を剥いて食べるのが良いとされる品種は多いです。

このような皮を剥いて食べる品種のぶどうは、「ぶどうは美味しいけど、皮を剥くのが面倒…」と言った感じに、ぶどうに手を出さない理由になったりしています。実は、ぶどうの皮を剥くのを面倒に感じている方におすすめの保存方法が冷凍なのです。

冷凍保存したぶどうは、皮と実の間に隙間ができるため、常温や冷蔵で保存したぶどうよりも皮が剥きやすくなるのです。水に少し浸して指で押せば簡単にツルっと皮が剥けるようになります。

メリット3 栄養価が高くなるという情報がある

一般的に、フルーツなどは、新鮮な物を生のまま食べる方が栄養価が高いと考えられています。しかし実は、フルーツは一度冷凍することで、ビタミンCやβカロテンなどの抗酸化物質の含有量が増加し、栄養価が高まるケースもあると言われているのです。

ぶどうに関しても、冷凍することでぶどうに含まれるポリフェノールの細胞が破壊され、生の時よりも体に吸収されやすくなるというデータがあります。つまり、ぶどうを冷凍保存すれば、より効率的に栄養を摂取できる可能性があるわけです。

ぶどうの冷凍保存のポイント

それでは、実際にぶどうを冷凍保存する際のポイントについて解説します。ここでは、デラウエアなどの小粒のぶどうを冷凍保存する場合と、大粒ぶどうを皮ごと保存する方法、大粒ぶどうを皮を剥いて冷凍保存する方法の3つをご紹介します。

小粒のぶどうを冷凍保存する方法

デラウエアなど、小粒のぶどうを冷凍保存する場合は、房ごと冷凍庫に入れる方法がおすすめです。一般的に、ぶどうを保存する際は、表面のブルームを残したまま常温や冷蔵で保存する方法が推奨されます。ぶどう表面のブルームは、実を乾燥や病気から守るための天然成分なので、常温や冷蔵の場合は、そのまま保存して食べる直前に水洗いするのが良いのです。

しかし、冷凍庫で保存する場合には、一度水洗いしてから冷凍庫に入れましょう。具体的な手順は、以下の通りです。

  • STEP1 軸の部分に水を当てて全体を洗う
    中心にある軸に流水を当てて、全体を濡らすように優しく洗ってください。水の勢いが強すぎる、手で強く洗うなどは実が房から外れるのでNGです。
  • STEP2 ペーパータオルで水気を拭き取る
    ペーパータオルなどを使ってぶどうの水分を拭き取ってください。この時も、実が外れないように優しく包むように水分を拭き取りましょう。
  • STEP3 1房ずつラップで包み、保存袋に入れ
    水分を拭き取ったら、ぶどうを房ごとラップでくるんでください。そしてそれをフリーザーバックに入れます。
  • STEP4 冷凍庫に入れる
    フリーザーバックに入れたぶどうを冷凍庫に入れます。この方法で、約1カ月程度は保存可能です。

冷蔵保存した小粒のぶどうは、凍ったままでも皮ごと食べられます。皮を剥いて食べたい場合は、指で5秒ほどつまんでおけば、体温で表面が溶け、ツルっと皮が剥けると思います。

大粒のぶどうを皮ごと冷凍保存する方法

次は巨峰やピオーネなど、大粒ぶどうを冷凍保存する方法です。まずは、皮ごと冷凍する方法からご紹介します。以下の流れで保存すれば良いでしょう。

  • STEP1 ぶどうを房から外す
    大粒ぶどうは房から外した状態で冷凍します。ぶどうを房から外す際は、手でちぎるのではなく、ハサミを使って切り離してください。その際には、枝を2〜3mm残すのがコツです。
  • STEP2 ぶどうを洗ってペーパータオルで水気を拭き取る
    ぶどうは流水でさっと洗ってください。その後、ペーパータオルなどで表面の水気を拭き取ります。
  • STEP3 保存袋に平らになるように入れ
    ぶどうをフリーザーバックに入れます。この時にはぶどうが重ならないよう、平らに並べるように入れてください。
  • STEP4 冷凍庫に入れる
    フリーザーバックに入れたぶどうを冷凍庫に入れます。冷凍庫に入れる際も、保存袋の中のぶどうは重ならないよう平らな状態を保ってください。なお、金属のトレーなどがあれば、トレーにのせて冷凍庫に入れることで急速冷凍することが可能です。ない場合は袋のみで入れても構いません。

皮ごと冷凍したぶどうは、おしりの部分に流水を当てながら爪で切れ目を入れると簡単に皮が剥けます。皮を剥いてから10分程度常温に置くと、半解凍のシャーベット状のぶどうを楽しむことができます。夏場のおやつとしては非常におすすめの食べ方なのでぜひ試してみてください。

大粒のぶどうを皮を剥いて冷凍保存する方法

大粒ぶどうの場合は、皮を剥いてから冷凍保存したいと考える方も多いです。ただ、上で紹介したように、ぶどうは皮を剥くのが意外に面倒で、常温状態のぶどうは、なかなか上手に皮を剥くことができない場合も少なくありません。このような時に試してほしいのが、トマトなどの湯むきによる皮の除去です。具体的には、以下の流れで皮を剥きましょう。

  • ①ぶどうを房からすべて取り外し、ザルに入れる
  • ②ザルが漬かる大きさの鍋でお湯を沸かす
  • ③お湯が沸いたら火をを止め、ザルごとぶどうを入れる
  • ④20秒程度熱湯につけたらぶどうを出し、流水(or氷水)にさらして冷やす
  • ⑤熱がとれたらぶどうをつまみ、実を押し出す

トマトなどの皮むき方法としても有名ですが、一度熱湯にさらしてから冷やすことで、ぶどうの皮を簡単に剥くことができるようになります。ぶどうの皮が剥けたら、水気を切ってフリーザーバックに入れて冷凍庫に入れると良いでしょう。

まとめ

今回は、ぶどうの保存方法として、意外なメリットも多い冷凍保存について解説しました。ぶどうは、追熟する果物ではないため、基本的には収穫後できるだけ新鮮なうちに食べるのが良いとされています。しかし、頂き物などですぐに食べきれない場合も珍しくない果物ですので、良い状態を長く維持できる保存方法は皆さんも知っておいた方が良いでしょう。記事内では、小粒のぶどうと大粒ぶどうの冷凍の仕方をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

なお、上でも少し触れていますが、ぶどうは全ての品種が冷凍保存に適しているわけではありません。実は、マスカット系のぶどう品種は、冷凍保存することで、マスカット特有のハリや香りが失われてしまうため、冷凍で保存するのはオススメできません。シャインマスカットなどは非常に人気ですが、手に入った時にはなるべく新鮮なうちに食べきるようにしましょう。保存する場合でも、冷蔵庫で1週間以内に食べきるのがおすすめです。