世界三大トロピカルフルーツの1つとされるマンゴーは、日本国内でもトップクラスの人気を誇るようになっています。基本的には、贈答用の高級なフルーツというイメージですし、自分で購入するよりも誰かから頂き物として手に入れる機会の方が多いかもしれませんね。

現在では、夏のフルーツとして存在感を見せるようになったマンゴーですが、スーパーやコンビニなどでマンゴーを購入する際には、既にカットされた状態で販売されていることが多く、丸ごとのマンゴーが手に入った時には、どうやって食べれば良いのか、また美味しく食べるための保存方法はどうすれば良いのかと悩んでしまう方も多いようです。マンゴーは、樹上で完熟させるのではなく、購入者が好みの状態まで追熟させる必要がある果物なので、適切な保存方法や美味しく食べられるようになったサインを見落とすわけにはいきません。

そこでこの記事では、日本国内で見かけることが多いマンゴーの種類や、適切な保存方法について解説します。

代表的なマンゴーの種類について

それではまず、日本国内で見かける機会が多い代表的なマンゴーの種類について解説します。

マンゴーは、非常に歴史の長い果物として有名で、なんと約4000年も前からインドで栽培がされ始めたとされています。そして、世界に視点を広げると、マンゴーは数百種類にのぼる品種があるとされています。

その中でも、日本国内でよく見かけるのはアップルマンゴー、ペリカンマンゴー、タイマンゴーの3種類で、これらはコンビニやスーパーなどでもカットフルーツとして手に入れることができる身近な存在になっています。そこでここでは、日本人にも身近なマンゴーについて、それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

アップルマンゴー

日本国内で栽培されるマンゴーでは、宮崎県の「太陽のタマゴ」が有名ですが、品種的に言うとアップルマンゴーとなります。

アップルマンゴーは、アメリカのフロリダから台湾を経て日本に上陸したとされます。正式には、アーウィン種と呼ばれる品種のマンゴーで、果皮が特徴的な鮮紅色をしていることから「アップルマンゴー」と呼ばれるようになったそうです。ちなみに、日本国内で栽培されるマンゴーは、そのほとんど(95%以上と言われています)がアップルマンゴーとされています。

アップルマンゴーは、皆さんがイメージするマンゴーそのもので、オレンジ色の果肉で、とろけるような柔らかい食感、濃厚な味を楽しむことができます。完熟まで追熟させると、ジューシーさと芳醇な香りが増すとされているので、しっかりと完熟まで待って食べるのがおすすめです。

ペリカンマンゴー

ペリカンマンゴーは、形状がペリカンのくちばしのように見えることから名づけられたとされています。正式にはフィリピン産のガラパオ種と呼ばれる品種で、ぷっくりと黄色い丸い形をしています。

アップルマンゴーと比較すると、味があっさりとしていて香りも控えめなマンゴーです。ただ、味気ないわけではなく、甘味と酸味がちょうどよいバランスで、とても美味しいフルーツなのは間違いありません。マンゴーと聞くと「クセのある香りが苦手…」という方もいますが、そういった方でも食べやすいと感じるのがペリカンマンゴーです。

ペリカンマンゴーは、フィリピンで1年を通してずっと栽培されているため、大きなスーパーなどであれば、一年中店頭に並んでいる可能性もあります。

タイマンゴー

タイマンゴーは、その名称から想像できるように、「タイで生産されるマンゴー」のことを指しています。一般的には、ナムドクアイ種とマハチャノ種が「タイマンゴー」と呼ばれます。

タイマンゴーは、ペリカンマンゴーとよく似た形状をしているのですが、果皮の色は黄色が少し濃いです。また、果実そのものが、タイマンゴーの方が大きいという特徴があります。さっぱりとした甘味の中にもしっかりとコクを感じることができることから、タイマンゴーが最も食べやすいと感じる方も多いようです。

ちなみに、国内産のアップルマンゴーは、高級フルーツの代表格となっていますが、ペリカンマンゴーやタイマンゴーは、安価で手軽に食べられる大衆フルーツと言った扱いになっています。

マンゴーの保存方法について

それでは続いて、マンゴーの保存方法について解説します。食品類を長持ちさせるためには、低温環境で保存することができる冷蔵庫の中が正しいと考える方が多いです。実際に、どのようなフルーツであっても、食べるまでは冷蔵庫の野菜室などに入れて保存しているという方が多いのではないでしょうか?

しかし、マンゴーの保存については、基本的に冷蔵ではなく『常温』での保存が正しいです。特に、完熟手前のマンゴーについては、常温で追熟を進めずに冷蔵庫に入れてしまうと、追熟が止まってしまい本来の美味しさを引き出すことができなくなってしまうのです。したがって、スーパーなどで購入した、もしくは知人から頂いたマンゴーなどについて、まだ完熟手前だ…と感じるものは常温でしっかりと追熟させてください。そして、好みの状態まで追熟が進んだら、7~8℃ぐらいの冷暗所に移せば追熟がストップします。

なお、マンゴーの追熟がなかなか進まない場合には、リンゴと一緒に袋に入れて保存しておくのがおすすめです。追熟は、果物が排出するエチレンという植物ホルモンにより進みます。そして、リンゴはこのエチレンをたくさん放出する果物なので、一緒に保存することで追熟が進みやすくなるのです。

※完熟したマンゴーは、7~8℃程度の環境で正しく保存することで、3週間程度は保存可能です。

マンゴーの食べごろはどこで判断する?

フルーツには、樹上で完熟させてから収穫する物と、収穫後に追熟させるものの2種類があります。例えば、ぶどうなどは、樹上で完熟させる果物なので、出来るだけ新鮮な状態のものを食べるのが良いとされています。

しかし、マンゴーやバナナなどは、未熟な状態で収穫し、適切な保存環境に置くことで、軟らかさや甘さがどんどん変化していくのです。こういった果物は、「クライマクテリック型」という果実に分類されるのですが、美味しく食べるには食べ頃の軟らかさや甘さを見極めなければいけません。ただ、マンゴーなどは普段あまり食べる機会もないことから、どのような状態になったものが完熟で美味しいかが判断できないという方が意外に多いです。

そこでここでは、マンゴーが食べごろを向かえた時のサインなどについて簡単にご紹介します。

マンゴーは「軟らかさと香り」で食べごろを見極める

一般的に、マンゴーの食べごろサインでは、色の変化で見極めることができると言われています。例えば、アップルマンゴーの場合は「十分に赤くなっていたらOK」、タイマンゴーやペリカンマンゴーの場合「黄緑色から黄色になっていればOK」などと言った感じです。しかし、果皮の色による判断は、以下のようなケースがあるため、注意が必要なのです。

  • ・アップルマンゴーは、ボイラーで人工的に赤くすることができる
  • ・ペリカンマンゴーは、黄色くなっても熟していない場合がある
  • ・マンゴーの中には、最初から最後まで色が変化しない物がある(キーツマンゴーなど)

このように、マンゴーは果皮の色だけで完熟を判断することが難しい場合があるのです。特に、贈答品として人気のアップルマンゴーは、見栄えを良くするために人工的に赤く色づかせているものがあるので注意が必要です。

それでは、マンゴーの食べごろは、どのようなポイントで判断すれば良いのでしょうか?それは「触った時の軟らかさ」と「香り」です。

マンゴーという果物は、品種や栽培方法に関係なく、成熟が進むと実が柔らかくなり、独特の強い香りが出てきます。その逆に、完熟手前のマンゴーは、指で押しても凹まないぐらいの硬さがあり、果皮の上からでは何の臭いも感じないはずです。
したがって、マンゴーを美味しい状態で食べるためには、色の変化などを見ながら、指で軽く押してみたり、甘い香りが出てきていないかを時々チェックするという方法がおすすめです。触った時に少し柔らかさを感じるようになった、果皮の上からでも強い甘い香りを感じるという状態になれば、食べごろのサインです。

この他には、マンゴーの表面に付着するブルームの状態を確認する方法もあります。ぶどうなども、果実の表面にブルームと呼ばれる白い粉のような物が付着しているのですが、これは果物が自ら出している天然成分で、新鮮な果物の証拠です。マンゴーの場合、このブルームがなくなり、表面がベタついてきたと感じた場合、食べごろと考えても良いです。

なお、マンゴーの成熟が進みすぎると、表面に黒い斑点のような物が出ます。この状態にまでなると、味が悪くなるので、この状態になる前に食べましょう。

まとめ

今回は、高級贈答用フルーツとして日本国内でも非常に高い人気を誇るマンゴーについて、適切な保存方法や完熟の見分け方をご紹介しました。

記事内でご紹介したように、マンゴーは追熟が必要な果物なので、完熟手前のものに関しては常温で保存するのが基本です。そして、完熟してから、冷蔵庫などで少し冷やしてから食べるのが良いでしょう。

なお、コンビニやスーパーなどで販売されているカットマンゴーについては、冷蔵庫などで保存するようにしましょう。カットされたフルーツを常温で置いたとしても、それ以上成熟が進むことはなく、傷んでしまうだけです。容器に記載されている保存方法と消費期限を守り、適切に食べるようにしましょう。

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