皆さんは、ぶどうの食べ方と聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか?

実は、昭和生まれの方と平成以降に生まれた方であれば、ぶどうの食べ方に関するイメージに結構違いが存在するのです。例えば、昭和生まれの方がイメージするぶどうは、「皮を剥くのがめんどくさい…」「種を出さなければいけないので人前で食べたくない…」など、美味しいフルーツであることは認めつつも、食べ方にはネガティブなイメージを持っている方が少なくありません。

しかし、これが平成以降に生まれた方であれば、「ぶどうは甘いし、スナック間隔で皮ごと食べられる手軽さがあるから好き!」と言った感じに、昭和生まれの方が持っている食べ方のイメージと全く逆の方が多いのです。なぜなら、ぶどうは年々品種改良が進んでいて、現在では「種無しで皮ごと食べられる」品種が多く開発されていて、若者の多くはコチラのぶどうのイメージが強いわけです。

そこで当コラムでは、ぶどうの中でも、皮ごと食べることができる品種について代表的なものをご紹介します。

ぶどうは皮ごと食べた方が栄養がある!?

ぶどうには、さまざまな栄養成分が含まれています。例えば、黒や赤のぶどうには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが多く含まれています。この他にも、体に吸収されやすいぶどう糖や果糖などの糖質も多く含まれているので、食べるとすぐエネルギーとして利用されるというメリットがあり、熱中症予防などにも役立つとされています。注意が必要なのは、ぶどうの中には、糖度が高い品種が多く、15度以上の糖度を持つものもあるため、糖質制限などをしている場合は注意してください。

そして、こういったぶどうの栄養素については、皮と種の部分に多く含まれていると言われています。日本ではぶどうの皮を剥いて食べるという習慣が根強いのですが、実は諸外国では、ぶどうは皮ごと食べるのが一般的だとされています。ちなみに、ぶどうを食べる際、皮を剥いて食べるのと皮ごと食べるのでは、以下の様に取得できる栄養素に差が生じます。

■皮を剥いて食べる場合の栄養成分

  • エネルギー:58kcal
  • 食物繊維:0.5g
  • カリウム:130mg
  • 葉酸:4μg

■皮ごと食べる場合の栄養成分

  • エネルギー:69kcal
  • 食物繊維:0.9g
  • カリウム:220mg
  • 葉酸:19μg

上記は、生のぶどう可食部100gあたりの栄養素を比較した時、取得できる栄養素の違いです。ぶどうを皮ごと食べると、カロリーが高くなる分、その他の栄養素も多く取り入れることができます。
こういったことからも、ぶどうの栄養素を余すことなく頂くためには、皮ごと食べるのがおすすめなのです。

関連:ぶどうに含まれる栄養と期待できる健康効果とは?疲労回復や眼精疲労におすすめ?

皮ごと食べても安全なの?

「ぶどうは皮ごと食べた方が栄養を摂取できる!」と聞いても、多くの日本人は、安全性が気になってしまうという意見が多いです。

どのようなフルーツでも、農薬などが付着していて、「皮ごと食べると、栄養は取れても薬害の危険があるのでは…」と不安になってしまう訳です。この点について結論から言ってしまうと、日本国内で栽培されたぶどうの場合、基本的に皮ごと食べても何の問題もないというのが答えです。

なぜなら、日本で使用できる農薬というのは、非常に厳しい基準が設けられていて、人が皮ごと食べたとしても体に害が生じないことが条件になっているのです。例えば、「皮ごと食べるとお腹が痛くなる…」なんて製品であれば、小さな子供が誤って口にしたら危険なため、そのようなことが起きないように基準が設定されているわけです。したがって、食べる前に軽く水洗いすれば、皮ごとそのまま食べることが可能です。

ちなみに、新鮮なぶどうには、表面に白い粉のような物が付着しているのですが、これを残留農薬と勘違いする人も多いです。ぶどう表面の白い粉は、ブルームと呼ばれる天然成分で、ぶどう自身が自分を守るために出しているものです。ブルームは、ぶどうが新鮮な証拠ですので、スーパーなどでぶどうを選ぶときには、表面に白い粉が浮いているものを選ぶのがおすすめです。

参照:農林水産省サイト

皮ごと食べられるぶどう品種とは?

それでは、日本国内で栽培されているぶどうの中でも、皮ごと食べられる代表的な品種をいくつかご紹介します。

シャインマスカット

種無し・皮ごと食べられるぶどう品種の代表格と言えば、やはりシャインマスカットでしょう。このぶどう品種が登場したことで、「皮ごと食べられるぶどうがある!」ということが日本人に浸透したのではないかと言えるほど人気のぶどう品種です。

シャインマスカットは、薄い皮のパリパリ食感が楽しめ、フルーティーな香りを楽しむことができる点が特徴の品種です。

関連:皮ごと食べられる高級ぶどう!シャインマスカットの特徴

ナガノパープル

ナガノパープルは、『毎日グレープ』という名称で、ぶどう類での生鮮食品として日本初の機能性表示食品として消費者庁に受理されたぶどう品種です。

皮ごと食べられるぶどう品種の中でもかなりの大粒ぶどうですので、食べ応えもあります。ナガノパープルは、黒系ぶどうで、ポリフェノールが豊富に含まれているうえ、しっかりとした甘さと程よい酸味を感じされる、バランスのよいぶどう品種として人気です。

瀬戸ジャイアンツ

瀬戸ジャイアンツは、1989年に品種登録されたまだ新しいぶどう品種です。ちなみに、岡山県で生まれたぶどうである事と、ぶどうの果実の形がどことなく桃に似ていることから『桃太郎ぶどう』とも呼ばれています。なお、桃太郎ぶどうという名称については、岡山県桃太郎ぶどう生産組合の登録商標となるので、この組合員か組合の承認を得た生産者のみが使用できます。

瀬戸ジャイアンツは、シャキシャキとした食感と爽やかな甘さが特徴で、ここ数年、一気のその人気が高くなっています。

関連:瀬戸ジャイアンツの特徴!「桃太郎ぶどう」とも呼ばれる岡山県生まれの高級ぶどう

サニードルチェ

サニードルチェは、生産量が少なく出回る量も少ないため、かなりレア度の高いぶどう品種です。通販サイトや直売所で見かけた時は、ぜひ購入してみてほしいです。ちなみに、このぶどう品種は、2009年に品種登録されたばかりの非常に新しい品種なので、名前すら初めて聞くという方も多いかもしれません。

サニードルチェは、実が大粒で長楕円形なのが特徴です。味については、まるで青リンゴのような風味を感じる独特なぶどうで、他のぶどう品種にはあまりない、シャキシャキとした食感を楽しむことができます。青リンゴのような爽やかな酸味としつこさのない甘さが特徴なので、いくらでも食べられるとても美味しいぶどうです。

関連:サニードルチェの特徴について。青リンゴのような独特の香りを持つ珍しいぶどう

まとめ

今回は、年々人気が高くなっている、皮ごと食べられるぶどう品種について解説しました。日本国内で流通するぶどうについては、小粒の種なしぶどうであるデラウエアや巨峰が長く主力であったため、「ぶどうは皮を剥いて食べる」というイメージが日本人に根付いています。

しかし、ぶどうは、現在でも新しい品種が登場するフルーツで、最近の流行は、大粒でも種無しで皮ごと食べられるものが人気になっています。シャインマスカットや瀬戸ジャイアンツの人気が非常に高いですが、それ以外にも皮ごと食べられるぶどうは多いので、ぜひいろいろな品種を食べてみてはいかがでしょう。ぶどうは、皮ごと食べた方が多くの栄養素を取れるので、オススメですよ!