家の中で飼育するペットの代表と言えば猫ですね。最近では、マンションなどの集合住宅で生活する方も増えているため、大型犬などを室内飼いする方も増えていると言われますが、室内で飼うペットと言えばやはり猫をイメージする方が多いと思います。特に現在では、テレビで保護猫を預かって人慣れさせると言ったコンテンツの番組が放送されていることもあり、ペットとして猫を迎えたいと考える方は多いように思えます。

そして、コロナ禍で在宅時間が長くなった昨今では、初めて猫を自宅に迎えたという方が一気に増えたと言われています。そして、そういったペットの飼育初心者の方の中には、ペットに与えても良い食べ物と与えると危険な食べ物が何なのかいまいち分からず、悩んでしまうという方も多いようです。特に、人間が好んで食べる果物については、自然界にあるものですし、人にとっては美味しいだけでなく健康効果も指摘されています。そのため、猫に与えた場合でも、美味しく食べてくれるのではないかと考える方が少なくないようです。

最初に行っておきますが、猫を飼育する際に与える食べ物については、猫用に作られたキャットフードやおやつに限定するのがおすすめです。人間が美味しいと感じるから、良かれと思ってそれ以外を与えてしまうと、猫の健康を害してしまう恐れがあるからです。この記事では、さまざまある果物の中でも、猫が食べていい物と猫が食べてはいけない物をご紹介します。

猫に与える食事の基本について

それではまず、猫に与える食事の基本として、そもそも猫は人間と同じように、野菜や果物を必要とするのかについて解説します。人間の食生活を考えた場合、「毎日くだもの200g」という活動が推奨されているように、人にとって果物は欠かせない食べ物と言えます。それでは猫も人と同じように、果物や野菜を与えた方が良いのでしょうか?

これについては、人とは全く異なると考えなければいけません。というのも、猫という生き物は、「完全肉食動物」と言われており、必要とする栄養素も消化機能も人間とは大きく異なると言われているのです。そのため、冒頭でご紹介したように、猫に与える食事としては、基本的に猫に必要な栄養を計算して配合したキャットフードを与えるだけというのが推奨されています。キャットフードは、猫に必要な栄養素が総合的に含まれている食べ物なので、これ以外の食べ物で栄養を摂取させる必要がないわけです。

なお、猫を長年飼育している飼い主さんの中には、それでも果物などを時々与えているという方も少なくないようです。ただ、猫に果物を与えている飼い主さんについても、栄養を補給させることが目的ではなく、あくまでも食べなくても構わない「おやつ」という立ち位置で与えている感じだとされます。なお、果物は水分が豊富で食物繊維なども含まれているので、水分補給や腸内環境を整えるといった効果は期待できるでしょう。

猫に果物を与える場合の注意点について

上述したように、猫は「栄養補給」のことを考えた時には、果物を与える必要はありません。また、飼い主さんが近くで果物を食べていても、犬と違って猫は果物を欲しがることもないと思います。

それでも、愛猫に果物を食べさせてあげたいと考える場合には、以下の点に注意して与えると良いでしょう。

  • 果物は細かく刻んだりすりつぶす
    猫は完全肉食動物で、消化機能が果物などの植物の消化に向いていないとされます。したがって、猫が食べた後に消化しやすいよう、細かく刻んだり、すりつぶした状態で与えるようにしましょう。
  • 与える場合でも少量にする
    果物は多くの糖分を含んでいます。人にとっては健康に良いのですが、身体が小さい猫にとっては、ハイカロリーな食べ物です。つまり、与えすぎると猫の健康を害す恐れがあるわけです。与える際の適量は、猫の大きさによって異なりますが、基本的には大匙1杯程度が適量とされます。
  • 皮や種を取り除く
    果物を与える際には、種や皮など、消化しづらい部分はきちんと取り除いてください。特に、種については、猫や犬にとって毒になる成分が含まれている場合があるので、必ず取り除きましょう。

どうしても猫に果物を与えたい場合は、上記のような点に注意しましょう。また、猫がアレルギーを持っていないか、心臓や腎臓に持病が無いかを事前に確認しておかなければいけません。果物は、全般的にカリウムが含まれているのですが、この成分は犬や猫にとって急性腎不全の原因となり得るのです。もともと持病を持っている猫にとっては、果物が大きなリスクになり得るのでその場合は与えるのを控えましょう。

猫が食べてはいけない果物

それではここからは、人間にとっては美味しくて健康効果も期待できるものの、猫にとっては危険な果物をご紹介していきます。上で紹介したように、猫は肉食の動物ですので、基本的には果物を与える必要は全くありません。ただ、全ての果物を与えてはいけないわけではなく、猫も食べることができる果物があるのも事実なのです。

しかし、果物の中には、犬や猫など、人がペットとして飼育する動物にとって非常に危険な食べ物も多いです。ここではまず、猫に絶対に与えてはいけない果物をご紹介します。

ぶどう

ぶどうは、高級贈答品としても好まれているなど、人間にとってはとても美味しい果物の一つです。しかし、猫にとっては危険で食べてはいけない果物なので絶対に与えないでください。

猫がぶどうを食べた時には、中毒症状となり急性腎不全を起こす可能性があります。特に、ぶどうの皮は、猫にとっては非常に危険で、最悪の場合、死んでしまうこともあるとされています。ちなみに、ぶどうの加工食品であるレーズンやぶどうジュースも同様に、猫にとっては危険なので、間違っても与えないようにしてください。
ぶどうの皮を捨てる際も、猫が誤って食べてしまわないよう、蓋のあるゴミ箱などに入れましょう。

いちじく

いちじくも猫にとっては危険です。イチジクは、人によって葉や茎に触れた時にかぶれる場合があるなど、生物に異変をもたらす植物です。

猫にとっても同様に危険な植物で、皮・葉・果肉に含まれている成分により中毒を引き起こす可能性があるとされています。間違っていちじくを与えてしまった時には、嘔吐や口腔内の炎症と言った症状が出る場合があるので、すぐに動物病院に連れていきましょう。

いちじくの葉や茎の部分から出る白い汁は、人によってはかぶれの症状が出ますが、猫の場合も皮膚炎を引き起こす時があります。したがって、いちじくは猫が触れる位置に置かないようにしましょう。

パパイヤやマンゴー

パイヤやマンゴーは、人にとってもアレルギー症状が出やすい果物として有名です。実は、猫も同様で、パイヤやマンゴーを猫に与えた場合、口内や唇にかゆみや炎症を起こす可能性があるとされています。健康な成猫であっても、アレルギー症状が出る可能性があるので、与えないようにしましょう。

猫が食べてもいい果物

それでは最後に、猫に与えても問題のない果物についてもご紹介します。なお、上述しているように、猫は完全肉食動物と言われているように、本来果物を与える必要のない動物です。猫が必要な栄養素は、キャットフードから全て摂取出来ますので、基本的には猫用に製造されている食べ物を与えるのを推奨します。

ただそれでも猫に果物を与えたいという場合は、以下のような果物であれば問題ないでしょう。

猫が食べてもいい果物

以下の果物であれば、猫に与えても健康被害の心配などはないでしょう。ただ、与える場合は、上で紹介した注意点を守ってください。

  • りんご
    リンゴは猫に与えても問題ありません。リンゴは整腸効果が期待できる食べ物なので、便秘がちな猫には良いかもしれませんね。ただ、適量以上に与えると、逆に下痢をしやすくなりますし、肥満や糖尿病の原因となります。
  • 和梨・洋梨
    梨は、和梨・洋梨ともに猫に与えても問題ありません。水分が多く含まれている果物なので、水分補給には適しているかもしれません。果肉がやや硬い果物なので、与える場合はのどに詰まらせないよう、細かく刻むか潰しましょう。
  • イチゴ
    イチゴは、ビタミンCが豊富なので、人にとっては美肌効果が期待できるとされます。ただ猫にとっては、食物繊維による整腸効果が期待できる食べ物です。猫に与える場合は、ヘタの部分をカットして、半粒程度の量にしましょう。

上記のような果物であれば、どのような猫でも与えても問題ありません。

猫が食べてもいいが注意が必要な果物

次は、基本的には食べても問題ないとされるのですが、一部の猫は注意が必要な果物です。

  • スイカやメロン
    スイカやメロンは、猫にとって水分補給になる果物です。ただ、猫に与える場合には、種を全て取り除いてから与えてください。さらに、スイカとメロンは、カリウムが多く含まれているため、心臓や腎臓の持病がある猫は与えないでください。

  • 桃は、水分が多く含まれていて、甘みがある果物です。猫にとっても、水分補給ができる果物なので、少量なら食べても良いとされています。注意が必要なのは、桃の種には、猫が中毒を起こす成分が含まれているので、与える際は、果肉のみを細かく刻んで与えましょう。
  • バナナ
    バナナは栄養価が非常に高い果物として有名です。実は、猫にとっても身体に良いとされる果物なので、与えても問題ありません。ただ、猫にとっては「栄養価がありすぎる」という点がネックになり、与えすぎると肥満の原因となります。バナナを与える場合は、一口程度に抑えるのがおすすめです。
  • パイナップル
    パイナップルは、人によっては食べると舌がヒリヒリするなどのアレルギー症状が出る場合があります。これは、パイナップルに含まれているたんぱく質分解酵素による症状なのですが、猫によっては同じような症状が出る場合があるので、パイナップルを与えた後に、口元を気にしている様子があれば、アレルギー症状のような物が出ていると考えられるので、その後は与えないようにしましょう。

上記のような果物は、いくつかの注意点を抑えておくことで、猫に与えることも可能です。

まとめ

今回は、猫に果物を与えても良いのか、また果物を与える場合でも、猫が食べてもいい物と食べてはいけない物をご紹介しました。

記事内でご紹介したように、猫は肉食の動物なので、人間が好んで食べる果物は、本来与える必要のない食べ物です。猫の健康を考えた時には、猫専用に製造されたキャットフードやおやつを与えるのが最も良いでしょう。

そもそも、猫は犬と違って、人間が食べている物にそこまで強い興味を持ちませんし、「基本的には果物は与えない方が良い!」と考えておくのが良いかもしれませんね。

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