今回は、ぶどうの冷凍保存について、冷凍庫で凍らせて保存する場合のメリットや、冷凍したぶどうを消費するための方法などについて解説します。

ぶどうは、樹上で完熟させたものを収穫する果物で、バナナや桃、メロンのように追熟することはありません。したがって、スーパーなどでぶどうを購入した、お中元などでぶどうを頂いたなんて時には、出来るだけ新鮮な状態で食べきるのがおすすめの果物です。ぶどうなど、樹上で完熟する果物は、「ぶどう狩り」のようなアウトドアレジャーとしても人気になっています。

ただ、一房にたくさんの実が付いているぶどうは、新鮮なうちに食べた方が良いと分かっていても、なかなか食べきるのが難しいという場合もあるのです。特に、夏の贈り物として人気になっていることもあり、一度に大量の大粒ぶどうが手に入る機会も多く、食べきれなくて困ってしまう…という声を耳にする機会は少なくありません。
実は、そんな時に試してほしい保存方法が『冷凍』で、冷凍庫で凍らせて保存することで通常よりもかなり長く保存することができるようになるのです。そこでこの記事では、ぶどうを冷凍保存する場合のメリットや、冷凍したぶどうを消費するための方法をご紹介しますので、ぜひこの夏は冷たいぶどうを楽しんでみてください。

基本的なぶどうの保存方法

まずは、一般的なぶどうの保存方法について解説します。冒頭でご紹介したように、ぶどうは樹上で完熟させる果物なので、基本的には購入後できるだけ早く食べるようにするのがおすすめです。水分が多い果物なので傷みやすく、あまり日持ちがしない果物の一つといっても良いでしょう。

そのようなぶどうの保存については、基本的には冷蔵庫の野菜室で保存するのがベターとされています。ただ、温度が極端に高くならないような場所であれば、常温で保存することも可能です。ここではまず、一般的なぶどうの保存方法と日持ちについて解説します。

ぶどうの常温保存と日持ちについて

ぶどうは、暑くなりすぎない場所であれば、常温保存で2~3日程度保存することが可能です。

ただし、ぶどうを美味しく食べるためには『鮮度』が非常に大切です。したがって、常温で保存する場合も、鮮度を落とさないように工夫する必要があります。例えば、温度や湿度が高い場所ではぶどうが傷みやすくなるので、常温保存する場合は「直射日光を避ける、暗くて風通しが良い」という条件の場所を探しましょう。保存に適した温度帯については、5~15℃程度ですので、家の中に冷暗所がない場合は、常温保存を諦めて冷蔵庫の野菜室で保存するようにしましょう。なお、新鮮なぶどうには、表面にブルームと呼ばれる天然成分(白い粉)が付着しています。これは、ぶどうが自ら鮮度を保つために出しているものなので、保存する場合は、これを落とさないよう、水洗いなどはしないようにしましょう。ぶどうは食べる直前に水洗いをしてください。

この他、常温保存する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • ・ぶどうは乾燥に弱い果物なので、乾燥を避けるため、キッチンペーパーなどに包んで保存してください
  • ・ぶどうは温度変化にも弱いので、クール便などで発送された場合は、常温ではなく冷蔵で保存しましょう。

常温で保存したぶどうでも、食べる直前に冷蔵庫に入れ、30分ほど冷やして食べるのがおすすめです。

ぶどうの冷蔵保存と日持ちについて

先ほどご紹介したように、ぶどうの保存方法としては、冷蔵庫の野菜室で保存するという方法がベターです。冷蔵保存であれば、約1週間保存可能とされています。

なお、ぶどうを冷蔵庫に入れる時は、事前にぶどうの状態をよく確認しておきましょう。例えば、腐った粒やカビが生えている粒がある場合、冷蔵庫に入れる前にきちんと取り除いてください。そうしないと、周りの粒も早く傷んでしまうことになります。また、軸から粒が落ちているものは、傷み始めている証拠なので、落ちたものから先に食べましょう。

ぶどうの冷蔵保存は、大粒ぶどうか小粒の品種かによって微妙に方法が異なりますので、以下を参考にして保存してください。

  • 大粒ぶどうの場合
    巨峰など大粒のぶどうは軸から実を取り、1粒ずつ房から外して保存すると長持ちします。軸から外したぶどうは、密閉容器にキッチンペーパーを敷き、1粒ずつ敷き詰めると良いです。
  • 小粒ぶどうの場合
    デラウェアなどの小粒ぶどうは、枝から実をはずさず、1房ずつキッチンペーパーに包んで密閉容器に入れ、冷蔵庫に入れましょう。この方が鮮度を保てるため、日持ちします。

ぶどうを冷凍保存するメリット

それでは次に、ぶどうを冷凍保存する場合のメリットについてご紹介します。ぶどうは、品種によっては冷凍で保存しない方が良い物もあるのですが、基本的に冷凍庫で保存することも可能です。

そして実は、ぶどうの冷凍保存には、その他の保存方法にはないメリットが存在するのです。ここでは、ぶどうを冷凍保存する場合のメリットについてご紹介します。

保存期間が伸びる

冷凍保存の最もわかりやすいメリットは、常温や冷蔵と比較すると、保存期間が長くなるという点です。

上述したように、ぶどうは傷みやすい果物なので、常温の場合で2~3日、冷蔵でも1週間程度が保存限界となります。しかし、冷凍保存しておけば、約1カ月ほど保存可能など、保存期間が一気に伸びるのです。
したがって、スーパーの特売でたくさん購入した、お中元などでたくさんぶどうを頂いたなんて場合は冷凍保存がおすすめです。

皮が剥きやすくなる

近年では、種なしで皮ごと食べられるぶどうがトレンドになっています。さまざまなぶどう品種で、種無し・皮ごと食べられるように品種改良されるようになっているのです。

ぶどうは、非常に味の良い果物として有名ですが、お子様の中には「皮を剥くのが面倒…」「種が入っているから苦手…」と言った感じに、皮を剥く作業などを原因にぶどうを嫌う人も少なくないのです。近年の、種無し・皮ごと食べられる品種が人気になっているのは、こういった理由もあるからなのだと思います。

そして実は、ぶどうを冷凍保存した場合、その他の保存方法と比較すると、皮が非常に剥きやすくなるというメリットがあるのです。ぶどうを冷凍すると、皮と実の間に隙間ができるため、水に少し浸しておくことで、ツルっと皮が剥けるようになるのです。

栄養価が高くなると言われている

ぶどうには、多くのポリフェノールが含まれていることが有名です。そしてぶどうに含まれるポリフェノールは、冷凍することにより細胞が破壊され、生の時よりも吸収されやすくなるというデータがあるようです。ただ、ぶどうのポリフェノールは、そのほとんどが皮に含まれているため、皮ごと食べられるぶどうでなければ、このメリットは意味がないかもしれません。

この他にも、ぶどうに含まれる果糖は、低温になるほど甘味を強く感じられる性質があるとされているので、冷凍することでよりおいしく感じるかもしれません。

ぶどうを冷凍する際の注意点

上で紹介したように、ぶどうの冷凍保存にはさまざまなメリットがあるとされています。ただ、冷凍したぶどうは、新鮮なぶどうの美味しさが失われてしまうというデメリットがあるので、その点は注意が必要です。冷凍したぶどうは、以下のように、ぶどうの良さが失われてしまう部分もあるので注意しましょう。

  • ・冷凍したぶどうを解凍して食べた場合、食感が悪くなります。したがって、半解凍のシャーベット状で食べるのがおすすめです。完全に解凍した冷凍ぶどうは、弾力がなくなってふにゃっとして美味しく感じられないという声がほとんどです。
  • ・甘味はアイスワインのように強く感じられるのですが、酸味が消えてぶどうのフレッシュ感がなくなってしまいます。

冷凍したぶどうは、通常のぶどうと同じような食べ方には少し適さないかもしれません。暑い夏場に、シャーベットとして楽しむというのなら良いのですが、ぶどうの美味しさを楽しみたいと考えるのなら、冷凍保存はあまりおすすめではありません。

冷凍ぶどうを大量消費する方法

それでは最後に、冷凍したぶどうを消費するための方法についてもご紹介します。上述したように、冷凍したぶどうは、解凍してそのまま食べるという方法では、食感や味が生のものよりもかなり劣ってしまいます。したがって、シャーベット状のものを食べる、加工してから食べるのがおすすめなのですが、いまいちどのようなレシピがあるか分からないという方も多いことでしょう。

そこでここでは、冷凍ぶどうを大量消費可能な方法についていくつかご紹介します。

①氷として使う

最も簡単な方法が、冷凍ぶどうを『氷』として利用するという方法です。気温が高くなる夏場は、お子様のおやつにジュースを添えて出す機会も増えますよね。その際には、ジュースがすぐにぬるくならないよう、氷を入れる場合がほとんどだと思います。

ここまで言えばわかると思いますが、ジュースに入れる氷を冷凍ぶどうにするという方法があるのです。この方法であれば、たくさんのぶどうを消費できますし、お子様が飲むジュースも氷が解けることで薄まる…なんてことがなくなります。また、程よく解けたぶどうを食べることもできます。

②ラッシーにして飲む

夏の朝食などにおすすめなのが、冷凍ぶどうを使ったラッシーです。ミキサーがあれば簡単に作ることができますので、試してみてはいかがでしょう。

まずは、材料として「冷凍ぶどう:200g、牛乳:200ml、無糖ヨーグルト:100g、砂糖:大さじ2、ミント(なくてもOK):2枚」を用意しましょう。材料が用意出来たら、以下の手順でラッシーを作りましょう。

  • STEP1:冷凍ぶどうを柔らかくなるまで少し置いておく
  • STEP2:ミキサーに上記の材料を全て入れて撹拌する
  • STEP3:氷を入れたグラスに入れて完成!

砂糖の量はお好みで調整してください。牛乳やヨーグルトなどを使って簡単に作れるので、夏の朝食にとてもおすすめです。

ラッシーと似たような材料でぶどうのジェラートを作ることも可能です。ジェラートのレシピは、クックパッドに掲載されていたので、以下のページを参考にしてみましょう。

> ぶどうジェラートの作り方

まとめ

今回は、ぶどうを冷凍保存する場合のメリットや、冷凍ぶどうを消費するための方法をご紹介しました。記事内でご紹介したように、ぶどうは冷凍保存することで、保存可能期間が伸びるだけでなく、皮が剥きやすくなる、栄養価が高くなるなどのメリットが得られます。また、一度冷凍したぶどうは、ラッシーやジェラート、スムージーなどとして食べることが可能なので、夏場は非常に重宝するかもしれませんよ。

ただ、ぶどうを最も美味しい状態で食べたいと考えるなら、やはり冷凍ではなく新鮮なうちに食べていただくのがおすすめです。ぶどうは追熟させる必要のない果物なので、基本的に、購入した当日もしくは翌日中に食べきるのがおすすめですよ。