今回は、夏が旬の果物について、暑い夏に果物を食べることで夏バテ防止に役立つのかを解説したいと思います。

気温が高くなる夏ですが、天気が良い日が続くこともあり、屋外レジャーを楽しみにしているという方は多いのではないでしょうか?しかし、高温多湿の日本の夏は、汗をかきやすく疲れがたまりやすい季節でもあるので注意が必要です。実際に、夏は他の季節ではない「夏バテ」という表現が当たり前に使われているように、高い気温と湿度の影響を受けてしまい、なかなか疲れが抜けない…なんてことに悩む人が増えてしまうのです。

せっかくアウトドアレジャーを思い切り楽しめる季節なのに、夏バテしていては台無しになってしまいます。そして実は、夏バテを乗り切るためには、暑い季節に旬を迎える夏の果物を積極的に摂取することがおすすめとされているのです。夏が旬の果物は、比較的お手頃価格で手に入れることができるなど、消費者にとってはうれしいポイントがたくさん存在します。そこでこの記事では、これから迎える本格的な夏に向け、夏が旬の果物がなぜおすすめなのかを解説します。

夏の果物に含まれる主な栄養素

それではまず、夏の果物に含まれる主な栄養素をご紹介します。実は、夏が旬の果物は、夏バテを乗り越えるために必要な栄養素がたくさん含まれているのです。

ビタミンC

夏が旬の果物は、ビタミンCが豊富に含まれている物が多いという特徴があります。ビタミンCは、抗ストレスホルモンを分泌するために必要な成分とされています。人は、ストレスを感じた時、抗ストレスホルモンを分泌して、ストレスへの抵抗力を高めるとされているのですが、これは腎臓のそばにある副腎と呼ばれる器官が働いているからです。ビタミンCは、この副腎の負担を軽減することができ、夏の暑さによるストレスや疲れへの抵抗力を高めることができます。

さらに、ビタミンCは、美肌効果を持つ成分として有名です。ビタミンCはコラーゲンとのかかわりが深く、メラニン色素の生成を抑えるという効果を期待できることから、強い日差しにより肌がダメージを受けやすい夏にこそ摂取したい栄養素なのです。

カリウム

夏に不足しやすく夏バテの要因となる栄養素が、マグネシウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルです。夏は、高い気温の影響で、大量の汗をかいてしまいます。そして、その汗と一緒に大量のミネラル類が身体から排出されることで、不足してしまうようになるのです。近年では、熱中症対策は水分だけでなく、ミネラル類の摂取が必要と言われるようになっていますが、これが要因ですね。

カリウムは、ミネラル類の中で体内で最も多くある成分と言われており、余分な塩分を体外に排出する、神経の伝達を手助けするといった役割を果たしています。したがって、不足してはいけない栄養素と言えるのです。なお、健康な方であれば、通常の生活をおくっていればカリウムが不足する事態になることは少ないとされています。しかし、夏場は暑さで食欲が落ちてしまい、汗による排出と食事による摂取のバランスが崩れて、カリウム不足に陥り、さらにそこから夏バテに発展するというケースが少なくないようです。
果物は、食欲が減退している時でも食べやすいですし、夏バテ防止を目的に、カリウムを補う食べ物として重宝するはずです。

消化酵素

消化酵素とは、食べ物を分解し、消化・吸収を促進する酵素の総称です。この成分は、食べ物を分解し、最終的に食物の栄養素を小腸から吸収できる形へと変化させるという役割りを果たしています。消化酵素には、消化のサポートだけでなく、代謝アップや美肌効果などさまざまな効果があるとされています。

夏場は高温多湿な気候により、食欲が落ちてしまい、アイスやジュースなどの冷たい食べ物・飲み物ばかり口にするようになる人も多いです。また、気温の高い屋外から、冷房で冷やされた部屋を移動する機会が多く、寒暖差により胃腸に負担がかかってしまうことも多いとされています。こういった時に有効なのが、消化酵素を含む果物の摂取で、弱った胃腸の働きをサポートしてくれることから、夏バテ防止に役立つとされているのです。
なお、夏の果物の中には、体温を下げる効果を持つものありますので、食べ過ぎには注意が必要です。

夏に食べたい旬の果物とは

それでは、夏バテ防止の効果が期待できる旬の果物についてもご紹介してみます。夏の果物と聞くと、誰もがスイカをイメージしますが、それ以外にもたくさんの果物があります。ここでは、代表的な夏が旬の果物とそれぞれの特徴をご紹介します。

スイカ

夏を代表するスイカは、夏バテや熱中症防止に役立つフルーツとしても有名です。スイカは、さまざまな栄養素を摂取できるだけでなく、水分を多く含む果物であることから、同時に水分補給をすることができます。

スイカは、カリウムを始めとしてミネラルを豊富に含んでおり、ビタミンCやβカロテン、リコピンなど、気温が高い夏場に嬉しい栄養素を多く含んでいます。スイカは、切って冷蔵庫に入れておけばいつでも手軽に食べることができますので、水分補給と一緒に夏バテ防止のための栄養を摂取可能です。なお、スイカを食べる際は、少し塩を振って食べることで、汗で排出されるミネラルの補給も効率的にできるようになります。

注意が必要なのは、食べ過ぎると体を過度に冷やす原因になります。また、利尿作用がある成分が含まれているので、ビールなどと一緒に食べると、水分が尿として排出されてしまうことで、脱水や熱中症の危険性が高くなります。

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日本人が大好きな桃も、7~8月頃が旬で、夏を代表する果物の一つと言っても良いです。桃は、味が良いだけでなく、含まれている栄養素のバランスが非常に良いことでも有名です。

スイカと同じく、カリウムが豊富に含まれていますし、整腸効果をもたらせてくれる食物繊維(ペクチン)も豊富に含まれています。桃も、水分が豊富に含まれていて、水分補給の意味合いで食べる果物としても非常におすすめですよ。

なお、桃は、冷やしすぎると甘みが分かりにくくなる点は注意が必要です。スイカは、切った後に冷蔵庫に入れて保存しても美味しく食べられますが、桃の場合は、食べる1時間ほど前に冷蔵庫に移し、少し冷たさを感じる程度で口にするのがおすすめです。

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柑橘(夏ミカンやレモン)

夏みかんやレモンなどの柑橘は、爽やかな香りとさっぱりとした味で食欲が減退しやすい夏でも食べやすい果物として有名です。ちなみに、夏みかんは「夏」という名称がついていることから夏に収穫時期を迎えるみかんなのだと考える方が多いです。ただ、収穫自体は冬に行われていて、収穫したばかりは酸味が強すぎるため、出荷するまで倉庫で寝かせて酸抜きをします。そのため、収穫時期と市場に出回る時期に違いが生じるのです。ちなみに、夏のイメージが非常に強いレモンも、国産物の収穫は10月頃から翌5月頃となります。

柑橘類は、ビタミンCやクエン酸が豊富に含まれている果物として有名ですね。上述したように、ビタミンCは、副腎で消費され、ストレスの緩和に役立ち、夏バテ防止にも役立つとされています。クエン酸に関しては、唾液や胃液の分泌を活性化させる効果が期待できますので、食欲が低下しがちな夏場は是非摂取してほしい栄養素です。

キウイ

キウイは、特に夏が旬の果物というわけではなく、一年中スーパーの店頭などで見かけることができます。これは、国産のキウイと輸入物のキウイの旬がズレているからです。夏場に手に入るキウイは、オーストラリアなどで生産されている外国産の物となります。特に、夏の果物というイメージはないかもしれませんが、栄養が非常に豊富な果物なので、夏バテ防止目的で口にする果物としてはとてもおすすめ出来ます。

キウイは、全ての果物の中でも特に栄養が豊富なことで有名で、食物繊維、ビタミン、ミネラル、クエン酸など、バランスよく栄養を摂取することができます。特に、ビタミンCについては、その代名詞として有名なレモンよりも含有量が多いです。キウイは、一日に2個食べれば、成人が一日に必要とするビタミンCを十分に賄えると言われるほどなのです。

一般的に、半分に切ってスプーンですくって食べる果物のイメージが強いですが、皮ごと食べられる品種もあります。食物繊維は、皮の部分に多くが含まれているため、整腸効果を期待している場合は、皮ごと食べられる品種を選ぶと良いでしょう。

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まとめ

今回は、夏に向けて、夏バテや熱中症予防のことも考えて、夏に食べてほしい果物をご紹介しました。日本の夏は、単に気温が高いだけでなく、湿度が高くなってしまうことから、どうしても快適に過ごすのが難しく感じる季節です。もちろん、夏にこそ楽しめるレジャーも多くありますが、基本的に屋外で楽しむものが多いため、余計に疲れがたまって夏バテを助長してしまうケースもあるのです。

記事内では、夏バテ予防や解消が期待できる栄養素と、それが多く含まれる果物をご紹介していますので、是非この夏を元気に過ごすためにも、参考にしてみてください。