
スイカに塩をかけると美味しくなるって本当なの?
皆さんは、スイカに塩をかけて食べると美味しくなる、甘くなるという話を耳にしたことは有りませんか。塩は、そのまま舐めると塩辛い調味料ですし、これを甘さを楽しむための果物にかけるなんておかしいのでは…と感じてしまう方も多いかもしれません。
しかし実は、スイカに塩をかけて食べると甘さが引き立つというのは本当の話で、実際にスイカに少しの塩を振って食べているという方もそれなりにいるのです。ある企業がネット上で行ったアンケート調査によると、塩をかけずのそのまま食べる人の割合が多かったものの、塩をかけて食べるという人の割合も4割弱いたとされるなど、それなりの人数の方が塩をかけているのです。
それでは、スイカに塩をかけているのに「甘みが強くなる」という効果が得られるのはなぜなのでしょうか?この記事では、スイカに塩をかけて甘く感じられる理由などについて解説します。
塩をかけるとスイカは甘くなるのか?
スイカに塩をかけるなんて信じられない…という方も一定数いるかと思いますが、昔からスイカと食塩は相性が良く、美味しさを引き出してくれると言われています。実際に、スイカの旬の時期になると、スーパーなどのスイカ売り場では、横に食塩が並んでいる…なんてことも珍しくなく、スイカとセットで塩を購入するという人も多いのです。
ここでは、なぜスイカと食塩を組み合わせると甘さが協調されるのかについて解説します。
人が感じる味覚は5種類
食塩は、料理に欠かすことができない調味料の一つです。そのまま塩だけを口にすると、ピリッとした塩辛さを感じることができると思うのですが、これは舌に備わっている「味蕾(みらい)」と呼ばれる味覚センサーが塩味を感じ取っているからだそうです。
なお、「味蕾(みらい)」で感じ取ることができる味については、塩味意外に甘味・酸味・苦味・うま味の5種類とされていて、この5種類が「基本味」と呼ばれています。なお、味蕾は、花のつぼみのような形をしているそうで、舌以外にも、咽頭、軟口蓋などに存在するとされています。
どのような食べ物でも、複数の基本味が組み合わさった味をしていて、その組み合わせによって味が強調されたり、弱くなったりします。そして、スイカと塩の組み合わせは、この基本味の関係で甘さが強調されているのです。
対比効果によってスイカの甘さがより引き立つ
調理に使用する塩には、『対比効果』『抑制効果』があるといわれています。このうち、対比効果は、適度な塩辛さには、食べ物の甘さを引き出す効果があることを指していて、反対同士の味を組み合わせると、片方の味がもう片方の味を引き立たせるという効果が得られるのです。
スイカと塩の場合、甘味のあるスイカと食塩を同時に口に入れることで、対比効果が起き、スイカの甘みが引き立たされるわけです。ちなみに、ただ食塩をかければ良いというわけではなく、大量に食塩をかけすぎると、塩の味が強くなりすぎてしまいます。
このように、スイカに塩をかけるという行為は、反対同士の味を組み合わせることで、甘さが引き立てられるという効果が得られているわけです。なお、塩を使った対比効果は、その他の場面でもよく利用されています。和菓子に使われるあんこやお汁粉は、とても甘いというイメージがあると思うのですが、これも少しの塩が入れられている炒め、甘さを強く感じられているのです。
スイカ+塩は美味しさ以外にもメリットがある
スイカに塩をかけて食べることで、より甘さが引き立つ理由が分かっていただけたと思います。適量の塩をかけることで、対比効果が生まれ、より甘く感じるというものなのです。
ただ、猛暑化が進んでいる昨今の夏は、スイカ+塩という組み合わせは、単に美味しさが引き立つだけで注目されているわけではないようです。スイカ+塩という組み合わせは、熱中症対策の面で考えても非常に効果的な組み合わせとみなされているのです。
そもそも、スイカは、約90%が水分で構成されているとされ、熱中症予防に欠かせないとされる水分補給の役割が、スイカを食べることで果たすことができるのです。単に水だけを飲むのと比較すると、その他の栄養素も同時に摂取することができるようになるわけですし、さらに味気ない水よりも美味しさまで感じることができ、熱中症予防の水分補給としてはまさにうってつけの果物といえるのです。
さらに、熱中症対策を考えた時には、水分だけでなく塩分の摂取も必要と言われるようになっていますよね。人が汗をかいたときには、水分だけでなく、塩分などのミネラルが体外に排出されるため、これを補うためにも塩分を摂取しなければならないのです。ここまで聞けば、スイカ+食塩の組み合わせがどれだけ理想的なのか分かっていただけると思います。
スイカを食べる際、少しの塩をかけるだけで、美味しくなるだけでなく、熱中症対策に欠かせない水分と塩分を同時に摂取することができるわけです。夏の気温がどんどん上昇している昨今、美味しさだけでなく、人の健康まで守ってくれる組み合わせがスイカ+塩な訳です。
まとめ
今回は、普通に考えると、果物の食べ方としては間違っていると感じる「スイカ+塩」という組み合わせについて、なぜスイカに塩をかけることで美味しく感じられるのかをご紹介しました。
記事内でご紹介したように、スイカと塩の組み合わせは、対比効果によってスイカの甘さが引き立てられているため、よりおいしく感じられるようになっているのです。もちろん、大量の塩をかけてしまうと、甘さを引き立てるどころの話ではなくなるので、少量の塩をかけるだけにとどめてください。
ちなみに、果物に塩をかけて食べるという話は、スイカでしか聞きませんよね。そのため、他の果物と塩は会わないのではないか…と感じる人も多いのですが、甘さが特徴の果物であれば、少量の塩でその甘さを引き立てることができるのは間違いありません。つまり、他の果物でも塩をかけることで美味しく感じられる可能性があるということです。
ただ、「美味しい」と感じるかどうかは人それぞれなので、試してみる時はちょっとづつ塩をかけて自分が気に入るかどうかを確認するようにしましょう。