日本人が果物を食べる時には、ほとんどの場合、皮を剥いてから食べているのではないでしょうか?キウイフルーツのように、半分に切ってスプーンで果実のみを掬って食べるといった場合もありますが、これらの果物でも外皮は食べることなく廃棄するのが一般的ですよね。

しかし、果物の中には、日本と諸外国で食べ方がかなり異なる場合もあるとされています。例えば、最近でこそ「皮ごと食べられる」ぶどう品種が増えてきたものの、一般的には「皮を剥いて食べるフルーツ」というイメージが強いのではないでしょうか?ただ、諸外国のぶどうの食べ方で言えば、現在のように品種改良がされる以前から、皮ごと食べるのが当たり前だったとされています。

それでは、果物を食べる際、皮の取り扱いはどうしたら良いのでしょうか?果物の皮を剥くのは、皮ごと食べるとお腹が痛くなったりしないか心配…と言った感情があることも要因だと思います。そこでこの記事では、さまざまな果物について、食べてはいけない果物の皮があるのか、また「果物は皮ごと食べた方が栄養が多い」という情報が本当なのかについて解説します。

食べてはいけない果物の皮はある?

それではまず、「食べてはいけない果物の皮はある?」という疑問について考えてみましょう。冒頭でご紹介したように、日本人は、ほとんどの果物について、食べる際には外皮を綺麗に取り除いてから食べていると思います。リンゴなどについては、皮ごと食べても、食感に大きな違和感はありませんし、極端に味が落ちるなんてこともないのに、わざわざ包丁を出して皮を剥いてから食べるのが一般的です。皮ごと食べた方が面倒もないのに、わざわざ手間を増やすということは、「果物の皮を食べると、何か問題があるのかな?」と勘ぐってしまいますよね。

これについて、結論からご紹介しますが、スーパーなどで販売されている一般的な食用の果物について、その皮に毒性を含むようなものはないので、基本的にどの果物でも皮ごと食べる事は可能です。つまり、「食べてはいけない果物の皮」というものはないのです。

もちろん、果物の中には、ライチやリュウガンなど外皮が硬い物、パイナップルのようにとげとげしい物がありますので、そのまま食べることが難しい場合もあります。しかし、このような果物でも、皮に毒性があるわけではないので、食べられないというわけではないのです。ちなみに、スイカも、外皮が分厚く固い果物として有名ですが、スイカの皮は漬物や炒め物の材料として使用される場合もあるなど、地域によっては普通に食べられているという現実もあるのです。

日本国内で、果物の皮を必ず剥くというイメージが根強いのは、「表面に農薬が付着しているのではないか…」と言った考えがあり、残留農薬が健康に良くないという思考を持つ方が多いからでしょう。ただ、果物を栽培する際の農薬についても、人体に影響が出ないようにきちんと基準が作られているので、市販されている果物は皮ごと食べても健康被害が出るような事はないはずです。

農薬は、健康に与える影響や残留性等について審査され、国に登録されたものしか使用できない決まりがあります。さらに、作物ごとに使える農薬と、その頻度や時期が決められ、正しく使えば「残留農薬基準」を超えないようになっています。
引用:農薬の決まり

皮ごと果物を食べるメリットとは?

近年では、日本国内での果物の取り扱い方に変化の兆しが見えてきています。それは、「皮ごと食べられる」という点をメリットとして販売されている果物が登場しているという点です。

例えば、ぶどうについて言えば、シャインマスカットや瀬戸ジャイアンツなど、若者のぶどうのトレンドは「種無しで皮ごと食べられる」という特徴を持つ品種が人気になっているのです。これは、ぶどう狩りなど、アウトドアレジャーとして果物狩りの人気が高くなっていて、その場で食べるには「皮ごと食べられるものが良い」と考えられるようになったのが一つの理由と言えます。昔から、果物狩りとしては「イチゴ」が人気でしたが、近年では、夏の終わりから秋にかけてはぶどう狩りが全国で人気になっています。そして、ぶどう狩りでは、収穫してそのまま口に入れることができるシャインマスカットなどの人気が非常に高いのです。

さらに、ぶどうに限らず、さまざまな果物は「皮ごと」食べることで、以下のようなメリットが得られるとされています。

  • ・皮を剥くよりも多くの栄養が摂取できる
  • ・食物繊維を摂取できる

果物を皮ごと食べる場合のメリットは、皮を剥いて食べるよりも皮ごと食べた方が多くの栄養素を摂取することができるからです。実は、多くの果物は、外皮の部分に多くの栄養素が含まれているとされるのです。つまり、「皮を剥いて果物を食べる」という行為は「皮に含まれる栄養を捨てる」と言い換えることができ、実は非常にもったいない行為をしていると判断できるわけですね。

特に、現代人が不足していると言われる食物繊維については、そのほとんどが皮に含まれている果物が多いため、食物繊維の摂取が目的に果物を食べる場合、皮ごと食べなければ意味がないとまで言えるのです。

果物の皮に含まれる栄養素とは

それでは、果物の皮にどのような栄養素が含まれているのかについても解説してみます。当然、果物の種類によって皮に含まれる栄養素は変わります。ここでは、一般的に「皮を剥いて」食べる果物について、普段廃棄している皮にどのような栄養素が含まれているのかをご紹介します。

  • ぶどうの皮
    ぶどうの皮には、アントシアニンやレスベラトロールなどのポリフェノールが含まれています。ぶどうはポリフェノールの接種を目的に食べる方もいますが、その場合は皮ごと食べなければ意味がありません。
  • リンゴの皮
    リンゴはさまざまなポリフェノールが含まれている果物として有名で、リンゴに含まれるポリフェノールは「リンゴポリフェノール」という総称で呼ばれています。ただ、リンゴポリフェノールは、果肉部分よりも皮に多く含まれているとされます。したがって、リンゴの栄養を余さず摂取したいと考えるなら、皮ごと食べるのがおすすめです。
  • 梨の皮
    梨は、リンゴと同じく、外皮を剥いてから4~8等分に切って食べる方が多いですね。ただ、梨の皮にはソルビトール、アスパラギン酸、カリウムなど、栄養が豊富に含まれているので、皮ごと食べるのがおすすめです。さらに、梨は皮の周辺部分に糖分が多く含まれる事が分かっていて、皮ごと食べた方が甘さを良く感じるとされています。
  • キウイの皮
    キウイは、外皮の表面に毛のような物があるため、多くの方は半分に切ってスプーンで掬って食べると思います。そして、果肉を食べた後の皮は、廃棄するのが一般的です。ただ、キウイの皮には非常に豊富な栄養素が含まれていて、皮ごと食べた場合、食物繊維の摂取量が約2倍、葉酸やビタミンEは1.3倍ほど多く摂取できるとされています。ゴールドキウイは、外皮表面の毛がないので、皮ごとでも食べやすいです。キウイは、さまざまな果物の中でも特に栄養が豊富なことが有名なので、ゴールドキウイを皮ごと食べるのがおすすめです。
  • 桃の皮
    桃の皮も表面にうぶ毛がたくさん生えているため、皮ごと食べるのは躊躇してしまいますよね。ただ、表面のうぶ毛は、流水で擦り洗いすればとれるので、皮ごと食べることも可能です。そして、桃の皮には、カテキンやビタミンE、ナイアシンなど、豊富な栄養素が含まれています。

このように、一般的には廃棄される果物の皮ですが、果肉と一緒に食べることで、余すことなく栄養を摂取することができるのです。最近では、バナナなどでも、「皮ごと食べられる」ように品種改良がされている物が登場しているなど、今後は、日本でも皮ごと食べるのが常識になっていくのかもしれませんね。

果物の皮は食べなくても活用方法がある

ここまでは、果物を食べる時は「皮ごと」食べる方が多くの栄養が得られることについて解説しました。ただ、今まで皮はきちんと取り除いて食べていたという方からすると、皮ごと食べた時にはどうして違和感を感じてしまう…なんて場合も考えられます。果物を皮ごと食べる場合には、やはり食感なども変わりますし、味も薄まる可能性があります。したがって、「皮ごと食べる」という行為が、どうしても自分の好みではないという場合は、今まで通り皮を取り除いてから食べるのでも良いと思います。

ただ、このような方でも、果物の皮はそのまま捨てるのではなく、他の利用方法があるということを覚えておくと良いでしょう。実は、果物の皮は、お掃除を効率的に進める、お風呂快適にするなど、さまざまな利用方法があるのです。ここで、あまり知られていない、果物の皮の活用方法について簡単にご紹介します。

  • バナナの皮
    バナナの皮は、肥料に活用したり、革製品の艶出しに利用することができるとされています。
  • リンゴの皮
    リンゴに含まれるリンゴ酸は酸性なので、中和によってアルカリ性の汚れをスッキリと落とすことができるとされます。そのため、リンゴの皮は、シンクのヌメリやくもり、アルミ鍋の黒ずみや水垢汚れを落とすのに活用することができるとされています。この他にも、乾燥させたリンゴの皮をガーゼなどに入れてお風呂に浮かべれば天然の入浴剤として活用することもできます。
  • 柑橘類の皮
    みかんやレモンなど、柑橘類の皮は、お家のお掃除に活用することができることが有名です。みかんの皮の利用方法は、以前別の記事でご紹介しているので、そちらの記事をご確認ください。この他にも、柚子の皮は、台湾などで天然の蚊取り線香の材料として利用されているなど、夏場の蚊対策に有効活用できるそうです。

関連記事:みかんの皮は大掃除にも活用できる?みかんは美味しいだけじゃなく掃除に入浴剤に大活躍!

まとめ

今回は、果物の食べ方について、皮ごと果物を食べても問題はないのかについて解説しました。一般的に、ほとんどの果物は、外皮を取り除いてから、果肉のみを口にするという食べ方が多いです。ぶどうに関しては、「種無し・皮ごと」が現在のトレンドのようになっていますが、それでも昔からぶどう品種として有名な巨峰やピオーネ、デラウエアなどは、皮は食べずに捨てるという方がほとんどだと思います。

それでは、日本では一般的に廃棄される果物の皮は、食べることで何らかの健康被害が考えられるのでしょうか?もしくは、毒性のある成分が含まれているため、皮は食べないというのが一般化しているのでしょうか?

実は、そのようなことはなく、果物の皮を食べたとしても健康を害するような問題に発展する危険はありません。それどころか、果物の皮には、果肉以上の栄養素が含まれている場合もあり、気にならないのであれば皮ごと食べるのが推奨されているのです。記事内では、果物の皮に含まれる栄養素などもご紹介していますので、食べられるものについては、皮ごと食べるようにしてみるのも良いのではないでしょうか?