まもなく旬を迎えるメロンは、外見から美味しい状態に熟しているのかを見分けるのがなかなか難しいフルーツです。実際に、食べごろを向かえたと思ってメロンを切ってみたけれど、まだ果肉が硬くて美味しく感じられなかった…なんて経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか？

このような問題については、食べごろを向かえる前に手を付けてしまったのが要因なのですが、この他にも適切な方法で追熟させていなかった…なんて失敗の可能性もあります。メロンは、収穫後に甘さをより引き出すための追熟という作業が必要なのですが、それを知らずに冷蔵庫などに入れてしまうと、本来メロンが持つはずの甘さを楽しむことができないのです。

今年は、メロンが大豊作になったと言われ、例年よりもお手頃な価格て手に入れる事が出来るのではないかと言われています。ただ、普段あまり食べる機会がない果物なので、正しい追熟方法や食べ頃の見分け方を知らない人も多いようです。そこでこの記事では、メロンの追熟方法と食べごろを向かえたメロンの見分け方をご紹介します。

メロンの追熟方法

メロンは、品種によって旬の時期が変わるのですが、基本的に初夏から夏にかけて出回る果物です。そのため、これから本格的な出盛り期を迎え、スーパーなどでも見かける機会が増えていくと思います。特に今年は、例年に比べてメロンの収穫量が非常に多くなる大豊作が予想されており、お手頃価格でメロンを購入することができるのではないかと言われています。

ただ、スーパーなどでメロンを購入した時には、「持ち帰ってすぐに食べる」「すぐに冷蔵庫に入れる」といった対応を行ってはいけません。実は、メロンは収穫後に追熟させる必要がある果物で、これを怠ると本来の美味しさを引き出せなくなってしまうのです。ここでは、メロンを正しく追熟させるための注意点をご紹介します。

追熟とは？

果物の中には、樹上で完熟する物と収穫後に追熟させなければならないものがあります。メロンは、後者の追熟が必要な果物で、収穫後に追熟させることで、果肉が柔らかくなり本来の甘みを引き出すことができるのです。

追熟とは、植物が成熟する過程で起こる変化のことで、メロン以外にも、桃やりんご、マンゴーなどでも起こる現象です。

追熟しない果物は、収穫した時点が食べごろといえるのですが、メロンなどのように追熟させなければならない果物は、追熟による変化をしっかりと見極めなければいけません。一般的に、追熟が進んだ果物は、果皮の上からでもわかるぐらい果肉が柔らかくなる、香りが強くなるなどの変化があらわれます。なお、メロンの食べごろのサインについては後述します。

正しい追熟方法について

それでは、メロンを正しく追熟させるにはどうすれば良いのかもご紹介します。メロンに限らず、果物を美味しく食べるには冷蔵庫で少し冷やした方が良いと考える人が多いですよね。そのため、スーパーなどでメロンを購入した際には、家に持ち帰ってすぐ、冷蔵庫に入れてしまう人がいるのです。しかし、冷蔵庫などの低温環境に置くと、果物の追熟が止まってしまうので、すぐに冷蔵庫に入れるのはNGです。

果物の追熟は「常温」の環境に置くということが基本と覚えておきましょう。そして、以下の手順でメロンの追熟を進めると良いです。

  • ①箱入りのメロンは、箱から出す
  • ②メロンのお尻に4つ折りにしたキッチンペーパーなど緩衝材を置く
  • ③「②」の状態で風通しのより常温環境に2～3日程度置く
  • ④食べごろを向かえたら冷蔵庫に入れて少し冷やす

箱に入れたままの状態で追熟を進めると、湿気がこもってしまうことでメロンが傷みやすくなってしまいます。したがって、箱入りのメロンは、外に出してから追熟を進めましょう。追熟させるときには、直射日光が当たらない、クーラーの冷気が直接当たらない場所を選んでください。可能であれば、風通しが良く、涼しい環境の冷暗所を用意しましょう。

追熟させる期間については、購入したメロンの状態によって微妙に異なります。追熟を進めすぎると過熟となり、食味が落ちてしまう可能性があるので、小まめにメロンの状態を確認しながら、自分の好みの状態で食べられるようにしましょう。
一般的に、関西地方では果肉が十分に柔らかくなるまで待つ場合が多いのですが、関東よりも北は果肉が適度に硬い状態が好まれるそうです。人それぞれ、美味しいと感じる状態は変わると思うので、しっかりと自分好みの食べごろ状態を見逃さないようにしましょう。完熟したメロンは、冷蔵庫に入れることで追熟が止まります。

メロンの食べ頃の見分け方

それでは、追熟をさせているメロンについて、どの状態になった時に食べごろと思えば良いのか、その見分け方についてご紹介します。メロンの食べごろを見分ける際には、「ヘタの状態」「お尻の柔らかさ」「香り」の3つのポイントで判断可能です。

それぞれのポイントについてもう少し詳しくご紹介します。

①ヘタの状態

メロンの食べごろを見分ける時、一つ目のポイントになるのがヘタ（つる）の状態です。追熟をさせていくうちに、メロンのヘタは以下のように変化していきます。

  • ・ヘタがまだ新鮮で緑色⇒未熟な状態で食べごろを向かえていません
  • ・ヘタが枯れ始め半分程度茶色に⇒食べ頃が近づいています。果肉に硬さが残っている状態が好みなら食べてOKでしょう
  • ・ヘタが完全に枯れて茶色に⇒食べ頃を迎えています。

メロンは、頂上部分に「T字」のヘタが残されているケースが多いですよね。マスクメロンなどは、このヘタがメロンの象徴のように感じる人が多いのではないでしょうか？

実は、メロンのヘタは、色や状態で追熟状況を判断するためのポイントになるのです。緑色で新鮮な状態なら、未熟で食べごろを向かえていないことを示しているのですが、茶色に枯れてきたら追熟が進んでいることを示しています。また、ヘタの根元がくびれてきたというのも食べ頃が近づいているサインです。

メロンは、ヘタの状態を小まめに確認することで食べごろを見分けることができるのです。ただ、メロンのヘタは、高級な贈答品にしか残されていないのが通常です。ヘタを残す場合、この部分を保護した状態で輸送しなくてはならなくなるので、梱包や輸送に費用がかかってしまうのです。安価なメロンは、根元からヘタが切断されるので、この方法で食べごろを見分けることはできません。

②お尻の柔らかさ

メロンの食べごろの見分け方として最も有名なのがお尻の柔らかさです。メロンは、完熟に近づくにつれ、お尻の部分が柔らかくなっていくので、その部分を指で軽く押してみるという方法で状態を確認することができるのです。

お尻の柔らかさで食べごろを見分ける際は、以下の手順を試してみましょう。

  • ①メロンを手に持ち、お尻の部分を軽く指で押す
  • ②まだ固いなら未熟、適度な柔らかさがあれば食べごろです。

メロンを追熟させる際には、小まめに柔らかさを確認すると良いでしょう。追熟させすぎると、お尻の部分が柔らかくなりすぎます。この状態になると指で押した後、凹みが残ってしまうので、その状態にまでなると「過熟」で美味しさが損なわれている可能性があります。

なお、お尻の柔らかさを確認する場合、強く押しすぎないようにしましょう。過度に力を加えると、果実が傷ついてしまい、腐敗の原因になります。メロンは、お尻の部分以外は硬いままなので、判断材料にならないことも覚えておきましょう。

③香りの強さ

最後は、メロンから出る香りの強さで判断するという方法です。メロンは、未熟な状態ならほとんど香りがないのですが、追熟させて食べごろに近づいてくると、独特の甘い香りが立ってきます。

熟度と香りの関係性は、以下のような感じです。

  • ・ほとんど香りがしない⇒未熟な状態です
  • ・顔を近づけてみると甘い香りがする⇒追熟が進んでいますが、やや未熟な状態です
  • ・部屋中にメロン特有の甘い香りが漂う⇒完熟しています

メロンは、香りが立ってきたら食べごろに近づいている証拠です。やや未熟な状態が好みの方は、近づいてみると香りがわかる程度で食べるのが良いでしょう。完熟した柔らかいメロンが好みなら近づかなくてもメロンの香りを感じられる程度まで追熟させると良いでしょう。

まとめ

今回は、初夏から夏にかけて旬を迎えるメロンについて、正しい追熟方法と食べ頃を向かえたかどうかを見極めるためのポイントについて解説しました。

記事内でご紹介したように、メロンは追熟する果物でスーパーなどで購入して家に持ち帰ってもすぐに食べてはいけません。甘くて美味しいメロンを楽しみたいと考えるなら、常温状態でしばらく追熟させてから、自分好みの状態になったメロンを食べるようにしましょう。なお、食べる直前、2時間ほど前に冷蔵庫に入れ、冷やしてから食べるとよりおいしく感じられると思います。

ちなみに、今年はメロンが大豊作になると言われていて、市場価格で200～300円程度安くなるのではないかと予想されています。メロンは、高級なフルーツでなかなか手が出せない…と考えている人も多いですが、今年は手が出しやすい価格帯で販売されるかもしれないので、ぜひ口にしてみてください。