今回は、柑橘類としては大きめの果実で有名なグレープフルーツの雑学について解説していきたいと思います。

グレープフルーツに関するインターネットでの検索キーワードでは、「グレープフルーツ 肝臓に悪い」と言ったワードが使用される機会が多いようです。最初に言っておきますが、グレープフルーツにはさまざまな栄養素が含まれており、肝臓に悪いのではなく肝臓に良いフルーツと考えても構いません。グレープフルーツについては、予想外にイメージの悪いキーワードで検索する方が多いようなのですが、これは「薬との飲み合わせが良くない」ことが要因になっているのだと思います。グレープフルーツは、多くの栄養素が含まれていることもあり、グレープフルーツジュースなどで薬を飲んだ時には、薬の効果を強めたり副作用を起こしやすくなるなとと言った現象が確認されています。そのため、このイメージから「グレープフルーツは健康に良くないのでは?」というイメージが広がったのではないかと考えられます。

そこでこの記事では、グレープフルーツに含まれる栄養素と期待できる健康効果について解説します。また、グレープフルーツは、その名称からも分かるように、面白い雑学が存在しますので、その点についても簡単にご紹介します。

グレープフルーツは柑橘類なのにぶどうが名前の由来!?

グレープフルーツは、スーパーなどで簡単に手に入るようになっていますし、皆さんにも身近な果物の種類の一つだと思います。ただ、グレープフルーツという名前を聞いたときには、「柑橘類なのに、なんで名前に『グレープ(ぶどう)』とつくの?」と疑問に感じたことがあるのではないでしょうか?グレープフルーツの見た目は、非常に大きなみかんと言った感じですし、なぜ名称に「ぶどう」が関係してくるのは不思議ですよね。実は、グレープフルーツが柑橘類なのに、名前にぶどうが関わってくるのは、栽培時にその理由があるとされています。

一般の方からすると、グレープフルーツは柑橘の中でも果実が大きな種類ですし、実が成長する時には木に1個ずつ離れてなっている姿をイメージするのではないでしょうか?しかし、このイメージが間違っているのです。グレープフルーが木になる時には、まるでブドウの房のようにゴロゴロとした果実がまとまって木になるそうです。そのため、離れた位置から見ると、木に大きなぶどうがなっているようにみえることから『グレープ』フルーツと名付けられたそうです。

なお、日本人がグレープフルーツの名前に違和感を感じるのは、実際に木になっている姿を見たことがある人がほとんどいないことも一つの要因と言われています。というのも、グレープフルーツは、温暖な地域で栽培される果物で、日本国内では、九州の一部の地域でしか栽培されておらず、スーパーなどで手に入るものはほとんど全て輸入品なのです。つまり、多くの日本人は、木から収穫された一つの柑橘として目にしているため「なんで柑橘類なのに『グレープ』なんだ?」と疑問に感じるわけです。

ちなみに、グレープフルーツの名前の由来については「果実の香りがぶどうの香りみたいだから」という説もあるそうです。これについては、グレープフルーツからぶどうの香りを感じたことが筆者はありませんし、先ほど紹介した「木になる姿がぶどうみたい」説を支持したいですね。

グレープフルーツ含まれる栄養素とその健康効果

それではここからは、グレープフルーツに含まれる栄養素と期待できる健康効果について解説します。グレープフルーツは、みかんと同じく柑橘類に属する果物ですので、豊富なビタミンが含まれているのは予想できると思います。ただ、グレープフルーツには、これ以外にもたくさんの栄養素が含まれているので、下で代表的な栄養素と期待できる健康効果をご紹介します。なお、今回は、「グレープフルーツ 肝臓に悪い」というネガティブな検索ワードに対して、実はグレープフルーツは「肝臓に良いのだ!」と言える栄養素を中心にご紹介します。

ちなみに、グレープフルーツには、ホワイト種とルビー種がありますので、ここでは、それぞれのグレープフルーツについて、可食部100gあたりの成分含有量をあげていきます。

ビタミンE(α-トコフェロール)

ビタミンEは、抗酸化作用を持つ栄養素として有名です。肝機能が低下した際には、ビタミンが不足するため、ビタミンEを摂取できるグレープフルーツはオススメです。なお、ホワイト種とルビー種のグレープフルーツには、可食部100g当たり以下の量が含まれているとされます。

  • ・可食部100g当たりの含有量:0.3mg(ホワイト)
  • ・可食部100g当たりの含有量:0.3㎎(ルビー)

ビタミンB2

グレープフルーツには、ビタミンB2も含まれています。ビタミンB2は、肝臓の働きを強めたり毒物の解毒と言った働きがあるとされています。ホワイト種とルビー種のグレープフルーツには、可食部100g当たり以下の量が含まれているとされます。

  • ・可食部100g当たりの含有量:0.03㎎(ホワイト)
  • ・可食部100g当たりの含有量:0.03㎎(ルビー)

メチオニン

あまり聞き馴染みのない栄養素では、メチオニンがあります。メチオニンは、肝臓で作られる胆汁の排泄を促し、肝臓の解毒作用を活性化させると言われています。ホワイト種とルビー種のグレープフルーツには、可食部100g当たり以下の量が含まれているとされます。

  • ・可食部100g当たりの含有量:5.0㎎(ホワイト)
  • ・可食部100g当たりの含有量:8.2㎎(ルビー)

シスチン

シスチンもメチオニンと同じような効果を期待できる栄養素です。ホワイト種とルビー種のグレープフルーツには、可食部100g当たり以下の量が含まれているとされます。

  • ・可食部100g当たりの含有量:10.0㎎(ホワイト)
  • ・可食部100g当たりの含有量:9.4㎎(ルビー)

食物繊維

食物繊維は、非常に重要な栄養素だということが有名ですね。実は、食物繊維は、人の体内で消化吸収されることがないため、栄養源とはなりません。しかしそれなのに、食物繊維は「第6の栄養素」などと言われるように、人にとって欠かせない栄養素の一つとされています。これは、食物繊維が、糖や脂質の吸収を抑えて便として排出する働きを持っているためです。グレープフルーツには、可食部100g当たり、以下の量が含まれているとされています。

  • ・可食部100g当たりの含有量:0.6g(ホワイト)
  • ・可食部100g当たりの含有量:0.6g(ルビー)

カリウム

グレープフルーツは、カリウムも豊富に含んでいることから、肝臓に良い果物と言えます。肝臓を労わるには、塩分を控えることが大切とよく言われます。実は、カリウムは、塩分の排出を促す働きがあるとされていますので、肝臓を健康に保つための栄養素とみなせるのです。

  • ・可食部100g当たりの含有量:140.0㎎(ホワイト)
  • ・可食部100g当たりの含有量:140.0㎎(ルビー)

参照データ:日本食品標準成分表|グレープフルーツより

グレープフルーツは、薬を飲むときはNG

上でも少し触れていますが、グレープフルーツは薬の効果を強める、副作用を起こしやすくなることが確認されていることから、薬とグレープフルーツの飲み合わせに注意しなければいけません。

もちろん、全ての薬に対して、効果や副作用の可能性を高めるわけではなく、一部の薬に対しての話です。一般的に、以下に紹介する薬は、効果を強める、副作用を起こしやすくなると言われていますので、服用中はグレープフルーツを食べるのは避けた方が良いでしょう。

  • ・カルシウム拮抗薬(降圧薬・抗狭心症薬):ニフェジピンなど
  • ・HMGCoA還元酵素阻害薬(抗高脂血症薬):アトルバスタチンなど
  • ・抗不安剤:トリアゾラムなど
  • ・免疫抑制剤:シクロスポリンなど

血圧に関する薬については、病院や薬局からもグレープフルーツを食べないように指示されると思います。ちなみに、グレープフルーツと同じ柑橘類である、みかんやオレンジについては、上記のような薬に影響を与えないため、服用中でも避ける必要はありません。

まとめ

今回は、柑橘類の中でもボリュームのある果実を楽しむことができるグレープフルーツについて解説しました。グレープフルーツは、非常に豊富な栄養素が含まれているのにもかかわらず、ネット上の検索ワードを調べてみると、「肝臓に悪い」「健康に悪い」など、ねげてぃぶなイメージを持たれているように思えます。これは、一部の薬とグレープフルーツに含まれる成分の相性が悪いことから、副作用の可能性が高まることが要因になっているのではないかと思います。

記事内でご紹介したように、グレープフルーツは、「肝臓に悪い」のではなく、肝臓に良い働きを持つ栄養素が多く含まれているので、定期的に食べるフルーツとしてはオススメです。もちろん、どのような食べ物でも食べ過ぎは良くありませんので、適量の範囲で食べるようにしましょう。

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