今回は、見た目は非常に似通っているのに、名称や味などに違いがあるみかんとオレンジについて解説します。

みかんとオレンジは、私たちの日常生活にも非常になじみ深い果物で、スーパーなどに行けば簡単に手に入れられる大衆フルーツの代表格となっています。ただ、この二つの果物について、「みかんとオレンジはとても似ているけど、何が違うの?」と言った疑問を持ったことがある方も多いのではないでしょうか?

みかんとオレンジは、見た目は非常に似通っていますが、実際に食べてみると、皮の剥きやすさや味が大きく異なりますし、違いがあるのは誰でも理解できると思います。ただ、具体的に何がどう違うのかと聞かれると、それに正確に答えることができる人は非常に少ないのではないでしょうか?みかんとオレンジには、皆さんが認識している違い以外にも、さまざまな違いが存在します。

そこでこの記事では、日本人にとって非常になじみ深い柑橘であるみかんとオレンジの違いを分かりやすく解説します。

そもそも「柑橘」にはさまざまな種類がある

みかんとオレンジは、柑橘に分類されるということは皆さんもご存知だと思います。ただ、普段何気なく口にしている『柑橘』という言葉ですが、実はさまざまな種類に分類されているのはご存知でしょうか?ここでまず、柑橘の種類と、みかんとオレンジがその中でどこに属しているのかをご紹介します。

柑橘の分類について

柑橘類は、大きく分けると「カンキツ属(ミカン属)」、「キンカン属」、「カラタチ属」の3属からなるとされています。

そしてこの3属をさらに以下のように分類しています。

  • カンキツ属(ミカン属)
    ミカン類、オレンジ類、雑柑類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸かんきつ類、ブンタン類、グレープフルーツ類、シトロン類
  • キンカン属
    キンカン類
  • カラタチ属
    カラタチ類

スーパーなどでも簡単に手に入る私たちが普段口にしているみかんは、柑橘の中でもカンキツ属のミカン類に分類され、「温州みかん」と呼ばれる品種が多いです。ちなみに、「有田みかん」や「愛媛みかん」という名称で栽培・販売されている物もありますが、これらは栽培している地域や生産者によってブランド名がつけられているだけで、実はそのほとんどが「温州みかん」のことを指しています。

次にオレンジについてですが、日本国内に流通しているオレンジは、カンキツ属のオレンジ類に属しています。なお、オレンジ類は、酸味が弱く甘みが強いスイートオレンジと、酸味が強いサワーオレンジに分けられます。日常生活の中で、私たちが食後のデザートなどとして食べているオレンジについては、甘みが強いスイートオレンジやネーブルオレンジ、バレンシアオレンジという品種です。なお、スイートオレンジは、世界の柑橘生産量の約7割を占めていると言われています。これに対して、サワーオレンジは、酢やマーマレードなどの加工品に用いられるそうです。

みかんとオレンジは、柑橘の中では、同じカンキツ属に属しているのですが、細分化した場合にはミカン類とオレンジ類に分類されています。人間社会で言うと、親戚のような立ち位置にあると考えれば分かりやすいかもしれませんね。

参照:Wikipedia「柑橘類」

みかんとオレンジの具体的な違いについて

前項で、みかんとオレンジは親戚のような関係にあるということが分かりました。それでは、この二つの果物は、具体的にどのような違いがあるのかも詳しく解説していきます。

見た目の違い

みかんとオレンジの違いについて、最もわかりやすい違いと言えば、見た目が異なるという点でしょう。

みかんは、オレンジと比較すると、小ぶりな大きさですし、見た目も平べったいものが多いです。一方、オレンジは、みかんの倍から3倍ほどの大きさがあり、みかんよりも丸に近い形状をしています。大きさの違いから、オレンジの方が手に持った時にずっしりと重みを感じると思います。

スーパーなどでみかんやオレンジを購入する際のポイントとしては、みかんはヘタの大きさや皮のつや、皮の粒などを見ると良いです。皮につやがあり、粒が小さくてはっきりしているみかんほど新鮮です。また、ヘタが小さいものほど甘いと言われています。
注意が必要なのはオレンジで、オレンジは表面につや出しワックスを塗られているものが多いため、見た目では違いが判断しづらいです。新鮮でおいしいオレンジを選びたい時には、一度手に持ってみて、同じ大きさなら重量感のある物の方がおすすめです。

皮の厚さの違い

みかんとオレンジは、皮を剥くときに大きな違いがあります。みかんの皮は、子供でも手で簡単に剥けるぐらい薄くて、とても柔らかいです。さらに、みかんの薄皮も、そのまま食べられるぐらいに薄いですね。

これに対してオレンジの皮は、子供では手で剥くのが難しいぐらい分厚くて硬いです。そのため、果物ナイフを使って皮を剥いたり、皮を剥かずに切って提供されるなんて場合が多いです。また、薄皮についても、みかんと比較すると厚みがあるため、オレンジの場合は、薄皮も剥いて食べるという食べるという方が多いです。

このような皮の構造の違いは、オレンジが乾燥した環境で栽培されることが関係しているようです。オレンジは、乾燥に耐えるため、皮を分厚くして果実を守っていると言われています。

味や香りの違い

みかんとオレンジは、味や香りにも違いがあります。

なお、みかんは収穫時期によって甘みと酸味のバランスが変わるので、まずはその辺りを簡単にご紹介します。みかんは、収穫時期が早い順に、「極早生みかん」、「早生みかん」、「中生みかん」、「晩生みかん」と変化していきます。そして、収穫時期が遅くなるにつれ、甘みが強くなっていきます。

これに対してオレンジは、甘味・酸味ともに濃厚な味わいで、香りも非常に強いという特徴があります。みかんは、オレンジと比べると、あっさりした味わいなので、一度に複数個のみかんを平気で食べてしまう方も少なくありません。オレンジは、濃厚な甘さ、みかんよりもボリュームがあるなどと言ったことから、一気に大量に食べる人は少ないと思います。

オレンジは、濃厚な味わいと強い香りを持っていることから、ジャムやソースなどに調理して利用されることも多いです。ジャムやソースにすると、オレンジのうまみや香りがより引き立つとされています。

含まれている栄養素の違い

みかんとオレンジは、どちらも「ビタミンC」が豊富に含まれている点は同じです。ビタミンCは、高い抗酸化作用があり、ストレスの緩和や免疫機能の維持に役立ち、風邪予防やインフルエンザ予防に活躍してくれるとされています。

またみかんは、「β-クリプトキサンチン」という栄養素が含まれています。これは、骨粗しょう症や糖尿病、リウマチ、動脈硬化の防止に役立つとされています。他にも、みかんの薄皮やすじには、ポリフェノールの一種である「ビタミンP」が含まれています。これは、ビタミンCの吸収を高めたり、中性脂肪の分解、毛細血管の強化などの効果があるとされていますので、みかんはすじを残して薄皮のまま食べるのが良いでしょう。

これに対してオレンジは、アミノ酸が豊富に含まれているとされています。アミノ酸は疲労回復効果などを持つなど、人の体の重要な組織を作るうえで非常に重要な栄養素とされています。この他にも、葉酸が多く含まれていて、これは貧血や動脈硬化の予防効果があるとされていますので、朝食時に食べることが良いかもしれませんね。

「オレンジアレルギー」はみかんも関係するのか?

画像引用:消費者庁資料より

オレンジは、上図の通り、アレルギー食品の特定原材料に準ずるものに指定されていて、表示が『推奨』されています。ただ、えびや卵、牛乳のような『義務』ではなく、アレルギー表示はあくまでも推奨なので、加工食品に含まれている場合でも非表示対応されているケースがあります。したがって、オレンジにアレルギー反応を示したことがある方は、必ず原材料を確認しましょう。

なお、表示が推奨されているオレンジは、「ネーブルオレンジ」や「バレンシアオレンジ」などの「オレンジ類」のことで、みかんなどその他の柑橘類は、表示範囲に含まれていません。ただ注意が必要なのは、柑橘の種類でご紹介した「カンキツ属(ミカン属)」に属する果物については、オレンジとの交差抗原性あるとされています。したがって、オレンジではないカンキツ属が使われた食品を口にしたとき、アレルギー反応が出る場合もあるようですので、オレンジアレルギーを持っている方は、その他の柑橘類にも注意しましょう。

※オレンジは食品以外にも、化粧品やアロマ製品に含まれていることが多いです。肌に直接使用する化粧品などは、成分をきちんと確認する癖をつけておきましょう。

まとめ

今回は、スーパーなどで簡単に手に入る、みかんとオレンジの違いについて解説しました。みかんやオレンジは、比較的安価な大衆フルーツとして人気で、それなりの頻度で食べているという方が多いのではないでしょうか?

記事内でご紹介したように、みかんとオレンジは、柑橘類の中でもカンキツ属(ミカン属)に属する果物なのですが、細かく見るとミカン類とオレンジ類に分けられていて、異なる分類の果物です。ただ、非常に近しい関係ではありますので、人間でいうところの親戚関係ぐらいと考えておいて良いと思います。

みかんもオレンジも、豊富な栄養素が含まれています。特にみかんは、非常にお手頃な価格で販売されていますので、健康のために毎日食べる果物としては非常におすすめですよ!

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