今回は、ぶどうの加工食品である「レーズン」について、レーズンに含まれている栄養素などを解説します。

干しぶどうなどとも呼ばれるレーズンは、お菓子やパンなどにも良く使用されていますし、普段何気なく口にしているという方は非常に多いと思います。単純にレーズンの味が好みで、美味しいから食べているという方が多いと思うのですが、実はレーズンはぶどうの栄養素がギュッと凝縮されたスーパーフードでもあるのです。ぶどうの水分を蒸発させ、栄養素を凝縮した食べ物なので、食物繊維やミネラルなどがたっぷり含まれていて、さまざまな健康効果が期待できると言われています。

そこでこの記事では、レーズンに含まれる栄養素と、食べることで期待できる健康効果についてまとめてみます。

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レーズンとは?

レーズンとは、「干しぶどう」や「干し葡萄」と言われているように、ぶどうを皮ごと乾燥させることで作られています。ぶどうは多くの水分が含まれている果物なのですが、1kgのぶどうから作れるレーズンは、わずか200gと言われていています。ただ、水分を蒸発させることで、ぶどうが持つ甘みや栄養素は凝縮されますので、生のぶどうよりもレーズンの方が好きだという方も少なくありません。

なお、レーズンのもととなるぶどう、古くから世界中で親しまれている食べ物で、なんと聖書にも登場するほど歴史のある食べ物です。世界各地で栽培されていて、最も多く栽培されているフルーツとも言われています。現在では、さまざまな品種が開発されて種類も豊富になっているのですが、生産量が多い国は中国・イタリア・アメリカ・スペインなどと言われています。

世界各地でぶどうの栽培が盛んにおこなわれていることから、レーズンもさまざまな生産地があります。また、レーズンのもととなるぶどうの品種の違いで、味や栄養素などが違ってくる点も面白い食べ物だと言えるでしょう。

レーズンに含まれる栄養成分とは?

それでは、レーズンに含まれる主な栄養成分について紹介していきます。実は、レーズンには現代人が不足しがちな成分が多く含まれています。

①食物繊維

食物繊維には、『不溶性』と『水溶性』の2種類があるのですが、レーズンにはどちらもバランスよく含まれています。食物繊維は、便通を整える効果があると言われるほか、糖の吸収を緩やかにしたり、腸内の環境を整える働きがあるとされています。

野菜や海藻などに食物繊維が多く含まれているとされますが、日常生活の中での食事だけではどうしても不足しがちになると言われています。

②鉄分

レーズンは、銅・マグネシウム・カルシウム・リンと言ったミネラル成分が多く含まれているのですが、中でも鉄分が多く含まれていることが注目されます。

鉄分は、血液中で酸素を運ぶためのヘモグロビンを構成していて、全身に酸素を送るのを助け、貧血予防に役立つ重要な栄養素です。レバーや海藻などにも多く含まれているのですが、普段の食生活ではこちらも不足しがちな栄養素と言われています。小学校の給食などでレーズンパンが提供されるのは、貧血予防なのかもしれませんね。

③カリウム

カリウムは、体の水分バランスやミネラルの均衡を維持するための重要なミネラルです。フルーツに多く含まれている栄養素として有名です。この栄養素は、特にナトリウム調整に関わっていて、塩分(主にナトリウム)を摂りすぎたときに余分な水分とともにナトリウムを排出してくれる作用があるとされています。

なお、夏場は汗と共にナトリウムが排出されるのですが、実は同時にカリウムも出て行ってしまいます。カリウム不足になると、食欲不振や体のだるさに繋がると言われています。夏バテ予防にはカリウムを摂取することが効果的なのでレーズンはオススメです。

④ポリフェノール

ポリフェノールは、生のぶどうでも摂取できる栄養素として有名です。この成分は、植物が持つ色素や苦味の成分です。強い抗酸化作用を持っており、老化や生活習慣病を引き起こす活性酸素を無害化する働きがあるとされています。なお、ポリフェノールにもいろいろな種類があるのですが、レーズンは特にエピカテキン(カテキンの一種)やアントシアニンが豊富に含まれています。

酸化を防ぐ能力のことを「抗酸化能」と呼び、これを表す指標に『ORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity)』というものがあります。レーズンは、日常的に食べる果物・野菜の中で1食当たりのORAC値を比較すると、最も高いグループに入る抗酸化作用が高い食品です。

⑤ブドウ糖

レーズンなどドライフルーツは、甘みがあるため砂糖が多く使用されていると考えている方も多い事でしょう。しかしレーズンは、砂糖であるショ糖は含まれず、ブドウ糖と果糖が含まれています。

ブドウ糖や果糖は、ショ糖よりも吸収が早く、すぐにエネルギーに変換されるという特徴を持っています。

レーズンの健康効果とは?

レーズンに含まれる栄養素が理解できたところで、具体的にどのような健康効果が期待できるのかについてもご紹介します。

がん予防

いまや日本人にとって国民病ともなっている「がん」ですが、がんになる原因はさまざまです。その一つに、活性酸素が挙げられるのですが、紫外線を浴びたり、たばこ・酸化した食べ物を摂取することによる酸化ストレスで、細胞をサビさせる活性酸素が増えるとされているのです。

さらに、体内の脂質とくっついて過酸化脂質を形成すると、がんや免疫機能の低下、動脈硬化などを引き起こすと言われています。上で紹介したように、レーズンは抗酸化作用が高いため、活性酸素の働きを抑えてくれ、これらの疾患を予防してくれます。さらに、レーズンのカテキンは、抗菌作用があり胃がんの原因となるピロリ菌なども抑えてくれるとされています。

糖尿病の予防

糖尿病も、日本人にとっては国民病とみなせるような状態になっています。

糖尿病予防は、バランスのとれた食事と適度な運動が基本となります。そしてレーズンは、ミネラルやビタミンが豊富な食べ物で、食事バランスを適正にするのに役立ちます。さらに、レーズンのエピカテキンと食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする効果があるため、これも糖尿病予防に効果的と言われています。

なお、カテキンは、代謝を促し、肥満予防効果があると言われているので、ダイエットにも効果的です。

さまざまな生活習慣病の予防

上記以外にも生活習慣病と呼ばれる病はたくさんあります。例えば、塩分の摂りすぎは高血圧症に繋がるのですが、さらに脳卒中や心筋梗塞などのリスクも高めます。レーズンは、先ほどご紹介したように、ナトリウムを排出してくれるカリウムを含んでいますので、こういった高血圧をはじめとする生活習慣病予防にも効果的です。

ちなみに、レーズンは他のドライフルーツと比較しても、低脂質で、コレステロールは0です。したがって、動脈硬化や肥満予防のためにも効果的とされています。

整腸&便秘改善効果

レーズンには、水溶性・不溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。不溶性食物繊維は腸に刺激を与え、便通を整えるという効果を持ちますし、水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなるため、腸内細菌を育てることができ、腸内環境を整えてくれます。

貧血やだるさ防止

レーズンは、鉄分や銅など、造血に重要なミネラルを豊富に含んでいます。したがって、貧血予防のために食べる食材に非常に適しています。

貧血は、めまいやふらつきの原因になるのですが、このほかにも疲れやすい、だるさを感じるなどと言った問題として表面化することがあります。普段からレーズンを食べていれば、これらの問題を防止するミネラルを摂取することができます。

まとめ

今回は、ぶどうの加工食品として人気のレーズンについて解説しました。この記事でご紹介したように、レーズンにはさまざまな栄養素が含まれており、日本人の生活習慣病予防に役立つスーパーフードとして注目されるようになっています。小粒で食べやすい食品なので、健康維持のためにも、定期的にレーズンを摂取してみるのも良いのではないでしょうか?

ただ、どのような食べ物でも同じですが、多くの栄養素が含まれているとはいえ、食べ過ぎには注意してください。一般的には、一日に「80g程度=約120~140粒」を摂取することでがんなどの予防になるとされています。ただ、レーズンを80gほど摂取した場合、カロリーが約250kcalとなるため、カロリーが気になるという方も多いです。その場合は、他にも間食をすると考えると、30gほどにしておくのが良いかもしれませんね。

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