柿は安くて美味しい身近な秋の果物として非常に高い人気を誇ります。ただ、どのような食品でも同じで、食べごろの時期を逃してしまうと、徐々に傷んでしまい、最終的に腐って食べられなくなってしまうのです。

それでは、柿が腐るとどのような状態になるのか皆さんは知っているでしょうか？一般的に、柿は適度な歯ごたえのある固い果物というイメージがあるため、触れた時に柔らかくなった柿は「腐ってる…」と考えてしまう方が多いように思えます。ただ、柿は柔らかくなっただけで腐っているかどうかを判断できる果物ではなく、味や匂いに違和感を感じなければ、何の問題もなく食べられる場合も多いのです。

そこでこの記事では、柿が腐った時に生じる特徴や誤って腐った柿を食べてしまった時の対処などを解説します。

そもそも柿はどれぐらい日持ちする果物なの？

柿は、秋の味覚として有名で、その他の果物と比較するとリーズナブルで手に入れることができるうえ、とても美味しいという特徴があります。ただ、安価に手に入る果物であるが故、一度に大量の柿を頂くことになり、食べごろを逃してしまうことも珍しくありません。適切に保存していたつもりでも、いつの間にか表面が黒くなったり、ブヨブヨに柔らかくなった柿を見て、腐ってしまったかもと食べるのを迷った経験がある人は少なくないのではないでしょうか？

それでは、そもそも、柿は適切に保存した場合、どの程度日持ちする果物なのでしょうか？干し柿にすれば長期間保存することはできるものの、生の柿については賞味期限が良く分からないという方も少なくないと思います。そこでまず、柿の保存方法別、日持ちの目安についてご紹介します。

■柿を丸ごと保存する場合
まずは、柿を丸ごと保存する場合の日持ちです。

• ・常温：4~5日
• ・冷蔵：2~3週間
• ・冷凍：2週間〜1ヶ月

■カット済みの柿を保存する場合
次は、カットした後の柿です。

• ・常温：1日
• ・冷蔵：2~3日
• ・冷凍：2週間〜1ヶ月

柿などのフルーツは、賞味期限を記載する義務がないため、食べられる状態なのかは自分で判断しなければいけません。したがって、良く購入する果物だけでも、ある程度の保存期限はおさえておくのがおすすめです。上述のように、柿は低温で保存することで日持ちが長くなり、常温の場合は、丸ごと保存しても4～5日ほどしか持ちません。カット済みの柿に関しては、可食部に雑菌やカビ菌が付着してしまう可能性が高まるため、丸ごと保存するよりもかなり短くなると考えましょう。上で紹介した日持ちに関しても、あくまでも目安で、カットしたものはなるべく早く食べきるのがおすすめです。

ちなみに、上で紹介した日持ちについては、あくまでも食べられる状態が続く日数で、柿そのもの状態は刻一刻と変わります。分かりやすく言うと、初日の柿と4日ほど常温で置いた柿は、柔らかさが全く変わるなど、食べた時の食感や味に変化があります。どの状態で食べるかは、人それぞれ好みがありますので、それに合わせて腐る前に食べるようにしましょう。

柿は腐るとどうなる？

それではここから、柿が腐った時に生じる症状についてご紹介していきます。柿が腐ると、見た目や味、匂いなどにさまざまな変化が生じます。ここでは、腐った柿の分かりやすい特徴をご紹介します。

柿が腐った時の見た目の変化

柿が腐ると、見た目にさまざまな変化が起こります。以下のような状態の柿は腐っている可能性が高いため、食べない方が良いでしょう。

• ・表面の果皮が黒く変色する（全体でなく、ところどころでもNG）
• ・柿が萎びて張りがなく、形が崩れている
• ・表面にカビが生えている

新鮮な柿は、適度な硬さがあり、ハリ・ツヤも目立ちます。しかし、収穫から日数が経過すると、徐々に傷みが進行し、表面が黒く変色したり、カビが生えるなどの変化が出ます。また、中の果実もブヨブヨになるため、形が保てなくなるほど柔らかくなってしまいます。このような特徴がみられる柿は、腐っている可能性が高いので、食べずに廃棄しましょう。

柿が腐った時の感触の変化

見た目の変化としても紹介しましたが、柿が腐ると形が保てなくなるほど柔らかくなります。ちなみに、新鮮な柿は程よい固さを持っているのですが、熟していくと実が柔らかくなるという特徴があります。したがって、手で触れた時「購入した時より柔らかい！」と感じても、全てが腐っているわけではないので注意しましょう。

感触から腐っているかどうかを見極める時は、「置いているだけなのに形を保てなくなっている」「手で持つことができないほど柔らかい」がポイントです。これほどまで柔らかくなった柿は、熟す過程を通り越して、雑菌やカビ菌により腐った状態にまでなっています。このような柿は、果実を指で軽く押しただけで、中から水分が漏れ出てくるといった状態になっています。持てるレベルの柔らかさなら、まだ食べられますが、形が保てなくなっている場合は、腐っているので食べるのは危険です。

柿が腐った時の味の変化

腐った柿は、口に入れた時に明確な違和感を感じるはずです。以下のように、味に違和感を感じる柿は腐っている可能性が高いです。

• ・異様なほど強い酸味を感じる
• ・不自然なほど強い苦みを感じる
• ・舌がピリピリする

柿は、雑菌やカビ菌に侵されてしまうと、甘味が苦みや酸味に変化し、明らかに不自然な味を感じるようになります。また、通常の柿を食べた時には感じることのない、ピリピリとした刺激を舌に感じることがあるとされています。柿を口に入れた時、味に違和感を感じた時は、飲み込まずに吐き出し、よくうがいをするようにしましょう。

柿が腐った時の香りの変化

柿も、他の食品と同じく、腐った時には独特の腐敗臭を放つようになります。以下のような臭いを感じた時には、腐っている可能性が高いでしょう。

• ・アルコール臭を感じる
• ・酸っぱい刺激臭を感じる
• ・腐った食品特有の腐敗臭がする

柿が傷んでいくと、雑菌やカビ菌が付着し、柿をエサにして増殖を繰り返すようになります。そして、その際に代謝産物が作りだされ、これが腐った食品特有の酸っぱい刺激臭や腐敗臭となるのです。食べる前に、このような香りを感じた場合、腐っている可能性が高いので食べるのを控えた方が良いでしょう。

まだ食べられる熟した柿の特徴

柿は、熟していく過程で、徐々に実が柔らかくなっていきます。完熟の柿は、触った時に「柔らかいな」と誰もが感じるレベルになりますので、腐っているのか熟しているのかの区別が難しい…という声を聞く機会が多いです。

そこでここでは、柿の見た目や感触に変化はあるものの、まだ食べられる柿の状態についても、いくつかの特徴をご紹介します。以下のような状態の柿は、食べても問題ないと考えられます。

• ・実は柔らかくなっているが、皮にはハリとツヤがある
• ・果皮の色が濃いオレンジ色や朱色になっている
• ・実は柔らかいがきちんと形を保っている（ドロドロになっていない）

完熟状態の柿は、実がブヨブヨに柔らかくなります。ただ、腐った柿と異なり、果皮のハリやツヤはきちんと残っていて、手で持っても形が崩れるといったことはありません。見た目で完熟を判断する時、最もわかりやすいのが色で判断する方法で、濃いオレンジや朱色になれば完熟のサインなので、早めに食べましょう。

腐った柿を食べたらどうなる？

それでは、腐った柿を食べてしまったらどうなるのか、またその時の対処法はあるのかについても解説します。一般的に、腐った食品を口にしたときには、食中毒など、体に異常をきたしてしまう…と考えられています。しかし、食中毒というのは、そもそも腐ったものを食べた時に必ず発症するものではなく、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、引き起こされるのです。

つまり、腐った柿を食べた場合でも、実は食中毒になる可能性は低いと言われています。もちろん、何らかの体調の変化が生じてしまうこともあるため、しばらくは様子を見る必要があるとは思います。酸っぱい味がする、変な臭いがするなど、腐った柿を食べた場合でも、少量であれば食中毒などの症状が出る可能性は少ないです。もちろん、腹痛などの症状が出る可能性もゼロではありませんし、見た目や感触がおかしい、口に含んだ時に違和感を感じるような柿は、食べずに廃棄するのがおすすめです。

食中毒は、体調に異変を起こす特定の菌に感染することで発症する現象です。そのため、腐ったものを食べたからと言って、必ず食中毒になるわけではないのです。ただ、食品を見ただけで食中毒菌に侵されているかどうかを、人の目で判断することはできないので、腐っていると考えられる柿は食べないようにしましょう。なお、傷んだ柿を食べて、腹痛や吐き気など、食中毒のような症状が出た場合には、速やかに病院に行き診察をうけましょう。

まとめ

今回は、秋の味覚として非常に高い人気を誇る柿について、柿が腐った時の特徴や誤って腐った柿を食べた時の対処などについて解説しました。

記事内でご紹介したように、柿は熟していく過程で実が柔らかくなっていく果物です。そのため、手で触った時に「柔らかい」と感じたからと言って、全てが腐っているとは言えません。実際に、人によっては柿は完熟して柔らかくなった方が美味しいという人もいるなど、柔らかさは「腐っているか？」を判断するのではなく「熟しているのか？」を判断するためのポイントとしている方の方が多いです。

ただ、どのような食品でも、腐ったものを口にしたときには、独特の腐敗臭や違和感のある味を感じるもので、柿も同じです。したがって、柿を口に入れた時、異変を感じるような臭いや味を感じた場合、すぐに吐き出し、廃棄するのがおすすめです。

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