今回は、これから続々と旬を迎える美味しい春の果物のについて解説したいと思います。日本では、スーパーなどでも手軽に果物を手に取ることができるため、毎日の食卓に果物が必ず並ぶというお宅も多いのではないでしょうか?どのような果物でも、最も美味しいのは『旬』の時期に収穫されたものと言われるのですが、春が旬の果物と聞かれると何を思い浮かべるでしょうか?

一般的に「夏はスイカ」「秋はぶどう」「冬はみかんとリンゴ」など、季節とセットの旬のフルーツが思い浮かぶものですが、「春が旬の果物は?」と聞かれるとなかなか特定の果物の名前が出てこない…というケースが多いように思えます。とはいえ、春に旬を迎える美味しい果物はたくさんありますので、この記事では日本人にも人気の代表的な果物をご紹介したいと思います。

なお、最近では、ハウス栽培が盛んに行われるようになっていますし、輸入品の果物が店頭に並ぶことも多いため、「旬の時期」をあまり意識しないという方も多くなっているようです。ただ、美味しい果物は最も美味しいとされる時期に食べるのがおすすめですので、この春は以下で紹介する物たちを口にしてみてはいかがでしょう。

春が旬の果物とは?

それでは、春が旬の果物について、それぞれの特徴などについて解説していきます。春の果物では、デコポン、甘夏などの柑橘類、イチゴなどが有名です。イチゴなどは冬場でも美味しく食べられるというイメージがありますが、一般的に言われる旬の時期としては春となります。

イチゴ

春が旬の果物として一番最初に紹介するのはイチゴです。イチゴは、さまざまな種類がある果物の中でも、日本人からの人気が最も高い果物の一つと言って良いでしょう。最近では、スーパーなどの店頭で購入するだけでなく、日帰りレジャーなどとしていちご狩りも人気になっています。

イチゴは、バラ科オランダイチゴ属の多年草で、美しい赤色の果実を口に含むと酸味と甘みをバランスよく楽しむことができます。ちなみに、農林水産省の分類方法では「草に成る実」は野菜に分類されますので、日本国内での分類上は「イチゴは野菜」となります。ただ、ほとんどの方は「イチゴは美味しい果物」と認識しているはずですので、ここでは果物としてご紹介します。

イチゴは、その他の果物と比較しても長く楽しめる果物で、日本国内では12頃から5月頃にかけて出荷されます。ただ、露地栽培のイチゴの旬は4~5月頃とされていて、これほどまでに長い間楽しめるのは、ハウス栽培が盛んになっているからです。ハウス栽培のイチゴの旬は、1~3月頃とされています。

イチゴ狩りやスーパーなどの店頭でイチゴを選ぶときには、表面に光沢があり、ヘタの部分まで赤くなっている物を選ぶのが良いです。また、表面のツブツブまで赤く色づいている物ほど甘い傾向にあります。形状については、すらっとした物よりもふっくらと盛り上がっていて、小さめのものから中くらいの大きさのものがより甘い傾向にあるとされます。

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デコポン(しらぬい)

デコポンと呼ばれる柑橘も春が旬の果物です。ちなみに、デコポンは不知火(しらぬい)の一種で、品種名が「不知火」、不知火のなかでも一定の基準を満たしたものがデコポンと呼ばれるという関係性です。デコポンは、熊本県果実農業協同組合連合会(JA熊本果実連)の登録商標となります。

非常にユニークな形状をした柑橘類として有名なのがデコポンです。パッと見は、みかんよりも一回り大きいオレンジのような柑橘類なのですが、果実の上部が飛び出していて、いびつな形状をしているのが特徴です。デコポンは、清見と中野3号ポンカンの交配種である不知火の中でも、糖度13度以上、クエン酸1.0以下など、いくつかの基準を満たしたものを指しています。通常の柑橘よりも、酸味が少なく甘みが強いので、とても食べやすく旬の時期にぜひ口にしてみてほしいです。

デコポンは、12月頃から収穫期を迎え、2~5月にかけて出盛り期(旬)を迎えます。食べる時には、皮が硬いので、みかんのように手で剥くのではなく、果物ナイフでカットするのがおすすめです。デコポンは、一定基準を満たしたものだけが名乗れる果物ですので、どれを選んでも基本的に美味しく食べられるはずです。その中でも、果皮の色が濃いオレンジ色をしていて、ヘタの部分に青みが残っているもの、持ったときにずっしりと重いものがおすすめです。

参考:Wikipedia

夏みかん

夏みかんは、その名称から「夏が旬」の果物をイメージしますよね。しかし実は、夏ミカンの旬は、春の時期で1月頃から収穫が始まります。ただ、酸味を抜くための貯蔵期間がありますので、実際に食べられる時期というのは3月頃から5月にかけてとなります。どちらにせよ、名称に夏がつく果物としては早い時期に感じますね。

夏みかんは、酸味とともに程よい甘みを感じることができ、ジューシーでさっぱりとした味わいが特徴の柑橘類です。形状は、やや平らな形をしていて、非常に分厚い皮に覆われています。また、果皮の下にも白いワタの部分があるのですが、ここも通常のみかんなどと比較するとかなり分厚いのが特徴です。夏みかんは、日本原産の果物で、江戸時代の山口県、青海島で育てられたのが最初だと言われています。ちなみに「甘夏」と呼ばれる柑橘は、夏みかんの変異品種で、突然変異の一種です。

夏みかんを選ぶときには、全体的に濃い黄色をしていて、ハリのある物がオススメです。また、柑橘類は水分が多い物ほど新鮮なので、ずっしりと重みのある物を選びましょう。他のものと比較して軽いと感じる夏みかんは、中の水分が抜けてスカスカになっている可能性があります。

さくらんぼ

さくらんぼは、赤色をした小ぶりで可愛らしい見た目の果実が特徴で、甘みと酸味のバランスの良さで非常に高い人気を誇ります。さくらんぼは、バラ科サクラ属の落葉樹木に実をつける果物なのですが、ソメイヨシノなどの観賞用の桜の木に実がなるわけではありません。

さくらは、春が旬の果物として有名ですが、比較的旬の時期は長く4月から7月までと初夏の時期まで楽しむことができます。収穫後に追熟する果物ではないため、イチゴなどと同じく、果物狩りを楽しむフルーツとしても人気になっています。さくらんぼを食べる時には、「冷やす必要がある」と考える方がほとんどですが、冷蔵庫に入れるのは食べる直前にして、少し冷やす程度で口にするのがおすすめです。冷蔵庫の中に長期間入れていると、味が落ちてしまうとされます。

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キウイ

さまざまな果物の中でも、栄養が豊富に含まれていることで有名なキウイフルーツは、春が旬の果物です。現在では、1年中スーパーの店頭でキウイが販売されていることもあり、旬の時期がない果物と勘違いされている方がいるのですが、これは国産のキウイと輸入物のキウイの旬の時期が真逆になっているからです。

国産のキウイは、冬から春にかけてが旬の果物で、輸入品のキウイは主に南半球で栽培されたものとなるため、春の終わりから夏(秋ごろ)にかけて旬を迎えるわけです。そのため、日本国内においては、ほぼ一年中キウイを見かけることができるようになっているわけですね。

キウイは、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれていることで人気ですが、キウイの食物繊維は、皮の部分にその多くが含まれています。一般的に、半分に切ってスプーンですくって食べる方が多いのですが、この食べ方の場合は、キウイの食物繊維はほとんど捨ててしまうことになります。そうはいっても、キウイの皮は表面にたくさんの毛のような物が生えているため、「皮ごと食べるのはちょっとな…」と感じてしまいますよね。実は、キウイの中でも、実が黄色のゴールデンキウイは、皮がなめらかで皮ごと食べてもそこまで違和感を感じないと言われています。美味しさだけでなく、栄養素を目的にキウイを食べる場合は、皮ごと食べる方法も検討してみると良いでしょう。

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びわ

あまりメジャーな果物ではないかもしれませんが、優しい甘みとほのかな酸味を楽しむことができ、みずみずしくて爽やかな風味を持つ果物として人気の「びわ」も春が旬の果物となります。もともとは中国原産の果物で、江戸時代中期に日本国内でも栽培されるようになったとされています。ちなみに、びわは、果物として楽しむだけでなく、葉っぱが古くから薬として用いられていたことから、日本では一般住宅でも庭植えされる樹木として人気です。

びわの旬となる春の時期になれば、スーパーの店頭などでも販売されるようになっています。美味しいびわを見分けるためのポイントとしては、ヘタの部分がしっかりとしていて、皮にハリがあり、果皮が鮮やかなオレンジに色づいている物ほど良いです。また、びわの表面に産毛やブルームが残っている物ほど新鮮な証拠です。表面がテカテカと光っているものは、一見新鮮に見えますが、ブルームが落ちているということですので収穫からそれなりの時間が経過していると考えられます。つまり、このようなびわはオススメできません。

メロン

最後は、高級フルーツの代名詞になっているメロンです。メロンは非常に高級なフルーツでなかなか食べることができない…というイメージを持っている方が多いかもしれませんが、ハウス栽培が盛んになった現在では、一年中メロンを収穫することができるようになっていますし、贈答用に栽培された特別なもの以外は、比較的手ごろな価格で手に入れることができるようになっています。

多くの方がメロンと聞いてイメージするのは、表面に網目のような模様がついている物だと思います。ただ、この網目のあるメロンについても、アンデスメロンとアールスメロンと呼ばれるものがあります。後者のアールスメロンはいわゆるマスクメロンのことで、アンデスメロンはこれよりも安価で販売されている日本で品種改良されたメロンを指しています。アンデスメロンという名称から、アンデス山脈などを連想しますが、アンデスという部分は「あんしんです」を略して「アンデス」と言われているだけです。アンデスメロンは、1977年に種苗メーカー「サカタのタネ」が開発したのですが、この際に生産者も流通業者も消費者も安心して栽培、販売、購入ができるメロンとして「アンシン(安心)デスメロン」と呼ばれていたそうです。そしてその後、品種名として安心ですの部分を略し「アンデスメロン」になったそうです。

アンデスメロンとアールスメロンの旬の時期については、どちらも春から初夏にかけてで、アンデスメロンが5月から7月頃、アールスメロンが7月から8月頃となります。アールスメロンは、夏が旬と言った方が良いかもしれませんね。

アンデスメロンもアールスメロンも、表面に網目のような物があるのが特徴ですが、どちらもこの網目がくっきりと出ている物ほど美味しいとされています。スーパーなどでメロンを購入する際には網目の部分に注目してみると良いでしょう。

まとめ

今回は、これから春に向かっていくこともあり、春が旬で美味しく食べられる果物についてご紹介しました。記事内でご紹介しきれていない果物もありますが、この春は是非上で紹介した果物たちを口にしてみてほしいです。

春は、いまいち果物と直結しない季節というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実は日本人からの人気も非常に高い果物の中には、春に楽しめる果物も多いのです。特にイチゴやさくらんぼは、日帰りレジャーとして人気になっている果物狩りの主役のような存在になってきていますし、お近くにいちご狩りやさくらんぼ狩りができる施設があれば、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。というのも、イチゴもさくらんぼも、収穫後に追熟する果物ではなく、新鮮なうちに食べるのが最も美味しく食べられる果物です。つまり、いちご狩りやさくらんぼ狩りは、それぞれのフルーツを最も美味しい状態で食べる方法でもありますし、イチゴやさくらんぼが好きな人にはとてもおすすめです!