近年では、集合住宅などに住んでいる方でもベランダにプランターを置いて野菜などを栽培するベランダ菜園が人気です。害虫対策など、いくつか注意しなければならないポイントがあるのですが、自分で育てた野菜や果物はスーパーなどで購入する物よりも美味しく感じられることもあり、年々ベランダ菜園に取り組む方が増えていると言われています。

しかし、昨今の猛暑化が進む日本の夏は、ベランダ菜園を難しくしているという声が上がるようになっています。実際に、梅雨時期までは順調に育っていた植物が、本格的な夏を迎えると一気に枯れてしまう…なんて状態になったことがある人も多いのではないでしょうか?

実は、ベランダ菜園は、きちんと暑さ対策を行う、暑さに強い植物を育てるなど、いくつかの工夫を施さなければ、せっかく育てていた植物が枯れて何も収穫できなかった…なんてことになるケースも多いのです。そこでこの記事では、ベランダ菜園について暑さによる影響や必要な暑さ対策などについて解説します。

ベランダ菜園と暑さの影響

ベランダ菜園を行う際には、暑さ対策が必要不可欠な時代になっています。皆さんも、テレビのニュースなどで、日本の夏が異常に暑くなっていて、農作物に大きな影響を及ぼしているという話を耳にしたことがあると思います。

暑さは、野菜などの植物に大きな影響を与えるもので、実際に昨今では、暑さを影響に野菜などが不作になり、価格が高騰するという悪循環に陥るケースが多くなっています。プロが農場で育てる野菜でも暑さの影響が出るわけですので、一般の方がより暑くなりやすいベランダで植物を育てるとなれば、さらに影響が大きくなると考えられますよね。

ここではまず、暑さと植物の関係性や必要な暑さ対策について解説します。

高温が与える影響と対策

ベランダ菜園で植物が枯れてしまう要因の一つに「高温」があります。

ベランダは、風はそれなりに吹き抜けるのですが、熱がこもりやすいという特徴があります。直射日光の影響で床面が熱を持ちやすく、さらに壁に囲まれていることで、熱が抜けにくい構造になっているからです。そのため、そのような場所にプランターを設置すると、常に高温状態に置かれることで、土なども熱せられてしまい、根が傷んでしまうのです。さらに、プランターを地面に直置きしている場合、地面の熱によりプランター自体が高温になることがあります。この場合、土の中の根が傷んでしまいやすく、枯れてしまうことがあります。

対策としては、プランターは、地面に直置きするのではなく、すのこや花壇などを用意して地面から少し離しておくという対策が有効です。この他、鉢カバーなどで直射日光を防ぐ、すだれや遮光ネットを設置して日陰を作る、打ち水でベランダ自体の気温を下げるなどの対策が有効でしょう。

直射日光が与える影響と対策

南向きのベランダについては、夏場は非常に強い日差しがベランダに差し込んでしまうことになります。

昨今の夏の日差しは、人間でも皮膚に傷みを感じることがあるなど、非常に強い日差しとなっています。特に、ベランダは、建物から突き出した部分となるため、昼間は常に直射日光が差し込むなんて可能性が高いです。そのため、長時間強い日差しに植物がさらされ続けることで、焼けて枯れてしまうことがあるのです。

直射に日光に関しては、植物に当たらないようにするという対策が有効です。ベランダにすだれなどを設置する、遮光ネットを設置するといった方法により、日陰を作ってそこに植物を置くようにするという対策が有効です。

水不足が与える影響と対策

夏場のベランダ菜園で注意したいのが水不足です。高温、直射日光により、普段通りに水やりを行っていても、水分の蒸発が激しいため、水切れを起こしやすくなるのです。当然、水やりの回数が少なくなってしまうと、植物が枯れてしまう可能性が高くなります。

対策としては、早朝や夕方にたっぷりと水やりを行うという方法が良いです。土の表面が乾いていたら、しっかりと水を与えてください。注意が必要なのは、昼間に水やりを行うと、乾燥するまでにお湯になってしまい、植物に悪影響を与える可能性がある点です。日当たりが良いベランダに置く植物の場合、早朝や夕方など、気温などの影響を受けにくい時間帯に水やりを行いましょう。

蒸れが与える影響と対策

ベランダ菜園初心者の方にありがちな問題です。ベランダにプランターを置く際、地面に直置きする、プランターとプランターの距離が近いなんて状態になると、風通しが悪くなりプランター周りが蒸れてしまうことになります。そして、葉や茎の周りが蒸れてしまうと、植物が枯れる原因となります。

対策としては、プランター同士は適切な間隔をあけ、風通しを良くする、プランターを地面に直置きするのではなく、鉢底を少し浮かせることで風通しを良くするといった方法がおすすめです。

その他、ベランダ菜園の暑さ対策

上記以外にも、以下のような事に注意すると、暑さによって植物が枯れてしまうことを防止できるかもしれません。

  • ・室外機の風が直接当たらない位置にプランターを置く
  • ・打ち水は、植物の周辺だけでなくてプランターの下にも行う
  • ・暑さで葉がしおれている場合、夕方の水やりで回復することがある
  • ・慣れないうちは暑さに強い植物を育てる
  • ・土の表面をマルチングすることで水分の蒸発が防ぐ

暑さに強い植物とは?

ベランダ菜園初心者の方であれば、最初は暑さに強い植物を選ぶのがおすすめです。昨今の日本の夏は、年々気温が上昇していることもあり、暑さでベランダ菜園に失敗してしまう人は少なくありません。そのため、真夏の暑さの中でも、比較的育てやすい植物を選ぶという方法も、暑さ対策としては非常に有効なのです。

たとえば、以下のような植物がおすすめです。

  • キュウリ
    夏の野菜の定番と言えばキュウリです。キュウリは、日当たりの良い場所で栽培するのが望ましいとされているため、ベランダ栽培でも失敗しにくいと言えます。摘芯などを行いながら栽培することで、豊富な収穫が望めるのでとてもおすすめです。なお、水やりは多めにするのが良いです。
  • トマト
    トマトは、夏野菜の中で最も育てやすいと言われています。食べることを考えても、子供から高齢者まで、幅広い年齢層の方に人気の野菜なので、家庭菜園には非常に適しています。注意点としては、暑さよりも病害虫が発生しやすい点です。ベランダで育てる場合、虫の発生は避けたいはずなので、その辺りに注意して育てると良いでしょう。
  • ナス
    ナスも夏を代表する野菜の一つです。好き嫌いが意外に多い野菜ですが、和食にも洋食にもあう野菜なので、家庭菜園で育てられると非常に重宝します。ナスは、乾燥した環境を嫌うため、ベランダなどで育てる場合、土を園芸用フィルムなどで保護しておきましょう。なお、その他の夏野菜と比較すると、連作に非常に弱いため、土は毎年綺麗な物に交換するようにしてください。

ベランダ菜園の暑さ対策については、暑さをどうにかするという考えではなく、暑さに強い植物を選ぶという方法がオススメです。ただ、暑さに強い植物とは言え、放置していれば勝手に育つなんてことはないので、きちんと面倒は見なければいけません。

まとめ

今回は、ベランダ菜園の大きな悩みとなっている暑さ対策について解説しました。

近年では、ベランダのスペースを利用して野菜や果物を育てるベランダ菜園を楽しむ方が増えていると言われています。ホームセンターなどに行けば、ベランダ菜園のためのアイテムが簡単に手に入れられるようになっていることから、誰でも気軽に野菜や果物を育てられるようになっているのです。

ただ、ベランダは、基本的に日当たりが良い環境となることから、夏場は非常に気温が高くなってしまいます。特に、猛暑化が進む日本では、真夏の日差しの強さや気温の高さが人体にも影響を及ぼすようになっています。植物は、暑さにそこまで耐性がない場合も多く、夏場のベランダの暑さは枯れてしまう要因になってしまうことがあります。したがって、記事内でご紹介したようなポイントに注意して、しっかりと育てられるようにしましょう。