今回は、ぶどうに限らず、さまざまなフルールに関するよくある疑問にお答えしていきたいと思います。

皆さんもご存知の通り、果物にはさまざまな種類が存在しています。物流網が発展した現在では、果物本来の旬は関係なく、一年中さまざまな果物が美味しく食べられるようになっていて、スーパーなど身近な店舗で気軽に果物を手に入れることができるようになっています。私たちの日常生活に非常に身近な存在になった果物ですが、よく考えてみると、果物に対して疑問に感じてしまうポイントは意外に少なくありません。

そこでこの記事では、果物全般に関するよくある質問とその答えについてご紹介していきたいと思います。

果物に関する疑問とその答え

それでは、さまざまな果物について、多くの方が疑問に感じているであろうポイントとその答えについてご紹介したいと思います。

皮ごと食べられるぶどうとそうでないぶどうの違いは?

近年では、「種なし、皮ごと」食べられるぶどうの人気が高くなっています。このような状況下で、皮ごと食べられるぶどうとそうでないぶどうは何が違うのか?という疑問を持つ人も多くなっているようです。

昨今のぶどう市場で人気にナガノパープルやシャインマスカットなど、皮ごと食べられるぶどうは、皮が薄くなっています。また、皮と果肉の間の乳白層と呼ばれる部分がしっかりくっついているため、皮と果肉が分かれづらくなっているのです。したがって、皮ごと食べた時には、皮がパリッと割れて適度な食感を楽しむことができるうえ、口の中に皮だけが残らないので、皮を気にせずに食べることができるのです。

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スイカやイチゴなど、果物の美味しい場所はどこ?

どのような果物でも、部位によって甘さが異なります。これは、果物が育っていく過程で徐々に栄養がいきわたっていくという特性が原因で、どうしても場所によって甘さが変わってしまうようになるのです。以下に、国内で人気の果物について、どこが一番甘いのかをご紹介します。

  • ・スイカ・・・スイカは中央部分が一番甘いです。したがって、スイカを切る時には、中央部を軸に包丁を入れ、全てに中央部がいきわたるようにしましょう。
  • ・イチゴ・・・イチゴは、先端から熟していくという特性上、ヘタ部分よりも先端部分に近くなるほど甘くなります。
  • ・ぶどう・・・ぶどうは、イチゴとは逆に房の上(枝に近い部分)の方が甘いです。そのため、ぶどうは先端から食べていくと、最後まで美味しく感じられます。
  • ・りんご・・・リンゴは、枝のついている上部ではなく、中央からお尻(果頂部)部分にかけての方が糖度が高いです。また、中心部には種などが入った芯があるのですが、その中心よりも皮に近い部分の方が糖度が高くなります。

このように、果物はそれぞれ甘い部分が異なるので、ぜひ覚えておきましょう。

リンゴは蜜が多いほど美味しいと聞くけど本当?

甘いリンゴは、中心部分(芯の周り)にたくさんの蜜が溜まっていると言われますよね。実は、リンゴの蜜の正体は、「ソルビトール」という糖質アルコールの一種です。このソルビトールは、葉による光合成で作られる物質で、成長段階において、葉から軸を通って果実内にどんどん運ばれてくるのです。そして、果実の中で、リンゴの甘味である果糖やしょ糖に変換されることで、美味しいリンゴが出来上がるという流れになっています。こう聞くと、芯の部分に蜜(ソルビトール)が残っていてはいけないのでは…と感じてしまうかもしれませんね。

しかしそうではなく、リンゴは、完熟を迎えると、ソルビトールを糖に変換するのをやめてしまうという特性があり、糖分にならなかったものが果実の中に残ってしまうのです。つまり、これが皆さんが言っているリンゴの蜜の正体で、「これ以上、糖分に変換しなくても良い!」という状態まで完熟しているという証拠な訳です。
これからも分かるように、蜜がたくさんあるリンゴは完熟している証拠なので「蜜が多いほど美味しい」はあながち間違いではありません。なお、リンゴの蜜は、収穫後しばらく保存しておくと果肉に吸収され、見えなくなることがあります。また、蜜が多すぎると、保存がききにくくなるという問題もあるようです。

※リンゴは全ての品種に蜜が入るわけではありません。「サンふじ」のように蜜が入りやすい品種もあるのですが、「シナノゴールド」や「シナノスイート」などは、蜜が入りにくい品種として有名です。

日本梨と洋ナシの違いは何がありますか?

「梨」と呼ばれる果物には、日本梨と洋ナシがあるというのはご存知だと思います。日本梨には、「幸水」「豊水」など表皮に褐色のサビがある赤ナシや、「二十世紀」を代表とする表皮が黄緑色の青ナシがあります。そして、洋ナシは、ラ・フランスと呼ばれる品種が有名です。

日本梨と洋ナシの違いで言えば、見た目の違いがまずあげられます。日本梨は、リンゴと同じく円に近い形状をしているのですが、洋ナシは釣鐘のような形状をしています。そして実は、日本梨と洋ナシは形状だけでなく、熟し方に違いが存在します。日本梨は、樹上で熟した物を収穫し流通させるのですが、洋ナシは、樹上で熟すことができないので、貯蔵してから追熟させる必要があります。追熟の必要性は、日本梨と洋ナシの大きな違いと言えるでしょう。

「葉とらずりんご」は普通のリンゴと何が違う?

ネット通販などでリンゴを探していると、「葉とらずりんご」という部分をアピールしている商品を目にする機会があると思います。これを見て、普通のリンゴと何が違うのだろう…と疑問に感じる人も少なくないようです。「葉とらずりんご」は、言葉からイメージできるように、収穫まで葉を残して育てたリンゴを指しています。

実は、無袋栽培を行うリンゴの場合、果実全体に日光が当たるよう、リンゴに影を作る葉っぱを摘み取るのが一般的な栽培方法なのです。しかし、「葉とらずりんご」の場合は、収穫するまで葉を残した状態で育てることになっているわけです。
葉を残すことのメリットは、生育の過程で、最終的に糖にかわるデンプンをたくさん蓄えておくことができるようになる点です。そのため、「葉とらずりんご」は、一般的なものよりも甘いリンゴになりやすいとされています。

桃とネクタリンの違いは?

桃の変種にネクタリンと言う果物があります。ぱっと見は非常によく似た姿をしているため、同じ果物なのではないかと考える方が多いと思います。なお、ネクタリンは、香りは桃とよく似ているものの、酸味が強く甘酸っぱいと感じる味わいです。また、果肉が桃と比較した場合、しっかりしていて、身崩れしにくいのが特徴です。

この他にも桃とネクタリンには大きな違いがあります。桃の変種であるネクタリンなのですが、一般的な桃に存在する果皮表面の「うぶ毛」がないという特徴があります。一般的な桃は、表面にびっしりとうぶ毛があるのですが、ネクタリンはほとんど毛が無くツルツルしています。そのため、一般的な桃と対比して「油桃」「光桃」などとも呼ばれています。

渋柿と甘柿の違いは?

柿には、渋柿と甘柿の2種類があります。簡単に言うと、収穫後そのまま食べると「渋い」柿と何も処理しなくても甘くて美味しい「甘柿」の2種類です。それでは、この渋柿と甘柿は、何の違いがあって、味が大きく異なるのでしょうか?

これについては、柿の中に含まれているタンニンが、水に溶けているか、そうでないかの違いとなります。ちなみに、タンニンが水に溶けている物が渋い柿で、溶けていない物が甘い柿です。

どのような柿にも「タンニン」と呼ばれる成分が含まれているのですが、実はこれが渋みの原因です。甘柿の場合、成熟する過程で、タンニンが水に溶けなくなっていくため、渋みのない柿に仕上がりますが、渋柿は成熟してもタンニンが水に溶けているため渋みが残ってしまうのです。
ただ、渋柿のタンニンは、アルコールや二酸化炭素、温湯などによって渋抜き処理を行うことで、渋みを感じない甘い柿にすることができます。実は、市場に出回っている多くの柿は、もともと渋柿で、渋抜き処理をして甘くしているものが多いのです。

ぶどうの表面に白い粉が付いているのですが農薬ですか?

新鮮なぶどうを手に入れた時には、果実の表面に白い粉のような物が付着しており、それを残留農薬と考えてしまう人が少なくありません。最初に言っておきますが、ぶどうの表面に付着している白い粉は、ぶどうが自ら出している天然成分で、「ブルーム」と呼ばれるロウ物質となります。

ブルームは、雨や朝霧などの水分を弾いてぶどうが病気になるのを予防するほか、果肉の水分が蒸発するのを防いで、新鮮さを保つという効果を持っています。つまり、ぶどう自らが、自分を守るために作り出しているもので、毒性などの危険は一切ありません。ちなみに、ブルームは、手で触るとすぐに落ちてしまいます。したがって、ぶどうの鮮度を見極めるポイントとして非常に有効です。しっかりとブルームが付着しているぶどうは、まだ新鮮だと言えますし、その逆にブルームが落ちているぶどうは、収穫から時間が経過していると考えられます。ぶどうは、収穫後に追熟することはなく、新鮮な物ほど味が良いです。したがって、スーパーやぶどうの直売所などで購入する際には、ブルームが付着しているものを選ぶと良いです。

パッションフルーツはどうやって食べるのですか?

物流網が発展した現在では、日本国内でもパッションフルーツなど、南国の果物を簡単に手に入れられるようになっています。ただ、海外の果物の中には、食べ方に迷ってしまう物も多いようです。

例えば、パッションフルーツは、外観はツルツルしたアボガドのように見えますが、切ってみると日本の果物とは全く異なる果実の形をしていて、初めてパッションフルーツを食べることになった人の多くは「どこを、どうやって食べる物なの?」と迷ってしまうと言われています。なお、パッションフルーツの食べ方はそこまで難しいものではありません。以下に、最も簡単な食べ方をご紹介してみます。

  • ①表面にシワが寄るまで追熟させる
  • ②パッションフルーツを横にして、ヘタから1.5cm程度の場所を包丁で切る
  • ③中の果実をスプーンですくって食べる

パッションフルーツは、切る時に果汁がこぼれやすいので注意しましょう。真ん中あたりを切ってしまうと、多くの果汁が無駄になってしまうので、上の方を切ってスプーンですくって食べるのが良いです。なお、パッションフルーツは、外側の外皮は食べられませんが、果肉の中に見える黒色の種は食べることができます。そのため、スプーンで種ごとすくって食べると良いです。

まとめ

今回は、さまざまな果物に関して、よくある疑問についてお答えしてきました。記事内でご紹介した以外にも、果物に関する疑問を抱えている方もいるかと思いますが、その辺りについてはまた別の機会にまとめてみたいと思います。

果物は、非常に味が良く、食後のデザートとして毎日食べているという方も多いと思います。しかし、比較的多様な食生活を送っていると考えられる日本人でも、一日に摂取する果物の量は、少なすぎると言われているのです。毎日、適切な量の果物を摂取すると、肥満防止、生活習慣病予防、便秘予防など、さまざまな健康効果が期待できると言われています。したがって、少子高齢化が進む日本では、健康維持を目的として「毎日くだもの200グラム運動」というものが推奨されるようになっています。

毎日果物を食べるとなると、やはりお金の問題が出てきてしまいますが、家族の健康には変えられないと思いますので、出来るだけ果物を摂取できる体制を作るのがおすすめですよ。

> 「毎日くだもの200グラム運動」とは