食品を長期保存しようと考えた時には「冷凍保存」を思い浮かべる方が多いはずです。どのような食べ物でも、冷凍保存しておけば、数カ月間は食べられる状態を維持することができるため、非常に重宝しますよね。

ただ、食品の中でも水分を多く含む果物は、冷凍による保存が向かないケースがあるのです。最近では、コンビニなどで冷凍フルーツが販売されるようになっていて、手軽で美味しくさまざまな栄養が取れると、非常に高い人気を誇るようになっています。冷凍フルーツは、家庭でも簡単に作ることができるため、スーパーなどで購入したフルーツを何も考えずに冷凍庫に入れてしまっているという方も少なくないと思います。

しかし、種類によっては冷凍庫で保存することで、本来の美味しさが損なわれてしまうフルーツもあるので、「冷凍に向いているのか?」という点はしっかりと押さえておく必要があります。この記事では、冷凍に向かない果物と、冷凍すると美味しく食べられる果物をご紹介します。

冷凍が向かないフルーツについて

まずは冷凍に向かないフルーツからご紹介します。多くの方は、どのような食品でも冷凍保存が可能と考えていると思います。確かに「保存する」ことだけを考えると、どのような食べ物でも冷凍が一番長もちさせることができるようになるでしょう。しかし、食品によっては、冷凍することで本来の食感などが損なわれ、美味しく食べられなくなるものがあるのです。

特に、水分を多く含むフルーツは、冷凍による変化が非常に大きく、以下で紹介するフルーツは解凍してそのまま食べるのが難しくなるほど冷凍が向かないと考えてください。

スイカ

一つ目はスイカです。スイカは水分が非常に豊富な果物として有名で、夏の熱中症対策にも有効とされています。

実は、スイカの果肉は約90%が水分とされています。ここまで水分量が多いと、冷凍することで食感や味が変わってしまうため、冷凍保存が向かないとされているのです。一度冷凍したスイカを解凍すると、水分がほとんど抜けてしまい、パサパサした食感になって美味しく感じられなくなります。

大量にスイカを頂いて、傷むまでに食べきれないなど…、どうしても冷凍しなければならないなんて場合以外は、冷蔵庫で保存しましょう。なお、冷凍したスイカに関しては、解凍せずに凍ったまま食べましょう。

リンゴ

二つ目は、リンゴです。しっかりとした食感がある果物なので、冷凍保存も可能なのではないかと考えられがちです。

しかし、リンゴを冷凍保存すると、水分が抜けてしまい、ぶよぶよした食感になってしまいます。リンゴは、シャキシャキとした、しっかりと歯ごたえのある食感が特徴のフルーツですし、その食感が失われると美味しさを感じられなくなるのです。

したがって、一度冷凍したリンゴについては、半解凍のシャーベット状態で食べるか、ジャムなどに加工して食べると良いです。

リンゴと同様、梨も冷凍することで食感が変わります。りんご以上に水分量が多いフルーツなので、解凍すると水分が抜け、柔らかくなります。梨本来の風味や食感を楽しめなくなるので、美味しさが大きく損なわれてしまうでしょう。

梨を冷凍する場合、解凍することなく、シャーベット状で食べるか、コンポートやジャムに加工すると良いです。

冷凍してもOKなフルーツについて

次は、冷凍に適したフルーツをご紹介します。冷凍に適しているのは、水分量が適度で味が濃く、繊維質が多いフルーツとされています。具体的には、以下のようなフルーツです。

バナナ

冷凍が可能なフルーツとして有名なのはバナナです。冷凍バナナは、長期保存を目的としてではなく、単純に美味しいからという理由でこの保存方法を選ぶ人も少なくありません。冷凍バナナは、そのままの状態でも美味しく食べられますし、スムージーやヨーグルトなどに加えてデザートとして食べるのもおすすめです。

なお、バナナを冷凍する際には、皮を剥いてレモン汁を少量振りかけてからラップに包むと良いです。バナナの実は変色しやすいのですが、レモン汁をかけると変色を防止することができます。ただ、解凍後、しばらく時間が経過すると変色してしまうので、早めに食べるようにしましょう。

イチゴなどのベリー類

いちごなどのベリー類は、味が濃く、水分量も適度なので冷凍に向いています。特に、ブルーベリーに関しては、時間経過によって鮮度が落ちやすいという特徴を持つため、冷蔵もしくは冷凍での保存が推奨されています。

冷凍したブルーベリーは、シリアルやヨーグルトなどへのトッピングに適していますし、スムージーに加えて食べるなんて方法もおすすめです。

なお、ブルーベリーを冷凍する際は、流水で洗った後、水分をしっかりと拭き取った上でフリーザーバッグに入れましょう。水分が残っている状態で冷凍すると、味が落ちやすくなります。ブルーベリーは、冷凍で保存すると、6カ月程度は日持ちします。

キウイ

キウイも冷凍に向いているフルーツです。ただ、キウイを冷凍する際は、必ず完熟させてから冷凍庫に入れましょう。未熟な状態で冷凍庫に入れると、それ以上、追熟が進まなくなるため、本来の甘さを楽しめなくなる可能性があります。冷凍したキウイは、そのまま食べるのも良し、スムージーやジュースにするのもおすすめです。

なお、キウイを冷凍する際は、皮は剥かなくて良いです。そのままの状態で水洗いし、水分をしっかりと拭き取った上でラップに包み、フリーザーバッグに入れましょう。キウイは、冷凍しても実は固くならず、皮が剥きやすくなるので、そのまま冷凍すれば良いのです。冷凍後は、1カ月以内に食べるのがおすすめです。

上記以外の冷凍に向くフルーツ

上記以外にも冷凍保存に向いているフルーツはたくさんあります。以下のフルーツに関しては、冷凍での保存も可能なので、長期保存をしたい時には冷凍庫で保存しましょう。

  • ・パイナップル:繊維質が豊富で、冷凍しても食感が良いです
  • ・マンゴー:味が濃く、冷凍しても美味しいです
  • ・メロン:水分が適度で、冷凍しても味が損なわれません
  • ・オレンジやみかん:味が濃く、冷凍しても美味しく食べられます

ただ、多くのフルーツは、一度冷凍した物を完全に解凍すると、水分が流出して食感が悪くなります。したがって、冷凍したものは半解凍状態で食べるか、スムージーなどに加工して食べる方が良いとかんがえてください。

まとめ

今回は、冷凍保存に向かないフルーツと冷凍しても問題ないフルーツの種類をご紹介しました。食品の長期保存では、「冷凍」が非常に有効ですが、水分量が多いフルーツは、冷凍することで、本来の食感や香りが失われ、美味しさが損なわれてしまうものがあるのです。

なお、冷凍したフルーツを、解凍せずにシャーベット状態で食べたり、ジャムやスムージーに加工すれば、美味しく食べることは可能なので、絶対に冷凍してはいけないというわけではありません。頂き物などで、傷むまでに食べきることができない…なんて場合は、冷凍保存もうまく活用すると良いでしょう。