皆さんは、柑橘類と聞いて、どのような果物を思い浮かべるでしょうか?多くの方は、冬の食卓を彩る「みかん」をイメージするのではないでしょうか?その他にも、オレンジやグレープフルーツ、レモンなどを連想する方も多いかもしれませんね。

日本人にとっては非常に身近な果物である柑橘類ですが、見た目はよく似ているのに名前が異なる果物が多い点に疑問を感じている方が多いのではないでしょうか?例えば、普段からよく口にされるみかんやオレンジ、グレープフルーツなどは、外皮の色味や大きさは少し異なるものの、姿かたちに関してはよく似ていると言えるレベルですよね。
実は、一般的に柑橘類と呼ばれる果物は、その中でさらに細かく分類されているのはご存知でしょうか?この記事では、一般の方があまり気にすることがない、柑橘類の種類について簡単に解説したいと思います。

柑橘類の種類について

柑橘類というのは、ミカン科ミカン亜科ミカン連(カンキツ連)に属している果物の総称となります。ちなみに、柑橘類以外にも、みかんやオレンジのことを指して「柑橘系」と呼んでいるケースもありますが、正しい呼び方は「柑橘類」です。

そして実は、柑橘類というのは、その中でも細かく分類されているということをご存知でしょうか?一般の方は、「全て同じ柑橘類でしょ」と思うかもしれませんが、柑橘類の中でもカンキツ属、キンカン属、カラタチ属に大別されているのです。さらにカンキツ族に関しては、もっと細かく分類されていきますので、以下で柑橘類の種類についてご紹介していきます。

カンキツ族

カンキツ族は、さらに細かく分類されていて、以下のような果物たちがカンキツ族に分類されています。

  • ミカン類
    一般的に、皆さんがみかんと呼んで食べている果物は、このミカン類に属する「温州みかん」の総称となります。温州みかんは、その中でも三ケ日みかんや愛媛みかんなど、産地によって異なるブランド名がつけられて流通しています。みかんの旬は、一般的には冬とされていますが、早生、中生、晩生など収穫期が異なる品種があり、10月~4月頃まで、長く楽しむことが可能です。
  • オレンジ類
    日本国内で考えるとミカン類が柑橘類の主役のように感じますが、世界中で見るとオレンジ類の方が親しまれているかもしれませんね。日本国内でも、通年で出回っています。なお、オレンジ類にもいくつかの種類があり、主なオレンジの種類としてはバレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジの3種類が有名です。ちなみに、日本国内で流通するオレンジのほとんどは輸入品ですが、国内でも栽培はされています。
  • グレープフルーツ類
    グレープフルーツ類は、みかんと比較すると、大きくて酸味が強いことが特徴です。グレープフルーツにも、「ホワイト」や「ルビー」など、いくつかの品種が存在していますが、国内で流通するグレープフルーツのほとんどは輸入品です。そのため、スーパーなどでは通年で出回っています。
  • タンゴール類
    ミカン類とオレンジ類の交雑種がタンゴール類と呼ばれています。オレンジによく似た爽やかな香りと、ミカン類の特徴である皮の剥きやすさが両立していて、食べやすい柑橘類として人気が高まっています。日本では「清見」、「せとか」などが代表的なタンゴールとなります。
  • ブンタン類
    ブンタン類は、中国や台湾から日本に渡ったとされていて、ボンタンやザボンとも呼ばれています。柑橘類の中でも、特に大きいのが特徴で、皮もかなり分厚いです。日本では、高知県で栽培される土佐文旦が有名です。
  • タンゼロ類
    ミカン類とグレープフルーツ類、またはミカン類とブンタン類の交雑種がタンゼロ類と呼ばれています。日本国内でも、和歌山県などが主な産地とされていて、関西地方では見かける機会が多いかもしれません。
  • 香酸かんきつ類
    香酸かんきつ類は、その他のカンキツ族と比較して、酸味が強いなどと言った理由から、そのまま食べるのに向かないものの総称です。生食ではなく調理や加工品に使用されることが多いのが特徴です。分かりやすく言うと、レモンやライム、ゆずなどが当たります。
  • 雑柑類
    上の7つに分類されていないカンキツ族が雑柑類と呼ばれます。例えば、はっさくや甘夏などが雑柑類に当たります。

カンキツ族の中でも、上のように細かく分類されています。

キンカン属

見た目は、一般的なみかんを小さくしたような果物のきんかんは皆さんもご存知だと思います。このきんかんが、キンカン属となります。一般的には、ミカンなどと同じ分類と考えられていますが、実はキンカン属として独自に分類されている果物なのです。

一般的なみかんとの違いは、大きさと食べ方にあります。きんかんは、直径が約3cm程度と非常に小さな果実となります。そして、通常の柑橘類は皮を剥いて食べるのですが、きんかんは、皮や種が柔らかいため、そのまま丸ごと食べられるのが大きな特徴となります。完熟していれば、程よい甘みを感じられますが、完熟前のものでも砂糖漬けなどにして食べるという文化があります。

カラタチ属

カラタチは、ミカン類に近縁の1属1種の柑橘類です。多くのカラタチ属は、中国の北部や中部で栽培されている果物です。カラタチは、木の枝に長いとげがあるため、敷地内への動物の侵入などを防ぐため、生垣に使用されているケースが多いようです。

なお、みかん類の近縁の果物ですが、果実を生で食べることはほとんどありません。

まとめ

今回は、日本人にとっても非常に身近な果物の一つである柑橘類について解説しました。柑橘類と聞くと、みかんやオレンジ、レモンにグレープフルーツなどを連想する方が多いと思います。そして、これらの果物は、同じ柑橘類に指定される果物としか考えないのではないでしょうか?

実は、柑橘類は、記事内でご紹介したように、細かな分類がされていて、普段私たちが口にしている果実は、分類上は異なる果物の種類なのです。他の果物でも、品種による分類はされていますが、柑橘類ほど細かく分類されているものは少ないので、豆知識として覚えておいても良いのではないでしょうか。