日本の冬を代表する果物では、みかんやりんごが有名です。特にみかんについては、こたつに入りながら手軽に食べられる果物として人気で、毎年冬になればダンボール箱で大量のみかんを箱買いしているという方も少なくないのではないでしょうか?みかんは、まさに庶民の果物としての立場を揺るがないものにしており、その他の果物と比較すると、低コストで栄養価も高いとてもありがたい食べ物と言ったイメージが根付いています。

しかし、果物の中では特に安価に食べられるというみかんが、この冬は異常な値上がりをしていると話題になっています。実際に、毎年大量のみかんを箱買いしているという方の中にも、今年は高くてみかんを買うのを控えた…と言う方も多いとされています。

それでは、低価格で楽しむことができるはずのみかんが、なぜこれほどまでに高騰しているのでしょうか?この記事では、現在のみかんの価格状況などと合わせて、値上がりしている理由をご紹介します。

みかんの価格状況について

今年の冬は、みかんをあまり口にしていないな…と感じている方も多いのではないでしょうか?例年の冬であれば、こたつやテーブルの上に常にみかんが配置されているというお宅が日本には多く、いつでも気軽に食べられる果物の代表がみかんと言っても良いと思います。

しかし、2024年から2025年にかけての冬については、多くのご家庭でこの状況に変化があったとされています。と言うのも、一般的に、安価な果物と言うイメージが強いみかんなのですが、この冬のみかんの価格は急激に高騰しており、全国のスーパーなどで販売されているみかんについては、平均で2割~3割程度も高い値付けになっているとされるのです。

そのため、多くのスーパーなどでは、みかんの販売方法に変化が生じていて、例年の冬であれば10kgのケースで販売していたものをその半分の5kgのケースで販売するといった対策が行われているようです。これは、10kgのケースで販売した場合、価格が高すぎてお客様が購入するのを躊躇してしまうため、お店側が販売の工夫として内容量を減らすという対策が行われているのです。この方法は、お米の販売でも見られるようになっていて、最近では10kg入りのお米がスーパーから姿を消し、5kg入りのお米が例年の10kg入りのお米の値段で販売されている…と言った悲鳴がSNSなどで見られるようになっています。

こういったことから、毎年みかんを大量買いしている方でも、今年はみかんの購入を控える、もしくは購入する頻度を減らしているという状況が続いているとされます。

みかんの価格が高騰している理由

それでは、みかんの価格が高騰している理由についても見ていきましょう。いちごなども、昨今は販売価格がどんどん高騰していると言われますが、これは単純に不作が要因となっている以外にも、ブランド戦略という面も大きいとされます。今年のクリスマスはいちごの高騰も問題になりましたが、それを抜いて考えても、いちごの価格は非常に高くなっています。中には、一粒で1万円を超えるようないちごも登場しているなど、いちごについては、生産者が高級路線に向かっているというのも大きな要因と考えられます。

もちろん、みかんについても、高級路線のブランドみかんがあるのですが、今年の冬は通常品種のみかんも非常に高値で市場に出回っています。このみかんの値上がりの理由は、以下のような事が要因とされます。

①「暑さ」と「雨不足」

今年のみかんの価格高騰の要因は、育成段階における「暑さ」と「雨不足」が要因で不作になってしまったというのが大きな要因です。一部のみかん農園では、夏場などに、みかんが日光に直接当たり過ぎてしまったため、形が平たく変形してしまい、水分の少ない出来となったとされています。また、例年は、鮮やかなオレンジに色づくみかんですが、表皮の色が薄くやや黄色味が強いという出来のものが多いとされています。このほか。葉が少なくなった苗木の姿も目立ったなど、2024年の「暑さ」と「雨不足」が要因となり、みかんの収穫量が大きく減ってしまったとされているのです。

さらに、上記の天候の問題に関連して、今年はカタツムリやカメムシの大量発生などがあり、多くのみかんが昆虫の食害にあい、予想収穫量が2割以上減少したという農場もあるようです。今年のみかん高騰は、猛暑や雨不足が大きな要因となっているようですが、日本の夏は年々猛暑化が進んでいると言われますし、今後もみかんの収穫量に影響を与える年が多くなるのではないか…と危機感を抱いている農場は多いです。

※みかんは雨不足の場合、甘くなるという好影響があるのですが、収穫量そのものが減少するため、みかんが値上がりするという悩ましい問題につながります。

②燃料価格の高騰

みかんに限りませんが、農作物の値上がりは、ガソリンなどの燃料価格の高騰が大きな影響を与えます。

例えば、ミカンなどの果物を栽培して、それをお客様の手元に届けるためには、必ず輸送と言う工程が挟まれますよね。また、農園直売のネット通販などでない場合は、間にスーパーなどの小売店が関わってきます。そして、この販売の工程の中で、輸送のためのガソリンやスーパーなどの電気代など、燃料価格の高騰の影響を受ける部分が非常に多くあるのです。

昨今では、ドライバー不足の問題なども関係し、輸送費の高騰が社会問題となっています。そしてそこに来て、過去に類を見ないほどのガソリン価格の高騰があり、ミカンなどの販売価格にその値上がり分が転嫁されているのです。

また、どのような農場でも、果物や野菜を栽培する時には、多くの燃料を使用することになります。当然、その燃料費が栽培した農作物の販売価格に影響を与えるわけです。昨今では、ガソリンなどの燃料はもちろん、電気代やガス代など、すべての価格が上がってしまっているため、今まで通りの価格を維持することができなくなっていることも、みかんの価格高騰に影響しています。

まとめ

今回は、今年の冬にSNSなどで盛んに指摘されていた「みかんが高すぎる」と言う問題について、これは本当なのか、また値上がりしているならその理由は何なのかについて解説しました。

記事内でご紹介したように、今年の冬は、みかんの販売価格が高騰していて、例年と比較すると平均で2~3割ほど高い価格で販売されている店が多いと言われています。みかんが出回り始めたころには、例年の4割以上高い値段で販売されているケースも多くあり、今年はみかんが買えない…なんて声がそこら中で聞こえて来ていたのではないでしょうか?

この冬のみかんの高騰に関しては、暑さや雨不足が大きな要因となっています。雨不足に関しては、甘いみかんができるなど、メリットになるケースもあるのですが、今年は異常な暑さや害虫問題などがあり、収穫量が大幅に減少してしまったとされるのです。当然、需要と供給の関係上、収穫量が少なくなれば販売価格が高く設定されてしまい、先ほど紹介したような状況になっているのです。なお、夏場の猛暑化については、年々平均気温が高くなっていると言われていますし、数年後には現在のみかんの状況が当たり前になる可能性もあるでしょう。もちろん、暑さや雨不足に強いみかん品種はあるのですが、新しい品種に植え替え、収穫できるようになるには何年もかかるのです。そのため、多くのみかん農家は、新たな品種への切り替えが難しく、収穫量が不足する状態が続くかもしれませんね。

なお、果物の価格高騰については、バナナの価格も高くなっていて、例年よりも1割程度高くなっているとされます。これも、地球温暖化など、気候変動影響が大きく、日本の輸入バナナの大半を栽培しているフィリピンでバナナの不作があったことが影響しているようです。