日本の夏は、年々猛暑化が進んでいると言われており、最高気温が35℃以上を記録する猛暑日になることも珍しくなくなっています。ちなみに、気象庁が公表している「暖候期予報」によると、6月~8月の期間予想(見通し)では今年も暑い夏になると予想されています。

このような、近年の日本の暑い夏は、熱中症患者の急増という社会問題を生んでいます。医学が発展したことにより、熱中症がなぜ発症するのか、どのようにして予防すれば良いのかの情報が出回っているものの、現在でも毎年多くの熱中症による死亡事故が発生しています。

そして、さまざまなフルーツの中でも、ぶどうは熱中症対策に非常に効果的な食べ物だと言われているのはご存知でしょうか?ぶどうは、外出する前に少し食べておけば熱中症を予防できますし、外出先から帰ってきて口にすることで、必要な栄養素を補充できるなど、手軽に熱中症予防ができる食べ物です。そこでこの記事では、ぶどうの何が熱中症対策に有効なのかをご紹介します。

そもそも熱中症はなぜ発症するの?

それではまず、「なぜ人は、熱中症になるの?」と言った熱中症のメカニズムを簡単にご紹介しておきます。

熱中症は、暑い日に大量の汗をかくことによって体内から水分、ミネラル、そして水溶性ビタミンと呼ばれる水に溶けやすいビタミンがなくなってしまうことによって発症します。動物が汗をかくのは、体温の調整のためなのですが、汗をかくと先述の成分が体外に出てしまいます。そして、これらが不足した場合、それ以上、汗がかけなくなり、体内にこもった熱を汗と共に放出できなくなり、熱中症になるわけです。

熱中症予防には、水分を補給することが大切と長年言われてきましたが、現在では、水分だけでなく汗と共に流れ出てしまうビタミンやミネラルもセットで補給しなければならないと変わってきていますよね。

参照:熱中症が発生する仕組みとそれに基づく有効な対策

熱中症対策にはビタミンとミネラルが大切!

熱中症予防や熱中症の症状緩和を考えた時には、水分と糖分とカリウム、ビタミンなどを摂取することが大切です。

まず、糖分は、熱中症になった体にとって、即効で使用できるエネルギー源になります。熱中症になった時には、血液の循環が鈍くなるだけではなく、汗であらゆる栄養分が体外へ流出してしまいます。したがって、すぐに体のエネルギーとなる糖分を摂取することが大切です。そして、糖分の中でも、いち早くエネルギーになることができるブドウ糖がおすすめとされていて、実際に熱中症で病院に行った際にはブドウ糖などの点滴治療が行われます。

次にカリウムですが、この成分は体内の水分調整に不可欠なミネラルです。なお、ミネラルは主に「水分を排出する」働きを持っているので、熱中症対策とは真逆なのではと考えられがちです。しかし、カリウムはナトリウムとワンセットで体内の水分調整を担っており、ナトリウムが体内で機能するためにはカリウムが必要不可欠なのです。さらに、急に多くの水分をとった際、その調整役として働くのもミネラルです。

そして、熱中症予防に関しては、普段から疲労を溜めないことが大切とされていますので、ビタミンB1、ビタミンC、クエン酸などが大切になります。これらの栄養素は、体内に入った糖分の燃焼、代謝を助け、筋肉の溜まった疲労の解消、体の倦怠感をなくす、カリウムを含めたミネラルの吸収を助け、クエン酸回路と呼ばれるエネルギーの燃焼を活性化するなどの働きを担っています。

熱中症は、上記のような栄養素が、汗と一緒に体外に流れ出てしまうことで発症しますので、普段からこういった栄養素を含んだ食べ物を摂取しておくことが、予防につながります。

ぶどうが熱中症に効果的と言われる理由

ぶどうと熱中症の関係性については、今まで一度も考えたことが無いという方が多いと思います。しかし、ぶどうは、さまざまな果物がある中でも、バランスよく豊富なビタミンが含まれていると有名です。例えば、ぶどうを一房食べると、ビタミンB1やビタミンC、カリウムを多く摂取することができ、さらにブドウ糖も豊富にとることができます。それだけでなく、ぶどうには微量のナトリウムも含まれています。

ぶどうは、特にビタミンB1が多い果物とされていて、それと同時に体のエネルギーになるブドウ糖も多く含まれているので、熱中症予防を考えた時には、非常に効果的な食べ物です。これに加えて、カリウムなども豊富に含まれていて、酸味が強い品種になると、ビタミンCやクエン酸などもより多く摂取することができます。夏場にぶどうを冷凍しておけば、熱中症対策をしながら体を冷やすことができるのではないでしょうか!

熱中症対策を考えたぶどうの食べ方

ぶどうは8月頃から10月ぐらいまでが露地ものの旬です。ただ最近では、ハウス栽培を行っている農園も増えており、熱中症に注意が必要な6月頃からさまざまな品種が出回るようになっています。

熱中症対策としてぶどうを用いる場合、まずは外出前にぶどうを摂取するのがオススメです。外出前にぶどうを食べることで、水分やビタミン、ミネラルを補うことができ、熱中症になりにくい状態を作ることができます。
さらに、ぶどうを冷蔵庫に常備しておけば、暑い夏、帰宅時に冷たいぶどうを食べることができるようになります。外出から帰ってきて、水分の代わりに冷たいぶどうを食べることで、体を効率的に冷やすことができますし、汗で放出された成分を補給することが可能です。

ちなみに、一人暮らしの方などで、なかなか多くのぶどうを食べきれない…という場合には、ぶどうを房から外し保存袋に入れて冷凍しておくのがオススメです。冷凍保存であれば、最長で3週間から一カ月程度保存することができます。

関連:ぶどうに含まれる栄養と期待できる健康効果とは?疲労回復や眼精疲労におすすめ?

まとめ

今回は、熱中症対策にも有効な食べ物と言われるぶどうについて、なぜぶどうが熱中症予防に効果的なのかをご紹介しました。

ぶどうが熱中症予防に効果的なのは、この記事でご紹介したように、汗で体外に流れ出てしまう栄養素の多くをぶどうが含んでいるからです。ぶどうを口にすることで、水分だけでなくビタミンやミネラル、糖分などを効率的に摂取できるようになりますので、外出の前に食べておく、暑い屋外から帰宅した時に食べることで、熱中症の発症を抑えることができると言われているのです。

ぶどうは、単に美味しいフルーツとしてだけでなく、健康を維持するための食べ物としても有効ですので、ぜひ定期的に摂取してほしいと思います!