田中ぶどう園では、農園で栽培した新鮮なぶどうを使って美味しいジェラートの製造販売を開始しています。田中ぶどう園のジェラートは、海外のコンクールなどでも優秀な成績を残しているパティシエさんと共同開発していますので、味に関しては自信をもって皆さんにおすすめできる商品となっています。

ただ、当園でジェラート作りをスタートしてから、お客様から「ジェラートとアイスクリームと何が違うの?」と言った質問を受けることが意外に多くあります。ジェラートを食べてみると、その違いはよくわかると思うのですが、どちらも暑い夏場に美味しく食べられる冷たいお菓子であるという特徴から、その違いがよくわからないという声が多いのだと思います。

そこでこの記事では、実際にジェラートの製造・販売を行っている農園が、ジェラートがどのような食べ物で、アイスクリームと何が違うのかを解説してみます。

ジェラートとは?

それではまず、「ジェラート」と呼ばれるお菓子がどのような特徴を持っているのか、ジェラートの発祥地なども合わせてご紹介していきます。日本国内での夏場の冷たいお菓子と言えば、やはりアイスやかき氷をイメージする方が多いと思います。ジェラートは、これらと比較すると存在感がまだ薄いように感じる方が多いと思うのですが、それも致し方なく日本で初めてジェラートが販売されたのは1980年代と、その他のお菓子と比較するとまだまだ新しい存在なのです。

それでは、ジェラートはどこが発祥のお菓子なのでしょうか?

ジェラートはイタリア発祥の冷たいお菓子

ジェラートは、イタリアが発祥のお菓子で、イタリア語の「凍った」という意味からその名前が付けられたと言われています。日本では、ジェラート専門店は多くありませんが、本場のイタリアには、なんと4万店近くのジェラート専門店があると言われています。

実は、日本人にも非常になじみ深い映画の「ローマの休日」でもジェラートが登場していて、オードリーヘップバーン扮するアン女王がスペイン階段で食べていたものがジェラートです。かなり昔の映画なので「歴史のあるお菓子なんだな」と思った方も多いかもしれませんが、ジェラートの歴史はその程度のものではなく、なんと旧約聖書にも記載されていると言われるほどの歴史がある食べ物なのです。

もちろん、現在と昔ではジェラートの製法や原料は変化してきています。ただ、これはどのような食べ物でもより美味しくする、その時代の味覚に合わせる目的で変化しています。現在のジェラートは、果実・果肉・牛乳・砂糖・卵白などを撹拌させ、凍らせて作ります。ジェラートの良いところは、地産地消の果物を使って、オリジナルのジェラートを作ることができるうえ、素材の味をそのまま楽しむことができる点でしょう。そのため、フルーツを栽培する農園などでは、お土産物などとしてオリジナルジェラートが販売されていることも多いです。

アイスクリームとの違いとは?

それではジェラートとアイスクリームの違いについても解説します。ジェラートは、イタリア語で「凍ったお菓子」を意味していますので、言語としてはアイスクリームと大きな違いはないように思えます。

また、アイスクリームにも、なめらかでクリーミィな物、ザクザクした食感を楽しめる物、フルーティでさっぱりしたものなど、さまざまな食感や味わいを楽しめるタイプが登場していて、アイス業界の幅もかなり広がっています。それでは、ジェラートとアイスクリームは、呼び方が違うだけで、その中身は同じものなのでしょうか?

実は、この二つのお菓子はいくつかの明確な違いが存在していますので、ここでご紹介します。

乳脂肪分の違い

皆さんは、冷凍庫で凍らせるお菓子は、総じて「アイスクリーム」と呼称されると考えていませんか?実は、日本では乳固形分などの分量によって、法令によって以下のように分類されているのです。

  • ・アイスクリーム・・・乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上
  • ・アイスミルク・・・乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上
  • ・ラクトアイス・・・乳固形分3.0%以上
  • ・氷菓・・・上記以外のもの(乳固形分3%未満)

上記の通り、一般的に「アイス」と呼称されるお菓子は、その成分によって「アイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイス・氷菓」の4つに分類されています。

それでは、ジェラートに含まれる成分はどうなっているのでしょうか?実はジェラートの脂肪分は4~7%となりますので、分類上は「アイスミルク」になるのです。アイスクリームは、乳脂肪分8.0%以上と法令で定められていますので、この点で明確に違う食べ物に分類されるということは理解していただけると思います。

ジェラートは、アイスクリームと比較すると、乳脂肪分が少なめなので、あっさりとしつこくない軽い美味しさを楽しむことができます。さらに嬉しいポイントとしては、乳脂肪分が少ないということは、その分カロリーも控えめになりますので、アイスクリームよりもヘルシーに楽しむことができます。

参照:乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)

植物油脂が入っていない

アイスクリームは、「アイスクリーム類および氷菓の表示に関する公正競争規約」によって、乳脂肪分以外の脂肪の添加が禁止されています。簡単に言うと、牛乳やクリームなどの乳製品以外の植物油脂を併用してコクを出し、「アイスクリーム」として販売してはいけないということです。

ただ、アイスミルクやラクトアイスに関しては、植物油脂が禁止されておらず、ヤシ油、パーム油、菜種油などの植物油脂を利用して、アイスクリームに近づける対策が施されています。これに対して、ジェラートと呼ばれるお菓子については、植物油脂が利用されることがないのです。ジェラートは、新鮮な材料を使い、素材本来の味わいを楽しむためのお菓子なので、そもそも「アイスクリームに近づけるために植物油脂を使う」と言った考えがありません。この他の、アイスミルクやラクトアイスは、植物油脂を利用することで、価格を抑えたうえでアイスクリームの味わいに近づくことを目指しています。

こう聞くと、「アイスミルクやラクトアイスよりも、アイスクリームの方が美味しいということなの?」と感じてしまいますが、そういうわけではありません。特に、ジェラートに関しては、植物油脂を使わずにミルクの自然な美味しさを生かした非常に魅力的なアイスです。日本国内では、もともと農園や牧場、観光地などで出来立てをその場で提供する形でジェラートの販売が行われていたのですが、現在では、通販などで販売されることが増えていて、市販のアイスのようなカップに入れられている物を見かけることが多いです。そして、ジェラートのカップにはアイスミルクと表記されることから「アイスクリームじゃないんだ…」とがっかりされてしまうこともあるようです。

これは、あくまでも日本の法令によって、アイスを4つに分類しているのが大きな要因であり、その他のアイスミルクなどとは異なり、植物油脂を使わず脂肪分が低いジェラートは、他の区分にしてほしいと言っているジェラート専門店は多いです。

空気量が違う

ジェラートとアイスは、中に含まれている空気の量が違います。アイスが氷のように固くならないのは、中に空気が含有されているからです。

一般的に、アイスクリームには50%以上の空気が含まれているとされています。その一方、ジェラートは30%前後と、空気量が少なくなります。ジェラートは、空気量が少ないため、食品としての密度が濃くなりますので、素材の味をしっかりと味わうことができるのが特徴です。

食べる温度が違い

アイスは、種類ごとに製造や保存時の温度がかなり違います。例えば、街中にあるアイスクリーム屋さんでは、ショーケースの中に色々なアイスクリームが並んでいるのを見かけると思います。実は、このアイスクリームが入れられたショーケース内は、マイナス18℃以下の低温で管理されています。この温度で保存されていますので、アイスクリームを取り出すときには、ディッシャーと呼ばれる器具を使って、力を入れて掘り出す感じになっていますよね。

一方、ソフトクリームについては、出来立てを食べるアイスでですので、マイナス4~6℃程度で製造されているなど、アイスクリームの保管温度よりはかなり高くなります。これにより、ソフトクリーム特有の軟らかく滑らかな食感を楽しめるのです。

一方ジェラートはというと、マイナス12~15℃程度に設定されたショーケースで保管されています。アイスクリームとソフトクリームの中間ぐらいの温度帯なので、クリーミーな状態で保管することが可能です。

ジェラートとシャーベットの違い

ジェラートは、シャーベットにより近いお菓子だと解説しましたね。一説によると、ジェラートは、9世紀頃よりイスラム文化が定着していたシチリアに伝わったアラブのシャーベットである「シャルバート」がシチリアを通してイタリア全体にに伝わったのではないかという説もあります。

それでは、ジェラートとシャーベットの違いはどこにあるのでしょうか?これについては、含有される乳脂肪分が大きく違うという点が特徴でしょう。実は、シャーベットは、乳固形分3.0%未満の「氷菓」に分類されます。基本的には、フルーツジュースに砂糖を加えたもの、果物のピューレを凍らせたものが多いのですが、中には牛乳を多めに入れられたシャーベットがあり、このタイプは「ラクトアイス」に分類されることもあるようです。

まとめ

今回は、近年、果物を栽培する農園などが販売することが増えているジェラートについて解説しました。多くの方は、冷たいお菓子の総称がアイスクリームと考えているのですが、記事内でご紹介したように、キチン法令により分類されているのです。

ジェラートに関しては、その他の氷菓子と比較すると、日本に入ってきたのが遅かったからか、ジェラートの良さを表す分類がなされていないのが少し残念です。通販などで購入するジェラートの容器には、「アイスミルク」と表記されているため、植物油などを使って味が調整されているように感じられているかもしれません。しかし、農園などが直接作っているジェラートは、「アイスクリームに近づける!」なんてことは考えられておらず、素材の良さを最大限生かせるように工夫がなされています。

田中ぶどう園でも、皆さんに満足していただけるようあんジェラートづくりを進めていますので、是非通販サイトなどで購入してみてください。なお、販売開始はこのサイト内でご紹介します!

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