果物には、それぞれ旬の時期というものがあります。最近では、輸送技術や保管技術が大きく進歩したこともあり、季節に関係なく食べられる果物も増えていますが、美味しくて栄養価が高い果物を食べたいと考えるなら、やはりそれぞれの季節の旬の果物を選ぶのがおすすめです。

例えば、夏から秋にかけてが旬の果物と言えば、桃やスイカ、ぶどうに梨など、日本人にとって非常に身近に感じる果物が多いです。果物は、単に美味しい食べ物として存在しているのではなく、熱中症予防などにも効果的な食品とみなされるようになっているため、気温が上昇する夏や秋は定期的に果物を摂取するのがおすすめと言えます。

とはいえ、どうせ果物を食べるのであれば、出来るだけ美味しい、状態の良いものを口にしたいと考えるものですよね。そこでこの記事では、夏から秋にかけてが旬の代表的な果物について、美味しいものを選ぶためのポイントをご紹介します。また、美味しさを損なわずに保存するためのコツについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

桃の見分け方

さまざまある果物の中でも、日本人からの支持がトップクラスに高いのが桃です。甘くてジューシーな桃は、夏場の贈答品としても非常に高い人気を誇っています。

ただ、桃にも多くの品種が存在していて、それぞれの品種によって収穫時期は異なります。一般的には、7~8月頃が旬の果物と認識されていますが、6月頃より出回り始める品種や、初秋である9月頃に楽しめる品種もあります。桃は、ペクチンなど食物繊維を豊富に含んでいるため、整腸作用なども期待できるとされます。

おいしい桃の見分け方

桃は、スーパーの店頭などで購入することも多いですよね。その時には「どれが美味しい桃なのか分からない?」ということに悩む方が多いのではないでしょうか?

桃を購入する際には、色と形に注目すると良いです。まず、色についてですが、全体的にきれいな紅色に色づいたものを選ぶと良いです。また色づいた部分に白い斑点があるものが特に良いです。また、形については、正面から桃の筋を見た時、左右対称に丸みを帯びているものが良いです。片側が一方的に大きいというものは、そちら側ばかりに太陽光が当たっているという証拠なのです。

ちなみに、桃は完熟に近づくにつれ、甘い香りが立ってくるので、購入してすぐに食べたいと考えるなら、匂いも確認して「甘い香りがするモノ」を選ぶようにしましょう。

桃の保存方法について

完熟した桃は、非常に傷みやすいので、出来るだけ早めに食べるようにしましょう。

数日保存したいという場合は、直射日光が当たらない風通しが良い場所で保存しましょう。冷蔵庫の中で長時間保存し、冷やし過ぎてしまうと、甘味や香りが損なわれてしまいます。したがって、桃は、基本的に「常温」で保存して、食べる2~3時間前に冷蔵庫で冷やすようにしましょう。なお、冷蔵庫に入れる際は、野菜室が望ましいです。

スイカの見分け方

次は、夏の果物の王様ともいえる存在のスイカです。スイカは、一般的に6月から8月頃が旬で、特に7月から8月にかけて、市場に多く出回ります。ただ、スイカの旬は、産地によって大きく異なり、熊本などは3月から6月が旬と、春スイカなどとも呼ばれています。
スイカは、水分を非常に多く含んでいるため、夏バテや熱中症予防として食べる果物としては最適と言えます。

おいしいスイカの見分け方

スイカは、表面の縞模様や軽くたたいたときの音などで美味しいものを見分けることができるとされています。

まず、縞模様についてですが、甘いスイカは、表面の縞模様が色濃く、緑色の部分との境目がはっきりしています。特に、この縞模様の部分が少し盛り上がっていると感じるものは、新鮮なスイカの証拠です。スイカは、収穫時が最も美味しい時期で、2週間ぐらいはその美味しさを維持できるとされています。しかし、収穫後は徐々に美味しさが低下していくとされているので、可能な限り新鮮な物を選ぶのが良いのです。
次に、音に関してですが、スイカの表面を軽くたたいたときの音で美味しさが見分けられるという話を耳にしたことがあると思います。スイカを軽くこぶしで叩いたとき、ボンボンと音が返ってくるスイカは水分を多く蓄え、肉もギュッと詰まっているため、美味しいと判断できるそうです。しかし、音が低く感じる場合、熟しすぎている、高すぎる場合は未熟な状態と言われています。音の違いは、慣れてこないとなかなか判断できないので、店員さんに確認してもらう方が良いかもしれませんね。

この他、スイカの上部に残っているツルの状態も完熟を見極めるポイントになります。スイカは完熟になるとツルの付け根の周辺が盛り上がってきます。付け根回りが凹んでいないものは未熟だとされているので、ツルの付け根がくぼんでその周りが盛り上がっているものを選ぶと良いとされています。

スイカの保存方法について

スイカの保存に関しては、丸ごと保存する場合は、冷蔵庫に入れずに、風通しの良い冷暗所で保存するのが適切です。もちろん、カットされたスイカの場合は、冷蔵庫に入れて保存しましょう。

スイカの保存方法については、以前別の記事で解説しているので、以下の記事を参照してください。

関連:スイカの保存方法や日持ちをご紹介!スイカは丸ごと冷蔵庫で保存しても構わないものなの?

ぶどうの見分け方

ぶどうは、夏から秋にかけてが旬の果物として有名です。ただ、ぶどうの旬は、品種によってかなり異なり、夏の果物なのか、秋の果物なのかの判断がなかなか難しいです。例えば、デラウェアなどの小粒ぶどうは、7~8月が旬と正に夏の果物と言える存在です。しかし、巨峰やマスカット、最近ではシャインマスカットなどの大粒ぶどうに関しては、その多くが8月下旬ごろが収穫期となっていて、中には9月以降に旬を迎える品種もあるのです。この辺りは、秋の果物というイメージかもしれませんね。

おいしいぶどうの見分け方

ぶどうを選ぶときは、果実の色が濃く、ハリがあるものを選ぶと良いです。また、ぶどうは樹上で完熟する果物なので、出来るだけ新鮮な物を選ぶのが美味しいものを選ぶコツでもあります。

ぶどうが新鮮かどうかは、果実表面に白い粉のような物が付着しているかどうかで判断します。表面の白い粉のようなものは、残留農薬と勘違いする方がいます。しかし、これはブルームと呼ばれる天然成分で、ぶどう自身が自分の実を守るために出しています。このブルームは、時間経過とともに徐々に落ちていくので、表面にしっかりとブルームが残っている物ほど、新鮮だという証拠なのです。

この他、ぶどうの軸が緑色を保っている物、実がびっしりとついているぶどうが新鮮です。実が房から外れているものは、鮮度が落ちているので避けましょう。

ぶどうの保存方法について

ぶどうは、樹上で完熟する果物なので、傷みやすいです。そのため、保存は冷蔵庫の中が望ましいです。

なお、冷蔵庫に入れる前に一度水洗いする人がいるのですが、これはNGです。先ほど紹介したように、ぶどうは、自分自身を守るためにブルームと呼ばれる天然成分を出しています。これは、果実を乾燥や病気から守るという役割があるのですが、水洗いするとブルームが落ちてしまうことになり、傷むのが早くなるのです。

なお、デラウェアなどの小粒ぶどうの場合は、房ごとペーパータオルで包み、容器に入れてから冷蔵庫に入れましょう。大粒ぶどうは、一粒ずつ切り離した方が鮮度を保つ頃ができるので、房から切り離して保存するようにしましょう。ただ、手でちぎると、枝とつながっていた箇所に穴が空き、そこから傷んでしまいます。したがって、穴が生じないように、ハサミで枝を切って分離するようにしましょう。

梨の見分け方

最後は梨です。秋の味覚という印象が強いかもしれませんが、品種によっては夏に収穫期を迎える物があります。例えば、梨の中でも幸水と呼ばれる品種は、7~9月中旬ごろが収穫期で旬は夏真っ盛りの8月です。二十世紀は8月から10月、豊水が9~10月が旬なので、これらの収穫期で秋の味覚というイメージがついているのだと思います。

おいしい梨の見分け方

美味しい梨の見分け方については、色やお尻の部分の形を確認すると良いです。

梨は、お尻の部分に甘みが貯まるのですが、高さがあるものよりも、横に平べったいものの方が水分がたっぷりで甘みがあるとされています。また、甘味が増してくると、赤ナシは赤みがかった褐色になり、青ナシは黄色に変化してきます。

この特徴を知っておけば、より甘い梨を選ぶことができるでしょう。

梨の保存方法について

和梨は、収穫後に追熟することはなく、どんどん品質が落ちていきます。ラ・フランスなどの洋梨は追熟させる必要があるのですが、和梨はできるだけ新鮮なうちに食べきるようにしましょう。

梨は、ヘタの部分から呼吸するのですが、自らの糖分や水分を使って呼吸するため日持ちしにくいとされています。そのため、梨の劣化を遅らせたいなら、ヘタの部分を下にして、冷蔵庫の中で保存するのが良いです。

ただ、乾燥に弱い果物なので、冷蔵庫に入れる際は、新聞紙などで包み、密閉できる袋に入れるようにしましょう。果物の中には、冷蔵庫の中で長時間保存することで甘みが損なわれるものがあるのですが、梨の場合は、冷やすことで糖分が増していき、日持ちするようになるので、冷蔵庫で保存しましょう。

まとめ

今回は、夏から秋にかけて旬を迎える果物について解説しました。夏の果物と聞くと、多くの方はスイカをイメージすると思うのですが、記事内でご紹介したように、夏は多くの果物が楽しめるフルーツ好きの方にとっては非常に嬉しい季節なのです。

ただ、どのような果物でも、美味しい果物の見分け方を知っておかなければ、せっかく購入したのに「本来の甘さを楽しめない…」などとがっかりする結果を招く恐れがあるのです。記事内では、夏から秋にかけて楽しめる代表的な果物について、美味しく育ったものを見分けるためのポイントをご紹介しています。ぜひ、今年の夏は、いろいろな果物の味を楽しんでみましょう!