ぶどうは、その他のフルーツと比較しても品種改良が盛んに行われていて、多種多様な品種を楽しめるフルーツとして有名です。日本国内で栽培されているぶどう品種だけでも、マイナーな物も含むと100種類以上あると言われていて、さらに世界中に目を広げると、なんと1万種類以上もの品種が存在すると言われているのです。

そのため、ぶどうを好んで食べている方でも、日本で栽培されている全ての品種を口にしたことがあるという方は非常に少ないと思います。このように、日本国内だけで余裕で完結しそうなぶどう業界ですが、実はスーパーなどで販売されているぶどうの中には、海外で栽培されている輸入品も存在します。そして、そんな輸入ぶどうの中で、代表格と言えるのがレッドグローブと名付けられたぶどう品種です。

日本で栽培されるぶどうについては、ブランド化が目指されていて、どちらかというと高級志向の品種改良が進められています。実際に、シャインマスカットや瀬戸ジャイアンツなど、贈答品としても人気のぶどうであれば、1房で数千円するのが当たり前という印象になっていますよね。ただ、レッドグローブは、スーパーなどで比較的安価に販売されていて、お子様のおやつとして使いやすい大衆ぶどうとしてその地位を築いています。ちなみに、価格が安いからと言って味が悪いわけでもなく、果汁が多くジューシーなぶどうなので、日本人の好みにも合うと思います。
この記事では、輸入ぶどうの代表格とも言って良い、レッドグローブの特徴や、長持ちさせるための正しい保存方法などについて解説します。

レッドグローブとはどんなぶどう品種?

それではまず、レッドグローブというぶどう品種が、どのような特徴を持つぶどうなのかについて解説します。日本は、ぶどうの栽培に関して、世界一と言っても過言ではないほど、美味しいぶどう品種の開発が進められています。実際に、シャインマスカットなどは、その人気の高さから苗が海外に違法に持ち出されるといった事件まで起きています。

こういった情報を聞くと、日本産のぶどうがそれだけ美味しいなら「別にぶどうを輸入する必要なんてないのでは?」と考えてしまいますよね。ただ、冒頭でご紹介したように、日本国内で進められているぶどうの品種改良は、どちらかという高級志向のぶどうが開発される場合が多く、スーパーなどで手軽に手を出せる大衆ぶどうは少なくなっているイメージです。海外からの輸入ぶどうは、日本産の品種と比較すると、安価で販売されるものが多いため、ぶどうの栽培が盛んな日本でも輸入品がそれなりに出回っているわけです。

それでh、レッドグローブはどのようなぶどうなのでしょうか?

レッドグローブの特徴

レッドグローブは、赤系ぶどうに分類される品種で、海外から輸入されているものがスーパーの店頭などに並びます。このぶどう品種は、アメリカのカルフォルニア大学農学部が交配育成したとされており、味は酸味が少なくさっぱりとした甘みを感じることができると、日本人にも人気です。

またレッドグローブの特徴としては、皮ごと食べられるぶどう品種であることが有名です。レッドグローブは、種はあるのですが、皮が薄く実にハリがあるため、皮ごと食べるとパリッとした独特の食感を楽しむことができます。食感的には、瀬戸ジャイアンツなどに近いかもしれませんね。

レッドグローブの産地と旬

レッドグローブは、いろいろな場所で栽培されていますが、日本に輸入されている物の産地は、カルフォルニアとチリがほとんどです。日本産のぶどうは、8月頃から10月後半までが旬ですが、輸入品のレッドグローブは、産地を変えながら、秋から翌夏まで楽しむことができるのも特徴です。

日本に輸入されるレッドグローブは、カリフォルニア産が10~11月にかけて旬を迎え、その次に、チリ産の物が12月頃から翌年6月頃までと、非常に長く食べることができるのです。実は、チリは、国土が南北に細長いという特徴があり、その特徴を生かして場所を変えながら長期間生産、出荷することができるのです。

レッドグローブの選び方

レッドグローブは、スーパーなどの店頭で販売される大衆ぶどう品種の一つです。そのため、多くの方はレッドグローブを一度は口にしたことがあるのではないでしょうか?それでは、スーパーでレッドグローブを購入する際、品質の良いものを選ぶためには、どういったポイントを確認すれば良いのでしょう?

レッドグローブを選ぶときには、実にハリがあり、果皮の色が濃いものを選ぶのがおすすめです。また、ぶどうの軸が新鮮なものが美味しいので、多くの実が軸から外れてしまっているようなぶどうは避けた方が良いでしょう。新鮮なぶどうはしっかりと実が軸と結合していますので、外れてしまっているものは鮮度が落ちてきている証拠です。したがって、可能であれば、ぶどうを少しゆすってみて、それでも実が落ちることなくしっかりとついているぶどうを選ぶと良いでしょう。

なお、ぶどう表面の白い粉のような物は、国産ぶどうと同じく、「ブルーム(果粉)」と呼ばれる天然成分が表面に浮き出ているだけです。ブルームは、残留農薬と勘違いされる方が多く、ブルームがついている物を避けようとする方がいます。しかし、このブルームが付着していることは、新鮮なぶどうの証拠ですので、表面のブルームがしっかりと残っている物を選びましょう。ブルームは、ぶどうを乾燥や病気から守る働きがありますので、これが満遍なくついているものほど鮮度が良いと判断できるのです。

> 農林水産省「ブルームについて」

レッドグローブの保存方法について

それでは最後に、レッドグローブの正しい保存方法について解説します。

レッドグローブは冷蔵保存がおすすめ

ぶどうは、冷暗所などで常温保存することも可能ですが、より日持ちさせたいと考えた時には、冷蔵庫で保存しておいた方が美味しさをより長く保つことができます。

購入した時の容器のまま冷蔵庫に入れるのでも良いのですが、より日持ちさせたいと考える場合、軸から1粒ずつ切り離して保存するのがおすすめです。なお、軸から実を外すときには、枝を3mm程度残すようにハサミで切るようにしてください。実を捻るように軸から外すと、軸との結合部分から果肉が露出してしまい、傷むのが早くなってしまいます。
軸から外したレッドグローブの実は、保存容器にキッチンペーパーを敷き、その上に実が重ならないように並べていきましょう。そして上からキッチンペーパーで包んで冷蔵庫に入れれば、衝撃や乾燥から実を守ることができます。

なお、冷蔵庫に入れる前に水洗いする方がいるのですが、これはNGです。先ほどご紹介したように、ぶどうの表面には、ブルームと呼ばれる天然成分が付着しています。水洗いすると、このブルームがとれてしまいますので、傷むのが早くなる可能性があるのです。ぶどうは、食べる直前に水洗いするようにしましょう。

レッドグローブは冷凍保存も可能

レッドグローブをより長持ちさせたい場合は、冷凍庫で保存しましょう。レッドグローブを冷凍保存しておけば、2~3週間ほど保存することも可能です。

レッドグローブを冷凍庫で保存する場合、先ほどご紹介したように、ぶどうを軸から切り離し、一粒ずつに分けてください。その後、ぶどうを水で優しく洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取りましょう。その後、フリーザーバッグに実が重ならないように入れ、袋から空気を抜いて冷凍庫に入れてください。

なお、ぶどうの冷凍保存は、長く保存ができるようになるものの、食感などは微妙に変わりますのでそのまま食べるのではなく、スムージーやシャーベットとして食べることを想定しておきましょう。

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まとめ

今回は、ぶどう品種の中でも輸入ぶどうの代表格であるレッドグローブについて解説しました。記事内でご紹介しているように、ぶどうは日本国内だけでも100種類以上の品種が栽培されているなど、非常に種類が豊富なフルーツとして有名です。ただ、国内産のぶどうは、どちらかというと高級志向の品種改良が進められている傾向にあり、贈答品やふるさと納税の返礼品などとして取り扱われるケースが多いです。もちろん、スーパーなどでも、国内の人気品種は販売されていますが、なかなか手が出ない価格帯で販売されているます。

そのような中、レッドグローブは、スーパーなどで数百円で見かけるケースが多いなど、大衆ぶどう品種として人気なのです。もちろん、安いから美味しくないというわけではなく、ぶどうらしいほのかな酸味と甘さを楽しむことが可能です。また、レッドグローブは、産地を変えながら長く店頭に並ぶ品種だという点も嬉しいポイントになるでしょう。

今回は、シャインマスカットや巨峰などとは全く異なる価格帯で販売されている輸入ぶどうのレッドグローブについて解説しました。国産ぶどうは、高い糖度を目指して品種改良が進んでいる傾向がありますので、爽やかな甘みを感じるレッドグローブは国内産ぶどうとは異なる楽しみ方ができるのではないでしょうか?

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