今回は、ペットとして犬を飼育している方が絶対におさえておきたい、犬に果物を与えた時の危険性について解説したいと思います。

国が「毎日くだもの200g」運動を推進しているように、私たちの日常生活の中には果物が身近な位置に存在します。そして、大型犬なども室内飼いするのが一般的になった現在では、果物を食べている時に愛犬が果物を欲しがるという姿を見かけるケースは非常に多いのではないでしょうか?

このような際、皆さんはどのような行動をとっているでしょうか?果物は人にとってとても美味しい食べ物であることから、「犬にとっても美味しいと感じるのではないか?」と、良かれと思って果物を与えているという方も少なくないかもしれません。しかし実は、人にとっては美味しいだけでなく健康効果までも期待できる果物なのですが、犬にとっても同じような効果があるわけではない物もあるのです
そこでこの記事では、犬に与えると健康被害の可能性が考えられる「犬が食べてはいけない果物」について解説していきます。

犬が食べてはいけない代表的な果物とは

それでは早速、犬が食べた時には、何らかの中毒症状など健康被害につながる恐れがある果物の種類をご紹介していきます。以下で紹介する果物は、あなたにとっては美味しいデザートかもしれませんが、犬にとっては毒になる可能性があるので、絶対に与えないようにしましょう。

①ぶどう

一つ目は、秋の味覚として人気の「ぶどう」です。ぶどうは、日本人にとっては高級フルーツとみなされているように、非常に高い人気を誇る果物です。

ただ、犬にとってのぶどうは、中毒症状を引き起こす可能性がある非常に危険な食べ物です。犬にぶどうを与えた場合には、「急性腎不全」の症状が出るとされていて、数時間から数日の間に、急激に腎臓の機能低下が引き起こされるとされています。犬にぶどうを与えてしまった際には、嘔吐や下痢の症状が出たり、食欲の減退や元気がなくなるといった症状が出るとされています。少量のぶどうであれば、目に見えるような症状が出ないケースもありますが、犬にとっては非常に危険な食べ物なので、絶対に与えないようにしましょう。

万一、床に落としたぶどうやレーズンなどを犬が食べてしまった場合には、食べた量に関わらず、かかりつけの動物病院に相談するのがおすすめです。その際には、「どの程度食べたか?」「どんなぶどうを食べたか(生かレーズンなどの加工品か?)」「いつ食べたのか?」「犬の状況に変化があるか?」などを伝えると良いでしょう。病院に連れていけば、血液検査など詳細な状態を見てくれますし、場合によっては食べたものを吐かせたり、胃の洗浄を行ってくれるでしょう。

②イチジク

人間にとっては「不老長寿の果物」などと呼ばれるように、健康にも良い影響がある果物として有名ないちじくですが、犬にとっては危険性が高い食べ物です。いちじくには、「フィシン」と「ソラレン」と呼ばれる成分が含まれていて、これらは犬に有害な成分だとされています。

フィシンは、いちじくの茎などから出る白い汁のことですが、この汁は人が触れた場合でも、皮膚がかぶれたりする危険性があります。そして、何らかの理由で犬が摂取した場合には、口の粘膜があれる、下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こす可能性があるとされています。ソラレンという成分も、犬が摂取した場合、嘔吐や下痢の症状が出る場合があるとされます。いちじくは、初心者の方でも簡単に育てられる果物として有名で、庭植えや鉢植えで育てている方も多いのですが、犬が口にしないように注意しなければいけません。

③アボガド

アボガドは、野菜に分類されると考えている方が多いのですが、日本の分類方法では「アボガドは果物」となります。人間から見た場合のアボガドは、「世界で一番栄養価が高い果物」としてギネスブックにも記録されるほど有用な食べ物とみなされています。実際に、近年では、アボガドを好んで食べているという方は非常に多くなっていて、アボガドを常備しているというご家庭は多いのではないでしょうか?

それでは、ペットの犬にとってアボガドは人間と同じく有用な食べ物となるのでしょうか。実は、ペット用品の中にはアボガドから抽出したアボガドオイルなども販売されていますし、人間と同じく有用な食べ物とみなされているのではないかとも考えられます。
しかし実は、アボガドを犬に食べさせた時には、重篤な中毒症状を引き起こしたという事例も多く報告されているため、現在では「食べさせない方が良い」と考えられるようになっています。これは、アボガドに含まれる「ペルシン」と呼ばれる成分が原因で、この成分は殺菌作用が含まれているからだそうです。犬にアボガドを食べさせた場合には、嘔吐や下痢、痙攣や呼吸困難など、さまざまな中毒症状が出る可能性があるとされています。そのため「栄養価が高いから」などと言った理由で、犬に食べさせるのはやめた方が良いでしょう。

なお、アボガドを食べたことによる中毒症状は、食べてから概ね3日以内に症状が出ると言われています。したがって、アボガドを与えてから3日以内に先ほど紹介した症状がみられた場合は、動物病院に連れていきましょう。その時には「アボガドを食べさせた」と伝えると対処をしてもらうことが可能です。

ちなみに、アボガドに含まれる「ペルシン」という殺菌成分は、犬以外にも「猫、ハムスター、ウサギ、鳥」など、室内飼いされる多くの動物にとって有害とされていますので、ペットが口にしない場所で保存しましょう。

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④柑橘類(皮のまま)

4つ目はミカンなどの柑橘類です。日本の冬を代表するみかんは、犬に与えている方が多いと思いますので、「ダメだったの!」と驚きの情報かもしれませんね。ただ、ここで言う柑橘類については、外皮を剥かないまま犬に与えてはいけないという意味ですので、外皮を剥いた状態のみかんを与えていたという場合は安心しても構いません。

実は、みかんやグレープフルーツ、レモンなど柑橘類の外皮には、「ソラレン」と呼ばれる犬の中毒症状を引き起こす成分が含まれています。いちじくの項目でもご紹介していますが、犬がソラレンを摂取すると、下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こす場合があります。柑橘類の皮に含まれているソラレンは少量なので、重篤な中毒症状は出ないかもしれませんが、基本的には犬に与えるのはやめましょう。

なお、柑橘類の中でも、グレープフルーツやレモンは、独特の苦みや酸味を持っています。犬は苦みや酸味を好まない場合が多いので、与えても食べない場合が多いと思いますが、苦みや酸味などの刺激が強い食べ物は、犬の体調不良の原因となりますので注意しましょう。

⑤プルーン

プルーンは、栄養価が非常に高い果物で、人間にとっては有用な食べ物の一つとして知られています。しかし、犬にとってのプルーンは、中毒症状を引き起こす危険な食べ物なのです。

プルーンは、種子や茎、葉にアミグダリンという成分が含まれているのですが、犬がこの成分を摂取した場合には、呼吸困難やショック症状などの中毒を引き起こす可能性があるとされています。少量でも危険な中毒症状が出る可能性があるとされていますので、絶対に食べさせないようにしましょう。

この他にも、プルーンはカリウムの含有量が多いため、犬が食べた際には高カリウム血症と呼ばれる病気につながる危険性があるとされています。高カリウム血症は、筋力の低下や動悸などの原因となるそうなので、犬にプルーンを与えるのはやめましょう。

⑥ドライフルーツ

ドライフルーツは、さまざまな果物が混在している場合が多いため、犬にとって危険な食べ物が混ざる可能性が高いです。したがって、ドライフルーツを犬に与えるのはNGだと考えましょう。

ドライフルーツは、糖分が多く、カロリーも高いため、人間よりも体が小さい犬にとっては、逆に健康に悪影響を与える可能性があります。さらに、ドライフルーツは、食物繊維が非常に多く含まれているので、軟便や下痢の原因となります。

ドライフルーツは、果物に含まれる水分を少なくすることで保存性を高めた加工食品です。ただ、水分が少なくなることで栄養素が凝縮され、犬にとって毒になるものの摂取量が多くなってしまう危険が高いです。さらに、プルーンなどは、乾燥させることにより毒性が強まるとされていますので、犬に与えるのは絶対にやめましょう。

犬が食べても良いけど、与える時は注意が必要な果物

それでは次に、犬に与えても問題ない果物についてご紹介します。ただ、犬が食べても問題ない果物であっても、与え方を間違ってしまうと健康を害する可能性があるので、ここでは与える際の注意点をご紹介します。

①りんご

りんごは、犬が食べても基本的に何の問題もない果物です。実際に、犬に与えると、喜んで食べる犬が多いと思います。

犬にりんごを与える際の注意点としては、りんごの種や芯には、アミグダリンという有毒な成分が入っている点です。含有量としてはごく微量なのですが、犬の体内に入った時に、青酸ガスが発生しアミグダリン中毒を引き起こす可能性があるとされています。

有毒成分は微量しか含まれていないため、大型犬などの場合、そこまで深刻な問題にはならないかもしれません。ただ、小型犬や体調不良の犬がこの成分を摂取した時には、痙攣、呼吸困難、下痢、嘔吐などの中毒症状が現れる可能性があります。こういった事故を防ぐには、犬にりんごを与える時は、芯を取り除いてから与えるようにしましょう。

ちなみに、梨の種にもアミグダリンが含まれているので、犬に桃を与える際は、リンゴと同じく、芯の部分を取り除いてから与えましょう。

②さくらんぼ

さくらんぼも犬に与えても問題ない果物です。ただ、さくらんぼの茎や種には、犬にとって有毒成分であるアミグダリンが含まれています。したがって、犬にさくらんぼを与える時には、茎と種を取り除いてから与えるようにしましょう。

さらに、さくらんぼは、他の果物と比較すると、一つ一つの実が小さいのが特徴です。そのため、種を入れたまま与えてしまうと、犬がさくらんぼを丸呑みして、のどに詰まらせてしまう恐れがあるのです。したがって、犬にさくらんぼを与える時には、茎を外し、種をきちんと取り除いたものを与えるようにしましょう。

この他の注意点としては、さくらんぼにはカリウムが含まれていますので、与えすぎはあまりよろしくありません。小型犬であれば、一日に2粒までが限度でしょう。

③桃

桃もさくらんぼと同じく、果肉部分に有毒成分は含まれていないので、犬に与えても問題ありません。ただ、種には有毒成分のアミグダリンが含まれているので、犬に桃を与える場合は、種を取り除いてから、犬が食べやすい大きさに切り分けて与えましょう。

桃の果肉には、犬にとって害となり得る有毒成分は基本的に含まれていません。ただ、どのような食べ物でも与えすぎは良くないので注意しましょう。

④いちご

イチゴは犬が食べても問題がない果物です。ただ、人間がイチゴを食べる際には、ヘタの部分を切り取るように、犬に与える時もヘタの部分は取り除いてから与えてください。

イチゴのヘタの部分は、固くて消化がしにくい部位となります。そのまま与えると、消化不良や腸閉塞などにつながる恐れがあるため、必ずヘタの部分を切っておきましょう。なお、イチゴを与える犬種によっては、小さくカットしたり、潰したりして与えるのが良いです。熟して柔らかくなったイチゴなら問題ないのですが、まだ若くて硬いイチゴの場合、丸呑みしてのどに詰まらせてしまう恐れがあります。

⑤スイカ

スイカは、犬に有害な成分は基本的に含まれていないので、与えても問題ありません。夏場の果物の代表と言えるスイカは、多くの水分を含む果物なので、犬にとっても水分補給を目的に食べることができるでしょう。もちろん、水分が多い果物でも、さまざまな栄養素が含まれているのは確かなので、単に水を与えるよりは健康的かもしれません。

ただ、犬にスイカを与える際は、いくつかの注意点を守ってください。まず、スイカは種が多く含まれている点に注意です。人間であれば、口に含んでから種だけ吐き出すといった食べ方もできますが、犬の場合は種ごと飲み込んでしまいます。そして、スイカの種は消化に悪いため、消化不良などの問題が考えられます。さらに、スイカの外皮も消化に悪い部分なので、基本的には犬には食べさせてはいけません。犬は人と違い、種や外皮だけ残すといった食べ方はできませんし、スイカを与えるなら種や外皮を取り除き、果実の部分だけ与えましょう。

また、人間がスイカを食べる際には、冷蔵庫などでキンキンに冷やしてから食べるのが一般的です。スイカは、熱い夏場の果物なので、涼を感じるためにも冷やした方が美味しいと考えている方が多いと思います。ただ、冷やし過ぎたスイカをそのまま犬に与えてしまうと、お腹を冷やしてしまい下痢につながる可能性があります。したがって、犬に与える際には、常温に戻したものを与えるようにしましょう。

まとめ

今回は、犬に与えてはいけない果物と、犬がその果物を食べた時にどのような危険性があるのかについて解説しました。人間にとって果物は、非常に身近に存在する食べ物で、さまざまな栄養素を美味しく摂取できるため、非常に有用な物だと考えられています。実際に、国も人の健康に果物が重要な役割を果たすと考え、1日に200gの果物を摂取することを習慣づけるための「毎日くだもの200g」運動というものを推進しています。

ただ、人にとって有用な食べ物が、その他の動物にも同じような効果をもたらすかというとそうではないのです。記事内でご紹介しているように、果物の中には、犬に与えると深刻な中毒症状を引き起こすような物もあり、与える量によっては愛犬を死に至らしめる危険性まであるのです。近年は、ペットを迎えるご家庭が増えており、さらに室内でペットを飼育するのが一般的になっています。そのため、つい良かれと思って人間の食べ物を犬に与えてしまっているなんてことは当たりまえにある事でしょう。

大切な愛犬の健康を守るためにも、記事内でご紹介した内容はしっかりと押さえて、犬に果物を与える場合は、危険性のないものを安全に食べられるよう工夫してください。

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