ぶどうは、日本国内で栽培されている物だけでも60種類以上の品種があると言われています。そして、世界に目を向けると、なんと1万種以上もの品種がぶどうには存在しているそうです。

そのようなぶどうの中でも、日本人にとって非常になじみ深く、知らない人はいないと断言しても良いほどの知名度を誇るのが『巨峰』です。巨峰は、ぶどうの王様と呼ばれるほど愛されている品種で、贈答品としても定番のぶどうと言えるでしょう。

この記事では、そんな人気品種である『巨峰』の特徴やオススメの保存方法などをご紹介します。

巨峰ってどんなぶどうの品種?

巨峰は、日本国内に流通するぶどうの中でも、非常に歴史の長い品種です。最近人気のシャインマスカットなどは、2000年代に入ってから品種登録された新しいものですが、なんと巨峰は1942年に誕生しており、1955年に商標登録されたことで全国に知れ渡るようになりました。

巨峰は、「石原早生」という品種と、ヨーロッパ種である「センテニアル」という品種を掛け合わせることで誕生しており、商標名は「巨峰」ですが、品種名は「石原センテニアル」となります。巨峰が登場した当時のぶどうは、基本的に小粒で酸味が強い品種が多かったそうで、一粒の大きさと強い甘みを持つ巨峰は、当時の人にとって衝撃的な美味しさだったとされています。

皆さんは、スーパーなどで巨峰を選ぶときには、何を見て決めていますか?巨峰の特徴と言えば、一粒の大きさで、平均的な一粒の重量は10~12gほどあり、一房だと大きいもので600g程度の重さになります。そのため、ほとんどの方は「巨峰一房が大きくて重いものが良い」と判断するのですが、実は糖度は「一房の粒の数」に比例していると言われていますので、同じ重さなら粒の数が少ない方が甘みが増すと言われています。したがって、巨峰を栽培する果樹園では、大きさと甘みのバランスを整えながら、栽培中に摘粒(まびき)を行い、巨峰特有の甘みを目指します。

なお、巨峰の糖度は、18~20度程度と高く、香り豊かな強めの甘味が特長です。また、果肉はきめ細やかな風味を持っており、コクのある優しい酸味を併せ持っています。

ちなみに、巨峰は、昨今の誕生する新しい品種の親としても有名です。例えば、ピオーネやナガノパープルなどの品種は、巨峰を親として開発されています。

参照:巨峰の開発者「大井上康」

巨峰の産地と旬について

巨峰は、1942年に静岡市伊豆の大井上理農学研究所で誕生し、その後、福岡県久留米市で栽培に成功したのが始まりです。『巨峰』というネーミングについては、一粒が大きい品種であることからと考えそうなものですが、実は伊豆の研究所から見える富士山から名づけられたとされています。

現在の巨峰の産地は、長野県が有名です。それ以外にも、山梨県、福岡県、和歌山県、栃木県、宮城県など、多くの地域で栽培されています。ちなみに、巨峰の名産地として有名なのは、長野県・山梨県・福岡県です。長野県と山梨県は、巨峰の産地としてだけでなく、さまざまなぶどうの産地としても有名です。

巨峰の旬

巨峰は、8月~10月頃までが最盛期で、最も手ごろに手に入れられる旬の時期となります。ただ、最近ではハウス栽培を行っている果樹園も多いので、ハウス物に関しては5月下旬から7月頃に店頭に並ぶこともあります。

巨峰は、皮の色が濃くなり、「ブルーム」と呼ばれる白い粉がぶどう表面にたくさんついているものがオススメです。表面の白い粉は、農薬と勘違いする方が多いのですが、ブルームは脂肪酸などでできた天然成分が果皮の表面に浮き出たもので、これが味が良く鮮度が良い証拠となります。この他にも、軸が緑色で一粒一粒が大きくみずみずしいものを選ぶのがポイントです。

巨峰の保存方法について

巨峰は、贈答品としても人気ですので、頂いた巨峰をしばらく保管しておく時の保存方法が気になるという方が多いのではないでしょうか?デラウェアなどは、小粒ですので、保存方法などに悩まなくても消費することができます。しかし巨峰は、食べ応えもかなりある品種ですので、家族構成によってはしばらく保存するというケースも多い事でしょう。

一般的に、巨峰の保存は、冷蔵庫の野菜室か涼しければ冷暗所などがオススメです。ただ、巨峰は乾燥すると、味や風味が急激に落ちてしまいますので、乾燥防止のためにラップで包んだり、保存用バッグに入れてから保存しましょう。保存可能期間は、季節や気候などによってまちまちですが、基本的に3~4日ほどは問題なく保存できます。しかし、鮮度が落ちると、味や風味もなくなりますので、なるべく早く食べきるのがオススメです。

巨峰を長期間保存しておきたい場合は、冷蔵庫の野菜室や冷暗所ではなく、冷凍保存すると良いでしょう。冷凍保存する時には、房ごと保存するのではなく、粒を全て軸から外して、保存用バッグや容器に入れて冷凍庫に入れましょう。なお、軸から外す時、手で外すと皮が裂けてしまいますので、ハサミで軸の部分を切るのがオススメです。巨峰は、皮や果肉がしっかりしているので、冷凍しても風味が失われにくいので、夏場は凍らせてシャーベット状の巨峰を楽しむのも良いのではないでしょうか?保存可能期間は、1カ月程度が目安です。

まとめ

巨峰は、日本国内で長く愛されているぶどう品種で、数多くあるぶどう品種の中でも国内ナンバーワンとも思える人気を誇っています。そのため、巨峰はぶどうの王様とも呼ばれているのです。

このような巨峰の人気の理由は、以下のような特徴があるからでしょう。

  • ・さまざまなぶどう品種の中でもダントツの大きさで食べ応えがある
  • ・糖度18度から20度という強くて爽やかな甘味がある
  • ・コクのある独特の風味と香りが楽しめる
  • ・食べ応えのある果肉とみずみずしい果汁
  • ・昔から人気なので高い知名度があり、贈答品として喜ばれる

巨峰は、古くから日本国内で愛されてきた歴史がありますので、さまざまなぶどう品種が登場している現在でも、根強い人気を誇っています。もちろん、巨峰の人気は、単に歴史があるというだけでなく、その美味しさが最大の理由でもあると思いますよ。