ピオーネは、見た感じ巨峰と非常に良く似ていて、一般の方の中には同じ品種のぶどうと勘違いしている方も少なくないかもしれません。しかし、ピオーネと巨峰は、列記とした別品種のぶどうです。

この記事では、贈答品用ブドウとしても非常に高い人気を誇るピオーネの特徴をご紹介します。

ピオーネの特徴

冒頭でご紹介したように、「巨峰とピオーネが良く似ている」と考える方は多いと思います。ただ、この印象はあながち間違ってはおらず、巨峰とピオーネは決して無関係の品種ではないのです。

ピオーネは、静岡県のブドウ育種家の井川秀雄氏が育成し、1973年に名称登録されたぶどうです。そして、巨峰とよく似ているのは、ピオーネが「巨峰」を母親、「カノンホール・マスカット」を父親に持ち品種改良されたぶどうだからです。

ピオーネは、巨峰と同じく大粒で紫黒色なのが特徴で、大きいものでは一粒が20gほどになります。さらに、果肉が締まっていて、巨峰と比べると粒が落ちにくく日持ちが良いことから、贈答品としても非常に高い人気を誇ります。もちろん、ぶどうとしても、糖度が高くて香りも良い、適度な酸味も持っているなど、見た目・食味ともに優れていることが、ピオーネの人気の秘訣だと思います。

ちなみに、「ピオーネ」という名称の由来は、イタリア語の「pione(ピオーネ)」から来ており、その意味は「開拓者」です。当初は「パイオニア」(英語での「開拓者」)と命名されていたそうなのですが、品種登録の前にイタリア語の「ピオーネ」に改名され、その名前で登録がされたという流れになっているそうです。

ピオーネは、巨峰の甘さとマスカットの爽やかさ、両者の特徴をうまく引き継いだ非常に優れたぶどう品種ですので、ぜひ一度は口にしてみてほしいです。

ピオーネの産地と旬

日本国内のぶどうの産地として有名なのは、山梨県と長野県です。ただ、ピオーネに関しては、岡山県が最大の産地となっています。政府がまとめた、ピオーネの主要産地の栽培面積ランキングでは、約4割を岡山県が占めています。そして、山梨県、長野県、香川県と続きます。

ピオーネの収穫時期は、ハウスものと露地もので大きく異なります。ハウスもののピオーネに関しては、早いもので4月から出始めます。露地ものに関しては、他のぶどう品種と同じく、8月に入ってから出始め、出盛り期となる旬は、8月下旬から9月いっぱいです。露地ものでも、地域によっては10月初旬までは見かけることができるでしょう。

ピオーネの保存方法や食べ方について

ピオーネは、スーパーの店頭で見かけることも多いですが、贈答品ぶどうとしても非常に高い人気を誇ります。注意が必要なのは、一房が非常に大きなぶどうですので、頂いたときには保存の仕方が重要になります。上述したように、ピオーネは、夏場が出盛り期ですので、常温保存の場合、傷むのが早まってしまう恐れがあります。

したがって、ピオーネの保存は、冷蔵庫の野菜室で保存するのが基本と考えてください。なお、保存する時には、乾燥しないように、新聞紙やキッチンペーパー、ラップなどで包み、袋に入れて冷蔵庫に入れましょう。ピオーネの状態にもよりますが、この方法で3~5日は美味しく食べられると思います。
長期間保存しておきたいのであれば、冷凍保存も可能です。冷凍庫で保存する場合は、粒を軸から外し、保存用袋に入れて冷凍庫に入れましょう。なお、軸から粒を外すときには、ハサミなどで軸を少し残して切り落としてください。冷凍保存の場合は、1カ月弱程度は持ちます。

ピオーネの食べ方

ピオーネは、食べる直前に水洗いします。表面に白い粉のようなものがついていますが、これは「ブルーム」といって、脂肪酸などでできた天然成分が果皮の表面に浮き出たものです。ブルームは、雨や朝露などをはじいて病気を防いだり、水分蒸発を防いで鮮度を保つなどと言った役割を持っています。したがって、しばらく保存しておきたいときには、ブルームを残すため洗わずに保存するのがオススメです。

ピオーネは、皮を剥いて果肉だけを食べるのが一般的です。基本的には、簡単に皮がむけるぶどうですが、綺麗に皮が剥けない時には、軸と反対側から剥いてみると良いでしょう。果物ナイフなどで十字の切れ目を入れるとより簡単に皮が剥けます。
また、最近のピオーネは、種なしのものが増えてきていますが、もともとは種がある品種です。種なしのピオーネは、「ニューピオーネ」という名称で流通していますので、種のないタイプが好みという方はニューピオーネを探すと良いでしょう。

参照:農林水産省ブルームについて

ピオーネの選び方

スーパーなど、店頭でピオーネを購入する時の注意点もいくつかご紹介します。ピオーネは、粒が大きくて紫黒色なのが特徴です。品質の良いものを選ぶには、粒がふっくらとしていて、全体が濃く色づいている物を選ぶのがオススメです。
鮮度の見極めポイントは、ぶどうの軸を確認してみましょう。鮮度の良いピオーネは、軸が茶色く枯れておらず、粒表面にブルームがついています。ブルームは、ぶどうを守ってくれるものですので、生産者は、収穫の際、できるだけ落とさないように丁寧に扱います。したがって、粒にきちんとブルームが残っているものほど鮮度が良いものですので、オススメです。

まとめ

今回は、贈答品用のぶどうとしても非常に高い人気を誇る「ピオーネ」についてご紹介しました。ピオーネは、巨峰によく似た見た目をしているのですが、それは当然のことで、巨峰を親としたぶどう品種です。ピオーネは、巨峰の濃厚な甘さにマスカットのさわやかさを掛け合わせた、誰にでも好まれるとてもおいしいぶどう品種です。特に最近では、種無しの「ニューピオーネ」が出回るようになっていて、スーパーなどの店頭でも見かける機会は多いと思います。

田中ぶどう園でも、高い人気を誇るピオーネの栽培を行っていますので、自分用、贈答用にぜひお試しください。