人間にとって、美味しいデザートにもなり、さらに健康に良い影響を与えてくれる食べ物が果物です。昨今では、一人当たりの果物摂取量が減少しているとされていますが、これは果物が嫌いな人が増えているわけではなく、物価高騰の影響などにより食べたくてもなかなか食べられくないといった状況になっているのが要因です。

それは、人間にとってはとても有用な食べ物である果物は、ペットとして飼育している犬にも与えて良いものなのでしょうか?果物は、健康に好影響を与える栄養素がたくさん含まれていると言われますし、愛犬と暮らしている方ならワンちゃんにもぜひ食べさせてみたいと考えてしまいますよね。特に、犬は人間が何か食べている時には、近くに寄ってきて欲しがる習性があるため、つい可愛くて自分が食べているものを与えてしまっている方も多いのではないでしょうか?

しかし実は、犬と果物の関係性を見てみると、与えてもいい果物とそうでないものが明確に分かれているのです。果物の中には、犬に与えることで生死にかかわるような問題を引き起こすケースもあるとされているので、どのような果物なら与えても良いのかは知っておいた方が良いです。そこでこの記事では、犬に与えても良い果物について解説します。

犬に与えていい果物とそうでない果物

それではまず、さまざまある果物について、犬に与えてもいいとされている果物と、そうでないものを大まかに分けていきます。まず、犬に与えない方が良いとされている果物は、以下のような物です。

  • ・ブドウ、プルーン
  • ・イチジク
  • ・ドライフルーツ
  • ・柑橘類の外皮

上記の果物は基本的に犬には与えない方が良いとされます。ぶどうなどは、つい与えてしまいがちですが、中毒を起こして腎不全を引き起こす可能性があるので与えないようにしましょう。

次に、犬に与えて良い果物についてです。実は、犬に与えてもいいとされる果物はたくさんあります。例えば、いちごやりんご、バナナ、キウイ、みかんなどの身近な果物は、適量を与えることに注意すれば与えてもいいです。このほかにも、パイナップル、メロン、梨、スイカ、桃、アセロラ、さくらんぼ、柿、マンゴー、ライチなどもOKです。変わったところでは栗もOKで、ぶどうに似た果物であるブラックベリー、ブルーベリーなども問題ないとされています。

事項で、人が普段よく食べる果物と犬に与えた時の影響についてみていきましょう。

果物の種類と犬への影響について

それでは、果物の中でも普段の生活の中で比較的食卓に並びやすいものについて、犬に与えた時の影響などについて解説します。

①いちご

まずは、真っ赤な果実で、冬が旬のいちごです。ハウス栽培が盛んになり、スーパーなどでも比較的長く見かけることが多くなっています。一般的には、12月から3月頃までが旬で、寒い時期の果物です。ただ最近では、5月頃まで楽しむことができますね。

いちごは、ビタミンCが非常に豊富に含まれている果物で、実はビタミンCの代名詞であるレモンと比較しても、同じ量ならいちごの方が含有量が多いとされます。カロリーも低いため、ダイエット中のおやつとして食べるのも良いとされていて、犬にとっても美味しく、健康に好影響を与える果物です。

なお、犬にいちごを与える場合は、ヘタを必ず取って与えてください。

②りんご

りんごも冬を代表する果物の一つですね。りんごには、抗酸化作用のあるポリフェノール「プロシアニジン」やビタミンA(β-カロテン)、ビタミンCが豊富に含まれています。

実は、これらの成分は、さまざまな活性酸素から愛犬の身体を守ってくれるとされていて、老化防止やがん予防などの効果が期待できるとされています。

③梨

りんごの色違いのようなフルーツである梨も犬に与えても構いません。ちなみに、梨は、色のことを除けば、見た目が非常にりんごと似ています。しかし、旬の時期は間反対で、8月から10月上旬頃が旬と、暑い時期の果物として有名です。

梨は、約90%が水分で構成されているとされ、カロリーが低めの果物なので、夏場に犬に与える食べ物としてはおすすめと言えるでしょう。脱水や熱中症予防にもなりますので、適量であれば、積極的に与えたい果物です。ただ、体を冷やしやすい食べ物とされているので、食べ過ぎは注意です。

④バナナ

さまざまな果物の中でも、非常に栄養価が高いと有名なのがバナナです。バナナは、その栄養価の高さから、朝食として毎日食べているという方も多いのではないでしょうか?

バナナには、ビタミンB群が豊富に含まれていて、エネルギー代謝に欠かせない栄養素として、体の全体的な機能をサポートしてくれます。また、食物繊維も豊富に含まれているので、便秘改善なども期待でき、犬にとっても良い果物と言えるでしょう。

⑤キウイ

キウイも、非常に栄養価が高い果物として最近人気です。キウイの優れた点は、タンパク質の分解酵素「アクチニジン」が豊富に含まれている点で、肉の消化を助ける、腸内環境を整えるなど、愛犬にとってもありがたい効果が期待出来ます。

ただ、食物繊維が非常に多く含まれている(バナナの2倍)ので、食べ過ぎると下痢をしてしまう可能性があります。また、糖度が高い果物なので、犬に与える場合は、ほんの少量にとどめておいた方が良いでしょう。

⑥みかんやオレンジ

みかんやオレンジなどの柑橘類は、ビタミンCが多く含まれています。犬にとっても非常に有用な栄養素なので、適量を与えるならおすすめです。

ただ、みかんやオレンジを与える際には、外皮は必ず剥く、薄皮も消化不良の原因となるため必ず剥き、果肉のみを与えるようにしましょう。

⑦スイカ

スイカは、夏を代表する果物です。暑い時期に食べる果物としては、90%が水分のため、水分補給に適した食べ物である、カロリーが低いという点がとても優れていると言えます。ただ、スイカはカリウムが豊富に含まれているため、利尿作用がある点には注意が必要です。

低カロリーで水分が多い果物のため、他のフルーツよりも多めに与えても良いとされるのですが、お腹が緩くなることもあるので、その辺りは注意しましょう。

⑧さくらんぼ

さくらんぼも犬に与えても良い果物です。最近では、愛犬と一緒に楽しめるさくらんぼ狩りイベントなども登場しているなど、犬に与える果物としてはオススメかもしれませんね。

ただ、犬にさくらんぼを与える際は、種や葉、茎をきちんと取り除いてください。さくらんぼの葉や茎、種には、犬にとって中毒性がある成分が含まれていて有害です。小型犬に誤って与えてしまうと、生死にかかわる問題に発展する可能性があります。

犬に果物を与える時の注意点について

前項でご紹介した果物であれば、犬に与えてもいいです。ただ、体の大きさが人間とは大きく異なる生き物なので、与えすぎなどには注意しなければいけません。ここでは、犬に果物を与える時の注意点をいくつかご紹介します。

与える量に注意する

フルーツには、さまざまな栄養素が含まれています。基本的に、果物に含まれている栄養素は、健康に好影響を与えるとされるのですが、与えすぎてしまうと逆効果になることがあるのです。

人間の場合でも、大人と子供であれば、食べて良い量が変わるものは多いはずです。ワンちゃんの場合、犬種によって体の大きさが異なるため、与えても良い量は変わるのですが、一般的には1日に10g~20gを与えるのが目安と言われています。ちなみに、これはみかんなら1~2房程度、小粒のいちごで2粒程度の量です。

少なすぎると感じる方も多いかもしれませんが、果物には糖分が多く含まれていますし、人間でも肥満の原因になることがあります。より小型の犬の場合、さらに影響が大きくなるため、愛犬の健康を考えた時には与えすぎないようにしましょう。

なお、ワンちゃんに果物を始めて与える際は、ごく少量を与えるだけにとどめてください。人間と同じように、果物にアレルギーを持つワンちゃんもいて、一般的には食べても良いとされる果物を与えただけでも、下痢や嘔吐、発疹を引き起こすことがあるのです。
初めて果物を与える際は、少量を食べさせ、その後ワンちゃんの様子をしっかりと確認しましょう。果物を食べた後、目が充血している、ぐったりとしている、普段よりも体中を痒がるなんて場合、アレルギーや中毒の可能性があります。この場合は、すぐに動物病院に連れていき診てもらいましょう。

外皮や種を取り除く

果物によっては、皮や種、芯、茎と言った部分が、ワンちゃんの毒になるケースがあります。柑橘類の外皮やさくらんぼの種などは犬の肝臓に損傷を与える可能性があるので、絶対に与えないようにしてください。

まとめ

今回は、犬に与えてもいい果物と、実際に果物を与える際の注意点について解説しました。

記事内でご紹介したように、果物は栄養価が高い食品であるものの、犬に与えた際には逆に毒になるものもあると覚えておきましょう。特に、小型犬などは、体が小さいため、果物に含まれている成分の影響が非常に強く出てしまうことがあります。

この記事では、犬に与えても問題ないとされている果物の種類をご紹介しましたが、与える場合でも少量におさえなければならない点に注意しましょう。