今回は、家庭菜園でぶどうを育てたいと考えている方に向け、ぶどうを育てる際に注意したい「ぶどうがかかりやすい病気」と病気にかかってしまう原因について解説したいと思います。

ぶどうのような果樹については、大きな農園が栽培する物で、家庭菜園で育てるのは難しいのではないか…と考えている方が多いと思います。しかし、一般的には、スーパーなどで購入するイメージが強い果物を自宅の庭で育てている人は少なくなありません。特に、柿やびわ、スモモなどは、一般の方でも家庭菜園で育てやすいと有名で、地方にある敷地が大きな家の場合、庭に果物が生る木が存在するというお宅も少なくありません。

そして実は、ぶどうも家庭菜園で育てることができる果物として有名です。また、ぶどうは大きな庭がなくても鉢植えで育てることができるため、都市部に住んでいる方でも育て方さえ知っておけば、ホームセンターなどでぶどうの苗を入手して育てることが可能です。しかし、ぶどうは、ちょっとした失敗で病気になってしまうこともありますので、これから家庭菜園でぶどうを育ててみようかな…と考えている方は、どういった病気になりやすいのかを知っておく必要があります。
この記事では、ぶどうがかかりやすい病気と、なぜ病気になってしまうのかについて解説します。

関連:ベランダで家庭菜園に挑戦!プランターでも栽培できる育てやすい果物をご紹介します

ぶどうがかかりやすい病気

ぶどうは、気候や土壌に対する適応力があるため、日本各地で栽培が可能な果樹として有名です。また、ぶどうの実は一本の木を育てただけでも結実するため、家庭菜園で育てられる果樹としても人気です。ただ、家庭菜園でぶどうを育てる時には、どのような病気にかかりやすいのか、なぜ病気を発症してしまうのか、対策はあるのかと言ったことを事前におさえておく必要があります。

ぶどうを栽培する上では、5~10月頃にぶどうの病気が発症しやすいということに注意する必要があります。特に、梅雨時期など、湿気が高い時期は病気になりやすい果物なので、小まめに様子を見てあげる必要があります。

ここではまず、ぶどうがかかりやすい病気をいくつかご紹介しますので、家庭菜園でぶどうを育てようと考えている方は頭に入れておきましょう。

晩腐病(おそぐされびょう)

晩腐病は、果実に茶色の小さな斑点が付き、それから次第に果実全体が腐敗していくという病気です。晩腐病は、病気になった果実から周囲に伝染するため、病気になったものを見つけ次第、その果実を取り除かなければいけません。

晩腐病は、農薬散布だけでは防ぎづらい病気で、雨の多い地域では収穫時期も危険が高いです。したがって、雨避け対策などをしっかりと行わなければいけません。

さび病

さび病は、ぶどうの葉っぱが、まるでさび付いたように赤い斑点が付いてしまう病気です。4〜7月、9〜11月頃に発病しやすいと言われる病気なのですが、発症直後は、白や薄い黄色の小さな斑点が付いているだけなので、さび病を発症していることを初期症状で気づきにくいので注意しましょう。

発見が遅れ、病気が進行すると、どんどん他の葉に移っていきますので、見つけ次第、発症している部分を取り除き、農薬散布などの対応をしましょう。

べと病

べと病は、葉っぱに不規則な黄色の斑紋が生じたり、葉っぱの裏に黒いカビが生えてしまう病気です。これも周囲に伝染するため、早期の対処が大切です。発見が遅れる、病気を放置するといった対処をした場合、葉が枯れてしまい、どんどん落葉してしまいます。

病気により落葉などの問題があると、ぶどうの収穫量に大きな影響が生じるので、ぶどう農家などは普段から注意深く健康状態を確認します。べと病は、梅雨時期など、湿気が多い時期に発症する病気なので、水のやりすぎなども注意しなければいけません。

黒とう病

黒とう病は、果実や葉っぱに茶色や黒の小さな斑点が発生する病気です。梅雨時期など、湿気の多い時期に発症しやすいので注意しましょう。なお、黒とう病は、一度発症してしまうと、翌年以降、繰り返し発症してしまう可能性が高くなります。

小まめに農薬などを散布するといった対策が必要です。

褐斑病

褐斑病は、葉っぱに赤褐色の斑点が生じる病気です。褐斑病を放置すると、どんどん病気が進行して、斑点が大きくなっていきます。そして、その結果、果樹そのものを弱らせて、実つきに悪影響を与えてしまうのです。

この病気も、湿気が多い環境下で発症しやすいとされています。褐斑病を防ぐためには、規定量の肥料をしっかりと与える、冬の間に落葉処理をきちんと行うことが大切です。

うどんこ病

うどんこ病と聞くと「変な名前だな…」と感じる人が多いと思います。この病気は、ぶどうの葉っぱに、うどんの粉のような物が付着することからこのような名前で呼ばれています。ただ、うどんの粉と表現されているものは、カビの一種であるため、この病気が発症した時には、植物の育ちが悪くなってしまいます。

うどんこ病は、肥料が関係していて、多すぎても少なすぎても発症しやすくなります。したがって、育てているぶどうにあった肥料を選び、適切な量をきちんと与えるようにしましょう。また、カビが関係する病気ですので、風通しや日当たりも注意しましょう。基本的に風通しが良く、十分な日当たりがあれば、発症しにくいです。

灰色かび病

灰色かび病は、ボトリチス病とも呼ばれる病気です。その名称から分かるように、カビが関係する病気で、葉や茎、果実などに、灰褐色のカビが生え、最終的に腐敗してしまう病気です。灰色カビ病は、梅雨時期など、雨の日が多い季節に発症しやすくなります。

ぶどうを育てる際、灰色カビ病の発症や増殖を防ぐためには、日当たりや風通しの良い場所で栽培すると良いとされています。また、水やりについては、株元からあげるなど、茎や葉っぱ付近の湿度が高くなりにくくする工夫が必要です。万一、この病気が発症した場合は、カビが付着した部分を小まめに取り除きましょう。

ぶどうが病気にかかる原因と対策について

ここまでの解説で分かるように、家庭菜園でぶどうの栽培を検討している方は、さまざまな病気に注意しなければいけません。上でご紹介したように、ぶどうはさまざまな病気にかかる可能性があり、せっかく育てたのに満足に収穫できない…なんてことになる可能性があるのです。

それでは、ぶどうが病気にかかる原因とはどのような理由が考えられるのかについても簡単にご紹介します。

ぶどうが病気にかかる原因

上でも触れていますが、ぶどうが病気にかかる大きな原因は湿気です。ぶどうは湿気に弱い植物なので、以下のような点に注意しなければいけません。

  • ・水のあげすぎで常に木の周りの湿度が高い
  • ・株同士が近く風通しが悪い

上記のような状態で、湿気が高くなってしまうと、成長が鈍ったり、病気を発症しやすくなってしまいます。

ぶどうを病気から守るには?

ぶどうの弱点が湿気だという点をおさえておけば、病気対策はそこまで難しくありません。例えば、ぶどうを植える時、株同士を密集して植え付けしない、雨が多い季節は雨避け対策をする、鉢植えの場合は水をあげすぎないなどの対策を行うと良いでしょう。

この他にも、ぶどうに対して窒素肥料を多く与えすぎてしまうと、株が軟弱に育ってしまい、病気を誘発する恐れがあります。また、肥料の与えすぎは、葉がたくさん茂って風通しが悪くなる要因にもなります。ぶどうを育てる際には、品種にあった肥料を選び、適切な量を与えるように心がけましょう。

まとめ

今回は、ぶどうの苗を育てる際に注意しなければならない、ぶどうがかかりやすい病気について解説しました。

ぶどうは、高級フルーツの代表とも言える存在になっていて、家庭菜園で自分で育てることは難しいと考えている方が多いです。しかし実は、ホームセンターなどで販売されている大き目のプランターを使えば、ベランダでぶどうを育てることも可能など、果樹の中でも比較的育てやすい植物と言えます。ただ、誰でも簡単に育てられるというわけではなく、さまざまな病気にかかりやすいという特徴があるため、きちんと収穫できるように育てるにはそれなりに手間がかかると考えてください。

近年では、集合住宅などでも家庭菜園を楽しむ方が増えていますし、一度ブドウの栽培に挑戦してみても良いのではないでしょうか!