皆さんは、みかんを食べる時には、外皮を剥いた後に見える白い筋の部分はどうしているでしょうか?多くの場合、外皮を剥いた後、みかんの表面についている白い筋のような物も綺麗に取り除いてから食べているのではないでしょうか?

みかんの白い筋の部分は、特に味もありませんし、食感もぼそぼそしていて、この部分だけを口に入れた時には、決して美味しいとは思わないはずです。そのため、ほとんどの方は、白い筋の部分は「食べるべきものではない」と判断し、綺麗に取り除いてから食べているのだと思います。それでは、多くの方がわざわざ時間をかけてまで取り除くみかんの白い筋は、そもそも何なのでしょうか?また、食べた場合に、何か体に悪影響が出るのでしょうか?

実は、このみかんの白い筋は、多くの栄養素が含まれていると言われていて、気にならないのであれば実と一緒に食べた方が良いとされているのです。そこでこの記事では、意外に知られていないみかんの事実として、白い筋が何なのかについて解説します。

みかんの白い筋は何?

それではまず、みかんの外皮を剥いたときに見える白い筋のような物が何なのかについて解説します。皆さんは、一つのフルーツを総称して「みかん」と呼んでいると思いますが、当然、みかんを構成するひとつひとつの部位には名前が付けられています。みかんの中心から、それぞれの部位の名前をご紹介します。

  • ・みかんの中心部分・・・果心
  • ・みかんの実(食べる部分)・・・さじょう(果肉の粒粒のことです)
  • ・みかんの薄皮・・・じょうのう
  • ・みかんの白い筋・・・アルベド
  • ・みかんの外皮・・・フラベド

上記のように、みかんは各部位によって名前が付けられています。一般的に、みかんの可食部である房は、じょうのう(薄皮)とさじょう(果肉)でできています。そして、皆さんが食べるみかんの果実を包む白い筋は「アルベド」という名前が付けられているのです。名前の由来は、ラテン語で「白」を意味する「albedo(アルベードー)」から来ているそうです。

このアルベドは、みかんの果肉に栄養分や水を運ぶための維管束で、みかん全体を綺麗に覆っているのは、果肉一粒一粒すべてにアルベドが繋がっているからなのだそうです。全ての果肉にアルベドが繋がっていることで、みかん全体にバランスよく栄養や水分がいきわたるのです。

みかんの白い筋(アルベド)の栄養について

冒頭でご紹介したように、みかんを食べる時には、ほとんどの方が外皮の下にある白い筋(アルベド)まで綺麗に取り除いてから食べているのではないでしょうか?みかんの白い筋は、特に味がありませんし、食感も良くないので、白い筋をたくさんつけた状態でみかんを食べると、みかんの甘さが薄れてしまう…と言った点をデメリットと感じる方が多いのだと思います。しかし実は、みかんの表面についている白い筋は、食物繊維やポリフェノールなどの栄養素が含まれているのです。もちろん、白い筋の部分を残したまま食べても、健康被害に発展することはありません。

みかんの白い筋に含まれる栄養素は、水溶性食物繊維の「ペクチン」とポリフェノールの一種の「ヘスペリジン」とされています。みかんの白い筋に含まれるペクチンは、大腸がんの予防や血液中のコレステロールを減少させることで、脂質異常症の改善が期待できるとされています。また、ポリフェノールの一種の「ヘスペリジン」は、血圧の上昇を抑制、毛細血管壁を保護することで血管の老化を防止するなどの効果が期待できるとされています。

このように、多くの方が取り除いて捨てているみかんの白い筋は、意外にも栄養が豊富で食べるメリットがある部分なのです。もちろん、今まで綺麗に取り除いていた方からすると、そのまま食べるのは少し食べ辛さを感じてしまうかもしれませんが、多少は残した状態で果実と一緒に食べるのが良いのではないでしょうか?みかんの白い筋は、皮と一緒に乾燥させたものが漢方の材料に使用されているほどです。

参照:農林水産省サイト

みかんの白い筋を綺麗に除去する方法

ここまでの解説で分かるように、みかんの白い筋には食物繊維やポリフェノールなど、人の健康に役立つ栄養素が含まれています。したがって、わざわざ綺麗に取り除いてから食べる必要はなく、それどころか「みかんの栄養を余すことなく摂取したい」という方は、ある程度は残したまま食べるのがおすすめです。

ただ、みかんの白い筋は、そのものに味はありませんし、ついたまま食べるとみかんの美味しさが薄れてしまうという問題があります。また、ぼそぼそした食感を嫌う方も少なくないので、可能であれば綺麗に除去したうえで食べたいと考える場合もあるでしょう。
そこでここでは、みかんを食べる時、白い筋を可能な限り綺麗に除去するための方法をいくつかご紹介します。

①お尻側ではなく「ヘタ側」から剥く

みかんの皮を剥くときには、ほとんどの方が「お尻側」から剥き始めるのではないでしょうか?もちろん、どちら側から剥いても良いのですが、「白い筋を可能な限り綺麗に取り除きたい」と考えているのなら、ヘタ側から剥き始めるのがおすすめです。

皮を剥く際には、ヘタの部分から親指を入れ、皮と実の間に指を沿わせるイメージで剥いていきましょう。そうすることで、みかんの白い筋も一緒に剥がれていくため、お尻側から剥くよりも綺麗に取り除くことが可能です。もちろん、ヘタ側から皮を剥いても、完全に除去することはできないので、残った白い筋は後から指で取り除きましょう。

②みかんを湯煎してから皮を剥く

この方法は、みかんを使ってジャムやコンポートなどを作ろうと考えている場合におすすめの方法です。ただ、特に加工する予定はなく、そのまま食べる際にも、白い筋を綺麗にとることができるので、試してみるのも良いのではないでしょうか?

方法としては非常に簡単で、みかんの皮を剥く前に、外皮ごといとど湯煎するという方法です。90℃前後に熱したお湯に、外皮ごとみかんを浸しましょう。時間は3分ほど浸せば良く、その後は氷水などに入れ冷やしてから皮を剥きましょう。こうすることで、皮が柔らかくなり、白い筋も実からはがれやすくなるので、綺麗に取り除くことが可能です。

③水にさらしながら皮を剥く

3つ目の方法は、湯煎ではなく、水にさらしながら外皮を剥くという方法です。蛇口から水に充てながら皮を剥く、ボールなどに水を貯めてその中で剥くなど、方法は何でも構いません。みかんを水にさらすことで、白い筋が柔らかくなるので、取り除きやすくなるのです。

ただ、この方法も、②の湯銭と同じく、みかんが少し水っぽくなってしまう場合があるため、そのまま食べるのではなくジャムやコンポートなどに加工を考えている際におすすめの方法です。

まとめ

今回は、みかんの外皮を剥いたときに見える、白い筋のような物が何なのか、またこれは食べた方が良いのかについて解説しました。

みかんの表面の白い筋は、「アルベド」と呼ばれるもので、これはみかんの実に栄養や水分を送るための器官として働いています。みかんを食べる際には、白い筋の部分は特に味がありませんし、みかんの食感も悪くなるため、みかんの味を楽しみたいと考える場合は、綺麗に取り除くのがおすすめです。ただ、記事内でご紹介しているように、多くの方が取り除いているみかんの白い筋には、食物繊維やポリフェノールが含まれているため、みかんの栄養を余さず摂取したい場合は食べるのがおすすめです。