今回は、初夏を代表する果物の一つであるメロンの種類について解説していきたいと思います。高温多湿な気候である日本は、初夏となる6月は悪天候が続く梅雨があります。梅雨時期は、気温自体は比較的過ごしやすいのですが湿度が非常に高くジメジメとした気候で、なんとなく気分が下がってしまう…という方も多いのではないでしょうか?

ただ、食べ物に関して見回してみると、梅雨時期である6月は、日本人に人気の果物たちが旬を迎える時期となります。この記事でご紹介するメロンを始めとして、さくらんぼや桃、梅にブルーベリーなど、そうそうたる果物が旬を迎え、おいしくたべられるのでその点については6月を楽しみにしているという方も多いことでしょう。

そして、6月が旬の果物の代表と言えるのがメロンで、非常に濃厚な甘みと香り高さが魅力の果物として人気です。一般的には非常に高価なフルーツというイメージがあるかもしれませんが、ハウス栽培が盛んに行われるようになった昨今では、安価に購入できるメロンも増えています。ただ、メロンに関しては、網目のある物やないもの、果肉色が異なるものなど、いくつかの種類が存在していて、どれが美味しいメロンなのか疑問に感じる方も少なくないようです。そこでこの記事では、メロンの基礎知識として種類分けの基準やそれぞれの特徴、美味しいメロンの選び方などについて解説します。

メロンの種類は、主に3つの方法で分類される

それではまず、メロンの種類分けについて解説したいと思います。一口にメロンと言っても、いろいろな種類のメロンが存在していて、外観から全く異なる種類もあるのです。一般的に、メロの種類については、以下の3つの方法で分類することができます。

  • ・網目の有無
  • ・果肉の色
  • ・栽培方法

ここでは、それぞれの種類分けについて、もう少し詳しくご紹介してみます。

網目の有無

皆さんは「メロンを頭の中でイメージして」と言われると、どのようなメロンを思い浮かべるでしょうか?多くの方は、メロンの表面に網目のある果実を思い浮かべるのではないでしょうか?しかし実は、メロンには表面に網目のないものも存在していて、網目があるメロンが「ネット系メロン」、網目のないものは「ノーネット系メロン」と分類されているのです。

ネット系メロンは、皆さんがイメージするメロンの姿そのままで、メロンの中でも最も有名と言えるマスクメロン(アールスメロン)やアンデスメロンを指しています。このタイプは、表面の網目がくっきりしていて、バランスよく綺麗に広がっている物ほど美味しいとされています。

ノーネット系メロンについては、プリンスメロンやホームランメロン、ハネデューメロンと言った品種があり、ネット系メロンよりも手軽に買える価格帯なのが魅力です。ノーネット系メロンについても、果皮の状態を確認しながら美味しい物を探すと良いです。基本的に、表面にキズが付いておらず、なめらかの物ほど良いとされています。

果肉の色

一般的に、メロンの果肉の色と聞かれれば、薄い黄色みかかった緑色をイメージする方が多いのではないでしょうか?いわゆる、マスクメロンなど身近に存在するネット系メロンは、黄色みがかった緑色の果肉が特徴で青肉メロンと呼ばれます。ただ、メロンの果肉の色はこれだけでなく、高級メロン品種として有名な夕張メロンのように、鮮やかなオレンジ色の果肉を持つものも少なくありません。このタイプは、赤肉メロンと呼ばれています。この他にも、キンショウメロンなど、瓜の特徴に近いメロンは乳白色の果肉をしていて、白肉メロンなどと呼ばれます。

メロンは、果肉の色が異なるものは、味わいや風味が異なります。また、含まれている栄養素も違いがあり、赤肉メロンについては、他の種類のメロンよりもベータカロテンの含有量が多いとされています。

栽培方法の違い

メロンは、6月頃など初夏が旬の果物とされます。ただ、よくよく考えてみると、それ以外の季節でも普通にメロンを手に入れることができることを不思議に感じる方がいるかもしれませんね。

これについては、メロンはいくつかの栽培方法が確立されているため、本来のメロンの収穫可能時期よりも長く収穫できるようになっているからです。メロンの栽培方法には、主に以下の3つがあります。

  • トンネル栽培(露地栽培)
    ビニールハウスなど、温室を作らず、自然環境で栽培する方法です。
  • ビニールハウス栽培
    さまざまな野菜や果物の栽培方法として活用されている方法です。ビニールハウスを建てて、内部の環境を育てる物に最適な条件にコントロールしながら栽培する方法です。
  • ガラス温室栽培
    ガラスを使った温室でメロンを栽培する方法です。光を取り入れやすいため、太陽光線をたくさん必要とするメロンの栽培には適しているとされます。ただ、通常のビニールハウスと比較すると、ハウスの建設費用が格段に高くなります。

メロンは、上記の3つのポイントで種類分けすることができます。ただ一般的には、「網目の有無」「果肉の色」が注目されることが多く、メロンの品種を紹介する際には「ネット系メロンの品種」や「ネット系・赤肉種のメロンの品種」と言った感じで分類されていると思います。

メロンの旬と主な産地について

それでは次に、メロンが美味しく食べられる旬の時期と日本国内でメロンの栽培が盛んな地域について解説します。

メロンの旬について

メロンの旬の時期は、上述したように6月頃と、初夏の時期となります。ただ、同じメロンでも、品種や栽培されている地域、栽培方法などによって収穫時期が異なります。日本国内でも、比較的暖かい地域で栽培されるメロンに関しては、4月頃から収穫が始まるとされています。ただ、自然空間で栽培される、いわゆる露地栽培のメロンに関しては、初夏となる5月~6月頃が出盛り期です。なお、北海道もメロンの産地として有名ですが、他の地域よりも気温が低い日が多いため、北海道産メロンに関しては7月以降に旬を迎えるとされています。

なお、現在のメロン栽培では、ビニールハウスやガラス温室など、温室栽培が確立されています。そのため、温室栽培のマスクメロンは海外から輸入するメロンと同じく、年間を通して収穫することが可能です。

メロンの産地について

日本国内ではさまざまな地域でメロンの栽培がおこなわれています。夕張メロンのネームバリューからか、メロンの栽培量が多い都道府県では、北海道が一番なのではないかと考えている方が多いかもしれません。しかし実は、メロンの栽培量が最も多いのは、茨城県です。以下に、2023年のメロンの栽培量ランキングをご紹介してみます。

  • 1位 茨城県(約31%)
  • 2位 熊本県(約18%)
  • 3位 北海道(約16%)
  • 4位 山形県(約8%)
  • 5位 青森県(約7%)

メロンの栽培は、水はけのよい土壌と温暖な気候、昼夜の温度差が大きいという条件が適しているとされます。ただ現在では、ハウス栽培も盛んになっていますので、気温の条件に関してはどうとでもなるのかもしれませんね。

美味しいメロンの選び方について

それでは最後に、スーパーや八百屋さんでメロンを購入する際、美味しいメロンを選ぶために知っておきたいポイントについて解説します。メロンは、以下のポイントを確認しながら選ぶと良いです。

香りを確認する

完熟して食べごろを迎えたメロンは、切っていない状態でも強い甘い香りがします。したがって、スーパーなどで購入してすぐに食べたいと考えている場合は、香りを強く放っている物を選ぶと良いでしょう。

なお、別の記事でもご紹介していますが、メロンは収穫後に追熟させることで完熟状態にする果物です。スーパーや八百屋さんの店頭に並んでいるメロンに関しては、基本的に完熟手前の未熟な状態の物が販売されています。つまり、本来は購入後、自宅に持ち帰って追熟させる必要があるのです。ただ、店頭にしばらく置かれていたメロンの中には、完熟を迎えている物もあるかもしれませんし、しっかりと香りなどを確認しながら選ぶと良いでしょう。メロンが完熟を迎えた時のサインは、甘い香りがする、お尻の部分に弾力が出てくる事なのですが、店頭で売られているメロンについて、指で押して確認することはできません。したがって、完熟メロンを購入して帰りたい場合は、お店の人に確認してもらうと良いでしょう。

関連:メロンの追熟に適した条件とは?完熟したメロンの見極め方や美味しく食べる方法もご紹介

ツルの状態をチェックする

メロンは、上部にツルが付いた状態で販売されているのが一般的です。そして、このメロンのツルは、完熟状態かどうかを見極めるためのポイントになるのです。

一般の方であれば、メロンの上部についているツルは、ピンと張っている物の方が新鮮で良さそうと感じると思います。そしてその考えは正しいのですが、「そのまま食べておいしいのか?」というとそうではないのです。上述したように、メロンは、収穫後に追熟させる必要がある果物で、新鮮な物はまだ未熟で味も香りも良くありません。したがって、購入したメロンのツルがピンと張っていた場合は、涼しい冷暗所などで追熟させましょう。

ツルが萎びてきたら完熟したサインとなりますので、香りやお尻の部分の弾力を確認してみましょう。

ネット系メロンは果皮の色を確認する

マスクメロンを始めとしたネット系と呼ばれるメロンについては、完熟に近づくにつれ、果皮が緑色から黄色味がかっていきます。この果皮の色の変化を注意深く見ておけば、熟しすぎる…という失敗も防ぐことが可能です。

メロンは、追熟させなければいけない果物ですが、完熟を見極めるのはなかなか難しいです。中には、せっかく頂いたメロンを追熟させすぎてしまう…と言った失敗をした経験がある人もいるのではないでしょうか。先ほどご紹介したように、メロンは熟すと果皮が黄色みがかっていくのですが、黄色味が強くなり過ぎたものは熟しすぎた証拠です。手で触れてみると、果実全体が柔らかく感じるなど、腐る一歩手前と言っても良いでしょう。

果皮の色で美味しい状態を判断するポイントは、黄色味が強くなりすぎていない、綺麗な黄緑色程度が完熟のポイントと覚えておくと良いでしょう。この状態にまでなれば、メロン特有の甘い香りがすると思いますので、タイミングを逃さずに食べるようにしましょう。

果実の形と果皮の状態

美味しいメロンの特徴は、果実の形が均等でまん丸に近い綺麗な丸みを帯びているという点です。また、持った時にずっしりと重みを感じるものは、果肉がしっかりと詰まっている証拠ですのでおすすめです。

また、メロンの果皮の状態もしっかりと確認しておきましょう。ネット系のメロンであれば、網目模様が均一になればなるほど、美味しいメロンとされています。ノーネット系のメロンは、表面の傷ができるだけ少なく、つるつるしたなめらかな状態の物が良いとされています。

まとめ

今回は、日本の初夏を代表するメロンについて、メロンの種類分けや美味しいメロンを見分けるためのポイントについて解説しました。メロンは、気温が高くなる6月頃が旬の果物として有名で、果物の中でも「高級」なイメージが非常に強いのではないでしょうか。ただ、ガラス温室より低コストのビニールハウス栽培が盛んになった近年では、安価でも非常に味が良いメロンが市場に出回るようになっていて、意外に手軽に手に取ることもできるようになっています。

一般的なメロンのイメージと言えば、表面に網目模様があり、果肉は黄色みがかった緑色の果物だと思います。しかし、メロンには、表面に網目がないノーネット系の物もありますし、果肉についても鮮やかなオレンジ色の品種があるなど、さまざまなタイプがあるのです。現在、日本国内に流通している主なメロンの品種だけでも、30種類以上あるとされていますので、口にしたことがないメロンの品種は意外に多いと思います。

今年も、メロンが美味しく食べられる季節がすぐそこまで来ていますので、上で紹介した美味しいメロンの見分け方は是非覚えておきましょう。