今回は、日本国内で栽培されているさまざまなぶどうの品種について、いったいどれぐらいの価格で取引されているのか東京中央卸売市場のデータを参考にご紹介したいと思います。

日本人にとって、身近なフルーツと言えば、バナナやリンゴ、ミカンをイメージする方が多いかもしれませんね。実際に、一年間の消費量で言えば、圧倒的にバナナの消費量が多く、その次にリンゴ、ミカンと続きます。ちなみに、1位のバナナと2位のリンゴでは、その消費量は倍近くの差があるというデータがあります。

フルーツの中でも、ぶどうは日本人にとっても非常に高い人気があるのですが、どちらかというと「高級なフルーツ」という扱いで、日常的に口にするような機会は少ないと思います。ぶどうは、お中元や暑中見舞いの贈答品として扱われることが多く、どこか特別なフルーツとして人気です。ただ、一般の方がなかなか手が出せないほど高級な訳でもありませんので、この記事では、令和4年(1月~12月)におけるぶどうの平均取引価格をご紹介します。

ぶどうの平均取引価格について

高音多湿な日本の気候では、ぶどうの中でもアメリカ種の方が栽培しやすいと言われていました。ただ、生食用としてのぶどうを考えた時には、アメリカ種のぶどうはヨーロッパ種のものより品質で劣るケースが少なくありません。そのため近年では、この二つの品種を掛け合わせた「欧米雑種」のぶどう品種が増えています。なお、平成30年における日本国内のぶどうの栽培面積については、巨峰とピオーネ、デラウェア、シャインマスカットの4品種で7割以上を占めています。

  • 1位巨峰・・・3,843.8㎡(29.0%)
  • 2位ピオーネ・・・2,107.5㎡(15.9%)
  • 3位デラウエア・・・2,014.8㎡(15.2%)
  • 4位シャインマスカット・・・1,624.9㎡(12.2%)

それでは以下に、令和4年1月から令和4年12月までのぶどうの平均取引価格を東京都中央卸売市場が公開しているデータからご紹介します。なお、以下で紹介する金額は、1kg当たりの平均取引価格です。参考としてご紹介しますが、リンゴ全体の平均取引価格は「375円/kg」となっています。

巨峰(欧米雑種)

まずは、日本国内で最も広い栽培面積を誇る巨峰です。巨峰は、日本人にとって最もなじみ深いぶどう品種の一つで、ぶどうの王様とも呼ばれるほど人気の高い品種です。巨峰は、糖度が18~20度程度と高く、香り豊かな強めの甘味が特長です。また、果肉はきめ細やかな風味を持っており、コクのある優しい酸味を併せ持つぶどうとしても人気です。なお、下で紹介するピオーネやナガノパープルは、この巨峰を親として品種改良されています。

巨峰は、日本で最も知られているぶどうの一つで、生食にもワインにも使われるなど、いろいろな場所で皆さんも口にしていると思います。令和4年における巨峰の平均取引価格は「1,312円/kg」でした。

なお、巨峰の詳細は、以前別の記事でもご紹介していますので、以下の記事もご参照ください。

> ぶどうの王様と呼ばれる巨峰の特徴をご紹介

ピオーネ(欧米雑種)

ピオーネは、巨峰によく似た見た目を持つ品種ですが、これはピオーネが「巨峰」を母親、「カノンホール・マスカット」を父親として品種改良されたぶどうだからでしょう。ピオーネは、糖度が高くて香りも良い、マスカットを親としていることから適度な酸味も持っているなど、見た目・食味ともに優れていることから非常に高い人気を持っています。また、巨峰と比較すると、粒が落ちにくく日持ちが良いことから、贈答品としても高い人気を誇ります。

田中ぶどう園でも、贈答品として非常に高い人気のあるピオーネですが、令和4年の平均取引価格は「1,338円/kg」でした。

> 贈答品ぶどうの定番「ピオーネ」の特徴について

デラウエア(欧米雑種)

デラウェアはアメリカ原産の自然交雑種のぶどうで、1855年にオハイオ州デラウェアで偶然発見されたことでこの名前が付けられたそうです。デラウェアは、日本人にとっても非常になじみ深い品種で、スーパーの店頭などでもよく見かける小粒の実が特徴の大衆ぶどうです。多くの日本人が一度は食べたことがあるぶどうとして、この品種をあげるのではないでしょうか?ちなみに、巨峰は1942年に誕生したのですが、その時代、日本国内で流通していたぶどうは、小粒で酸味の強い品種が多かったことから、巨峰の登場は当時の人にとって衝撃的だったと記憶されているそうです。

デラウェアは、さまざまなぶどう品種の中でも、最も手に取りやすい価格帯で販売されており、大衆ぶどうとして人気です。令和4年における平均取引価格は「966円/kg」と、他のぶどうよりもかなり安いです。なお、デラウェアの出盛り期である8月下旬から10月にかけては675円/kgまで下がります。

シャインマスカット(欧米雑種)

近年、贈答用のぶどうとして非常に高い人気を誇っているのがシャインマスカットです。シャインマスカットは、2006年に品種登録されたばかりのまだ新しい品種なのですが、上で紹介したように、平成30年には、日本国内での栽培面積が第4位に位置するほどの人気になっています。
シャインマスカットの特徴は、酸味が控えめで、高い糖度とマスカットの芳香を持つことです。最近、皮ごと食べられるぶどうが増えていますが、その走りになった品種がこのシャインマスカットかもしれません。贈答品としても人気ですので、ぜひ今年のお中元はシャインマスカットを送ってみてはいかがでしょう。

なお、シャインマスカットの平均取引価格については「2,116円/kg」と、人気が高い分、価格も高く設定されています。

> 皮ごと食べられる高級ぶどう!シャインマスカットの特徴

その他のぶどうの価格について

上記以外のぶどうについても、東京都中央卸売市場が公開しているデータを転載しておきます。

  • ナガノパープル・・・2,275円/kg
  • アレキサンドリア・・・2,666円/kg
  • 甲斐路・・・1,121円/kg
  • その他ぶどう・・・939円/kg

このように、ぶどうの平均取引価格は、リンゴと比較するとかなり高く、フルーツの中でも高級な部類に入るでしょう。なお、ぶどうをできるだけ安く手に入れようと考えた場合、それぞれの品種の出盛り期を調べ、最も旬な時期に購入するのがオススメです。デラウェアの価格を見ればよくわかりますが、出盛り期は、その品種が最もおいしい状態で安価に手に入れることができます。

まとめ

今回は、さまざまな品種があるぶどうについて、日本国内で特に人気のぶどう平均取引価格をご紹介しました。

この記事でご紹介したように、リンゴの平均取引価格が300円台なのにも関わらず、ぶどうは最も安価なデラウェアの最盛期で700円台です。贈答用のぶどうとなると、1000以上が当たり前ですので、皆さんのイメージにある通り、フルーツの中でも高級な部類に入るといっても過言ではありません。

ただ、ぶどうは贈答品として出回ることが多いですので、特に高品質なぶどうの価格も含めて平均化しているのも要因です。田中ぶどう園でも、それぞれの品種の旬の時期には、直売所やネット通販でぶどうの販売を行っていますが、皆さんが考えているよりもかなり安価で販売しています。大阪に足を運ぶことができる距離に住んでいる方は、ぶどう狩りも行っていますので、ぜひ一、度田中ぶどう園まで足を運んでみてはいかがでしょう。遠方に住んでいる方は、ネット通販でぶどうの販売を行っています。田中ぶどう園では、しまねスイートやルーベルマスカットなど、日本国内でもほとんど栽培されていない珍しいぶどうの栽培を行っています!