近年では、家庭菜園を趣味とする方が多くなっていると言われています。野菜や果物を自分で育てることができれば、食費なども浮きますし、何よりも自分で手塩にかけて育てた野菜や果物ならよりおいしく感じられるという点がメリットになっているのだと思います。

ただ、都市部の住環境については、年々家庭菜園を楽しむのは難しくなっていると言われています。これは、土地価格の高騰などが要因で、一昔前までのように庭付き一戸建てを購入することが難しくなっていることや、マンションなどの集合住宅で生活する方が増えているのが要因でしょう。ちなみに、家庭菜園に関しては、広い土地を用意して畑を作らなければ楽しめないのかというとそうでもありません。

昨今では、ホームセンターなどに行けば、狭いスペースで野菜や果物を育てることができるプランターや土が販売されています。これらを購入し、自宅に持ち帰ることで、ベランダで野菜を育てるなんてこともできるようになっているのです。実際に、昨今では「ベランダ菜園」なる言葉も目にする機会が増えていますし、マンションなどの共同住宅で実際にベランダ菜園を楽しんでいるという方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、これからベランダ菜園に挑戦しようと考えている方に向け、ベランダ菜園に適した野菜の種類と考えておかなければならない害虫対策について解説します。

ベランダ菜園の注意点

ベランダ菜園は、誰でも気軽に始められる簡単な趣味というイメージが強いと思います。しかし、庭に畑を作って野菜などを育てるのと比較すると、ベランダ菜園の方が難易度が高く、さらに注意点も多いということを頭に入れておいた方が良いです。

ここではまず、これからベランダ菜園に挑戦してみようと考えている方に向け、ベランダ菜園の注意点(デメリット)についてご紹介します。

ベランダに虫が寄ってくる

ベランダ菜園の最大のデメリットは、害虫がベランダに寄ってきてしまう…という点です。植物を育てていると、それを餌とする害虫、害獣が寄ってきてしまう可能性があるのです。

例えば、葉野菜を育てていると、アオムシやヨトウガなどが寄ってきてしまいます。その他の野菜を育てている場合でも、ダニ類を始めとして野菜を狙ってさまざまな虫が寄ってきてしまうのです。最近では、ベランダで果物を育てる…なんて人も増えていますが、この場合は果実を狙って鳥が寄ってくる可能性があります。

また、ベランダ菜園を行う場合、植物への水やりのせいでベランダ部分の湿気が高くなります。さらにプランターなどを設置して植物を育てるため、虫が隠れやすい隙間がたくさんできることで、ゴキブリが繁殖してしまう…なんてことも多くなるのです。

家庭菜園を楽しみたいと考えている方の中にも、虫嫌いの方は多いと思いますし、この点は大きなデメリットになるでしょう。虫対策の詳細は後述しますが、虫が寄り付きにくい野菜を育てる、虫が寄って来ない対策を施すなどを検討する必要があります。

育てられる野菜が限られる

ベランダ菜園は、スペース的な問題や日当たり、風通しの問題などから、育てられる野菜に限りがあるという点も注意点の一つです。何でもかんでも、好きな野菜を育てたいと考えるかもしれませんが、環境が向かない場所で植物を育てても、美味しい野菜を実らせることはないのです。

家庭菜園では、ナス・トマト・ピーマンなどのナス科の野菜や、キュウリ・ゴーヤ・スイカなどのウリ科の野菜が人気ですが、これらの野菜は日当たりを好むため、ベランダ菜園では上手く育てられないことも多いです。

したがって、ベランダ菜園を楽しむためには、日陰でもしっかりと育つ野菜を選ぶか、日当たりを良くするための対策を施す必要があると考えておきましょう。

スペース的な問題で家事の邪魔になる

ベランダ菜園は、限られたスペースの中で野菜を育てることになります。当然、庭の畑のように広いスペースを確保することは難しく、多種多様な野菜を同時に育てることは難しいです。また、野菜を育てる際の水やりや間引き、剪定などの作業もスペース的な問題でやりにくくなります。
一般的に、エアコンの室外機などはベランダ部分に設置されるため、プランターの置き場はさらに限られてきます。また、ベランダは洗濯物を干すなど、家事のためのスペースでもあるわけなので、ベランダの空きスペース全てをプランターで埋め尽くすなんてこともできません。

家庭菜園を楽しむためには、なるべく広いスペースを確保したいと考えるものですが、ベランダという限られたスペースで家庭菜園を楽しむ場合、それもなかなか難しい点がデメリットです。さらに、洗濯などの家事のことを考えると、花粉や土、虫が洗濯物に付着してしまう…など、家事の邪魔になってしまうこともあるので、その辺りはよく注意しましょう。

ベランダ菜園に向く野菜とは?

それではここでは、ベランダ菜園などでも比較的育てやすい野菜について考えていきましょう。

ベランダで植物を育てる場合、害虫が寄って来ないようにしたいと考えると思います。美味しい野菜が取れるにしても、ベランダが虫だらけになると、家の中にまで虫が侵入してきてしまい、日常生活に支障が出てしまう可能性があります。

そこでここでは、比較的育てやすい果物の種類をご紹介したうえで、さらに虫が寄ってきにくい野菜がどれなのかについて解説します。まず、ベランダ菜園などで育てやすい野菜については、以下のような物があります。

  • ・ミニトマト
  • ・オクラ
  • ・ナス
  • ・ピーマン
  • ・コマツナ
  • ・ホウレンソウ
  • ・ベビーリーフ
  • ・シソ
  • ・バジル
  • ・ルッコラ

ベランダ菜園で育てる野菜では、ミニトマトやビーマンが人気です。ただ、それ以外にもベランダで育てられる野菜は多いです。

虫がつきにくい野菜は?

ベランダで野菜を育てる場合、出来るだけ虫がつきにくいものを選びたいと考えるはずです。ベランダで虫が湧いてしまうと、洗濯物も干しにくくなりますし、家事のタイミングで家の中にまで虫が侵入してしまう可能性が生じます。一般的に、虫がつきにくいとされる野菜は以下のようなものなので、ベランダ菜園を楽しむときはおすすめです。

  • ・ホウレンソウ
  • ・ベビーリーフ
  • ・シソ
  • ・バジル

逆に、虫が寄ってきやすいのは、小松菜やキャベツ、ハクサイなどのアブラナ科の野菜です。小松菜などは、ベランダ菜園でも人気の野菜なので、これをベランダで育てる場合、別途、害虫対策を検討しなければいけないと考えましょう。

ベランダ菜園での害虫対策について

それではベランダ菜園での害虫対策についてもご紹介します。

ハーブを一緒に育てる

ベランダ菜園での害虫対策では、ハーブが非常に役立ちます。実は、ハーブの中には特定の虫を寄せ付けにくくなるという効果を持つものがいるのです。例えば、以下のような感じです。

  • ・ゼラニウム・・・蚊やハエを寄せ付けない効果がある
  • ・ペパーミント・・・蚊やアリ、ダニを寄せ付けない

ハーブの中には害虫を寄せ付けないものがあるので、近くでハーブを一緒に育てると良いかもしれません。

害虫ネットを利用する

害虫ネットは、網目が非常に小さい(0.4~1mm程度)ネットのことです。最近では、100円均一などでも販売されていますし、低コストで害虫対策ができるアイテムになります。

虫が寄ってきやすい野菜を育てる際は、プランターごと害虫ネットで覆うなどの対策がおすすめです。屋外で使用することがもともと想定されているので、安価な物でも数年間は繰り返し使えるため、コストもそこまでかからない害虫対策としておすすめです。

お酢を使う

調理などに利用するお酢は、アブラムシやアオムシなど、葉野菜につきやすい害虫を予防するのに効果的とされています。

100円均一などでスプレーボトルを購入し、「お酢:水=1:3」の溶液を作りボトルの中に入れましょう。そして、葉野菜などにさっと全体的にかけてあげると良いです。なお、あまり多くの溶液をかけすぎると、葉や茎を傷めてしまうので、野菜の状態を確認しながら少しずつ吹きかけると良いです。

まとめ

今回は、近年人気の趣味となっているベランダ菜園について、ベランダで植物を育てる時に大きな問題となりやすい害虫対策などについて解説しました。

ホームセンターに行けば、野菜や果物を育てるためのアイテムが全て揃う時代となっているため、集合住宅に住んでいる方がベランダで植物を育てる…なんてことが増えています。立地の良い建物であれば、日当たりや風通しが良く、植物を育てるのに適した環境になりやすいこともあるのです。

ただ、植物を育てる際には、それをエサにする虫や小動物が寄ってきてしまうことがある点に注意が必要です。特に、集合住宅の場合、害虫の発生は自分たち家族だけの問題ではなく、近隣の方にも迷惑をかけてしまい隣人トラブルに発展する可能性もあるのです。

記事内では、虫が寄ってきにくいベランダ菜園に適した野菜の種類や、害虫対策について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。