赤茶色のゴツゴツした外皮が特徴的なライチですが、インターネット上には「生ライチは危ない!」という情報が出回っています。これは、インド北部で、果物のライチに含まれる毒素の影響で子どもが脳炎を発症し、死亡するケースが相次いだというニュースが過去に報道されたことが要因で、これを持って「ライチには毒が含まれているのだ…」と考えてしまっているのだと思います。

ただ、ライチを食べると必ず健康被害が生じる状態になるかというとそうではありません。中華料理店などでは、デザートとしてライチが提供される場合も多いですし、その他のフルーツと同じで、生でも美味しく食べられる果物でもあるのです。

そこでこの記事では、生ライチが危ないと言われる要因や、安心してライチを食べるために注意したいポイントをご紹介します。

「生ライチは危ない」と言われる理由とは?

それではまず、生ライチが危ないと言われる理由について、いくつかその要因をご紹介したいと思います。

ライチが危ないと言われる要因にはいくつかの原因があります。例えば、ライチが湿度の高い環境で育つ果物であることから、虫による害の可能性が高い、また収穫後の保存状態によって衛生面についても注意が必要とされています。さらに、冒頭でご紹介したように、ライチの特定の成分により、一部地域で健康被害の発生が報告されたこともあり、「危ない」という印象が広がったというのも大きいです。

ただ、保存状態が原因となる衛生問題や虫による害については、ライチに限らずどのような果物でも発生しうる問題といえます。ここでは、インターネット上でライチは危ないと言われる理由について解説します。

理由① 虫の存在

ライチは、果実の構造上、果肉と果皮の間に小さな隙間が生じやすいと言われています。そのため、収穫後、その隙間に虫が入り込むことがあるのです。

この虫に関しては、ライチを外から見たのでは気付くことができず、外皮を剥いたときに初めて虫が発生している…と分かる場合が多いです。そのため、一度ライチの虫害を経験した人は、それがトラウマとなり「ライチは危ない…」という印象を持ってしまうのです。

ライチの虫の発生に関しては、特に輸入品に注意が必要です。これは、輸送中の環境や保存状態によって虫が発生しやすくなってしまうためです。

理由② 有害成分ヒポグリシン

冒頭で紹介したライチによる健康被害の要因がこの成分です。

ライチには、ヒポグリシンと呼ばれる有害なアミノ酸が微量ですが含まれています。この成分は、空腹時に多量に摂取することで低血糖を引き起こす可能性があるとされています。先ほど紹介したインド北部の事例では、3週間で47人が死亡したとされています。

ライチの毒素による低血糖症は、特に小さな子供の場合、リスクが高くなるとされているので、注意が必要です。

理由③ 食物アレルギー反応

食物アレルギーとは、「本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いし、免疫反応が過敏に働いてしまう現象」のことを指しています。人によってアレルギー反応が生じる食品は変わるので、全員が危険というわけではありません。

ただ、ライチは、その他の果物と比較しても、アレルギー反応を引き起こす可能性がある事が知られています。軽度の場合、皮膚のかゆみや腫れ、発疹などの症状で済むのですが、重症化すると呼吸困難など、命に係わる問題に発展することもあります。
過去に、何らかの果物を食べた際、アレルギー反応が出た経験があるという方は、特に注意が必要です。ライチを食べる際は、少量ずつ様子を見ながら食べるようにしましょう。

ライチを安全に食べるポイント

生ライチが危ないと言われる理由がわかったところで、安全にライチを食べるためのポイントについてもご紹介していきます。

なお、ライチの有害成分であるヒポグリシンについては、熟していない果実に高いレベルで含まれているとされています。日本では、ライチの入手経路はスーパーなどで購入するという方法となります。この場合、毒素を含むような未熟なものが販売されている可能性はかなり低いので、その点は安心できるかもしれません。ただ、自宅の庭などでライチを育てている…なんて方の場合、未熟な状態で収穫する可能性もあるので、その点は注意しましょう。

ここでは、ライチを安全に食べるためにおさえておきたいポイントをいくつかご紹介します。

新鮮なライチを選ぶ

ライチは鮮度が非常に重要です。普段あまり見かける果物ではないため、どのような特徴を持つライチが新鮮なのか分からない…という方も多いとおもいます。

ライチは、外皮が赤く色づいていて、ツヤと適度な弾力を持つものが新鮮な証拠です。収穫から時間が経過すると、皮が乾燥して徐々に茶色く変色していくので、外皮が赤色の物を選びましょう。また、果肉が柔らかすぎるのも時間が経過している証拠なので、避けた方が良いです。

ライチは、輸入品が多いのですが、輸送の状態によっては虫害が発生している可能性があるので、店舗での管理状態などもしっかりと確認し、出来るだけ新鮮な物を選ぶと良いです。

食べる前に洗浄を確認をする

ライチを購入したら、食べる前に表面を流水でしっかりと洗いましょう。軽くこすり洗いすることで、表面に付着している汚れや虫を落とすことが可能です。

ライチを洗浄した後は、外皮の状態も確認しておきましょう。皮に傷や小さな穴が空いている場合、虫が侵入している可能性があります。

果肉の状態をチェックする

ライチの皮をむいた後は、果肉の色や柔らかさなど、その状態を確認しましょう。新鮮なライチの場合、果肉は透明感があり、適度な弾力があります。果肉が変色している、弾力が無く柔らかい…、異臭がするなんて状態のものは、食べるのを控えた方が良いでしょう。

また、先ほど紹介したように、ライチは内部に虫が侵入することも多いです。したがって、食べる際は、小さく裂きながら、内部に虫が発生していないか確認すると安心です。

種に注意する

ライチを食べる時には種に注意しなければいけません。ライチは、果肉の中に大きくて硬い種が入っています。何も考えずにかぶりついてしまうと、歯を傷める、誤って種を飲み込むといった問題に発展する可能性があります。

ライチを食べる際は、皮をむき、一口ごとに少しずつ果肉を裂きながら食べるようにしましょう。

まとめ

今回は、インターネット上で「生ライチは危ない!」と言われている要因について解説しました。

記事内でご紹介したように、ライチには人体に有害となる成分が微量に含まれている場合があり、特定の人が特定の状態で食べた時には健康被害を及ぼす可能性があるとされているのです。もちろん、正しく食べる限りは健康被害などが生じる可能性は少ないので、そこまで不安になる必要はないと思います。

なお、ライチは、日本国内でも栽培されています。もともと南国のフルーツであるため、沖縄や宮崎、鹿児島など、一部の地域でしか栽培されておらず、旬の時期も6~7月とわずか1カ月しかないので幻のフルーツとも言われています。ライチは、収穫後に追熟させる必要のない果物で、収穫した時点が最も美味しく食べられる果物です。つまり、長い時間をかけて輸送される輸入品のライチよりも、新鮮な状態で食べられる国産品の方が、美味しくて安全な可能性が高いので、ぜひ国産のライチも食べてみてください。